迷彩柄の公文書  camouflage archive   作:そーだぜりー

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 カイザーはやっぱり悪い文明。はっきりわかんだね(既知


第5話 Outlaws and Overworked People

 「はッ、はッ、はッ、はッ、はッ」

 

 た、た、た、た、た、た、

 

 1人の少女が少し煤けた服で走っていた。

 

 そこは薄暗く、天の光も少ししか通さない、パイプや配線が剥き出しで、下を見ればゴミが散乱している。そんな路地裏だ。

 

 「はッ、はッ、はッ、、はっ、、、はっ」

 

 疲れたのか、少女は少しずつスピードを落としていく。

 

 ちょうど十字路で足を止め、息を整えながら周りを見渡す。

 

 バスッバスッバスッ

 

 「ゔっ...」

 

 いきなり自分が逃げてきた方向と逆の方向から銃弾が、鳩尾二発頭に一発計三発飛来し、言葉を発する間もなく気を失う。

 

 か、か、か、と短歌の音が通路に響き男の姿が現れる。

 

 「これで5人目。最後か」

 

 その男は死んだ目に大きい隈、ボサボサの髪にすでに薄汚れたスーツ。

 

 相川コウジ(社畜)だった。

 

 淡々と自己処理をし、少ないエネルギーで人を処理する。脳を空っぽにただ本能的に行動する。そう今の俺は機械の部品だった。

 

 「次はB地区か」

 

 あそこは不良と雇われが多い。所要時間は大体50分も掛からないだろう。

 

 歩きながら弾がなくなったマガジンを交換する。薬室内には一発入っているのでコッキングはしない。

 

 初バイトの日から2週間が経過。

 

 俺は社畜と化した。

 

 巫山戯る余裕も無く、ただ規則通りに物事を行う畜生のように、このバイトを1日12時間行っていた。

 

 勿論このバイトと並行してコンビニバイトも行っているはずなのだが、なぜかそこの記憶が毎回ない。まぁ、社畜してる時は記憶が飛ぶことなんてよくあることだ。問題ない。

 

 それよりも今は金だ。

 今月の分はなんとか払い終えたが、翌月を余裕を持って生きるにはとにかく金が必要だ。それにまだバイトを一ヶ月も続けずに辞めるのは人間として良くない。良くないことはするべきじゃない。なら仕事をこなすべきだ。そう仕事はこなさなければならない。生きるためには仕事という義務を果たさなければならない。労働しなければ。さぁ労働だ。労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働労働

 

 

 『至急。B地区において応援要請。敵は4名。便利屋を名乗っており、武器はハンドガン、ショットガン、マシンガン、スナイパーライフル....」

 

 「...、行くか」

 

 いつのまにか足が止まっていたのか、その無線で意識を取り戻し足早に現場に前進する。

 

 敵は4人程度、すぐ終わるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場に着くと目に入ったのは爆風だった。

 

 「死んでください。死んでください。死んでください」

 

 「あはは!!アルちゃんったらこんなに暴れて、報酬大丈夫なの〜?」

 

 「だ、大丈夫よ!!作戦通りなんだから!!」

 

 「...社長が言ってたのは隠密だったはずだけど」

 

 ショットガンで暴れ回る紫色の髪の少女。赤髪の社長と呼ばれる少女。それを揶揄う白髪の低身長の少女。大人びた雰囲気を纏うサプレッサー付きのハンドガンを扱う白髪の少女。

 

 実に楽しそうに戦っていた。

 

 まるで戦闘を児戯のように、猫同士のじゃれ合いのようにしていた。

 

 「...仕事をしなければ」

 

 その言葉で邪念を吹き飛ばす。

 

 その路地裏の入り口から白髪のハンドガン、P30を持った少女を狙う。

 

 バス!バス!バス!

 

 「ぐッ、社長!10時の方向の路地裏から1人」

 

 「え、えぇ!撃ち抜くわ!」

 

 即座にそこから走り出す。すぐそこにあったゴミ箱を蹴り上げゴミを宙に撒き散らし、狙いを逸らす。そのついでに蹴り上げたゴミ箱を回し蹴りで社長と呼ばれる少女に向けて蹴る。

 

 「ぐえっ!!」

 

 「アル様!!」

 

 スナイパーの射線は切れた。俺は白髪のP30持ちに向けて打ちつつ走りながら敵の動きと役割を確認する。

 

 「アル様にゴミ箱を...許せません...」

 

 視界の隅でワナワナと震え上がる少女が見えた。それを無視しキャッキャっと笑っているマシンガン持ちの少女に標的をうつした。

 

 それは悪手だった。

 

 その瞬間、ゾッと身体が一瞬にして冷える感覚が走る。

 

 この、感覚は

 

 

 「死んでください...!!」

 

 

 死の気配。

 

 死の琴線をなぞるかのような感覚。

 俺が前の世界で幾度となく感じた終わりの淵。

 

 「!?ックソ!!」

 

 振り向いた時には遅かった。

 

 少女との距離はいつのまにか詰まっており、まさに目と鼻の先。

 

 それを引き剥がすかのように、後ろに飛びつつ数発打ち込む。

 

 しかし、それを気にもせず勢いをそのままショットガンを腰だめに構え突っ込んでくる。

 

 どう見ても、

 

 

 「硬すぎだろッ!!」

 

 

 ショットガンから散弾が発射される。

 

 しかし、飛び退いたお陰で身体が自由落下し、散弾の軌道から外れることができた。

 

 「死んで、ください!!」

 「お前も、消えろ!!」

 

 倒れゆく俺に追い討ちをかますかのように、銃口をこっちに突き刺してくる。

 それを気にもせず少女の眼球に確実に当てるべく俺も銃口を突きつける。

 

 「ハルカストップ!!」

 

 その場を静止させる声が響く。

 

 どうやら社長と呼ばれる少女が発したようだった。

 

 そして周りを見渡すと、俺を中心に銃口が3つ向けられて円を作っていた。

 

 「ハルカ、多分この人外の世界の人よ」

 

 「でも、ア、アル様にゴミ箱を」

 

 「そんなことどうでもいいわよ。私はどうも思ってないし」

 

 「くふふ、でもちょっとムカついてたでしょアルちゃん」 

 

 「ム、ムカついてなんかないわよ!!そんなことより、ハルカを人殺しにするわけにはいかないわ」

 

 銃口を下げなさい、と銃を手で押さえて下げさせる。

 

 そして、その眼が俺を見つめる。

 

 あなたも下げなさい

 

 そう言わんばかりに俺を見つめる。

 

 「...分かった。俺の負けだ」

 

 銃を下げ地面に置き両の手を上げる。

 

 降参だ。

 

 任務続行不可能。職務を遂行できなかった。

 

 「そう。分かってくれならいいわ」

 

 俺の手を縛ろうとしたその時。

 

 「それは困るなぁバイトの軍人もどきくん」

 「アル様!!」

 

 俺が出てきた路地裏の方から大量の弾が飛来する。

 

 それを引き受けるかのようにハルカが身を乗り出す。

 

 「ハルカ!!」

 

 「このッ!!」

 「ッ!!」

 

 

 弾を受け止めているハルカに反応し、他が応戦する。

 

 銃声が止み終える頃、ハルカと呼ばれる少女が崩れ落ちる。

 

 「ハルカ!!あなたっ」

 

 「...大丈夫、です、わたし、頑丈、な、ので」

 

 「無理して喋らなくていいから、でも、なんで」

 

 

 「ギヴォトスの生徒は無駄に頑丈でいけない」

 

 

 銃声のなる先から出てきたのは、俺を貶し続けてきたカイザーPMCの社員だった。

 

 「それに、おい軍人もどき。給料分の仕事はしろって言ったよなぁ?やっぱり、雇わない方が良かったか?」

 

 「...すんません」

 

 俺に対して説教を垂れる職員。

 

 めんどくせぇなぁと捕まっている身分からか、一周回って余裕が出てきて怠惰な思考が生まれてくる。

 

 

 ふと、とある疑問が生まれる。

 

 

 「さて、便利屋。お前ら蜂の巣にされる覚悟はあるか?まぁ1人はとっくにズタズタになったようだかな。はっはっはっはっはっ!!」

 

 「こ、のぉ!!」

 

 「アルちゃん、やっちゃう?」

 

 「まってムツキ。たぶんこの人数じゃ、20人を相手にするのはキツイ。物資も心許ないし。逃げよ社長」

 

 「でもッ!!ハルカを馬鹿にされたままで引き下がるには」

 

 

 俺はアルバイト先からこき使われ、なんなら俺を殺す勢いで大量の弾を撃ち込まれたわけだ。正直殺されるかと思ったし。

 

 

 「はぁ、笑い疲れた訳だし。殺すか」

 

 「社長、どうするの?」

 「アルちゃん、やるの?やらないの?」

 

 

 「ッ...どうしたら」

 

 

 これは俺に非があるよな?

 

 

 「は、はは、ははは、ははははッ」

 

 

 

 「え?」

 

 

 

 「ははははははッ!!ははははははっ!!」

 

 

 

 弾けた。

 人としてというか、人間としてというか。

 まぁ、俺は弾けた。




 〜次回予告〜
 やめてー(棒読み
 復讐心に燃えるコウジの積極的な攻撃で、大切な施設を破壊されたらカイザーPMCの信頼も破壊されちゃう!
 お願い潰れないでカイザーPMC!
 あんたがここで潰れたら、アビドス編の敵役は誰がやるの?
 ライフ(資金)はまだ残ってる。ここを乗り切っても地の果てまで追って潰してやるんだから!!

 次回、『カイザPMC株価暴落』デュエルスタンバイ!
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