迷彩柄の公文書  camouflage archive   作:そーだぜりー

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 許してください。なんでも(ry


第6話 I love myself!!

 「ははははははははははははっ!!!」

 

 

 俺は弾けた。

 

 外面も、内面も、この状況も、全て無視して嗤っていた。

 

 社長達は呆然とし、連中はあまりの突飛な現状にトリガーから指が離れ、例の職員は自身の銃に手をかけ始めた。

 

 

 「ははははは!!はぁ...笑い疲れちまった」

 

 

 俺は立ち上がり、転がっていた自身のP220を拾い上げ、職員を煽るように語りあげる。

 

 

 「なぁ?なんでお前も笑わないんだ?」

 

 「は?」

 

 「だから、なんでお前も笑ってくれないんだよ」

 

 

 煽り、騙り、稼げ。

 今の俺の語りにはそれしか考えられなかった。

 

 

 「この状況を優勢だと思ってるお前らがこんなにも可笑しいのに、なんで笑わないんだ?」

 

 

 そう。

 

 この状況、便利屋の中の情報が割れていれば確かにあっちが優勢だが、弾薬や作戦などの情報が分からないあっちからしたら、そこまで良い状況には見えないのだ。

 

 俺が参戦前には恐らく20人ほど殲滅し、見たところ撃ち漏らしなどは無かった。ということはきっちり相手の戦力をけずり、戦い方等の情報は余り漏らしていないということになる。

 

 

 「俺からしたらお前のあの薄ら笑いが、お父さんに怒られる前の子供にしか見えなかったぜ」

 

 

 だから相手の中に渦巻く恐怖を引き立たせる。

 

 嘘を真実に見せかける。

 

 

 「さぁ、笑えよ!!さっきみたいに!!さぁ!!さぁ!!」

 

 

 「なッ...くッ...」

 

 

 「笑い方を忘れちまったのかぁ?こう笑うんだよぉ!!さぁ、笑え!!」

 

 

 当然相手は笑える状況じゃない。

 

 無意味に笑っていたわけでもない。

 ぶっちゃけ言えばこの悪い状況をカオスにすることでどっちつかずにしたかった。

 

 それに便利屋には頭のキレる奴がいるらしい。ならばこの状況で俺が意図していることと意思を汲んでくれるだろう。

 

 

 「そうだよなぁ、お前からしたら笑えないだろうなぁ、怖くて怖くて仕方ないよなぁ!!」

 

 

 ジェスチャーで白髪のP30持ちに合図する。

 

 視線で了解の意図を感じ、俺もこっそり拳銃のハンマーを起こす。

 

 

 「お前が今回得た教訓は...」

 

 

 

 「『喧嘩を売る相手は間違えるな』だ」

 

 

 

 突如白い煙が視界をを覆う。

 目の前で意識を手放したショットガンの少女を担ぎ発砲する。

 

 

 「早く逃げろ。3時の方向の路地裏に入れ」

 「え、えぇ!!わかったわ」

 

 

 便利屋に聞こえるが、相手には聞こえづらい程度の声量で指示し、急いで離脱する。担いでいる少女が異常に軽く、作戦遂行的には嬉しかったが逆に食生活が心配になる程だった。

 

 

 「そこを右に曲がってすぐにある部屋に入れ」

 

 「後ろはまだ来てないって〜」

 

 「了解。ドアに着いたら後ろを俺がカバーするから先に入って待機してくれ」

 

 

 T字路を右に曲がってすぐに俺が初日以降サボるときに使っていた使われていない倉庫部屋のドアが見える。俺は曲がり角から数歩下がったところで膝立ちになり前から来る敵に備える。

 

 

 「私が最後」

 「了解。入ろう」

 

 

 最後尾のP30持ちの少女が入り、俺も役目を終え中に入る。

 

 中は暗くダンボールや箱が乱雑に積み重なっており、隠れるには最高の立地だった。

 

 

 「奥に俺の補給品がある。そっちで話そう」

 

 

 ダンボールで入り口から見えない奥に隠しておいた、RVボックス数箱があった。中にはお菓子や軽食は勿論、9mm弾薬数箱、各種手榴弾数個に爆薬や予備の拳銃があった。

 

 

 「ここの物は好きに使って良い、ただ7.62や12ゲージはないから、そこは容赦してくれ」

 

 

 「ちょ、ちょちょちょっと待って」

 

 

 するといきなり社長が割り込んでくる。

 どうやらこの状況を上手く理解していないようだった。そりゃそうか。

 

 

 「なんであなたが私達を助けてくれたの?私達を助ける理由も義理もないでしょう?」

 

 

 「義理は無いが理由ならあるぞ」

 

 

 俺は淡々と話し始める。

 

 このバイトがやばいこと。

 あの状況において自分が見捨てられていたということ。

 

 

 「見捨てられた俺は、辞める前にあいつらを皆殺しにしようと思って、そこのクールな女の子にハンドシグナルで指示したってわけだ」

 

 「なるほどねぇ。...って納得できるわけないでしょう!!」

 

 「ゑ」

 

 

 この社長は理由は分からないが納得できないらしい。

 

 

 「なんであんな状況で笑い始めたのか分からないし、ハンドサインで指示を伝えられるのもよく分からないし、なによりなんでそんな労働環境で2週間も働いてたのよ!!」

 

 「まぁ、そりゃ金が無かったからだけど。前職に比べたらマシかなって思ってたし」

 

 「だとしても1日12時間はやりすぎよ!」

 

 

 見ず知らずであろう俺に説教する社長。すげぇなこいつ。こんな半戦闘状況でよく人に講釈を垂れられるもんだ。

 

 

 「まぁいいわ。そんなバイトを今日辞められるのだし。それに依頼もまだこなしてないものね」

 

 「カオス化したこの状況なら、施設内に潜入するのも楽かもしれない。やるなら今だよ社長」

 

 「でも、そこら辺にいるやつらはどうするの?一々相手にしてたら弾も爆薬も足らないよ?」

 

 「それなら心配しなくていい。秘策がある」

 

 

 確かに雑魚は究極の1には敵わないが、数が集まればその足元に手が掛かる。

 ならば、その数を割ってしまえば良い。

 

 

 「シンプルisベストだ」

 

 

 目的も作戦もシンプルが一番良い。

 

 

 

 

 

 

 

 「presidentこちらAnderson。感、送れ」

 

 『こちらpresident。感良し、感』

 

 「こちらAnderson。感良し終わり」

 

 

 無線機の点検をしていく便利屋一行+俺。

 

 俺が現職時代にやっていた無線機の取り扱いの方法をすんなり覚えたのか、特に異常無く終わらせていく。

 やはり学生は覚えが良い。なんでもスポンジのように吸収していくのはこちらとしても気持ちが良かった。特にアルは無線の取り扱いは勿論、タクティカル方面の知識を熱心に聞いていた。伸び代ですねぇ!

 

 

 『presidentこちらBat cat。準備完了。送れ』

 

 『こちらpresident。了解。Andersonの準備が完了し次第作戦を開始する。それまで待機送れ』

 

 「こちらBat cat。了解。終わり』

 

 

 既にカヨコ(Bat cat)は配置についたようだ。アル(president)も屋根上で待機しているようだ。

 

 

 「さて、準備はいいか?2人とも」

 

 「私はおっけだよー」

 

 「わ、私は大丈夫です」

 

 

 爆発物の設置に行っていた2人は、準備は整え終わったようだ。

 

 後は俺の秘密兵器ができるのを待つだけだ。

 

 

 「よし、これで大丈夫だろ」

 

 

 最後のタイヤの中の爆薬を詰め終わった俺は、無線を取り出して連絡を取ろうとする。

 

 

 「ねぇ、これで本当にいけるの?」

 

 

 ムツキが訝しんだ表情で聞いてくる。

 

 

 「...まぁ、気持ちは分からなくもない。俺もこれについての記事を読んだ時、こんな馬鹿みたいな兵器本当にあんのかよ、って思ったけど、こういう状況では現地にある物で戦わなきゃいけない。だからこのイギリスの珍兵器にも頼らなきゃいけない」

 

 

 「ふーん。まぁなるようになるかぁ」

 

 

 「それに、俺の好きな言葉にこんなものがある」

 

 

 「?」

 

 

 

 

 

 

 「『歴史は繰り返す』」

 

 

 

 

 

 俺は無線機をプッシュして告げる。

 

 

 

 

 「こちらAnderson。準備完了。これより『i』作戦を開始する。幸運を祈る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、俺は散々だった。

 

 便利屋の襲撃に遭い、気づいたらバイトの1人が反逆していた。そのバイトも俺が勧誘した、異常に腕の立つ男で、少し(?)働きすぎたかもしれないがちゃんと給料は払っていた。

 なんやかんやあったかもしれないが、俺は不当な扱いをしていないはずだ。

 

 

 「分隊長、Dチーム巡回終わりました。異常見つかりませんでした」

 

 「そうか、お前らは休憩してこい」

 

 「了解。ありがとうございます」

 

 

 最後のDチームが帰って来て、全てのチームが巡回が終わった。

 

 やはり、あいつらは帰ったのか?

 

 最後に俺を煽りに煽った男の顔が浮かぶ。

 

 それとも、

 

 

 「いや、この人数差に挑む馬鹿はいないか」

 

 

 ドオオオオォン!!

 

 

 建物が揺れた。

 

 盛大な爆発音と共に建物が大きく揺れた。

 

 

 「分隊長!!襲撃です。入り口から、堂々と!」

 

 「なに?」

 

 

 今日は何回襲撃されればいいんだ。

 

 そんなことを思いながら、無線で建物にいる戦闘できるものを全て呼び出し、入り口に集約させる。

 

 

 「俺も出る。俺が到着するまで殺すなよ」

 

 

 無線にそう伝えながら入り口に向かう。

 

 入り口に着くと予想外にもあの男が1人で突っ立っていた。

 

 

 「1人でこの建物を正面から襲撃するとは、笑いすぎて頭がイカれたか?」

 

 「あぁ、お前のお粗末な戦術に笑い殺されかけたが、安心しろ、お前の頭よりは正常だ」

 

 

 気丈に言い返してくる奴に、顔面が赤くなる感覚を覚えるが、落ち着け、前回のように取り逃しては困る。

 

 この人数だ。負けるわけがない。

 

 

 「お前の遺言はそれでいいか?無様に朽ちて死ね!軍人もどき!」

 

 

 兵士たちの銃口が奴に向く。死の孔が奴に顔を見せる。

 

 そんな状況でも奴は毅然と、余裕見せて笑いかける。

 

 

 「生憎、遺書を書くペンは持ち合わせていない。代わりと言ってはなんだが」

 

 

 奴は腕を垂直に上げると、奥の方からコロコロと大型車のタイヤがコロコロと1人でに転がってくる。

 

 そんなシュールな状況に、場の時間が止まったかのような感覚が走る。

 

 コロコロ。コロコロ。

 

 転がるタイヤがコチラの手が触れられるぐらいの距離になった時、ある音が鼓膜に聞こえてくる。

 

 

 ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、

 

 

 「ば、!?」

 

 「毒入りドーナッツだ。受け取ってくれ」

 

 

 その声が聞こえたと同時に、赤い爆風が目の前で炸裂する。

 

 俺の記憶はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 「こちらAnderson。第2ドーナッツ投入開始。送れ」

 

 『りょーかーい』

 

 

 暴れ回るロボ兵士。爆散するドーナッツ(タイヤ)。そこから噴き出るカスタード(鉄の破片)。

 

 カオス(混戦)からさらにカオス(混戦)に舞い込む戦場。

 

 

 「また転がってくるぞ!!」

 

 「撃ち落とせ!!」

 

 

 些か状況的に遅いが、兵士たちの中にそのタイヤを撃って止めようとする輩が現れる。タイヤチューブを打ち抜き、タイヤ内の空気が噴き出す。

 

 

 「よし!パンクさせゔわぁーーー!!」

 

 

 しかし、その爆薬は健在だった。

 

 いやぁー、爆薬をホイールの内側に貼っつけといて良かったね。

 

 どうもーコウジです。

 

 

 「こちらAnderson。効果甚大。効果甚大。最後のドーナッツを投入し次第、所定の位置に前進せよ。送れ」

 

 「りょ、りょうかい、です」

 

 「了解ー」

 

 

 ブツっと通信が終わる。

 

 後ろからまた二つタイヤがコロコロと転がってくる。それを確認すると拳銃で数人敵の頭部を撃ち抜いてから路地裏に前進する。

 

 

 「うぎゃあ!!」

 

 「あいつが逃げるぞ!!追え!!」

 

 「逃がすな!!」

 

 

 事前に予定していた経路に誘導しつつ、射線を避けるように曲がり角を多く通行する。

 

 敵はパンジャンドラムで減殺したが、流石キヴォトス頑丈な奴らが多い。ロボ兵士が列を成して迫り来る。

 

 ならばこちらは策を弄して削るのみ。

 

 

 「LoyalityこちらAnderson。爆破点12。10秒後爆破用意」

 

 『りょーかいー。派手に行くよ!』

 

 

 走る視界の端に赤い点滅が見える。そのすぐ先の曲がり角をカーブする。

 

 

 「爆破開始」

 

 

 向こう側で盛大な爆破音が響く。

 

 爆風が吹き荒れ、ロボ兵士達の悲鳴がつんざめく。

 

 

 「射撃開始。おかわりも食らわせてやれ」

 

 『OK!吹き飛べー!」

 

 

 屋上からのムツキの支援射撃に、慌てふためくロボ達の悲鳴(歓声)。しかし、まだまだロボ兵士達は追ってくる。

 

 

 「射撃やめ。移動開始」

 

 「待てー!」

 「逃すか!」

 

 

 その威勢の良い声が聞こえると同時に、また逃げる。

 

 そう、この作戦はかの有名な釣り野伏せの応用。

 

 作戦名[i]。

 

 パンジャンドラムで奇襲をかけ、逃げつつ相手を爆破地点まで誘導し、敵を一気に減殺する。至ってシンプルな作戦だ。

 

 シンプル故に強力。

 

 複雑な作戦は一つ崩せば瓦解するが、単純な作戦程強固かつ破壊力のある結果を生み出せるというものだ。

 

 え?迂回してくるような奴はどうするかだって?

 そこもしっかり充実しているのが、弊社のサービスです。

 

 

 「迂回して奴を閉じ込めろー!」

 「走れ走れ!うわぁー!!」

 

 「すみません...ここから先は行かせません...!!」

 

 

 そう、紫色の猛獣ことハルカだ。

 

 比較的防御力のあるハルカを迂回できる箇所に移動させておくことで敵を侵入できないようにする。

 

 これこそ、[i]。bomb in the street,街には爆弾がある、ということだ。

 

 

 「爆破点15。爆破開始」

 

 

 またも爆風が荒れ狂う。

 

 しかし、今回は嬉しい歓声も苦しそうな悲鳴もなかった。

 

 気づけばそこには誰もいなかった。

 

 

 「終わったか。呆気なかったな」

 

 

 『AndersonこちらBat cat。jokerはこの手に。繰り返す、jokerはこの手に。送れ』

 

 「了解。president、こちらAnderson。レイズしますか?送れ」

 

 「勿論!なんならオールインよ!」

 

 

 得られた結果に嬉しそうな声が、無線越しに聞こえる。

 

 そんな声に俺はムツキとハルカに無線で指示をする。

 

 「こちらAnderson。presidentがオールインをご所望だ。諸共吹き飛ばせ」

 

 『りょうかーい!!くふふ、楽しくいこー!!』

 

 『りょ、了解です。行きます!』

 

 

 その声と共にブラックマーケットの一角、カイザーの重要施設から爆発が連鎖していく。

 

 「こちらAnderson。ゲームセットだ。各員お疲れ様でした」

 

 その夜、カイザーPMC並びにカイザー系列株価は大暴落、約10億超えの損害に頭を抱えたという。




 [i]はKendrick Lamarの曲名から取りました。
 I love myself.自分を愛している。
 一時期狂ったように聞きました。だぁいすき。
 良かったら皆様も聞いてみてください。Hiphopはいいゾーコレ
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