迷彩柄の公文書  camouflage archive   作:そーだぜりー

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 不幸と幸福の総量は普遍らしいよ


第1章 『We gon' be alright』
第1話 いやこの街物騒すぎない?


  ぶぉーーーーーーーー

 

 暗い暗いアスファルトの床が、気づけば目の前に広がっていた。右隣を見ると換気扇が低い音をたてて唸っていて、生ぬるい風が気持ち悪く体に当たっていた。

 

 眠くて、怠くて、思考がまとまらない。

 まるで、水槽の中に脳が漂っている感じだ。

 

 少し周りを見るとここは薄暗い路地だと分かった。なぜこんなところにいるのだろうと考えるより先に、ぼんやりと路地の先を歩いてしまった。

 

   この先のことで、後悔するなよ。

    お前が許されると思うなよ。

 

 そんな言葉が薄らと聞こえる。

 

 「知らねぇよそんなこと。後悔しないことだけは慣れてんだよ」

 

 まとまらない思考で、直感的に言葉を吐く。無責任にと聞こえる言葉が確かに垂れる。

 

 ゆっくり、ゆっくりと歩いていくうちに光が見えた。その光を見て眩しくて、目を細めるが何も見えない。

 仕方なしにもう一歩だけ踏み出そうとする。

 

    健闘を祈るよ、▫︎▫︎長

 

 あまりの光に目を閉じた。

 

 

 

 おいっーす。どうもぉコウジでぇす。

 今回はねぇ、気づいたら知らない土地にいるのですがぁ。

 当然迷子でしたぁ。

 何がダメだったんですかねぇ(既知

 

 「て、違う違う。ガチでどこだここ」

 

近未来的な高層ビル、行き交う車両、そして犬頭や機械頭が二足歩行していたり頭上にエンジェルヘイロー的なやつを浮かべている女性達が歩いていた。

 まさに異世界、違う世界観の世界。

 

 「部屋で昼寝してる間に俺の身に何があったんだよ...」

 

 恐怖、というよりは困惑というところが大きかった。そりゃ知らない土地に知らない間に立ってんだ。怖いより何故?が勝つだろ。

 

 冷静を取り戻すため、自身の状態を調べることにした。

 黒のストレッチジーンズに黒のパーカー、いつの間にか背負っていたバックには財布と...

 

 「...なんでこんなもん入ってんだ」

 

 SIGP220が何故か入っていた。

 いや、何故?こんなもん持ってたら怒られちまうよ。海外じゃないんだよここ。

 いや、ここ異世界か。

 

 しかし、周りにバレてないか確認するため横を見回すと、ヘイローを持った女性達は皆ライフルやピストルを所持していることに気がつく。

 

 もしかして、ここ所持しているのが当然のせかいって、こと!?

 

 わ!!(驚愕

 

 兎に角、バックの中に一緒に入っていたコンシールドキャリーのホルスターとマグポーチ3つをテキパキと着け、マガジンを納める。

 

 「一応、マガジンは差しっぱにしとくか。弾は込めないけど。さて、どこに行こうかねぇ」

 

 マガジンだけが込められたピストルを収めつつ、どこに行こうか、何をしようかを考える。

 

 少し考えた後、警察か市役所的なものを探そうと思い適当にコンクリートの歩道を歩き始める。

 

 当てなんてどこにも無い、兎に角マップが見つかれば御の字だった。

 

 

 1時間後

 

 

 いや、みつかんねぇ。

 

 どういうことだってばよ。こんなに歩いんてんのに、それっぽいものが無いとか。歩きすぎて脚がWTFしてるよ全く。

 

 歩き疲れ路中にあったベンチに腰掛ける。周りにはビルと道路。全く景色が変わっていない。まるで無限階段状態だった。

 

 「よぉにいちゃん。ここら辺じゃ見ない顔だなぁ?」

 

 ベンチでどうしたものかとほおけていると、見るからに不良っぽい服装が三つ並んでいた。

 

 

 「いやぁ、別に?見知らぬ土地に来たもんで、警察の場所さえ分かってなくてね。君達知ってる?」

 

 

 この後の出来事が理解できていたが、めんどくさくなって少し煽ってしまった。ほらまぁ、会話にユーモアって必要じゃん?

 

 そんな煽りが鼻についたのか、スケバン少女がARに手をかける。

 

 「生憎、交番の場所は知らなくてね。代わりに地獄まで送ってやるよ!」

 

 「送ってみろよ!雑魚が!」

 

 横の二人が真ん中のやつを中心に横隊で打ち始める。その隙に腰掛ていたベンチを横長に倒してスケバン方向に蹴る。

 

 「!?くそ!」

 

 散開してベンチを避けているスケバンとの距離を詰める。いきなり詰めてくる俺に慌てている間に顔面に軽く打撃を加え、ハンドガンを掴んでいる方の腕を握りつつ背後に回り、相手二人がいる方向に進み出す。

 

 「クソ!卑怯な手ェ使いやがって!」

 

 「痛い、痛い痛い!!」

 

 腕が極まって痛いだろうが、折らないだけいいだろう。と思いつつ、極めていない方の腕で拳銃をドローし撃つ。

 狙うのは脚が腕。そこまで拳銃は上手くは無いが、この至近距離ならいけるだろう。

 

 リーダー格のスケバンの足に着弾した。

 

 が...

 

  「ちっ!クソが!」

 

 と悪態を吐くだけだった。

 

 「は?」

 

 いや当たったよね?空包じゃなかったし.,.あれ?銃弾効かないパターン?

 頭の中で浮かぶ❔たち。しかし、それは戦闘では邪魔な存在であり、危険なものなわけで。

 

 「おら!死ね!」

 

 いつの間にか近づかれ、肉壁なんて関係ない距離で銃口がこちらを向く。

 やばい、なんて言葉が浮かぶと同時に半身で肉壁と一緒に突進する。

 

 「うぐ!」

 「うぎゃ!」

 

 そんな悲鳴をした方向に、今回は躊躇なしで胴体に打ち込む。

 打ち込まれた肉壁ちゃんは気絶したのかスケバンに覆い被さり、身動きがとれなくなり、頭に一発弾丸が撃ち込まれる。

 

 「はぁ...さてお前一人になっちまったわけだが、どうする?」

 

 ため息を一つ。目の前に気絶者二人の山を背に、生き残り一名に問いかける。

 正直もう疲れたから動きたくない。

 

「!?...畜生!覚えてろ!」

 

 テンプレの捨て台詞を吐き捨て、爆速で気絶者を担いで去るスケバンリーダー。逃げ足だけはめっちゃ早いな。

 

 銃を仕舞い、ベンチを元に戻し、また腰掛ける。

 

 「疲れたぁ」

 

 ぐでぇ、と体重を預ける。

 治安悪すぎだろここ。出会って5秒で即戦闘ってAVじゃないんだから。

 疲れた俺は目を閉じる。

 あぁ、ここマジでどこなんだろう。

 そう思いながら、意識を手放した。

 

 

 

 と思ったら、ドゴォン!!と爆音が右側から鳴り響いた。

 

 「WTF!?」

 

 そちらを見ると戦車が建物を突き破って道路上に鎮座した。砲塔が回転し、建物内に向けて一発、発射する。それと同時にすぐそこの小さな花壇の裏に身を隠す。

 建物内から悲鳴が聞こえる。

 

  「どういうことだよコレ」

 

 建物内から数人の少女達と、いかにも上官っぽいコートとケモミミがついた少女が慌ただしく出てくる。

 そこから起きる銃撃戦、投げられる手榴弾、ぱらぱらと落ちる空薬莢、 ドォンと炸裂する手榴弾の音。

 立て続けに起きる有事、異常な状況の連続。

 

 「...もうだめだこりゃ」

 

 諦めた。しかし、ポジティブに。

 

 拳銃を抜き素早くマガジンを込め弾を込めチャンバーチェックをこなす。

 周りを確認すると、二歩先にピンがついたままの破片手榴弾を確認し、計画を立てる。

 

 思考すること10秒。

 覚悟を決めると手榴弾に向け駆け出す。

 

 「あぁ、クソ!死にたくねぇ!」

 

 手榴弾を取ると戦車に向け方向を切り返す。

 走れ、走れ、走れ。

 そう自分の中で意識して精一杯駆ける。

 

 「そこの人、止まれ!」

 

 関係無い。

 自分の意思で、全速力。

 砲塔がこちらに向く。

 

 「危ない!」

 

 「当たるわけねぇだろ!」

 

 弾が出るまでにスライディングで車体付近にたどり着く。背中から地面が爆ぜる音と破片が散らばる音がする。

 戦車をよじ登り、キューボラ付近にたどり着く。そこには開けっぱなしの蓋から中に数人の少女が騒いでいた。

 

 「な、なんだ!お前は!」

 「土産だ、持ってけ」

 

 ピンを抜いて投げ入れる。

 唖然となる車体を尻目に車体から飛び降りる。

 ドンと曇った爆発音が遅れて聞こえ、コレでようやく戦車の兆候が消える。

 

 「これで終わったか...」

 

 「動くな」

 

 ケモミミのコートを着た女性とその後ろに数人拳銃を向けて寄ってくる。

 

 「拳銃を捨て両手を上げろ、下手な動きをするなよ、躊躇なく撃つぞ」

 

 「戦車を沈めたのに酷い扱いじゃないですかね?」

 

 「それとこれとは別だ。別に私たちは頼んで無いし、こちらの静止命令を拒んだだろう」

 

 「あ、そっすね」

 

 そういえばそうだわ。普通に無視しちゃってたわ。

 これ、留置所かなぁ。なんて頭を抱えていると、あることに気づいた。

 

 「あのー申し訳ないんですけど」

 

 「なんだ」

 

 「落ちます」

 

 流石に訳がわからない状況が立て続いたのが響いたのか、意識が一気に遠のく。

 あぁ、もうなんだよもう。

 これで元にもどってたらいいんだけど、ね...

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