今までの話と違って大真面目な回。
~今回の見所~
いつもと違う、カッコいい零君。
※2/6 20時30分追記
本文中の確率が間違っていました。一応修正しましたが、もし間違いを見つけた方はご報告よろしくお願いします。
「廃部!?だと……」
俺が穂乃果たちから無慈悲にも聞かされたのは『廃部』の一言。みんなもかなり困惑している。一体何故、アイドル研究部を廃部しなければならない事態に陥ったのか?
「最近、部活が多くなってきたでしょ?それで部費の問題とか色々あって……」
「穂乃果、お前生徒会長だろ!?どうにか出来なかったのか?」
「ゴメン……でもまだ廃部が確定した訳じゃないんだ」
「どういうコトだ?」
穂乃果たちの話によると、その部費問題解決のために部活を1つ廃部にしなければならないらしい。そこで選ばれたのがなんとアイドル研究部だったのだ。
「海未、説明してくれ。廃校を阻止した業績があるアイドル研究部が、なぜ廃部に追い込まれる?」
「それは『μ's』としての活動報告として認められていて、『アイドル研究部』としての活動にはなっていないからです。つまり、部活としては何もしていないのと同義となります。だから目を付けられたのです」
「誰に目を付けられた?ことり!」
「うん。零くんは私たちの隣のクラスに"藤原華恋(ふじわらかれん)"さんって知ってる?」
「さぁ」
「藤原さん、理事長委員会会長の娘さんなの」
「なるほど大体分かった。そいつが権力を振りかざしてるんだな。部費を自分の部活に多く回すために」
「簡単に言えば、そういうコト」
いるよなそういう奴。親が力を持ってるからって、権力を見せびらかす大馬鹿野郎。メンドくせぇコトに巻き込みやがって……
「それで?まだ廃部が決まってないってのは?」
「その藤原さんが、穂乃果たちにチャンスをくれたの」
「チャンス?」
「藤原さんの部活、ゲーム部であっちが指定したゲームに勝つコトができたら廃部は取り消すって」
「なんて身勝手な……」
「そうだにゃ!!有無を言わさず廃部にしておきながら!!」
「許せないわ……」
「にこが守ってきた部活をこんな簡単に……」
各々が口々に言いたいコトを言っている。こんな理不尽、言いたくなるのが普通だろう。なぜそんなチャンスをくれたのかは疑問だが。
「でもまぁいい。そのチャンス、ありがたく受け取ろうぜ」
「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」
「受けてやろうってんだ、そのゲーム。勝てばいんだろ勝てば」
「無茶よ!そのゲームは向こうが用意するって言ってるし、何も知らない私たちが不利すぎるわ」
「だろうな。だが絵里、もう時間がないんだろ?」
「ええ、藤原さんからの予告では明日がゲーム決行日よ」
随分唐突に決まったんだな。それほどまでに藤原華恋の権力は強いのか。とにかく、廃部を逃れるコトができるならそれに越したことはない。
「明日か、その前にやっておくコトがあるな……穂乃果!!」
「は、はい!」
「頼んだ」
「え?」
俺たちは逃げも隠れもしないぞ、藤原。その鼻っ柱をへし折ってやる。
~※~
翌日:ゲーム部部室
「ようこそ、ゲーム部へ」
翌日、俺たち10人はゲーム部へ突撃した。部室には藤原以外の部員はいない。完全にコイツとの一騎打ちって訳か。
「よく逃げなかったわね。怖気づくかと思ってたのに」
「自分たちの部活が廃部になるっていうのに、逃げる訳には行かないもん!!」
普段あまり怒りを現わにしない穂乃果が本気で怒っている。それは穂乃果だけじゃない、俺を含めみんな同じ心境だ。こっちに相談もなしに決められてはそうなるのは目に見えているハズなのに、どうしてコイツは……
「そう……じゃあゲームをやる人を1人決めて。私と勝負よ」
「俺だ」
「ん?そっちの部員は9人だったハズだけど」
「昨日部員申請を出しておいた。これで俺も部員だ。文句はないだろう」
昨日、穂乃果に頼んでおいたのは部員申請書だ。彼女が生徒会長なおかげで申請はスムーズに通った。むしろ今まで部員じゃなかったコトが自分でも不思議なぐらいだ。
「いいわ。あなた、名前は?」
「神崎零」
「そう、私は藤原華恋、よろしくね」
「ああ」
意外と礼儀正しいのか、もしかして作戦の1つなのか。どちらにせよ、警戒するに越したことはない。穂乃果たちからの話では理不尽な奴としか思えなからな。
「ちなみに、あなたはどんなゲームが好き?」
「ゲームならなんでも。サブカルチャー系なら精通しているつもりだ」
「ふ~ん、私はね、読み合いと騙し合いのゲームが好きなの」
「お前の好みはどうでもいい。それに1つ聞きたいコトがある」
「何かしら?」
「お前が負けたら、お前は何を失う?」
穂乃果たちがざわつきだした。俺が負ければもちろん"アイドル研究部"を、"μ's"を失うコトになるからな。俺たちにだけデメリットがあるのは、さすがに不公平すぎる
「それは私が負けてみないと分からないわ」
「俺が勝ったら、廃部の件はすべてチャラにしてもらう。今後一切関わるな」
「当然。じゃあそこのテーブルに着いて、ルールを説明するわ」
~※~
「ゲームにはトランプを使うわ。といってもお互いに使うカードは少ない、簡単な戦争ゲームよ」
藤原はあらかじめ分けてあったカードを俺に渡す。ちなみにカードに細工などは施されていないようだ。
「カードはお互いに計10枚。A(エース)が2枚、5(ファイブ)が2枚、7(セブン)が2枚、J(ジャック)とQ(クイーン)とK(キング)が1枚ずつ。そして……Joker(ジョーカー)が1枚」
「強さはカードに書かれている数字の通り。エースが一番弱くてキングが一番強い。1枚カードを選んで」
俺はファイブのカードをテーブルに置く。
「お互いは好きなカードを1枚ずつ選んで勝負。私はセブンを出すわ。セブンはファイブより強いからファイブの負け、勝負に勝ったカードは自分の手札に戻る。もちろん戻って来たカードはまた出すコトができるわ。負ければ手札に戻らず捨てられる」
「引き分けの場合はどうする?」
「両方討ち死にね。特殊なのはこの2枚」
藤原はクイーンとジョーカーの2枚をテーブルに置く。
「クイーンはキングにだけ勝てるの。それ以外には、相手の数字が低くても勝てないわ。ジョーカーは無敵。すべてに勝てるけど、1度しか使えず、手札には戻らない」
「決着はどうしたら決まる?」
「色々ルールはあるけど、一番オーソドックスなルールにしましょうか。先にキングを失った方が負け」
~ルールまとめ~
・お互いにカードは計10枚(キング、クイーン、ジャック、ジョーカーが1枚ずつ、セブン、ファイブ、エースが2枚ずつ)
・お互いに好きなカードを1枚裏側でテーブルに置き、同時にオープン(表にする)して勝負
・勝負は数字の大きいほうが勝つ
・勝ったカードは再び自分の手札へ、負けたカードは捨てられる
・ただし、クイーンはキングにしか勝てず、ジョーカーは誰にでも勝てるが1度しか使えない
・同じ数字の場合は相撃ち
・先にキングを失ったら負け
「みんな、ルールは分かったか?」
「はい、こちらは全員把握しました」
海未が代表して答える。さっきから後ろで話し合っていたのは、お互いにルールを確認し合っていたためか。
「作戦を練るなら待つわよ。初めてのゲームだしね」
「……」
みんな心配そうな顔をして俺を見つめている。彼女たちを、これ以上不安な気持ちにさせる訳にはいかない。
「はじめるぞ!」
~※~
「じゃあ、カードを選んで裏側でテーブルに置いて」
「分かった」
いきなり強いカードを出すのはリスクが高すぎる。もし序盤から強いカードを失えば、相手に圧倒的なアドバンテージを与えてしまう。俺はファイブのカードを選んだ。
(神崎君……表情には何も現れない。それは褒めてあげるけど)
「オープンの前に当ててみましょうか?あなたが選んだのはファイブ」
「!!」
「カードオープン」
俺のカードはファイブ、藤原のカードは……セブン。
「ファイブはセブンに負け、捨てられる。勝ったセブンは私の手札に戻る」
「……」
零の手札:9枚:キング、クイーン、ジャック、ジョーカー、セブン2、ファイブ1、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
「ねぇ海未ちゃん、どういうコトなの?当たっちゃったよ……」
「分かりません……」
「当てずっぽうよ!!」
「でも、そんな風には見えへんけど……」
なぜ分かった……俺のカードが……
「あなたが何を考えているか当ててみましょうか?」
「……」
「私が何かイカサマをしていないかと考えている」
「次の勝負だ」
俺が次に選ぶのはジャック。初戦で勝利したのなら、相手が無謀な手で来ないと思ったからだ。相手はセブン以下で様子見をしてくる。つまり俺は相手の様子見読みの一手を打った。
「オープン」
俺のカードはジャック。藤原のカードは……
「キングだと……」
零の手札:8枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ1、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
「また考えてる。ここは私の部室だし、このゲームは私が用意したモノ、トリックはないかってね。あるいは私があなたの考えているコトが分かるか……」
「そんな訳はないだろう……」
俺が次に選んだのはファイブ。さっき様子見をしてくると思ったらして来なかった。今度こそは……
「オープン」
俺のカードはファイブ。藤原は…………キング……
「またキング……」
「これであなたの手札にはファイブとジャックがいなくなった」
零の手札:7枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
どういうコトだ……暗示みたいなモノでカードを選ばされているのか?
次に俺はエースを選んだ。
「オープン」
「お前もエースか……」
「あら、エース同士の相撃ちね。とうとうカードを失っちゃったわ」
零の手札:6枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、エース1
藤原の手札:9枚:キング、クイーン、ジャック、ジョーカー、セブン2、ファイブ2、エース1
「花陽、心配しすぎで胃腸が痛くなってきました」
「これで零の手札が6枚、対して相手が9枚。かなり差がついたわ」
「しかも、零くんは数字の大きいジャックがもうないよ」
「息が詰まるわね……」
「次だ!!」
よほど藤原には自信があるらしい。さっきからキングばかり。だったら次に選ぶのはクイーンだ。
「オープン」
藤原のカードは…………ファイブ。クイーンはキングにしか勝てない。
「可哀想なお妃様、戦場に駆り出されるなんて。これで私のキングはかなり安全になったわ」
零の手札:5枚:キング、ジョーカー、セブン2、エース1
藤原の手札:9枚:キング、クイーン、ジャック、ジョーカー、セブン2、ファイブ2、エース1
このままでは負ける一方だ。負けないためにはジョーカーをキングにぶつけるしかない。またはキング同士の相撃ちだ。だが、藤原にはクイーンもあるしジョーカーもある。
そうだ……そもそもなぜ俺はここまで追い込まれた?
(悩みなさい神崎君。私はあなたの手筋を把握する余裕すらあるのよ)
「オープンだ!」
俺はここでキングを選んだ。
藤原は…………キング。
「お前もキングか、これで相撃ちだ」
「初めは引き分けにしてあげる」
「なんだと?」
「でも何も失わない代わりに、何も取り戻せない」
俺はここでゲームを開始してから始めてみんなの方を見た。俺の追い込まれようを見て、みんな困惑したり、不安そうな表情を浮かべている。無理もないか……
「今のルールだと、どうしても引き分けが多くなるの。本式のルールを採用する?」
「決着が着くのならそれでいい」
「キング同士が相撃ちになった場合、手札のカードが多い方の勝ち。ただしクイーンとジョーカーはその数には入らない。次からはそのルールでいくわ」
「いいだろう」
~ルール追加~
・キング同士が相撃ちの場合以下のルールを採用
・手札が多い方の勝利となる
・ただしクイーンとジョーカーはカウントされない
「後ろの彼女たち、随分と顔色が悪いわね。あなたが勝負に負け過ぎているせいかしら」
みんな……
頭にみんなの心配そうな顔が次々と浮かんでくる。みんなにこんな顔をさせないために俺がいるというのに、何てザマだ……ダメだ、ゲームに集中しないと。
「ここから仕切り直し。再びカード10枚からスタートよ」
~※~
※ゲーム仕切り直しからスタート
まずどのカードを選ぶ?コイツ相手だったら、初手から勝負に出ないと勝てないだろう。俺はジャックを選んだ。
「カードオープン」
俺はジャック、藤原は……
キング……
「ばいばいジャック、無能な指揮官を呪いなさい」
零の手札:9枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ2、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
なぜそれを出せる……?俺がキングを倒すカードを出す訳がないと、彼女がなぜ判断したのかが問題だ。
(彼の気配が変わったわ……そうでなくちゃ面白くないわ)
「ほら見てみなさい、後ろを」
「みんな……」
またあっさりと初戦で負たためか、みんなの顔色はさらに悪くなっている。困惑に不安、悲愴に懸念、どの言葉も当てはまるだろう。
「みんなの顔を見ていられないの?ダメよ、ちゃんと見守ってあげなきゃ」
「……」
なぜ俺にみんなを見せたがる……そうだ、なぜ俺たち10人全員を部室に入れた……この部室はそこまで広くない。俺たち全員が入ればゲームの妨げになる可能性は一切考慮してないのか。ゲームをするだけなら、俺と藤原の2人だけで十分なのに。
(悩みなさい、それだけ私にはあなたの選ぶカードが見えてくる)
なぜだ……なぜだ……くそっ
まさか、これが彼女の手なのか?だったら……
「え!?零君?」
「どうしたのよ?急に目を瞑って……」
「あ、諦めちゃったのかにゃ……?」
「目なんか瞑っちゃって、精神統一?」
「諦めてもないし、精神統一でもない。俺が無能な指揮官だとしたら、このままでは勝ち目はない。運に任せたほうがマシだ」
俺は目を瞑りながら手札をシャッフルし、1枚抜き取ってテーブルに置く。
「これでいい」
「そんなのハッタリよ。ジャックを失ったあなたは不利な状態。運で勝てるほどこのゲームは甘くないわ」
「俺は運に任せてカードを選んだ」
(表情からは何も読めないわ)
「さぁ、早くお前も出せ」
「え、えぇ」
藤原はカードをテーブルに置いた。
「オープンの前に当ててやろう。お前が選んだのは……セブンだ」
「なんですって!?」
藤原を含め、みんなが驚きの表情を浮かべる。
「俺にはお前の手が読める」
「零、くん……?」
「零の雰囲気が変わったわね」
「当てずっぽう?それともイカサマでもしたのかしら?」
「思い出したのさ。お前は読み合いと騙し合いのゲームが好きだってな」
コイツは言っていた、ゲームが始まる前に自分のどのようなゲームが好きなのかを。
「それが何よ」
「このゲームは確率と戦術を基本とし、相手の考えを予測するゲームだ」
「さすがね、もうこのゲームの概念を理解するとは」
「問題はそこだ。この時相手の考えに制約を与えれば、より予測は容易くなる。お前は俺に、廃部の危機、そして穂乃果たちの表情を見せつけた」
「穂乃果、たちの?」
みんなは顔を見合わせて首をかしげる。
「そしてお前は俺の実力を認めている」
「それで?」
「初めてのゲームだが、俺はこのゲームの基本戦術を読み取っただけに過ぎない。その中でも、慎重な基本戦術を。みんなの様子を見ながらの俺にとっては、それしかなかった」
「オープンよ!」
藤原のカードはセブン、俺のカードはファイブ。
「ほら!私の勝ちよ!!」
「ほら、言ったとおりセブンだ」
「当てずっぽうよ!!」
「零君すごい……」
「まさか本当に当たるなんて」
「それにしても藤原さん、焦り始めてきましたね」
「うん、それほどまでに零君の一手に驚いたんやね」
※ここでもう1度、一手前の手札公開
零の手札:9枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ2、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
「デタラメに選んだ俺のカードに対し、お前はキング、クイーン、ジョーカーを出す必要はない。俺がキングを選んだ確率は9分の1、ならばジャックがない俺にはセブンを出す。確率と戦術に乗っとてな」
最悪相撃ちに持ち込むとして、セブンを出して俺にカードを消費させるコトが出来る確率は9分の8だ。俺がキング以外を出せばいいのだから。
もし俺がキングを選んだとしても、強さ的には真ん中のセブンを失うだけ。俺と同じ、手札が9枚になったとしても、1枚しかないジャックの有無は非常に大きい。つまり、彼女は基本戦術を使ったのだ。
(そこまで私の考えを読んだとでもいうの……彼は)
「違うか……?」
「勝手にそう思っていればいいわ!結果としてあなたのカードは1枚減った。ほら!後ろを見てみなさい」
俺はみんなの方を振り向く。これは俺が教えてはダメなんだ。みんな、気付いてくれ……
(あれ?零君、穂乃果の目をジッと見てる。どうしたんだろ?穂乃果に何か言おうとしてる?……!!。みんな心配そうな表情。穂乃果もこうなのかな?)
「カードを失っている余裕はないわよ!」
「俺はお前に勝つための戦術を選んだ。お前の心を読んでみせる」
(出来る訳がない……誰も私の心を読むコトなんて)
零の手札:8枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ1、エース2
藤原の手札:10枚:すべて
次の手は……これだ。
「オープン」
俺のカードはエース、藤原はジョーカー。
「私の勝ちよ!」
「そしてお前は切り札のジョーカーを失った。一番弱いエース相手に」
ジョーカーは必ず勝てるが1度しか使用できない。
(読み取ったというの……私の手を。この私の!?まさか……)
「イカサマもトリックもない。まして俺の意識を読み取る超能力でもない。確率と戦術による予測、相手に対する言葉による判断の誘導、それがお前のすべてだ」
零の手札:7枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ1、エース1
藤原の手札:9枚:キング、クイーン、ジャック、セブン2、ファイブ2、エース2
「藤原先輩の表情が一気に変わったわね」
「明らかに焦ってます。まるでさっきまでの零みたいに……」
「なるほどね」
「絵里ち……何か分かったん?」
「さっきまでは藤原さんが零を焦らせて考えを縛っていた。だけど今は逆。零は言葉巧みに藤原さんを追い込んで、彼女の考えを縛っているのよ」
「そうか、零言ってたもんね。『相手の考えに制約を与えれば、より予測は容易くなる』って」
「運に任せてカードを選び、藤原さんを動揺させる。それで彼女に基本戦術を取らせているんですね、さすがです零」
「すごい……さすが零君!」
「ここから一気に逆転だにゃ!」
(みんなの顔が晴れてきた……そうだ!分かった!零君が穂乃果たちに伝えたいコトが!!)
「応援しよ」
「穂乃果……?」
「みんなで零君を応援しよ!!穂乃果たちが暗い顔してたらダメだよ!」
「「「「「「「「うんっ(はいっ)!」」」」」」」」
(零君が伝えたいコトはコレだったんだ。希望を捨てちゃダメだって)
穂乃果……みんな……よく気付いたな。そうだ、最後まで諦めちゃダメだ。いつでも希望を持て。
「っ……でもあなたに定石はない。いくつもの大会によって練りこまれてきた戦術の数々が」
「オープン」
藤原のカードはセブン、俺のカードは…………
「ここでキングですって……」
零の手札:7枚:キング、クイーン、ジョーカー、セブン2、ファイブ1、エース1
藤原の手札:8枚:キング、クイーン、ジャック、セブン1、ファイブ2、エース2
「いくら大会で練りこまれようが、お前がどれだけ強かろうが……俺には、いや、俺"たち"には関係ない」
(この人は違う……今までのどんな相手とも違う……)
「オープン!!」
俺のカードはクイーン。藤原のカードは…………キング。
クイーンはキングのみ勝てる。
「俺は1人で戦っているんじゃない、みんなで、10人で戦っているんだ。みんなと一緒にいる限り、俺は絶対に負けない。俺の心は読めても、俺"たち"の心は読めなかったようだな」
「……終わったの、海未ちゃん」
「……え、えぇ」
「ことりちゃん、ほっぺた抓って」
「……うん」
ギュー!
「いたた……」
「と、いうコトは……う、うぅ~~!!」
「「「「「「「「「やったぁーーー!!!」」」」」」」」」
「私の……負けね」
ふぅ~何とか勝てたな。穂乃果たちにも笑顔が戻ってよかった。
「1つだけ謎がある。そもそも、なぜゲームを挑んできた?お前の権力なら、有無を言わさずに廃部に出来たハズだ」
「……最後の相手が欲しかっただけなのかもね」
「最後……やっぱりか。この部活はお前1人だけなんだな。初めからココの廃部が決まっていた」
「「「「「「「「「えぇーー!!」」」」」」」」」
どうして穂乃果たち生徒会役員まで驚く……お前ら把握してなかったのかよ……
「お前は失うものなど何もなかった、いや既に失っていた。だから強気な戦術を取れたのか」
「私も謎があるわ。目を瞑ってカードを選んだ時、あれは本当にデタラメだった?」
「それしかなかった、お前の戦術を読み取るためにはな」
だが自信はあった。アイツらが一緒にいてくれたから。
「でも驚いた。話を聞いた限りではどんな非道な奴かと思っていたけど、実際には違ったよ。一緒にゲームをやった俺なら分かる。いいゲームだったぜ、藤原」
「ありがとう。楽しかったわ」
どうやら悪い奴ではなさそうだ、廃部の件もしっかり取り消してくれるだろう。
「いや~これで一件落着だにゃ~!」
ドンッ!
「うにゃ!!」
「凛ちゃん大丈夫!?」
ぐぐっ~と伸びをした凛の腕が近くの棚に激突した。ん?上から何かヒラヒラ落ちてきたぞ。
「何よコレ?」
にこは足元に落ちたモノを拾い上げる。ペラペラしてるから紙、いや写真っぽいな?
「……って!?これ!?」
「なになに?」
俺を含め、みんなは一斉に写真を覗き込む。
「これって、μ'sがライブした時の写真じゃねぇか!?」
「「「「「「「「「えぇ~~!!!」」」」」」」」」
「ぎゃぁああああああああああああああああああ!!」
突然藤原が頭を抱え、大声で叫びだした。
「藤原……お前もしかして」
「そうよ!μ'sファンよ!!悪い!?笑いたければ笑うといいわ!!」
「もしかして、ゲームを挑んできたのも……」
「μ'sの皆さんと話がしたかっただけよ!!」
「じゃあ廃部の件は……」
「全部ココに呼ぶための口実よ!」
廃部はウソだったのかよ!!マジか、開いた口が塞がらねぇ……俺の苦労は何だったんだよ。一気に力抜けた。
「藤原さん!!」
「ひゃっ、ひゃい!なに?高坂さん!?」
アガってんじゃねぇよ!!!そりゃあ、自分のファンのリーダーに話しかけられたらそうなるかもしれないけど。ゲームをしていた時のコイツとはエライ違いだな、オイ……
「さっきのゲーム、とても興奮したよ!穂乃果にも色々なゲーム教えて欲しいな!」
「凛もーー!ゲーム大好きだし!」
「ココに置いてあるのも気になるしね」
穂乃果や凛、にこを皮切りにみんなゲームに興味津々だ。いつの間にか藤原との間に溝はなくなり、みんな溶け込んでいる。
「は、はい!よろしくお願いします!」
「何をよろしくするんだよ。プッ、アハハハハハハハハ!!」
「「「「「「「「「ハハハハハハハ!!」」」」」」」」」
「もうっ!皆さん!」
ダメだ、自然と笑みが溢れてしまう。ともあれ一件落着だな。
ちなみに、生徒会役員である穂乃果たちの頑張りによって、ゲーム部も廃部を逃れるコトができた。
文字数は多いですが、ルールのまとめや手札確認などの事項も多かったのでボリューム的にはいつも通りかもしれません。
ちなみに完全なオリキャラとして出した"藤原華恋"ですが、話の内容的にオリキャラが必要だっただけであって、これ以降出る予定はないです。個人的にオリキャラを複数出すのは好きではなく、基本的にオリ主だけが理想です。最悪その親族が出るぐらいが丁度いいと思ってます。