ラブライブ!~μ'sとの日常~【完結】   作:薮椿

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リクエストお応え回。しかも次回に続くので2本立てです。

やっぱり9人同時に出演させると誰が話しているのか分かりにくいのが難点ですね。毎回地の文を入れるとテンポが悪くなるので、ある程度補完をお願いします。


μ's内大戦争(お見舞い行く人決定戦編)

 

「え゛ぇええええええええええ!!零が学校を休んだ!?風邪で!?」

 

「驚き過ぎだよにこちゃん……そりゃあ穂乃果もビックリしたけど」

 

 

 神崎零が、あの零が本日学校を休むという天変地異怪奇現象にアイドル研究部部室は騒然としていた。『明日、地球が滅亡します』と告げられた時のような驚嘆具合だ。

 

 

「零くん、大丈夫なのかにゃ?」

 

「ええ、ただの風邪だから大丈夫だと言っていました。お昼には熱が下がったって連絡も来てますし、大事には至ってないでしょう」

 

「なるほど。でも本当に珍しいわね、零が倒れるなんて。最近亜里沙も風邪を引いたから、流行っているのかしら?」

 

「そんな話は聞かへんけどなぁ」

 

 

 季節の移り変わりにより、最近は温度差が激しく体調を崩す人も珍しくはない。μ'sの面々は海未や絵里により体調管理を徹底されているので、外気の変化で体調を崩すコトはあまりないので、その辺は零と違うところか。

 

 

「それでことりたちさっき話し合ったんだけど、今日は零くんのお見舞いに行こうかなって」

 

「そうだね。もしかしたらご飯も十分に食べられてないかもしれないし」

 

「でも大勢で押しかけたら迷惑じゃない?」

 

「零の部屋の広さを考えるに、3人が限度といったところでしょうか……」

 

 

 その瞬間、アイドル研究部部室はただならぬ緊張感に包まれた。零の家へ行けるのは3人、ただしμ'sは9人。いつもは温厚なことりや花陽までもが真剣な面持ちで、9人の間には見えない火花が迸っていた。

 

 

「まず、部長であるにこは確定ね!!」

 

「部長は関係ないでしょにこちゃん、それだったら医学知識のある私が行くのが妥当よ」

 

「真姫ちゃんはまだ医学の卵でしょ?ここはμ'sリーダーの穂乃果が行くよ!!」

 

「あなたじゃ頼りありません。みんなの体調管理を常日頃から行っている私が行きます」

 

「ことりも行きたいな~。だって零くん、ことりがいると元気いっぱいになるし」

 

「それだったら凛も行くにゃ!!『お前の笑顔を見ると元気を貰えるんだ』って言ってくれたし!!」

 

「それじゃあ私も、『花陽がいるだけでどんな疲れも吹っ飛ぶんだ』って言ってもらったよ」

 

「みんな行く理由が弱いわね。ここは生徒会長である私が責任を持つわ」

 

「それやったら副会長であるウチも。そして零君、ウチの料理大好きやし」

 

 

 誰も譲る気など一切ない。みんな顔だけはニコニコしているが、裏では『コイツ、とっとと引けよ』とブラック具合MAXである。たった一人の男を巡って、μ's解散か!?と報道されてもおかしくないぐらい、部室には戦慄が走っていた。

 

 

「そう、誰も譲る気はないのね。じゃあ決着を付けるしかなさそうね。アイドル研究部伝統のゲームで」

 

「に、にこちゃん、そんなゲームがあるの?穂乃果知らないんだけど!?」

 

「そりゃそうよ。μ'sは仲良しこよしの集団で、こんなモノ使うコトがなかったんだもの」

 

「へぇ、それは面白いやん♪」

 

「そのゲームに勝った3人が零のお見舞いに行く、それでいいわね?」

 

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」

 

「よ~し、それじゃあアイドル研究部伝統、ゲームスターーート!!」

 

 

 そして遂に、『零のお見舞いは誰が行くの?』大決定戦の火蓋が切られた。今だけはμ'sの絆などをすべて断ち切って、各々己の欲望を剥き出しにして勝負に挑む!!さて、神崎零へのお見舞いに行けるのは誰なのか!?3つの席を巡って、女たちの醜くも激しい戦いが始まろうとしていた!!

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「第一回戦目のゲームとは、コレよ!!」

 

「こ、これはあの有名な!?」

 

「黒ひげ危機一発だにゃ!!」

 

「なぜこんなモノが部室にあるのですか……いや、今は置いておきましょう」

 

 

 どこからともなく現れたのは、タルの中から出られない海賊のおっさんを、剣でつついいて脱出させてあげるゲームだ。複数ある穴に一人ずつ剣を刺し、おっさんを飛びさせた人が負けなのだが……

 

 

「今回は黒ひげを飛び出させた人が1抜けってコトで」

 

「穴は全部で18個、というコトは2周で終わるわね」

 

「でも黒ひげが飛び出して時点で終了だから、全員に番が回ってくるとは限らないわ」

 

「じゃあ順番をくじ引きで決めるわよ!」

 

 

 そのくじ引きで見舞いに行く人を決めたらいいのに、というツッコミは禁止だ。これは女の戦い。そんな簡単に決めてしまうのは女性への冒涜だ。女性の熱き戦いはそんな程度で決着は着かない。

 

 

※くじ引きの結果(数字は剣を刺す順番)

 

1.希

2.絵里

3.にこ

4.凛

5.真姫

6.花陽

7.ことり

8.海未

9.穂乃果

 

 

「うぅ……穂乃果は最後か……」

 

「確率論的に考えれば、どの順番でも確率は一緒よ」

 

「また真姫ちゃん難しいコト言ってるにゃ~」

 

 

 ちなみに真姫の言っているコトは正しいので、詳しくは調べるなり計算なりしてみよう!!

 

 

「と・に・か・く!!始めるわよ!!まず希から」

 

「希、言っておくけどスピリチュアル禁止ね」

 

「絵里ち!?それどういう意味!?」

 

「そのまんまよ」

 

 

 希はやたら強運だというコトはμ's内で周知の事実だ。希のスピリチュアルパワーにより全員の運を吸い取ってしまうコトで、まさかの一発目で見舞いの1人目が決まってしまっても不思議ではない。女の戦いに小細工は不要。絵里はそれを阻止したのだ。

 

 

「ほら、サッサと刺しなさいよ」

 

「いつもと違って、スピリチュアルパワーがウチに全然溜まらない……これがμ'sの戦場……」

 

「「「「「「「「……」」」」」」」」

 

「みんなからのプレッシャーがスゴイ……ここまでみんなに目線で殺されたのは初めてや……」

 

((((((((外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ外せ))))))))

 

「怖い!!みんな怖いから!!ウチがなにしたん!?」

 

 

 もはや目線とオーラだけで希を飲み込もうとしていた。穂乃果たちは見てみたかったのだ、自らの不幸に打ちのめされる希の姿を。いつもワシワシしてくるくせに、なぜコイツは幸運の持ち主なんだと思っていた。その希が、運を頼りにしたゲームで無様に敗北する姿を見てみたかったのだ。そして今、それが現実となる。

 

 

「「「「「「「「……」」」」」」」」

 

「なに、このドス黒いオーラは……でもそんなモノにウチは負けんよ!!ここや、この穴に決めた!!」

 

 

 穂乃果たちには見えていた。希が敗北し、地に倒れ伏す姿が。そこの穴は間違いだ。一発目で引き当てれるほどこのゲームは甘くはない。誰しもが思った、『希、さようなら』と。

 

 

 そして希は右手に持った短刀を、僅か3cmの穴に思いっきり突き刺した。

 

 

 

 

グサッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ポーーーン!!ガツッ!!

 

 

 

 

 

「あっ……」

 

「「「「「「「「あっ……」」」」」」」」

 

 

 黒ひげはそのまま垂直に飛び出し、部室の天井に激突した。まさかの一発目の出来事である。誰もがある意味で予想していた展開であるコトは間違いない。

 

 

「こ、これは……」

 

「不正だにゃああああああああああああああああ!!」

 

「はいノーカンノーカン」

 

「希、私初めに言ったわよね?スピリチュアル禁止だって」

 

「いやいや、ウチ適当に刺しただけで何もやってないよ!?」

 

「言い訳は見苦しいよ、希ちゃん。ことり信じてたのに」

 

「堂々と不正を働くなんて、花陽も失望しました!!」

 

「えぇ~……ことりちゃんに花陽ちゃんまで……」

 

 

 結局、希の必死の弁解(なぜか)により不正は取り消された。だがそれは女たちの闘志と憎しみを更に高めただけに過ぎない。残る席はあと2つ。8人は欲望の炎を燃やしながら、希は無下な扱いに納得がいかないまま次の試合へと続く。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「次はトランプでババ抜きですか……って穂乃果!?ことり!?どうして私の隣に来るのですか!?」

 

「べ、別に何でもないよ!!ただ海未ちゃんと一緒にババ抜きしたいなぁ~って」

 

「ことりも!!海未ちゃんの隣なら頑張れるから!!」

 

「ことりちゃん!!そこは穂乃果の席だよ!!」

 

「ちょっと何言ってるのか分からないなぁ~、ことりが初めに座ったんだよ」

 

「???」

 

 

 己の欲望のため、すぐに感情が表に出る自分の幼馴染をダシに使い、残り2席を獲得しようとしているずる賢い女たちの図である。幼馴染?幼少期からの仲?そんなもの、恋する女たちを止める要素にはならない。穂乃果もことりも、利用出来るモノなら例え幼馴染であっても利用する。まるでヤンデレに似たドス黒さだ。

 

 

「いいからもう始めるわよ。余計な時間を食ってる暇もないし」

 

「やった☆」

 

「ことりちゃん、絶対に恨む……」

 

 

 希を除く8人で壮絶なるババ抜き大会が行われたのだが、計53枚のカードを8人で分けるため1人が持つカードの平均所持数は約5枚程度、下手をしたら初期枚数が3枚程度になる人も珍しくはない。まごうことなき短期決戦に、女たちの闘志はさらに燃え上がる。

 

 

「全然揃わないよぉ~」

 

「かよちんなんてまだいい方だにゃ、凛なんて初めに1枚も出せなかったんだからね」

 

「所詮運なんだから、文句言っても仕方ないでしょ」

 

「真姫、アンタ残り1枚だからそんなコトが言えるんでしょ」

 

(相変わらず海未ちゃん、表情に出て分かりやす~い♪ことりにババが回ってくるコトは絶対にないね)

 

(うぅ~~ことりちゃん、すごく余裕そうな顔してるぅ~~!!絶対穂乃果が上がってみせるんだから!!)

 

(隣ではことりがずっとニコニコしていますし、その隣では穂乃果がことりを睨んでいますし……私の幼馴染たちが不気味です)

 

 

 苛烈な戦いが繰り広げられる中、特に2年生幼馴染組の威圧は半端ではなく、あの海未をも黙らせてしまうほどであった。穂乃果もことりも、零への執着具合では他のメンバーよりも圧倒的に群を抜いている。

 

 

(でも私だって零のお見舞いをしたいのは2人と変わりません。残念ですが、譲るつもりなど一切ありませんよ)

 

「どうしたの?海未の番よ」

 

「す、すみません!!考え事をしていたもので」

 

 

 海未は絵里が持つ3枚のカードから右端のカードを1枚選んで抜き取った。

 

 

「……」

 

「海未ちゃん!!次はことりの番だよ!!早く早く!!」

 

「……いました」

 

「え?今なんて?」

 

「揃いました……」

 

「え゛!?」

 

 

 

 

 

「私、上がりましたぁあああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「え゛ぇえええええええええええええええええええええええええええ!?!?」」」」」」」」

 

 

 

 まさかの一番乗りが海未であったコトに驚きを隠せないμ'sメンバー。既に1抜けしている希まで、今起きている現象を理解出来なかった。ここまで立て続けにミラクル、『零の病気』『希の一発当て』『海未の1番抜け』が続くとは誰もが想像していなかっただろう。

 

 

「また不正が起きたにゃ!!」

 

「何でですか!?正真正銘私の実力ですよ!!」

 

「嘘だよ!!だって海未ちゃんがババ抜きで勝てるハズないもん!!ことり、そんな不正は認められません!!」

 

「見苦しいよ、ことりちゃん……穂乃果は海未ちゃんに譲るよ、だって幼馴染だもん!!」

 

「熱い手のひら返しとはこのコトね……」

 

「確かに海未は顔に文字が書いてあるかってぐらい表情に出やすくて、まるで落書き帳のようだけど、今回はにこたちの負けよ」

 

 

 そうやってみんなをなだめるにこだが、サラっと毒を吐く辺り心の中では認めていないのだろう。なんせあと残り1席しかないのだ、焦るのも無理はない。席を確保するためなら、既に席に座っている人の足を引っ張ってでも引きずり下ろす。女の嫉妬や執着はやはり恐ろしい。

 

 

「希、さっきはすみませんでした……こんなにも理不尽な気持ちを味わっていたんですね……」

 

「分かってくれるだけで満足や……今は耐えよう……ウチらは勝者なんやから……」

 

 

 そうは言うものの、みんなからの罵倒や不正コールは鳴り止まない。1人の男によって、9人の絆が今にも崩壊しようとしていた。なんと罪深い男なのだろうか、神崎零。

 

 

「さぁ次だよ次!!そこで穂乃果が勝ってハイ終わり!!」

 

「そんなコトさせる訳ないでしょ!!にこの勝ちに決まってるんだから!!」

 

「みんな見苦しいわね。もう私が勝つってもう決まっているようなものなのに」

 

「真姫……それは聞き捨てならないわね。希、海未と来たら、次は絵里ってくるのが自然でしょ?」

 

「意味わかんないよ絵里ちゃん……でも凛も頑張るにゃ!!」

 

「さっきから外野がうるさいね。そんな人たちを連れて行ったら零くんが疲れちゃう!!ここはメイド経験のあることりが一番だよね♪」

 

 

 各自言いたいコトを言いまくり。そして誰も気付かない間に完全下校時刻が迫っていた。しかし女たちの戦いはそんな時間如きでは縛られないと言わんばかりに、部室で大暴れしている。もはや苦情の1つ2つ出てもおかしくない。

 

 

「あ、あの~……」

 

「かよちん!!そんなところにいたら戦いに参加出来ないよ?」

 

「や、やっぱりみんなで一緒に行ったらダメなのかな?」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「へ?」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 戦場に舞い降りた大天使花陽様のお言葉で、一気に場が沈静化した。花陽は席を確保済みである2人の普通の眼差しと、残っている6人の鋭い眼差しを一斉に向けられ多少困惑するも、この事態を一気に打破するために勇気を振り絞る。

 

 

「みんなで行った方が零君も喜ぶと思うんだ。こうやってみんなで喧嘩して、行く人を決めたって零君が知ったら……絶対に悲しむよ」

 

 

 

「「「「「「「「!!!」」」」」」」」

 

 

 そこでみんなは思い浮かべた、零の心配そうな表情を。ただでさえ風邪を引いているというのに、これ以上負担を掛ける必要があるのだろうか?いや、ない。9人は零のあんな表情やこんな表情を思い浮かべ、中にはあらぬ妄想をしている人もいるが、そこでやっと冷静になれた。

 

 

「花陽の言う通りですね。零の部屋には入りきらなくとも、交代で入っていけばいいですし」

 

「ゴメンね零くん、みんな、ことり暴走しちゃってた……」

 

「謝るのは穂乃果だよ……一番熱くなってた気がするし……」

 

「かよちんもゴメンね……」

 

「私もちょっとどうかしてたわ……花陽のおかげよ」

 

「これじゃあ部長失格ね……」

 

「まぁまぁみんな大切なコトに気付けただけで良しとしようや。それに、行くんやったら早く行かんと、時間がもうないで」

 

「そうね、それじゃあみんなで行きましょうか!それで賛成の人!」

 

 

 

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」

 

 

 

 無駄な大戦争は花陽により終戦を迎えた。ただ自分の欲望を剥き出しにするだけでは、決して"恋"は実らない。相手を想う心が必要だ。そしてまたμ'sは大人になったとさ、めでたしめでたし……?

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 そして、9人もの女の子から想われている幸福野郎の家では……

 

 

「誰も来てくれない……」

 

 

 不幸に陥っていた……

 




イチャイチャはしてないものの、μ'sのみんながどれだけ零君好きなのかが分かる回でした。特にことりのキャラが変わり過ぎた……

着実に零君のハーレムが固められている気がしてならない。


~また急募~
雪穂がことりと海未のことを何と読んでいるのか、知っている方がいたら教えて欲しいです。穂乃果の幼馴染ですし、面識はありますよね?


今回は読者様のバイラスさんよりリクエストを貰いました。ありがとうございます!そして少し改変してしまって申し訳ないです。


久々に次回へ続きます。もちろんお見舞い回なのですが、零とμ'sの天敵である、あの"妹"が登場予定です!
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