やっとにこ回です。
今回は話全体が零とにこの関係性を表しています。
もうすぐ最終回ですから、"恋愛"にもそろそろ決着を。
「あ゛ぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
「うるせぇな!!いきなりどうした!?」
アイドル研究部部室、突然ちびっこパイセンの矢澤にこにーが俺の耳元で発狂しだした。にこの声はことり並みに特徴的で、その高音の叫びは俺の頭にまで大きく響く。この音を保てば宇宙と交信するコトぐらい楽に出来そうだ。
「いくら俺と2人きりが嬉しいからって発狂したらダメだぞ☆」
「ちょっと聞いてよ!!」
「無視すか……」
いつもにこには鋭いツッコミで助けてもらっているのだが、今回ばかりは自分のコトだけで精一杯のようだ。渾身のボケがスルーされるほど虚しいものはない。
「みんなにこを軽く見すぎじゃない!?」
「というと?」
「昨日、みんなが来るまで1年生3人と屋上にいたんだけど……」
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「ステージで披露する新しい挨拶考えたから、そこで見てなさい!!」
「「「……」」」
「何よその目は……」
「またぁ~……にこちゃんの茶番に付き合わされるの飽きたにゃ~」
「ちょっ!!茶番って何よ!!」
「気持ち悪い……」
「まだ披露すらしてないでしょうが!!花陽は見てくれるわよね!?」
「えぇ!?えぇ~と……うん」
「嫌そうな顔してるのバレバレだから……」
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「てな感じで、最近後輩が生意気なのよ!!」
俺はにこの「にこにー」の挨拶は好きなんだけど、毎日毎日新しいのを考案して見せびらかしてきたら誰でも嫌になるだろ普通は。コイツ、3日前に披露した挨拶すら覚えてないんじゃないか?流石の俺でもウンザリするぐらいだ。
「ツッコミどころは多々あるが、一応他には?」
「あるわよ、特に希はね……」
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「にこっちぃ~~ワシワシ!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
「やっぱにこっちの反応は最高やな☆」
「ぐっ……」
~~~~~
「最近やられる回数が多くなってきてる気がする……」
「なんて羨ましいんだ!!俺もやっていい?」
「はぁ!?いいわけないでしょ!!」
「やられるなら1人も2人も変わらないだろ」
この前習得したワシワシMAXの威力を全然試していなかったのでいい機会だ。にこの胸では少々心もとないが、快楽を与えてやるコトは出来るだろう。穂乃果たちも満更でもなかったみたいだしな。
「ちょっと近寄って来ないでよ!!」
「もう諦めるんだな。素直に俺に抱かれてろ」
「こ、こっち来んな!!アンタ本当に変態ね!!」
「そこまで俺のコトを理解してくれてるなんて嬉しいよ。何だかんだ言って俺のコトをよく見てるんだな」
「どこまでポジティブ思考なのよ!!」
この世の中ポジティブ思考でないと楽しく生きていけないぞ。でも俺としてはにこもかなりポジティブ思考の持ち主だと思うけどな。あそこまで拒否されても新たな「にこにー」を開発するところとか。
「さて、もう観念したか?いい加減にしないとどうなるか……」
「なんでにこが悪いみたいな雰囲気になってるのよ……それに、これ以上どうするっていうの?」
「これを見てみろ」
「ん?」
俺はにこに向かって携帯のある画面を見せつける。それは連絡用アプリの登録者リストだ。そこで「か行」の欄まで画面をスライドさせる。俺の知り合いで「か行」と言えば、「高坂穂乃果」「小泉花陽」そして……
「綺羅ツバサ!?零、アンタ知り合いだったの!?」
「あぁ、これでもちょくちょく連絡を取り合う仲だ」
「うそ、信じられない……」
「もしお前が俺にワシワシされてもいいと言うのなら、綺羅ツバサとコンタクトを取ってやってもいいぞ」
「な、なんですってぇえええええええええええええええええええ!!」
早速にこのマインドが揺れているぞ~!!さぁとっとと餌に食いつけ!!食いついて次は俺の餌となれ!!にこがA-RISEの大ファンだというコトは周知の事実だ。A-RISEの面子には餌となってもらって申し訳ないが、俺はにこにワシワシしたいんだ。許してくれ……
「あと10秒だ。あと10秒以内に決断しろ」
「えっ!?早すぎるわよ!!」
「10、9、8、7……」
「うっ、で、でも……」
「6、5、4、3、2……」
「ぐぅううう……」
「1……」
「0」
10カウント終了。結局にこは10カウントの間に決断をしなかった。沈黙は肯定と受け取るコトも出来るが、俺は無理矢理というのが嫌いだ。相手の同意の上で抱きつかせてもらわなければ、それこそ犯罪者になってしまう。特に体系的に危ない人もいる訳で……誰とは言わないけど。
「残念だよ、にこ。お前のアイドル精神がそこまでのモノだったなんて……まさかこんなコトで大ファンとの密会を逃すとは」
「アンタ最低ね……最低」
「俺はお前と一緒になりたいだけだ。それ以外に他意はない」
「またそんな都合のいいコトを……」
「俺は本気だ。お前のコトが好きだから、好きでもない奴にこんなコト言えないだろ」
「な、なによ急に!?そんなので騙されないんだから!!」
そうやってツンツンしてると、どこぞの赤毛のお嬢様みたいなツンデレになっちまうぞ。意外と素直じゃないところや、ツンツンデレデレするところは真姫と似ている。同じもの同士引かれ合うのか、この2人はかなりいいコンビだと思う。
「さぁおいで~~」
俺は座りながら両手を伸ばしてにこを誘う。流石の俺でもことりの技である「おねがぁい♡」は習得していない(むしろ習得したら、確実に気持ち悪がられる)ので、μ'sが妹キャラの練習をしていた時のような誘い方でにこを惑わす。
「そ、そんな誘いにこのスーパーアイドルにこちゃんが乗る訳……」
「おいで~~」
「うっ、うぅ……」
「おいで~~」
そして……
~※~
結局にこは陥落し、俺の元へと抱きしめられにやって来た。つまり今俺はイスに座りながら、にこを自分の膝の上に乗せて後ろから抱きしめている。これは誰かが来たら確実にアウトだな。海未や絵里辺りにこってり絞られそうだ。でもそんなコトよりも、今はにことの時間を思う存分楽しみたい。あまり2人きりになれるコトってないからな。
「やっぱにこは抱き心地最高だな!!すっぽりと俺の身体に収まるから」
「それ、遠まわしににこが小さいって言ってない?」
「別に女の子なんだから小さくてもいいだろ、可愛いんだから。男で小さいとネタにされそうだけどさ」
「小さくてもいいコトなんてないわよ」
「そうか?」
「以前、絵里と2人で生徒会仕事を手伝っていた時にこんなコトがあってね……」
~~~~~
「にこ、悪いけどその棚から緑色のファイル取ってくれない?」
「はいはい」
「ゴメンなさい、希の代わりに手伝ってもらっちゃって……」
「いいわよ別に。友達が困ってるなら助けるのが当然でしょ」
「にこ……ありがとう」
「どういたしまして……くっ」
「どうしたの?」
「棚の一番上まで手が届かない……」
「え?そこまで高い棚じゃないんだけど……あっ」
「『あっ、察し』みたいな目で見んな!!」
~~~~~
「だから背が低いコトに可愛い以外のメリットなんてないのよ」
その可愛いというところが最大のメリットだと思う。確かに絵里みたいな大人っぽい女の子も好きだが、にこみたいな小悪魔っぽい女の子も好きだぞ。特にμ'sはキャラ被りがなくて非常に特徴的だ。特徴的で言えば、俺のどうしようもない姉と妹が思い浮かんでくるが煩わしいが……
「それは災難だな」
「なんか他人事みたいな言い方ね……」
「他人事だしな」
「零はないの?自分にコンプレックスを抱えたコト」
「俺か?だって俺は賢くてカッコよくて性格もイケメンだろ?非の打ち所が全く見つからないんだよなぁ~」
「あんたたち兄妹はよくそこまで自画自賛出来るわね……」
「でもホントだろ?」
「まぁ……性格以外は認めるわ」
性格以外って性格は死んでるとでも言うのか……でも女の子が好きだからって所構わず誰かに手を出す訳じゃない。手を出すのはμ'sの9人と俺の中でしっかりと決めている。ただの変態野郎と思ってもらっては困るってコトだよ。ちゃんとしたポリシーを持っている。
「ねぇ、零は好きな人いるの?」
「どうした急に?」
にこが突然マジメなトーンで喋り始めた。俺は自分の膝の上の彼女を後ろから抱きしめているため、その表情までは読み取れない。だがにこは俺の両腕を自分の両手でグッと掴んで、自分の表情を隠すかのように顔へ持っていく。にこの匂いと温もりが一気に伝わってきた。
「答えて」
「μ'sのみんなが好きだ」
「その中で、特にこの子って人はいるの?」
「いないね。俺はみんなが大好きだ」
これはにこの望んでいる答えではないだろう。しかし俺はこの想いだけは決して曲げるコトはない。最低な答えだと思われるかもしれないけど、絶対にな。
「じゃあにこがここでキスしてって言ったら、キスしてくれる?」
「あぁ」
自分でも驚くほどの即答だった。恐らく俺より、言い出したにこの方が驚いているだろう。相変わらず表情は見えないけど。にこの胸に回すと、自分の腕を通じて彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。その鼓動は尋常ではないほど早い。自分では分からないが、たぶん俺も内心では同じコトになっていると思う。
「誰かとしたコトはあるの?μ'sの誰かと……」
「記憶にはない。でも……可能性はある」
「なによそれ」
「悪いな。でも本当なんだ」
ことりと2人で保健室にいた時、雰囲気に流されたコトだけは覚えているんだが……穂乃果と海未の乱入で有耶無耶になった挙句気絶させられたから忘れちまった。だから俺が記憶している中では、まだしたコトはない。
「ふ~ん、じゃあにこが零の記憶に残る、一番初めのキスってコトになるわね」
「お前……」
コイツ、本気なのか……彼女たちが求めるのなら俺はいつでも受け入れる。だがそれはお互いに後悔しないという前提だ。一瞬の気の迷いなら、それこそ俺は彼女たちを止めなければならない。
高揚する……気分も気持ちも心も何もかも……
するとにこが突然俺の腕をギュッと強く握り締め、そのままスルリと俺の身体から抜け出した。膝からにこがいなくなったコトで、一気に温もりが抜けて肌寒くなる。
「冗談よ、冗談……」
「えっ……」
「もう行くわね……」
「お、おい!!」
その後、にこは自分のカバンを持って本当に部室から出て行ってしまった。本当に冗談だったのかは分からない。でも部室から出ていくにこの後ろ姿は少し寂しそうではあった。
まだ一歩踏み込むのは早かったか……
「これでも頑張ったつもりなんだけどな……」
肝心なところでヘタレという弱点を解消するために積極的になってみたのだが、もしかして逆効果だったのか?逆にみんなの心に踏み込みすぎたのかもしれない。これはすごい慢心だけど、彼女たちは俺のコトを好きだと思ってくれているし、俺もそうだ。みんなとの心の距離が近すぎて、さらに先へ進めていないような気もする。
「好きって感情を伝えるのは難しいな……」
俺はしばらく1人で部室の窓から外を眺めていた。
~※~
にこは部室から飛び出して、スタスタと廊下を歩いていた。途中で部活終わりの生徒と何度もすれ違いざまにぶつかりそうになるが、今の彼女はある想いでいっぱいいっぱいでそれどころではなかった。
「あ゛ぁあああもう!!肝心なところでヘタレるんだから、にこもまだまだね……」
自分から部室を飛び出したコトに後悔していた。それに今の覚悟では部室から飛び出しはしなくとも、キスをするコトは絶対に出来ないだろう。
「でも今度は必ず、必ず零と一緒に……」
今回は一歩先へ踏み込んでみました。
最終回も近いので、恋愛にもケリを付けていこうと思います。
一応どのような結果にするかは考えているのですが、読者様に受け入れてもらえるかどうかは怪しいです。
いつも『日常』『非日常』共に感想ありがとうございます!
その感想の中で「椿さんが恋愛書くとヤンデレになりますね」というコメントをたくさんいただきました。「ヤンデレ先生」と命名までされちゃいましたから。書いている時は気にしてないというか、分からないのですが読み返してみると確かにそうですね(笑)
でも今回こそはマトモだと思います!!
マトモですよね?
ここからは次回作について少しだけ。楽しみにしてくれている方も多くて嬉しいです!
・主人公は神崎零を続投(なんか人気高いので、安心しました?)
・舞台はアニメ2期終了後、零たちが3年生に
・新生μ's発足!
・それに伴いレギュラーキャラ追加、雪穂と亜里沙とあともう一人
・卒業した絵里たちも今までと同じ頻度で登場
・『非日常』のことは経験済み
・基本は『日常』のようなノリと短編集で構成
・つまり今の『日常』にレギュラーキャラが増えるだけ