ラブライブ!~μ'sとの日常~【完結】   作:薮椿

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今回はデート回!たまにはこんな話もいいよね!

零君のキャラがブレブレですが、単に本番に弱いだけです。

話的には遊園地デート王道展開です。まあシンプルイズベストということで!





穂乃果と遊園地

 

 

 

 

「うわ~大きい遊園地だね!」

 

「そうだな。開園したばっかりだから人も多いな」

 

 俺は穂乃果と遊園地に来ている。それも2人でだ。何故2人かって?たまたま雑誌の懸賞でペアの遊園地チケットが当たったからである。

 

「穂乃果、今日の為に乗りたい乗り物調べてきたんだ!早く行こ!」

 

 穂乃果が人ごみを縫って進んでいく。これでは迷子になりかねない。

 

「ちょっと待て!」

 

 ギュッ

 

「え!?」

 

「急ぎすぎると迷子になるぞ。時間はたっぷりあるんだ、ゆっくり行こうぜ」

 

「うん!」

 

 穂乃果の笑顔が輝く。まだ遊園地にすら入ってすらないのに、こんなにドキドキしていていいのか?

 これは世間一般でいう"デート"なのだろう。柄にもなく緊張してしまっている。以前にもあったが、いざという時は緊張してしまうチキン野郎なのかもしれない。穂乃果は一体どう思っているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 

「まずあれに乗ろうよ!」

 

「いきなりジェットコースターかよ!?」

 

 穂乃果が指差したのはジェットコースターだった。しかし、よく考えればジェットコースターは常に行列が形成される乗り物なので、早い時間から乗っておいた方がいいような気がしてきた。

 

「早く早く!」

 

「ちょっと引っ張るなって!」

 

 俺の手を取り、グイグイ引っ張る穂乃果。手、暖かいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、ジェットコースターの行列待ちをしている。俺は行列に並んで待つという行為は好きではない、だが隣の穂乃果はニコニコしていた。

 

「~♪」

 

「楽しそうだな、穂乃果」

 

「だって零君と初めて一緒に遊園地に来れたんだもん。楽しくないわけないよ!」

 

 こいつはまたそんな恥ずかしいことを……

 

「ありがとな、俺なんかでよければ一杯楽しませてやるよ!」

 

「零君、なんかいつもと違うね。男らしいっていうか」

 

「いつもの俺は男らしくないのか……」

 

「いつもは変態さんだもんね」

 

「否定できません……」

 

 

 

 時間も忘れてワイワイと談笑している内にジェットコースターに乗る順番が来た。

 

 

 

「一番前だよ!一番前!穂乃果一番前って乗ったことないよ」

 

「俺もだ。そもそもジェットコースターにあまり乗ったことがないからな」

 

「そうなの?」

 

「ああ、人混みはそこまで好きじゃないんだ」

 

 係員の人の誘導が入ったため、この話は中断された。この続きは必ず聞いてくるだろう。そう、何で遊園地に行こうと思ったのか、そしてなぜ『穂乃果』を誘ったのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 

 

 ジェットコースターは迫力満点だった。さすが話題なだけのことはある。言っておくが人混みが嫌いなだけで、絶叫マシンは平気だからな。

 

 

「次はあれに乗ろうよ!」

 

 穂乃果が指差した先は……

 

「ゴーカートか?」

 

「う~ん、そうなんだけどそうじゃないんだよねぇ」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「ほら!これ見てよ!かわいいでしょ?」

 

 穂乃果に渡された遊園地のパンフレットを見る。どうやらここのゴーカートは動物の形をしているらしい、あらかじめ渡されたコインを投入するとスピードが上がる仕組みだ。某レースゲームのようだな。形式的にはデパートの屋上に置かれている、硬貨を投入することで動く動物の乗り物に近い。

 

「面白そうだな。行ってみよう!」

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 

 

「よし!乗車完了!」

 

 俺たちの番が来た。穂乃果はライオンの形をした車にまたがっている。気になるのは……

 

「これ2人乗りなのか!?」

 

 まさかとは思ったが、パンフレットを見た限りでは1人乗りに見えなくもなかったのだ。

 

「ほら!後ろに乗って!」

 

 俺は穂乃果の後ろにまたがる。俺の方が身長が高いため、必然的に穂乃果を後ろから抱きしめる形となった。

 

「ちょっと、零君引っ付き過ぎだよ……」

 

「仕方ないだろ、こう乗るしかないんだから……」

 

 お互いに顔真っ赤。さすがに高校生2人では席が狭すぎる。

 

「ではスタートします!いってらっしゃい!」

 

 そう言って、係員の人が1枚目のコインを投入する。

 

 

 

 

キュピン!

 

 

 ライオンの目が赤く光った。徐々に加速し始め、ぐんぐんスピードを上げていく。

 

「ちょっとこれ、結構速くないか?」

 

 子供が乗るものとしてはかなりの速さになった。

 

「もしかして怖いの?零くぅ~ん?」

 

 ムカつく言い方で俺の方を見てくる。ていうか……

 

「おい!前見ろ前!」

 

「うわっ!!」

 

グリン

 

 車体を傾け、何とか持ち直す。穂乃果にハンドルを握らせておくのはかなり怖い。

 

「零君!コイン入れて!」

 

「何!?これ以上速くするのか!?」

 

「見たでしょ?乗る前にあった記録表を」

 

 このアトラクションの入口や乗車前のところに、このコースをどれだけの時間で一周したか、タイムランキングが掲載されていた。

 

「お前まさかそれを狙って!?」

 

「もちろん!やるからには本気でいくよ!!」

 

 

 

チャリン

 

 

 俺は渋々コインを入れた。少しライオン号が速くなった気がする。

 

 

「さあ!どんどん投入しよう!」

 

「まだ入れんのか!?」

 

「手持ちのコイン全部入れちゃって!」

 

「マジかよ……」

 

 まだ2枚しか入ってないのに結構なスピードが出ている。だが、入れないと穂乃果がうるさいのでとりあえずもう1枚入れる。

 

 

 

チャリン

 

 

 

 ライオン号はどんどん加速していく。

 

 

「つかお前!運転うまくないか!?」

 

「穂乃果のドライビングテクニックを甘く見ないでよ!!」

 

「お前免許持ってないだろ!!」

 

 スピードが出ているにも関わらず、カーブを綺麗に曲がっていく。本当に運転の才能があるのかもしれない。

 

「だったらこのレースはお前に託す!」

 

チャリンチャリンチャリン

 

 

 そう言って一気に3枚を投下する。ライオン号の目はさらに真っ赤に光り、スピードはバイク以上となる。そして、最後の直線に入った。

 

 

「ライオン号よ、お前もまた獅子だと言うのなら、命を懸けて駆け抜けろ!!」

 

 穂乃果の叫びと共に、ライオン号の目の輝きが頂点に達した。こいつ機械と意思疎通ができるのか。まあ、叫んで雨が止むぐらいだからな。

 

 

 

 

「ライオン号が戻ってきました、速い!速いぞライオン号!」

 

 このアトラクションの解説までもがヒートアップしていた。

 

 

 

「いっけぇえええええええええええええ!!」

 

 普段の練習で培われた喉で、思いっきり叫ぶ穂乃果。

 

 

 

ブゥーーーーン

 

 

 

 そしてライオン号はゴールにたどり着いた。しかし、スピードの出過ぎていたためか、その余波でライオン号から吹き飛ばされそうになる。

 

 

 

 

 

 

 

「あぶねぇ…さあ、タイムは?」

 

「タイムは1分を切りました!!このアトラクション始まって以来のことです!!」

 

 解説も驚きを隠せない。

 

「やった!やったね零君!」

 

ダキッ

 

 今度は穂乃果から俺に抱きついてくる。

 

「ああ!思ったより楽しかったよ」

 

 テンションがここまで上がったのは久々だ。後、公衆の面前で抱きつくのはやめてくれ、恥ずかしいから。

 

 

 

 こうして記録表には俺たちの名前が1位のところに表示された。

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 

 その後、早めの昼食を取り、バイキングやお化け屋敷などスリリングなアトラクションを中心に遊園地を回った。そして、気づけばもう日が落ちかけていていた。穂乃果が選んだ最後の乗り物は……

 

 

「観覧車か」

 

「うん!ここの観覧車から見える景色はすごいって評判なんだよ」

 

「そうか、じゃあ行くか!」

 

 そして俺たちは観覧車へ乗り込んだ。同じことを考えてた人がいたためか、乗車までに時間が掛かり、乗る頃にはさらに綺麗に夕日が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

ゴトゴトゴト

 

 

 

 観覧車はゆっくり上へと進んでいく。ライオン号とは大違いだ。

 

 

 

 

「ねぇ零君」

 

 俺と反対側に座る穂乃果が話を切り出す。

 

「何だ?」

 

「今日はどうして穂乃果を誘ってくれたの?他のみんなじゃなくて。それに零君、人混みは嫌いって言ってたよね?なんで遊園地に?」

 

 

 やはりその話題できたか……。聞かれるだろうと思っていたので覚悟はできていたが。

 

 

 

 

「遊園地に"穂乃果"と行きたかったんだ。穂乃果と行ったら楽しいだろうなって、ただそれだけなんだ」

 

「でも誰と行っても楽しいと思うよ。穂乃果じゃなくても……」

 

「そうだろうな。でも俺は穂乃果と行ってみたかったんだ。遊園地でお前の笑顔を見たかったのかもしれない。この理由じゃだめかな?」

 

 たぶん穂乃果が期待しているような理由ではないだろう。だが、俺が遊園地のチケットを当てた時、真っ先に思い浮かんだのが穂乃果だった。ただそれだけの理由。

 

 

 穂乃果はそっぽを向いてしまった。前髪で顔が隠れ、表情はよく見えない。

 

 

 

 

「穂乃果ね……」

 

 再び穂乃果が話を切り出した。

 

「零君に誘われた時、すごく嬉しかったんだ。始めはμ'sのメンバーみんなで行くのかと思った。もちろんそれでも嬉しかったよ。でも、零君に『誘ったのはお前1人』だって言われたら、今までにないぐらいドキドキして、みんなには申し訳ないけど、みんなで行くって思った時よりもずっと嬉しかった」

 

「……」

 

俺は黙ってその話を聞いていた。俺にとっては何気なく誘ったのだが、穂乃果がここまで俺を意識してくれたことに驚いた。

 

「ねぇ、零君と穂乃果が初めて会った時のこと覚えてる?」

 

 藪から棒に昔話を始める。あの時は印象的で、決して忘れないだろう。

 

「覚えてるさ。廃校の張り紙を見て、倒れたお前を保健室に連れて行ったのが最初だな」

 

「そこからアイドル活動をやるぞってなって、今のみんなが集まった。これ零君のおかげなんだよ」

 

「俺の?」

 

「うん。零君がみんなを集めてくれなかったら、たぶん穂乃果だけじゃくじけてたと思う」

 

グループの名前も決まっていない頃、海未を説得したこともあった、花陽と凛の後押しをしたこともあった、真姫に自分の道は自分で決めるように言ったこともあった、にこにもう1度アイドルをやってみないかと言ったこともあった、絵里に自分のやりたいことは何か聞いたこともあったな。

 

「みんな零君のことが好きなんだと思う。だからこそ、今日零君に誘ってもらって嬉しかったんだよ」

 

「……」

 

「零君ってすごいよね。頭もいいし、カッコイイし、運動神経も抜群だし、みんなに頼られるほどカリスマ性も持ってるし」

 

 いつもの俺だったら、『当たり前だろ!俺なんだからな!』とか言っていただろう。さすがに空気は読める。

 

「それはお前もだろ」

 

「え?」

 

「カリスマ性っていうか、お前にはみんなを引っ張っていく才能がある。だからみんなもお前をリーダーとして認めているんだ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。半年間、お前を見てきた俺の目に狂いはない!」

 

「相変わらず自信満々だね。そんな零君だから、穂乃果は……」

 

 

 結局その先の言葉は言わなかった。

 

 

「ねえ!そっちに行っていい?」

 

「え!?ちょっとお前!?」

 

 

 

 穂乃果は俺の隣に座った。そして穂乃果の顔が近づいて、俺の頬に穂乃果の唇が当たる。これってもしかしなくても……

 

 

 

「えへへ……これからもよろしくね!」

 

「ああ!よろしくな!」

 

 ゴンドラの中は夕日に照らされていた。今日、俺と穂乃果の絆はさらに深まったと思う。やっぱり穂乃果と一緒に来てよかった……

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

~次の月曜日~

 

「え~お土産ないのかにゃ~」

 

「わ、忘れてた~。あ、あははは……」

 

 お土産を買うのを忘れ、主に凛とにこからバッシングを受けたのであった。

 

 




今回は穂乃果とのデート回でした。ギャグ小説の弱点がありまして、μ'sメンバーが主人公に対する気持ちを本編の中に入れづらいので、1個真面目な回として書かせていただきました。他のメンバー編も随時書いていこうと考えています。

私自信、恋愛の描写を書くのは初めてだったので、展開は非常に王道でテンプレになってしまいました。真面目な回ということでギャグ回を書いている時よりも、ずっと文章に気を配りました。登場する2人の心情がよく表れますからね。もっと自分に文才が欲しいと思いました。




それではこの辺で失礼します。ありがとうございました!











次回は今回の雰囲気をぶち壊すぐらいの変態回!
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