桜を得た太陽のサイヤ人   作:森雄

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決意と修行

「……ん」

 

 俺は……なにをしてたんだ?

 意識が朦朧としている中、起き上がると父さんとラディッツが胸に穴を開けて倒れた。

 

「父……さん……」

 

 あまりの光景に理解が追いつかなかったが、すぐさま朦朧としていた意識が覚醒していき、弱り切った体で走ったせいか、何度も転倒しながらも父さんの元へと駆け寄っていく。

 

「ぐ……!!ちくしょおおぉ……こ……この俺が……こんなやつらに……や……やられる……とは……」

「はぁっ……はぁっ……ざ、ざまあみやがれ……」

 

 そう言ってピッコロという人が倒れたラディッツへと歩み寄った。

 自身が死ぬ事が信じられないのか呟いているとピッコロが何かをラディッツに話していた。

 だけど、俺にとってはそんな事はどうでもよかった。

 

 俺は漸く父さんの元に辿り付いた。

 

「父さん……!?」

「へへ……ご、悟旦……でぃじょうぶ……か?」

「うん……僕よりも、父さんが……」

 

 父さんが死ぬ。

 それほどの傷を受けている父さんをどうやって助ければいいのかわからず、あたふたするしかなかった。

 

「ご……悟旦。でぃじょうぶだ……ドラゴンボールで生き返れる……からな」

「!ほ、本当……?」

「あ……あぁ……」

 

 泣きそうになる俺を落ち着かせようと父さんが頑張って俺の頭を撫でてくれた。

 そんな会話をしていると武天老師様達がやってきて、ブルマさんが悟飯の様子を確認してくれていて、クリリンさんは父さんの状態が信じられずにいた。

 武天老師様はピッコロから今までの経緯を聴いていた。

 

 どうやら一年後にはさっきのサイヤ人以上の実力者が二人もやってくるそうだ。

 

「ク……リリン……死ぬってのは……けっこういやなもんだな……」

「ま、まぁな……でも安心しろ。すぐに生き返らせてやっから……」

「へへ……た……の……む」

 

 もう殆ど目が閉じかけている。もうすぐ、父さんは死ぬんだと感じた。

 

「父さん!今度会うときは俺が皆を守れるようになるから!」

 

 俺が涙ながらにそう告げると、父さんは驚いた表情をするもすぐさま力無く笑った。

 

「はは……たの……し……みに……して……んぞ」

 

 そう言ってガクッと力無く父さんが息を引き取った。

 父さんが死んだ事に哀しみが心を支配していくけど、父さんの体が消えた事にクリリンさんと武天老師様と一緒に驚いた。

 

「き、消えた……!?」

「神のヤツかの仕業だな」

 

 父さんの体が消えた原因を悟ったのかピッコロが神の仕業だと告げた。

 

「え……!?孫くんの死体を神さまが……!?」

「ど……どうするんだろ……」

「し、しかし。神様じゃったら安心してよかろう……」

 

 そんな会話をしているクリリンさん達を無視して、俺はピッコロ……さんに近づいた。

 

「なにかようか……孫悟空のガキ?」

 

 俺が話したそうにしている事に気付いたのかそう訪ねてきた。

 

「ピッコロ……さん。一年後にはあのサイヤ人より強いサイヤ人が来るんですよね?」

「そうだ」

「お願いです!俺を鍛えて下さい!!」

 

 俺がそう頼んだ事にピッコロさんは感心したような表情になり、聞こえたのかクリリンさん達は止めてきた。

 

「ま、待てよ悟旦!いくらなんでも……お前が戦うのは……!?」

「いいだろう。お前ともう一人のガキを鍛えてやる!」

「ありがとうございます!!」

 

 ピッコロさんが了承してくれたのでお礼を言った。

 

「お、おい。ピッコロ!?」

「一年後に来るサイヤ人にはコイツともう一人のガキの力が必要だ。そのためにはこの俺が鍛えてやるしかなかろう」

「う……うむ……悟空や母親の父にきいてからでないと……」

「そんな時間の余裕はない!ガタガタぬかすと貴様等を殺してでももらっていくぞ!」

 

 そう脅迫しながらも、俺と悟飯を持ち上げてどこかへと飛んでいった。

 

 ────────────────────────

 

 ピッコロさんがどこかへとやってくると今も気絶をしている悟飯を川に投げ込んで無理矢理起こした。

 

「ちょ……!?悟飯になにを……!?」

「黙っていろ!」

 

 悟飯は溺れかけたことで漸く目を覚ました。

 ピッコロさんの容姿と父さんがいない事を知って、恐慌する悟飯を落ち着かせた俺。

 

「落ち着け、悟飯!」

「お、お兄ちゃん~~~!!」

 

 なんとか宥めた俺はピッコロさんから重要な話を二人で聞く事にした。

 父さんの死・一年後に来訪する二人のサイヤ人の打倒・打倒への修行という話をしたのだが、悟飯にとって父さんの死はやっぱりとても悲しいことだ。

 俺も目の前で父さんが死んだ時はそうだった。

 

 父さんがドラゴンボールによって生き返る事を教えた後、悟飯と俺に戦術を身につけさせる事を告げるピッコロさん。

 一度も鍛えたことがない悟飯は自身にそんな力があるはずがないと思っている。俺もラディッツを相手に激情して凄い気を出していたのを見るまでは、同じ事を思っていただろうな。

 

 自身の力を自覚させるためにピッコロさんが悟飯を岩に投げ付けた。

 

「悟飯────!」

「わ──────っ!!!あ────────っ!!!!」

 

 怯えている悟飯が一瞬で怒りの表情を浮かべると、ラディッツの時以上の強力な気が膨れ上がって、岩に向けて気攻波を放った。

 

「「!!」」

 

 ド……ンッ!!!

 

 岩があった場所の延長線上が気攻波で大きく消し飛んでいた。

 

「す……凄い……!」

 

 ラディッツの時で凄いことは知ったけど、まさかここまで……っ!?

 そう驚いているのは俺だけじゃなく、ピッコロさんもだった。

 

「孫悟飯はわかった。次はお前だ」

「え?」

 

 ピッコロさんがそう呟いたのを聞き間違えかと思ったけど、ピッコロさんが悟飯にやったように、俺まで別の岩に投げ付けてきた。

 

「わ──────っ!!!」

 

 あ、あの人!巫山戯んなよ!!いくら父さんに鍛え上げられてるとはいえ、死ぬぞ……!?

 マズイ!死にたくない。

 どうすれば……!!?

 

 悩んでいると、俺は走馬燈のようにさっきの悟飯やラディッツの時を思い出すと、怒りが力の発生源だと気づけた。

 だから、怒りを最大限に発揮してみた。

 

 すると、体の奥底から気とは違う何かが溢れてくる。この何かを拳に纏わせて殴りつけた。

 

「日拳!」

 

 ボォウ…………ンッ!!

 

 拳を振うと岩の端っこから約200mほど離れた大地までもが抉れるように焼け焦げた大地が残った。

 

 それを見ていたピッコロと悟飯は大変驚いていた。

 かくいう俺も大変驚いている。

 俺には気とは違う何かを持っているのか?

 

「(お……おどろいた……あのガキ共は想像以上の力を秘めている……)」

 

 ピッコロがそう思いながらも俺達に告げた。

 

「なんとなくお前達もわかったようだな。お前達は相当に感情が高ぶったときにだけ、本来の秘めた力を発揮する……しかしそれは、ほんの一時でしかない。それでは勝てん……特に孫悟旦。お前は気と似かよった別の力を有しているようだな。あのラディッツというヤツを触れることなくダメージを負わせているほどだ。だが使い熟せておらん。この俺が戦い方を叩き込んで最強の戦士にしてやる。わかったな……」

 

 そう言われてからは俺と悟飯は別々の場所に移動させられた。

 俺は父さんに鍛えられていた事から重り付きのピッコロさんと似た道着へと一瞬で着替えさせられた上で、剣を渡されて修行生活を行なうことになった。

 

 俺は兎に角、体を鍛えていった。

 怒りによって生じたあの焼き焦げた大地を起こした奇妙な力を使えるようにしないと……

 

 そう思って、ラディッツが悟飯にやったことを思い出しながらも怒りを込めていった。

 すると、気に似た何かが威圧感と一緒に出てきている。

 気に似ているけど、かなり別の力だ。

 

 でも、感情が高ぶって気が上昇するのと同じな事から関係してるのは間違いない。

 

 そう思いながらも、俺は只管に修行に明けくれていた。

 

 先ずは腕立て伏せなどの筋トレで体をトレーニングしてから、気のコントロールをして、次に瞑想で怒りの感情を上げる事で、気に似た何かについて把握することを一日のルーティンにした。

 

 そんなルーティンをしてから三ヶ月が立った頃に、気に似た何かについてわかった事が三つあった。

 

 一つ目は「声」が聞えること。

 これは近くにいた恐竜や鳥などから人間みたいな声が聞えるようになった。

 恐竜たちが人間の様に喋れるわけじゃない。ただ「お腹減った」や「疲れた」という恐竜たちの気持ちが声のように聞えるということ。

 

 二つ目は体に「纏う」こと。

 意識して腕に集中すると、腕の色が変色していた。その状態の時は襲ってきた恐竜に引っ掻かれても傷がなかった。その代わりに恐竜の爪の方が欠けていた。

 恐らく肉体の表面を硬くすることができるんだろう。

 

 三つ目は相手を「威圧」すること。

 襲ってきた恐竜を睨みつけたら、冷や汗を大量にかきながら前のめりになって気絶した。

 

 この三つが俺が持つ気と似た何かの特徴だった。

 

「声」に関しては気配を感じ取ることから気を感知する特徴に似ていた。

 

 ピッコロさんがいう六ヶ月まであと三ヶ月でこの力を完全に把握して意識して扱えるようにしておきたい。

 そう思って一日のルーティンを二倍以上の量と質で頑張った。

 

 量と質を二倍に増してルーティンを行なっていく中で、何とか三つの特性を自分の意志で扱えるようになった。

 

 特に「声」に関しては寝てるときにも聞えていたから安眠できて助かる。

 そうして修行を続けていくこと六ヶ月が過ぎた。

 

「少しはマシになったようだな」

 

 ピッコロさんの声が聞えてきたから視線を向けると悟飯を抱えて宙に浮いていた。

 

「ピッコロさん、悟飯!」

「お兄ちゃん!」

 

 ピッコロさんが抱えていた悟飯を放り投げてきたから、すぐさま受け止めた。

 

「大丈夫か、悟飯?」

「う、うん……」

 

 悟飯が無事である事を確認するも、この六ヶ月であの泣き虫な悟飯が随分と逞しい表情になっていた。

 

「悟飯……見ない間に随分と逞しい表情になったな」

「そ、そう?自分じゃよくわかんないよ」

「いいや。だいぶ変わったぞ。泣き虫だった悟飯とは思えない表情だ」

「う……っ!?泣き虫は余計だよ」

 

 悟飯が拗ねたように言ってきたから苦笑してしまった。

 しかし、もう一つ気になる事があった。

 

「悟飯。お前、尻尾はどうしたんだ?」

「え?いつのまにか切れちゃった」

 

 悟飯に生えていた尻尾が切れていたんだ。

 どうしたのかと聴いてみるも、悟飯自身もいつ切れたのかしらなかった。

 

「おい!お喋りはそこまでだ。今日からお前達を鍛え上げる。先ずは孫悟旦だ。貴様の奇妙な力を見せてもらうぞ」

「はい!」

 

 俺はピッコロさんに構えた。

 

「いつでもこい!」

「じゃあ。遠慮なく」

 

 ピッコロさんがそう言うから遠慮なく、気で強化した身体能力で颯爽とピッコロさんに近づいた。

 一瞬で近づいた事にピッコロさんは驚愕した表情をしていたので、すぐさま殴りつけた。

 だけど、ピッコロさんが付けているマントで防がれた上に、まるで闘牛士みたいに俺をあしらった。

 

 あしらわれた事で一回転して降り立った時に左手の指を龍の爪のように構えて大地に叩き付けた。

 すると、俺とピッコロさんがいる大地に亀裂が走っては、大地が浮き上がったり、陥没したりと足場を不安定な状態にした。

 

「わ、わぁあ!?」

 

 離れていた悟飯には影響はなかったみたいだが、目と鼻の先に大地が浮き上がっていた。

 

 浮き上がった大地を殴りつけては瓦礫をピッコロさんに飛ばしていた。

 ピッコロさんは簡単に回避した。

 

「(後ろが疎かだな)」

聞えて(・・・)ますよ」

 

 そう言って、右手に溜めていた気攻波を背後に現れたピッコロさんに放った。

 

「!?」

 

 先を詠まれていた事に驚くピッコロさんを無視して、気攻波が迫り来る。

 ピッコロさんは避けるのではなく、気攻波の横部分に手を当てて弾いた。

 

「当たったと思ったのに……」

「惜しかったが、甘かったな!」

 

 そう言って気攻波を弾いていない手で気攻波を放ってきた。

 俺は上空に逃げて回避したけど、ピッコロさんの目から放たれたビームが当たりそうになったので両手で気攻波をビームの間に挟み込んだ。

 するとビームと気攻波が衝突して爆発が生じた。

 

 その爆発で後ろへと飛ばされてしまった。

 

 体勢を整えてピッコロさんに視線を向けると、すぐ目の前にまで近づいていて、俺に手刀を行なってきた。

 俺は回避しながら逆に殴ったり蹴りを入れていた。

 何度も何度も互いの攻防が交わされていく。

 

「す、凄い……」

 

 その光景に悟飯はとても驚いていた。

 それはピッコロさんもだった。

 

「(たった六ヶ月でこうも実力を付けるとはな……だが)まだまだ甘い!」

 

 そう言って片腕をゴムのように伸びてきた。

 

「いぃっ!?」

 

 あまりに驚く光景に攻防ができず、脚を掴まれてしまってピッコロさんの元へと引っ張られてしまった。

 だけど、右手に気を集めようとしたけど、ピッコロさんが掴んでいた手を離した上で目からビームを出してきた。

 対応できず当たってしまったせいで、痺れてしまった。

 

「アバババババッ!?」

 

 全身からプシューッと煙を上げながら大地に伏せてしまった。

 

「まだまだ甘いが、残りの六ヶ月で鍛え抜いてやるから覚悟しろ」

「は、はい……」

 

 痺れが抜けなくて地に伏せた状態で返事を返した。

 その後、ピッコロさんは悟飯と組み手を交わしたが、ピッコロさんの動きを見極められなくて簡単に背後から攻撃を受けていた。

 

 そして、ピッコロさんの指導の下で六ヶ月が過ぎて、約束の一年がやってきた。

 

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