ラブライブ!~μ'sとの日常~【完結】   作:薮椿

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連続投稿企画6連発目!


プライドを賭けた、2人による秘密の特訓が開始される!


零と真姫の秘密特訓

「自転車の乗り方を教えて欲しい!?」

 

「えぇ、零しか頼める人がいないの。お願い」

 

 

 珍しく真姫が俺に頭を下げてきた。これは明日雪が降るな。いや、氷かもしれない。貴重だから写真撮っておこうかな……じゃなくて、どうして自転車?

 

 

「何でこの時期、このタイミングなんだよ」

 

「実は……」

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

1年生教室

 

 

 

『水族館のチケットが当たったにゃ!!』

 

『すごいね凛ちゃん!しかもこれって、最近出来た話題の水族館だよね?』

 

『テレビでもよくやってるよね!だから今度一緒に行かない?丁度チケットが3枚あるし♪』

 

『行く行く!真姫ちゃんも行くよね?』

 

『そうね。たまにはそういうところで羽を伸ばすのもいいかも』

 

『ここから結構近いから、自転車で行こ!』

 

『!!!』

 

『そうだね。電車やバスと違って時間を気にしなくてもいいし』

 

『決まりだにゃ……って真姫ちゃんどうしたの?』

 

『えっ!いや、何でも』

 

『はっはぁ~ん、さては自転車に乗れないとかぁ……?』

 

『意味分かんない!そんなコトないわよ!!』

 

『それじゃあ決まりだにゃ!!』

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

「……ってコトがあって」

 

「はぁああ!?!?どれだけプライド高いんだよ」

 

「仕方ないじゃない、煽ってくる凛の顔がムカついたんだし」

 

「素直になってりゃ電車とかバスで行けたのに、全くお前と来たら……。今からでも変えてもらえよ」

 

「それは私がイヤ」

 

 

 メンドくせぇええええええええええええええ!!真姫ちゃん超メンドくせぇえええええええ!!

 プライドが高すぎる。しかもミリ単位でも傷つきたくないと来た。既にズタズタにされている(主に海未から)俺のプライドとは大違いだ。

 

 

「だから恥を忍んで、仕方なくあなたに頭下げてるんでしょ!!サッサと教えなさいよ」

 

「人にモノ頼む態度じゃないだろ……どれだけ俺の上に立ちたいんだよ」

 

「もし当日までに乗れるようにしてくれたら、言うコトなんでも聞いてあげるわ」

 

 

 なん、だと……何でも……真姫の口からそんな言葉が……。真姫にあんなコトや、こんなコトをしてしまってもいいというのだな。コイツはまだ分かってない、男はケダモノだというコトを。その中でも俺は特に激しいぜ。

 

 

「よし!教えてやろう。さっきの約束忘れんなよ」

 

「随分とあっさりね……。私が約束破るわけないでしょ」

 

「そうか。それで、期間はどれぐらいある?」

 

「1週間」

 

「少ないな、毎日練習しないと厳しいぞ。μ'sの練習もあるしどうする?」

 

「この週は練習が早く終わる日が多いから、たぶん大丈夫よ」

 

「自転車は持ってるのか?」

 

「一応ね。使ったコトはないけど」

 

「それならいい。じゃあこれから1週間、頑張りますか」

 

 

 これで自転車を持ってないとか言われたら、いくら真姫であろうとも校舎から放り出すところだった。まぁ、コイツだったらすぐ新品の自転車ぐらい買えるだろうがな。

 

 

「あの……零」

 

「ん?」

 

「ありがと……」

 

「どういたしまして。困った時はお互い様だ」

 

 

 μ'sのみんなが困っているならそれを助ける。それが俺の努めでもあり、俺がμ'sに存在する価値だ。正直に言って見返りなんてなくてもいいんだけど、真姫が『何でも言うコトを聞く』って言っちゃあやるしかないわな、うん。やましい気持ちは一切ないぞ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

1日目:μ's練習後

 

 

 

「とりあえず乗ってみるか」

 

「いきなり!?早くない!?」

 

「お前の実力が分からないとどうしようもないだろ。どこを教えたらいいのか見極めないといけないし」

 

「うぅ……」

 

 

 真姫は自転車に股がり、右足をペダルに掛ける。そして左足で地面を蹴った。よし走り始めるな。お前の走りを見ておいてやるぜ……って、え?

 

 

 

「ま、真姫……?」

 

「……」

 

「お、終わり?全然進んでないけど」

 

「これで終わりよ……」

 

 

 これは……この先かなり厳しい練習になりそうだ。期限は1週間、といっても日曜日まで今日を含めれば後6日しかない。つまり長時間練習して、徐々に上手くなっていくという戦法は使えない。ここからは真姫のセンスも重要になってくるぞ。

 

 

「まず感覚を掴むところからだな。俺が後ろを支えてやるから、とにかく前に進んでみろ」

 

「は、離さないでよ!」

 

「離さないよ」

 

「絶対に離さないでよ!!」

 

「しつこいな!!離さねぇよ!!」

 

「なんか心配なのよね。零って、私のコケるところを見て面白がりそうだし」

 

「頑張っている人にそんなコトをするほど、俺は陰険じゃねぇよ」

 

「どうだか……」

 

 

 マジで手、離すぞコラ……

 

 

「ほら、早く!時間ないんだから」

 

「分かったわよ」

 

 

 再び真姫は自転車を漕ぎだした。後ろから自転車を支えてみて分かったのだが、左右のバランスが全然取れていない。左へ行ったら右へと、右へ行ったら左へと、俺が動かしてやらないととてもじゃないけど走れない。

 

 

「真姫」

 

「ちょっと今話しかけないで!!運転に集中してるから」

 

「じゃあどうやって教えるんだよ……」

 

 

 でも真姫はしっかり集中していて顔も真剣だ。初めはプライドを傷つけられたくないから自転車の練習をしていると思っていたんだけど、意外と本気なんだな。

 

 

「いいからよく聞け。今のお前はバランスが取れていない。逆にそれさえ出来れば乗れたも同然だ」

 

「そ、そんなコトぐらい分かってるわよ」

 

 

 本当に運転だけで精一杯のようだ。徐々に焦りも見え始めている。

 

 

「ダンスの練習を思い出せ。バランスなら、あれと同じ感覚でやれば出来る」

 

「ダンス……」

 

 

 初めはダンスが得意でなかった真姫も、今や上位のスクールアイドルと渡り合えるような機敏な動きになっている。ダンスは動きだけでなく、止まるという動作もかなり重要だ。ステージでフラフラしているのはとても目立つ。それだからμ'sの練習の中にも、一本足で立って静止するなどのバランスを取る練習が行われている。

 

 

 ……って、真姫はバランスを取るコトに集中しすぎて前を見ていない。ぶつかる!木にぶつかる!!

 

 

「真姫!前だ!前!!」

 

「えっ?あっ!?」

 

 

 もう切り返しは間に合わないか、だったら…………真姫に抱きついて無理矢理止めるしかない!!

 

 

 

ギュッ!!

 

 

「ほぇ!?ちょっ、ちょっと!?」

 

 

キィー!

 

 

 俺は足を思いっきり踏ん張らせ、自ら自転車のブレーキとなる。

 と、止まった。何とか木にぶつからずに済んだな。

 

 

「ふぅ~、止まったか。危なかったぁ」

 

 

 後ろから真姫に抱きついたまま、俺は安堵のため息を漏らす。それにしても真姫のウエスト、とても細いな。それに身体全体も柔らかいし抱き枕にしたいぐらいだ。どこで買えますか?(願望)あっ、お持ち帰りすればいいのか。

 

 

「聞いてるの!?零!?」

 

「うわっ!?どうした真姫!」

 

 

 また妄想のしすぎで周りの声が聞こえていなかった。そろそろ、本当に妄想グセを何とかしないといけないのかもしれない。

 

 

「い、いつまでそうしてるのよ……」

 

「もう少しこのままでもいいか?」

 

「…………いいわよ」

 

 

 いいのか……

 

 

 時間の流れが遅く感じる。高鳴る心臓の音。それは俺だけでなく、真姫の鼓動も伝わってくる。もっと感じたい、真姫を……

 

 だがその考えが甘かった。このままジッとしていればよかったのに、俺はあろうコトか右手を動かしてしまった。

 

 

フニッ

 

 

 ん?何だこの柔らかい感触は?腰の上辺りだから……!!!ヤバイこれは……

 

 

 

バチーーーン!!!

 

 

「ぐぇっ!!」

 

 

 平手打ちなんて久しぶりにされた。あの柔らかさは間違いない、真姫の胸だ。

 

 

「最低ね、最低!」

 

「ゴメン!悪気はなかったんだ!真姫の感触に溺れていただけで……決して抱き枕にしたいとか、お持ち帰りしたいとか、思ってませんから!!」

 

「あなたねぇ……そこに土下座!!」

 

「ハイ……」

 

 

 ちなみにココは屋外だから、周りに人がいる可能性もある。SMプレイをしていると勘違いされそうだ。

 

 

「やっぱり零に頼んだのは間違いだったのかしら」

 

「そんなコトねぇ!!約束は絶対に守る!絶対に自転車を運転出来るようにしてやる!!」

 

 

 俺は地面にこすりつけていた顔を上げる。

 

 

「あっ」

 

 

 そうなれば、俺の前に立っている真姫のスカートの中が見える訳で……

 

 

「白か……」

 

 

 あれれぇ~俺の目の前に真姫の靴裏が見えるぞ~~

 

 

 ドシャッ!!

 

 

「がぁっ!!」

 

 

 真姫は靴裏で、俺の後頭部を地面に向かって踏みつけた。おまけに靴でグリグリもしてきやがる。

 

 

「どうしようもない変態野郎ね!どうしてこんな生物が生まれてきたのかしら?花陽の爪の垢を飲ませてあげたいわ!」

 

 

 あっ!それなら飲みたいかも。

 

 

「し、ぬ……」

 

「もう今日の練習は終わり。やる気なくなった」

 

 

 真姫は俺の後頭部から足を離し、自転車を引いて帰ろうとする。

 

 

「待てよ……」

 

「なに?」

 

「まだ基礎が出来ていない。今日中に真っ直ぐ走れるようにだけはしておくぞ」

 

「どうしたのよ、急にやる気出して」

 

「俺はいつも本気だ。μ'sのみんなが困っている時はな」

 

 

 

 

「はぁ~……分かったわよ」

 

「よし!お前を最高の選手にしてやるぜ!」

 

「私、何目指してるのよ……」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 それから、俺と真姫の秘密の特訓(意味深ではない)は続いた。1日目では自転車を抑えられながらも、安定して真っ直ぐ進めるようになった。2日目、3日目をかけて切り返しやコーナリングなどもマスターした。4日目には、1人である程度走れるようになった。

 

 そして、5日目と6日目は実際の道を走行した。本番は明日の日曜日。だがこれだけ走れれば大丈夫だろう。

 

 

 

6日目:堤防

 

 

 

「な?俺に任せて正解だっただろ?」

 

「そうね、1日目を除けばちゃんとした練習だったし、指示も的確で分かりやすかった。感謝してるわ」

 

「結局お前のセンスがよかっただけだよ。こんな短時間であれだけ走れれば十分過ぎる」

 

 

 6日あると言っても、μ'sの練習が終わった後に自転車の練習をしていたので、時間自体はもの凄く少ない。それなのにも関わらず、もう真姫は普通に自転車を乗りこなしている。彼女にもっと色々なコトを挑戦させれば、さらに隠れた才能が出てくるかもしれない。

 

 

「本当にありがとう、零」

 

「おう。これからも困ったコトがあるなら、何でも俺に言え。絶対に解決してやるから」

 

「相変わらずの自信家ね。でも、なによりそれが私たちにとって一番安心できる」

 

「まぁ、俺だからな」

 

「またそのセリフ?久しぶりのような気もするけど」

 

「たまにはカッコいいところも見せないとな」

 

 

 

 また真姫との距離が近付いた。その度に思う、もっともっと彼女たちのコトを知りたいと。

 

 

 

「そう言えば、どうして俺に頼んだんだ?別に俺じゃなくてもよかっただろ?」

 

「そ、それは……ナイショ!」

 

「なんだよソレ……」

 

 

 こうして俺と真姫の秘密特訓は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

翌週:月曜日

 

 

 

「零、一輪車の乗り方教えて」

 

「またですか……」

 

 

 真姫たちが水族館へ遊びに行った日の翌日。またしても真姫が俺に頭を下げてきた。

 

 

「一応聞こう、なぜだ?」

 

「この学院、一輪車が置いてあるでしょ?」

 

「ああ」

 

「穂乃果や凛、にこちゃんが乗っているのを眺めてたら、今度一緒に乗ろうって言われてね」

 

 

 あるぇ~~?この流れどこかで聞いたコトがあるぞぉ~?

 

 

「……乗れないなら断ればいいじゃん」

 

「穂乃果たちが煽ってきたのよ。『もしかして乗れないのぉ~~?』ってね」

 

「無視すりゃいいじゃん」

 

「それは私がイヤ。だから教えて」

 

 

 

 メンドくせぇええええええええええええええ!!真姫ちゃん超メンドくせぇえええええええ!!しかも先週と全く同じ流れだし、この叫びも全く同じだぁあああああああああ!!

 

 

 

 こうして、メンドくさ可愛い真姫と俺の秘密特訓が再び始まろうとしていた。

 

 

 




久しぶりにほのぼの?とした1コマを描いてみました。零君も全然懲りませんねぇ~。

小学生の頃は一輪車に乗れましたが、今やったらどうなんだろう。たぶん乗れない気がする。自転車もここ2年ぐらい乗ってないです。



次回が連続投稿企画の最後にして、あのデートの決行日!
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