迷彩柄の公文書  camouflage archive   作:そーだぜりー

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 生きている限り何かを消費しないといけない。
 だから人類(僕ら)はいつかこの星を食い潰すだろう。





追伸:我慢できなくて投稿しました。許せサスケ(懇願


第3話 いいゾ〜これ〜

 

 「いらっしゃーせー」

 

 俺がギヴォトスに来て1ヶ月経った。

 

 ヴァルキューレでお世話になりつつ、戸籍と家を探し、なんとか一人暮らしの土台ができたのでヴァルキューレを出て、現在コンビニのアルバイトをして一人暮らしをしている。

 

 ヴァルキューレ警察学校の皆には本当にお世話になった。特にカンナ局長にはギヴォトスについて色々教えてもらい、土地勘の無い俺の世話かなりしてもらってしまった。かたじけない。

 

 他にも色々お世話になった方々がいるが、頭が上がる訳もなく、流石にこれ以上迷惑もかけまいと出たのも理由の一つだった。

 

 出る際に、「また困ったら遠慮なく来てください」なんて中務キリノさんに言われた。涙がちょちょぎれそうになったのを覚えている。キリノさんマジでいい人やで。

 

 「只今、ぶぁみチキが30円引きと大変お安くなっております。ご一緒にいかがでしょうかー」

 

 そんなこんなで現在に至る訳だが、なんと一人暮らしは初めてだったりするのだ。

 前の世界にいたときは地獄の営内生活で、1人部屋というのは初めての経験になる。基本4人以上を一つの部屋に押し込めるのだ。ストレスしかなかった。

 

 心踊る新生活。初めての一人暮らし。楽しくなるなぁ。

 

 とはいかないのがここギヴォトスである。

 

 「おい、金を出せ!」

 

 レジの前で眠そうにぼーっとしていたときだった。

 

 黒いヘルメットを被ったセーラー服の少女が先程の言葉を吐きコチラに銃を向けていた。見たところUMPだ。ストッピングパワーの高い45ACP弾で、チョッキを着てるならともかく、生身のこの状況なら効果的なチョイスだ。

 

 「早く金を出せ!」

 

 「UMPか。いいチョイスだ」

 

 は?、とこちらの言葉の意図をとれないのか、頭に❔マークを浮かべる強盗。

 

 なんか面白くなってきたから、このまま続けることにする。

 

 「最近では下火になりつつあるが生身への殺傷力の高い45口径。さらに拳銃よりも制御しやすいサブマシガンの中でもポリマー素材が多用されているUMPを選んだ。いいセンスだ」

 

 「な、なんだお前!?」

 

 「しかしだな。セーフティがかかっているぞ?ルーキー」

 

 その新人(ルーキー)という言葉が琴線に触れたのか、目の前の不良は言葉を荒げる。

 

 「私は不良を3年も続けてるんだぞ!セーフティなんかかかってる訳が無い!」

 

 「そうか。しかし、実際にセーフティをかけたまま銃を向けても相手は殺せないぞ」

 

 「...」

 

 不良の中で本当に本当にセーフティがかかっているのかが不安になってくる。

 

 恐る恐るセーフティを見るように顔を覗かせる。

 

 その隙を逃さず相手の手首と銃身を両の手で弾き射線をそらし、そのまま相手の顔を掌底で強打する。

 

 「あがっ!!」

 

 相手が顔面の痛みに悶えて中、ゆっくりとレジから出て近づいて、床に転がっている銃のマガジンを抜きチャンバー内の弾をコッキングして抜く。

 

 「自身の銃の状態に対してしっかり把握してないなら、それはまだ新人、いや初心者ってことだ」

 

 「っ!!くそっ!!」

 

 「ま、正直に言ってしまえば撃つ瞬間までセーフティを掛けとくのは一般部隊でもよくやるけど、それでも襲う側が掛けとくのは不正解だな」

 

 誤射は怖いし友軍狙撃も怖いが、自分の銃と人差し指に絶対的な信頼があればそんなものは起こり得ない。逆にそれを怖がりすぎて任務に支障が出たり、相手に撃たれて死ぬなら意味がない。

 大事なのは、確認の徹底と自分の相棒への絶対的信頼だ。

 

 「これで終わりっと。ここを襲うならBIG BOSSでも連れてくるんだな」 

 「誰だよそれ...」

 

 「全特殊部隊員の夢だよ」

 

 架空の人物だがな。と付け加えると、捕縛の為の手首のタイラップを少し強く締めつつ立ち上がらせる。レジの下に仕掛けられている押すとヴァルキューレ警察学校に通報される赤いボタンを押し、店外に出て設置されているベンチに一緒に腰掛ける。

 

 「タバコ吸ってもいいか?」

 

 「...好きにしろよ」

 

 「そりゃ結構。好きにさせて貰おうか」

 

 ポケットからセブンスター(14mm)とBICライターを取り出し火を点ける。一口吸い煙にして吐き出す。

 

 「それで?なんでお前はこの店を襲ったんだ?」

 

 「それをあんたに言う必要あるの?」

 

 「別に脅迫や恫喝をしようだなんて思ってない。ただ、ほら、あれだ」

 

 顰めっ面で?を浮かべる不良を横に、もう一口ニコチンを摂取した俺は言葉を捻り出す。

 

 「この店あんまし人の入りが良くなくてな。ぶっちゃけ暇なんだ。警察が来るまで話し相手になってくれないかなって」

 

 それを聞いた不良は少し間が空いたあと苦笑し、話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 「じゃあ今度来るときは強盗としてじゃなくて、ちゃんと客として来るね」

 

 「店員としてでもいいぞ」

 

 考えとくー、と言いながらヴァルキューレ生に補導される少女を見て店内に戻ろうとすると、ヴァルキューレ生がこちらに近づいて来るのに気がつく。

 

 「本当に強いのは良いんだけど、いたいけな女の子ひっかけてどうするの?」

 

 「いやいやひっかけてないって姫乃さん」

 

 呆れ顔でやれやれとしているのは姫乃ホオヅキ。警備部の2年生でヴァルキューレに居た時にお世話になった人の一人だ。

 

 「ていうか、そもそも俺がそういうのに縁がないの知ってるでしょ?」

 

 「だとしてもだねコウジくん。あの子のあの目、雌の目をしてたよ?」

 

 「雌の目て...」

 

 んなわけないない。

 

 そんなこと言いつつ店内に入りレジの下に隠してあったコーラとポテチを取り出し食べ始める。

 

 「あーいけないんだー」「ずるーい」「これ美味しそう...」「職務中だからね?」「ということは今退学届を書けば...」「早まるなよ?」

 

 「お買い上げの方は一列に並んでください」

 

「「「「職務中なんだってば!!」」」

 

 「...そこは上手くやるんだよ」

 

 「それができたら苦労しないよ」

 

 全員がその言葉を聞くと(´д` ;)とため息をする。

 

 そりゃそうだ。あの局長がそのようなことを見逃すはずが無い。

 

 服務の乱れは全体の乱れ。ひいては任務遂行の妨げになりえる要素でもある。そんなことは比較的不真面目な性格である俺でも知っているし、なんなら戦闘員として成熟仕切っていない彼女たちでさえ知っている。

 

 「...店の裏を使っていいぞ。民間人の目も無いし、監視カメラもあそこなら四角だ」

 

 そう告げると少女たちは一斉にぱぁと明るい顔をして各々の食べたい物を手に取り駆ける。

 

 「ありがとうコウジ!お金は後で払うね!」「急げぇー!!」「休憩休憩!!」「身体は糖分を求める」「はいACAC」「...身体は砂糖でできてる」「正義の味方もいます」

 

 「時間気をつけろよー」

 

 トタトタトタとバックヤードに向かう少女たちを横目に,ポリポリとポテチを食べる俺にまたも姫乃さんがレジの上に腰をかける。

 

 「甘々だねぇコウジくん」

 

 「俺は基本人には甘いよ」

 

 「それにしても甘すぎだね。向こう水なぐらいに甘いね」

 

 「まぁ…自分に甘くなるには他人にも甘くなきゃ筋が取らないでしょ」

 

 「…そりゃ逆に自分に厳しいと思うんだけどね」

 

 何を言いたいのかよく分からないが、面倒なので聞き流す。

 

 そこから20分程経った後、バックヤードに行った連中が出て来た。いい時間らしいので帰るようだ。

 

 「じゃーねコウジくん。無理せずにねー」

 

 「姫野さんこそ、書類業務に殺されないでね」

 

 姫野さん達がコンビニを出るのをレジで見送る。

 コンビニ内が静寂に満ちる。

 レジの下から包装されたシュークリームを取り出して一口食べる。

 

 「...甘いな」

 

 静寂のコンビニ、男1人、甘味を食す。

 

 その甘さが誰に対してかもわからないまま、黙々と食べていく。

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