桜を得た太陽のサイヤ人   作:森雄

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決戦までの経緯

GEAR2(セカンド)!」

 

 "覇王拳"GEAR2(セカンド)二面性を持つ動物(デュアルス・ゾオン)

 

 背中に浮かんでいる獅子を象った日輪から溢れる膨大な気と覇気が、俺の全身を獅子の毛皮のように覆い尽くし、髪も獅子のタテガミを思わせる状態になっていた。

 

「なにをしようが……」

 

 ロッチが一瞬で俺の前に移動しては強力な風と気を纏わせた鉤爪のような形状で突きをしてきた。

 刺されば確実に胴体をまるごと貫かれて死ぬだろうな。

 

 バキッ……ン!!?

 

 ……このGEAR2(セカンド)じゃなかったらな。

 

 ロッチの突き出してきた腕が折れた(・・・)

 

「グァアッ……!!?」

 

 ロッチは折れた腕を掴んで苦しんでいた。

 そんなロッチの顔面に強力な拳を叩き付けた。

 

「壊れろ!」

 

 ドスの利いた声と共に強烈な劫火と閃光を纏った拳がロッチの顔面に火傷を負わせ、フリーザが乗ってきた宇宙船にまで殴り飛ばした。

 ドゴォンッ!と大きな音を鳴らしながらも大きなヒビ割れを宇宙船に残した。

 ダメージを負うロッチにすぐさま近づいた俺は腕を気と覇気でゴリラのような腕に構成して、更に殴りつけた。

 

 すると俺とロッチは宇宙船を壊しながらも中へと入った。

 

 ロッチは宇宙船の中に無理矢理入船させられたことに気付くと空気を蹴って俺から距離を取ると同時に脚で狼の姿をした斬撃を大量に放ってきた。

 

 "斬群狼(ザクロ)"

 

 群れとなって狼の斬撃が襲い掛かってくる。

 そんな狼の斬撃に俺は吼えた。

 

「うぉおおおおおおっ!!!!」

 

 強力な遠吠えによって生じた轟音が狼の斬撃を一掃した。

 

「なにっ!?」

 

 驚くロッチを無視して俺は足蹴りした。

 

「潰れろ……っ!」

 

 腕の時と同様に脚も同じように象の脚みたいな大きさにして、ロッチの全身どころか宇宙船の面積を超えてしまったことで半壊していき、宇宙船の残骸と共に岩へと踏みつけた。

 

 脚をどけると全身が血みどろになって瓦解した岩と共に倒れるロッチ。

「ゼェ……ッ!ゼェ……ッ!ごぼっ……!?」と息を切らしながら吐血するロッチに近づいていく。

 立ち上がったロッチの目にはまだ戦闘の意志を秘めていた。

 

 とどめを刺そうと一歩を足を進めようとした時だった。

 

 心臓がドクンッ!?と跳ね上がるような鼓動が全身を襲い、口から血が溢れてきて吐血した。

 片膝を着いて息を切らして大量の汗を流す俺。

 

「お兄ちゃん!?」

「悟旦っ!?」

 

 悟飯とクリリンさんの声が聞えてくる。

 やっぱり……無理をしすぎた……

 

 "覇王拳"GEAR2(セカンド)の負担はGEAR1(ファースト)の約2~2.5倍ある。GEAR1(ファースト)でも10~15倍の"界王拳"の威力と負担を持っている。修行で熟れたとはいえ、GEAR2(セカンド)の負担は地球で限界を超えて4倍"界王拳"を使った父さんの時よりも10倍近くの大きなダメージが俺を襲っている。

 

 唯でさえロッチとの戦闘で何度も重傷を負ってはGEAR1(ファースト)を使って治療をしていても傷を治しただけで疲労感やダメージは残ったままだ。

 その上でGEAR2(セカンド)を使用したんだ。

 

 既に立ってるだけでも辛いほどの疲労感とダメージが溜まってしまい、今の状態にいる。あまりの負担にGEAR2(セカンド)が自然に解けてしまった。

 

 俺が不調になったことを見逃さなかったロッチが一瞬で近づいてきた。

 距離を取ろうとしたが、奴の尻尾が俺の身体を巻き付けていて逃げられなかった。

 

 "歯挺(ハティ)"

 

 黒い狼の顔を思わせる気を内包した十本の指を上下に構えて打ち込んできた。

 

 当たった場所から血が噴出した。意識が薄れていく……

 ロッチの尻尾が離れたことで前のめりに倒れようとした。

 

「お兄ちゃんっ!!?」

「……悟……旦……っ!?」

 

 父さんと悟飯の声で薄れそうになっていた意識が覚醒し、倒れそうになっていた身体に力が湧き上がり、右脚を一歩前に出したことで倒れることはなかった。

 

「なっ!?」

 

 ロッチは俺が倒れなかった事に驚愕する。

 

「なっ……なぜまだ生きている……!!?」

 

 ロッチはとても困惑していた。

 俺はそんなロッチを無視して攻撃した。覇気を纏った拳がロッチの身体に深く殴りつけた。その拳に纏った覇気が強かったのかロッチが吐血するも、身体中に風を纏ったロッチが折れていない手足を使って攻撃をしてきた。

 

 "タイラント・テンペスト"

 

 手足に竜巻のような風をロッチにGEAR1(ファースト)を使って何度も何度も手足を打ち込み続けながら殴打の速度を倍速で上げていき、摩擦熱で溢れ続ける焱を纏いながら猛攻撃をロッチの身体中に打ち込んだ。

 

 "千海照神・日拳"

 

「「うぉおおおおおおおおっ!!!!」」

 

 何十発、何百発、千発と荒々しく激しい猛攻撃がお互いの身体を壊していく。二人から放たれる風と炎が竜巻となって二人を包み込む。

 

「貴様は、なぜ倒れない!」

「テメェこそ……なんでそんなに人を殺すんだ!!」

 

 互いの身体を壊しながら、俺達は言葉を掛け合う。

 

「決まっている!この宇宙の全星人がオレの餌だ!!この宇宙の全てはオレが喰らう為だけにあるっ!!」

「そんなものに……俺は負けねぇ!!!」

「この宇宙は戦場であり弱肉強食の戦場(えさば)だ!フリーザ軍も効率よく(えさ)を得る為に入った。このオレが無限に食らい付くして強くなるためだ!全ては、このオレだけが生きるためにある!!」

 

 ロッチの言葉と共に突き出された拳が顔面に当たる。

 口から血が飛び出るも、俺は自己中心的な発言をするロッチに怒鳴りつけた。

 

「うるせぇ!!この宇宙で一人で生きてる人間なんているわけねぇだろぉお!!!」

 

 俺の攻撃の速度と威力が更に上昇していき、ロッチの身体を2~3倍以上になって壊していく。俺の攻撃を受けて攻撃の手が止まり、徐々に身体中を火傷で覆われていくロッチ。

 GEAR1(ファースト)からGEAR2(セカンド)に切り替えて、太陽のような日輪を有した獅子を象る覇気と気を纏った拳がロッチの身体の中心に打ち込まれた。

 

 "レオレックス・バースト"

 

 強力な火力で打ち込まれたその拳が、ロッチの身体を塵もなく吹き飛ばし、その身体の中心に大きな穴を作りだした。

 

「……ば……か……なっ」

 

 ロッチは口から大量の血を吐き出しながら後ろめりに倒れた。

 

「……はぁ……はぁ……俺の……勝ちだ……!!」

 

 そう言って俺は意識を失った。

 

 ──────────────────────────────

 

「お兄ちゃん!!」

「悟旦っ!?」

 

 意識を失った悟旦が倒れたことで心配した悟飯が悟空の支えをクリリンに任せて悟旦の元へと向かった。

 クリリンも悟旦を心配しながらボロボロな悟空を置いていくわけにはいかず、彼を連れて悟旦の元へと向かった。

 

 悟飯が先に悟旦の元へと辿り付いて気付いた。

 悟旦が死戦期呼吸の状態だった。悟飯が気付いたのは学者を目指して勉強をしていたからだ。悟飯は一年間の勉強不足を治療を受けていた間に半年分近くまで勉強を補っていた。

 その勉強の中には人の死に関する書物もあったことで悟飯は悟旦が重篤状態にいることを悟り、焦っていた。

 

「お、お父さん!どうしようっ!?お兄ちゃんが……!?」

「くっくっく……今なら鬱陶しい貴様らを消し去るくらいわけはないな」

 

 悟飯が悟空へと必死になって対応を考えていると、ベジータがクツクツと笑みを浮かべながら近づいていた。

 

「……宇宙船の中に来い。カカロットとそのガキを治療してやる。フリーザとグレイシアと闘うには貴様らの……特にカカロットとそっちのガキの力が必要だからな……早くしろ!いつフリーザ達が戻ってくるか分からんぞ!」

 

 そう言ってベジータが宇宙船へと向かって行った。

 

 クリリン達は少し考えていたが、悟空と悟旦の状態を考えてベジータに従った。

 

 ベジータ達はグレイシア達が乗ってきた宇宙船へと乗船し、治療室へと向かって行った。

 治療室に到着すると、そこにはカプセルのような治療装置が幾つも置かれていた。

 

 ベジータはそのカプセル二機に悟空と悟旦を一人ずつ入れて医療用液体が充満していき、二人の身体を浸からせていく。

 

「ベジータ。これは……」

「メディカルマシーンと言ってな。フリーザの宇宙船のメディカルマシーンはオレとこっちのガキが壊しちまったからな。グレイシアが乗ってきた宇宙船は新型が壊れずに助かったな。ガキの方は全快するまで時間が掛るだろう」

 

 そう言ってベジータはメディカルマシーンを設定し終えた。

 ボロボロな悟空は服を着用した状態で治療されており、重篤状態の悟旦は生まれたての姿となり治療されていた。

 二人とも液体に含まれた麻酔・鎮静作用の成分が二人の痛みを和らげていた。

 

 悟空と悟旦が治療を受けている間。クリリンは生き残ったナメック星人達からドラゴンボールの起動させる方法を尋ねに行った。悟飯はドラゴンボールの安全を見守っていた。

 その間にベジータはメディカルマシーンの近くで仮眠を取っていた。

 

 ベジータは地球での戦闘を終えてからフリーザ軍のアジトがある星にて治療を受けた後、このナメック星へと飛び立った。

 その後はドラゴンボールの奪取や敵との死闘などで殆ど休むことなく数日を過ごしていた。

 その疲労が今、ベジータを襲ってきた。

 

 だが、タイミングはとても良かった。

 

 フリーザとグレイシアはおらず、共通の敵を倒す為に必要な悟空と悟旦(そんざい)は治療中。休むにはとても良いタイミングだった。

 故に、彼は心と体を休めていた。

 

 しかし、全てがベジータに味方をしているわけではない。

 

 ナメック星人の最長老が気を利かせてクリリンと悟飯が助けたデンデという若いナメック星人をよこした。

 最長老の所へと向かっていたクリリンと途中で再会してすぐさま宇宙船へと戻ってきてはベジータが休んでいる間にクリリン達はこっそりとドラゴンボールを使った。

 

 ナメック星のドラゴンボールはナメック星人だけが使っていた。それは即ち、ナメック星人が使うナメック語でしか起動しない代物だった。

 

「タッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ」

 

 デンデのおかげでドラゴンボールが起動して七つの玉から緑色のドラゴンが現れた。

 

「さぁ、願いを言え。どんな願いも三つ叶えてやろう」

 

 そのドラゴンはワニのような顎や人間の様な上半身が存在し、かつ結構な筋肉質で厳つい体型をしている龍王やナーガやランプの魔神を思わせるシルエットをしていた。

 そのドラゴンの名はポルンガという。

 

 どんな願いを叶えようかと考えているクリリンと悟飯に界王星にいる界王を通してピッコロが自身を生き返らせる事を伝えた。

 

 ピッコロが生き返ると、地球の神も蘇ると同時にドラゴンボールも復活する。

 そして、ピッコロは生き返った自分をナメック星に転移させるように伝えた。その事に驚くと同時に止めるように伝える界王を無視して悟飯達に頼み込んだ。

 

『オレは闘いたいんだ!!生まれた故郷でお、オレと同じ仲間だという連中を殺したフリーザってやつとな……!!オレはここで遙かに力を増した!!必ずそいつはを倒してみせる!!その星にオレを呼ぶんだ!!』

 

 ピッコロの頼みに悟飯は了承してデンデに頼みピッコロの蘇生。そしてナメック星へと転移させた。

 

 しかし、そんな時だった。眠っていたベジータが強力な戦闘力を感じ取った。

 

「なにかが近づいてくる!!すさまじい戦闘力が二つ……!フリーザとグレイシアだ!!」

 

 そして、漸く空が暗くなっている事に気付いた。

 なぜなら悟飯とクリリンがベジータを出し抜いてドラゴンボールを使っているのだ。その答えに辿り付いたのは光の柱のように見える中にいる緑色のドラゴンだった。

 

「あ、あの化物は……!!」

 

 その存在とドラゴンボールや悟飯が無くなっている事に気付きすぐさまドラゴンボールの元へと向かっては悟飯達に強い怒りを向けていた。

 悟飯が慌てて三つ目の願いが残っている事を口走ってしまったことで怒りは少しばかり収まり三つ目の願いでベジータの不老不死化を願わせようとしていた。

 しかし、ベジータに対して難色を示す悟飯達は了承できずにいたが、迫り来るフリーザ達の事を考えて了承した。

 

 ベジータは願いが叶うと同時にサイヤ人としての能力である「復活による強化」を不老不死によって無限ループしてフリーザに勝利しようと考えていた。

 

 しかし、残念な事にベジータの願いは潰えた。

 突然ポルンガが消えたと同時に天に昇っていたドラゴンボールが石となって落ちてきた。その事に困惑するベジータだがデンデは最長老が死んだ事を悟った。

 

 ベジータは怒り狂いそうになるも、彼見てしまった。

 

 自分達を見下ろすフリーザとグレイシアの存在を……!

 

 そこからフリーザとベジータ達の死闘が始まった。

 グレイシアは興味がないのかいっさい戦闘に加わろうとしなかったが、それはフリーザ一人で十分すぎるとわかっていたからだ。

 しかし、フリーザとグレイシアにとって誤算が一つあった。

 今までフリーザを相手にまともに戦えた存在がいなかったのだが、ベジータがフリーザ相手に戦えていた。

 

 調子に乗ったベジータはフリーザの腰巾着ともいえるザーボンが言っていた変身をするように告げた。フリーザは調子に乗ったベジータに変身した姿を見せた。

 

 フリーザ軍の鎧を壊し、第一形態といえる姿から角の長さや身体の大きさまでもが肥大化した。フリーザ第二形態の気に圧倒されるベジータ達を痛めつけながら殺そうとするフリーザ。しかし彼等の戦いは思ったよりも長引いていた。

 

 フリーザの角で重傷を負ったクリリンとフリーザの猛攻で重傷を負った悟飯の復活。デンデの癒やしの力。

 そして、急激な力を手にし、戦場へとやってきたピッコロが加わった。

 

「あら。今までのナメック星人よりは強いですわね」

 

 フリーザ達の死闘を眺めていたグレイシアはピッコロをそう評価した。

 

 ピッコロとフリーザの一騎打ちが行なわれた。ナッパに倒されたピッコロがフリーザ第二形態と同等に闘える程にまで強くなっていた。

 そんな彼等の戦いを治療を受けている悟空と悟旦も感じていた。

 

 以前よりも強くなっている師に悟旦はマスクの中で口角が上がる。

 

(ピッコロさん。こんなに強くなったんだ……)

 

 そう喜んでいるのもつかの間。フリーザの気が膨れ上がった。

 

 現場では大柄なフリーザの姿がかなり変貌した。

 全身に角・突起物が増え、後頭部が縦長になり、全体としてエイリアンのような禍々しい姿となっていた。

 そこからは一方的だった。

 

 ピッコロの戦闘力を上回るフリーザの第三形態が圧倒していき、指先から放たれる細いビーム状の気功波が撃ち抜いていく。

 

 撃たれるにつれて徐々に気が下がっていくピッコロ。

 そんなピッコロの危機を感じ取った悟旦はメディカルマシーンの中で徐々に覇気が漏れ出していく。

 

 そして、ピッコロの危機にジーッとできないのはもう一人の弟子も同じ。

 

「やめろ──────っ!!!!」

 

 悟飯だ。

 

 悟飯は気を打ちながら笑い続けるフリーザに足蹴りする。

 しかし、フリーザが悟飯の攻撃に気付いて回避するが、すぐさまフリーザの上空へと移動して左手に膨大な気を集中した。

 

「おまえなんか死んじゃえ──────っ!!!!フルパワーだ──────っ!!!!」

 

 フリーザを押し潰さんとする程の膨大な気功波が放たれた。その勢いと威力によって生じる突風がその場に生じた。

 

 悟飯が放ったその威力に押されていたフリーザだったが、両手両脚で悟飯へと跳ね返した。

 

「!!」

「くっ!!!」

 

 悟飯の危機にピッコロが気功波を放ち相殺した。

 

「あの子。さっきより強くなってるわね」

 

 グレイシアは悟飯が強くなっている事に気付いた。

 

「強くなったのは復活した後だったわね。まさか、サイヤ人!?ベジータ達三人以外にはいないはず……惑星ベジータの破壊の際に既に別の星に送られていた子供の子孫なのかしら?それともベジータ達の誰かの子供?」

 

 グレイシアがそう考えているとフリーザが大声で告げた。

 

「大サービスでごらんにいれましょう!!わたくしの最後の変身を……わたくしの真の姿を!!!」

『!』

 

 誰もが驚愕と恐怖した。

 

 フリーザが気を高め始めようとした時だった。

 

 突如として赤黒い稲妻がフリーザに落ちた。

 落雷の如き轟音が鳴り響くと同時に、フリーザの動きが錆び付いたブリキ人形の如く動きづらくなっていた。

 

「っ!!!?……こ……これは……まさか……」

「あれは覇王色の覇気!?どこから……っ!!?」

 

 グレイシアは驚愕して覇気の発生源へと視線を向けた。彼女も覇気使い。気の感知能力を習得していないが見聞色の覇気でフリーザよりも感知能力を携えている彼女はその力を持って探知した。

 

 その場所はなんと彼女が乗ってきた宇宙船の中からだった。

 

「あたくしが乗ってきた宇宙船!?どういうことかしら……?」

 

 見聞色を更に強めて感知を能力を高めると宇宙船から二つの生命力を感じ取り、その内の一つから覇王色の覇気が放たれている。

 その事を感じ取ったグレイシアは興味を持った。興味を持たないはずがない。

 

「あたくし以外に覇気使いがいるのは知ってましたけど……まさか、唯の子供が覇気使いだったなんて……フフフ。楽しくなってきましたわね」

 

 グレイシアはまるで恋する乙女のような表情を浮かべていた。そんなグレイシアと動けないフリーザの隙を突いて負傷しているピッコロを連れてデンデのもとで治療を受ける悟飯達。

 

 ベジータはクリリンに瀕死に追い込ませてデンデに治療させた。

 

 そのお陰で、更に力を手にしたベジータは覇王色の威圧感から解き放たれたフリーザへと挑む。

 しかし、彼等は忘れていた。

 

 フリーザはあと一つ。変身能力を隠している。

 

 悟飯達の戦闘やドラゴンボールによる不老不死の入手不可。そして覇王色による威圧によって邪魔をされた事に彼の怒りは最後の変身を決断し、ベジータを相手取る前に変身を終わらせた。

 

 その姿は突起物や外殻が無くなって白い体色となり、紫色の水晶体を両肩や頭部など身体の幾つかの箇所にでており、今まで悟飯達が見た形態の中で最も人型に近い容姿をしていた。

 

「小さくなって迫力が無くなったな」

「外見で実力を判断するなという良い見本だ。今までの方がずっと可愛かったぜ……」

 

 クリリンの思いにピッコロは油断するなと注意した。

 

 ピッコロの忠告が正しいと言わんばかりにフリーザが一番弱いデンデを殺害しようとしたら指先から気功波を放った。

 ピッコロと悟飯とクリリンが反応できない中、ベジータは反応して近くにいたデンデを助けた。

 デンデはベジータに叩かれるとその場に伏せた。

 デンデがいた場所を通り過ぎていき、更に奥の地面に衝突して爆発した。

 

 フリーザの攻撃を見切れなかったピッコロはフリーザの力の一端と見切れたベジータの強化に驚愕すると同時に困惑していた。

 ベジータはフリーザ相手に一対一(タイマン)でフリーザ打倒を目論む。しかし、そんな強くなったベジータを更に強いフリーザには通用せず、唯々遊ばれていた。

 

 ベジータは涙を流した。デンデによってサイヤ人としての特性から強くなったにも関わらず、フリーザに届いていなかったという現実を知って絶望した。それからは一方的な蹂躙だった。

 ベジータに実力差を示しながらもドラゴンボールによる宿願の邪魔をされた怒り。自身を裏切った愚行によって味わった屈辱。

 それらを解消するためにフリーザは意気揚々とベジータを痛めつけ、見ているピッコロ達に絶望感を与えていた。

 

 そしてベジータの命が奪われそうになった時だった。

 

 ピッコロ達の後ろに二人の強大な気が降り立った。

 降り立った際の風で誰もが風がした方へと視線を向けた。

 

 そこに立っていたのは他ならない。孫悟空と孫悟旦だった。

 

 復活した地球育ちのサイヤ人と覇気使いの混血サイヤ人が戦場へ舞い降りた。

 

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