桜を得た太陽のサイヤ人   作:森雄

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6ヶ月もお待たせしてしまい、申し訳ございません。
少しずつですが、投稿を再開していきます。


悲劇の終末

「ご……悟空……!!待ってたぞ……!!」

「お……お父さん……!!」

 

 悟空の登場に歓喜するクリリンと悟飯。

 

「わざわざなにしにきやがった、カカロット。まさか、この俺達を倒す為などというくだらんジョークを言いに来たんじゃないだろうな?」

 

 余裕の笑みを浮かべて傲慢な発言をするベジータを無視して、悟空はピッコロの脈を測るも心臓の動きが停止している事を打ち付けられた結果となった。

 ピッコロの死を悲しんでいる悟空は他にも倒れているヤムチャや天津飯、そして爆死した餃子までも死んだ事を悟った。

 仲間を失った哀しみ。奪った相手への怒りを心内に秘めながら、筋斗雲に乗っている悟旦へと話しかけた。

 

「悟旦。しっかりしろ!」

 

 そういって悟旦を擦った。

 

 気を失っている悟旦が意識を戻した。

 

 ────────────────────────────

 

 目の前がぼやけながらも、俺は目を開いた。

 すると、そこに一年ぶりに見る事となった父さんの顔があった。

 

「父……さ……ん」

「よく頑張ったな、悟旦」

 

 父さんが優しく俺の頭を撫でてくれた。

 そのせいか、俺は涙が止まらなかった。

 

「ごめん……父さん……俺、約束を守れなかった……!」

「悟旦。おめぇが悪いわけじゃねぇ」

 

 父さんがそう慰めてくれた。

 俺と悟飯を連れてクリリンの元へと移動した父さんは、腰に付けている小袋から何やらえんどう豆のような豆を取りだしてきた。

 

「悟旦。仙豆だ、食え」

「うん……」

「クリリンと悟飯はわりぃが半分ずつで頼む」

 

 そう言って俺達三人は仙豆を食した。

 

 すると、先程までのダメージが疲労感と共に消え去った。

 

「凄い……!」

「カリン様。まだ仙豆を持ってたのか?」

「あぁ」

 

 俺は筋斗雲から降りた。

 

 俺達が話しているとベジータが倒れながらも近づいてくるナッパに視線を向けていた。

 

「す……すまねぇ……ベジータ。あのガキの……せいで……立ち上がれねぇんだ」

 

 そう言って手を伸ばす。

 そんなナッパの手を掴みはしたが、ベジータは力強く中空へと放り投げた。

 

『!!』

 

 突然の行動に驚愕と困惑する俺達。

 

「わああああ──────っ!!!!なっ、なにを……!!ベジータ!!!ベジータ──────────────ッ!!」

「動けないサイヤ人など必要ない!!」

 

 そう言ってベジータが膨大な気を出した。

 

「死ね!!!!」

 

 ベジータはその場から一歩も動く事なく気功波を放ち、ナッパを殺害した。

 

 膨大な気攻波の爆発が俺達のいる場所にまで届きそうだった。

 

 ナッパを呑み込んだ気功波が周囲に強力な爆風が呑み込んでいく。

 父さんはクリリンさんを、俺は悟飯を連れてベジータから離れた上空へと移動していた。

 

「な……なな……なんてやつだ……じ、自分の仲間までこ、殺しちまいやがった……」

 

 父さんもベジータの卑劣さに驚いている。

 その後、父さんが自分一人でベジータを相手すると言った。ベジータと戦闘経験がある俺からすれば、ハッキリ言って一人で相手できるような相手じゃない。

 そう思って伝えてはみたものの、父さんは一切受け入れてくれなかった。

 

 見た事のない父さんの怒りに困惑しながらもどうにかして父さんを説得しようとしたが、クリリンさんに止められた。

 

「悟旦。悟空の好きにしてやってくれ」

「クリリンさん!」

 

 俺はクリリンさんに批難めいた声で呼ぶもクリリンさんは退こうとはしなかった。

 

「あいつは凄すぎるんだよ!!悟旦が一番わかってる筈だ!俺達がいたってなんの役にもたてない!!かえって悟空が気を使って邪魔になるだけなんだ!!」

 

 そうクリリンさんが言ってきた。

 

「すまねぇな……あいつの強さは思ってた以上みたいなんだ……」

「だったら余計に俺は残るべきだよ。悟飯やクリリンさんより強いし、さっき仙豆を食べてから何故か強くなってるんだ!あのハゲ頭よりも強い俺なら役に立てる筈だよ!」

「悟旦……おめぇの気持ちはわかるが一対一で戦いてぇんだ」

「父さん……」

 

 あのベジータの強さを知ってか以前話してた強い存在を見るとワクワクするというやつなのかもしれないけど、あのベジータにそんな感情を抱いて欲しくなかったよ。

 

「そうだ悟空!どうせなら場所を変えて戦ってくれないか……!」

「え!?」

「みんなの死体まで無茶苦茶になったら生き返ったときわるいからな……」

「生き返ったときって……ピッコロが死んで神様も死んじまった……ドラゴンボールはもう永久になくなっちまったんだ……残念だけどみんなは二度と生き帰りはしねぇ」

 

 クリリンさんの言葉に父さんは理解出来ていなかった。

 当然だろうな、ベジータが言っていた言葉を聞いていない父さんが知る由もないんだから。

 

「詳しいことはあとで話す……!も、もし悟空がアイツに勝つことができたら……!」

 

 クリリンさんは先ず間違いなくピッコロさんの故郷の事を言ってるんだ。

 それでも父さん一人で相手できる相手じゃない。俺は納得ができずに拗ねていた。

 

「悟旦……」

「……はぁ。わかったよ。でも俺もついていく。それで妥協してもらうから」

「わかった」

 

 父さんは心配そうにしてる悟飯を勇気づけた後、俺とベジータと共に別の場所へと移動した。

 

 相当なスピードで移動してるけど、俺とベジータも余裕で父さんのスピードについてきている。

 

「(驚れぇたな。この一年で既に今のオラと同じくらい強くなってる)」

 

 父さんは一年で自分と同等にまで強くなった息子の一人に驚いていた。

 

 そして何処かの岩山へと降り立った。

 

「なるほど。ここを貴様らの墓場に選んだわけか……くっくっく……喜ぶがいい。貴様のような下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな……サイヤ人は生まれてすぐ戦士の資質を検査される……そのときの数値が低いクズ野郎が貴様の様にたいした敵のいない星へ送り込まれるのだ……ようするに貴様は落ちこぼれだ!」

「落ちこぼれだって必死で努力すりゃエリートを超える事があるかもよ」

「くっくっく……面白い冗談だ!では努力だけではどうやっても超えられぬ壁を見せてやろう」

 

 そう言ってベジータが構えた。

 同じく父さんも構えた。

 父さんだけが構えた事にベジータは疑問に思い訪ねてきた。

 

「!なんだ……貴様のガキは参加しないのか?」

「悟旦はついてきただけだ。オメェの相手はオラだ!!」

「フン!まぁいい……すぐさまお前の後を追わせてやる」

 

 そう言って二人は戦い始めた。

 何度も二人の攻防が繰り広げられるもベジータの方が一歩上だった。

 

「どうしたカカロット!!そんな程度か!それな貴様のガキの方が強いぞ!!」

 

 そう言って両手で握り拳を作ってはハンマーとして殴りつけた。

 父さんは落下するもクルクルと回って無事に地面に着地した。

 

「流石だ……奴はまだ全然本気じゃねぇのにスピードも技もオラを超えてやがる」

 

 父さんがそう呟いていると突然として赤い気を纏った。

 

「使ってやるか。界王拳を!!!」

 

 そう言って父さんは気合砲を左手を翳すだけで行なった。

 するとベジータが降り立っていた岩山が吹き飛んだ。

 上空へと飛んでいたベジータへと先程以上のスピードで近づいた父さんがベジータに強力な攻撃を何度も叩き付けた。

 

 しかし、ベジータもすぐさま体勢を整えて近づいていた父さんを蹴り飛ばした。

 

 明らかに父さんの技が通用してない。

 やっぱり俺も参加した方がいい。なのに……父さんはなんで笑顔なんだ。

 

「笑ってやがる……諦めて開き直ったか……!それとも更に戦闘力をUPする余裕でもあるのか!?」

 

 そう考えていたベジータがフルパワーを出してきた。

 

「は──────────っ!!!!!!」

 

 ベジータの気に地球全体が揺れているかのように落雷が激しく起き、この場所一帯に雲が集まってくる。

 まるで台風だ。

 台風のようなベジータの気が解放されると雲一つすら吹き飛んでしまった。

 そして二人の戦いが再度行なわれた。

 

 父さんが使っている技でも明らかに辿り付いては攻撃を行なったり、父さんの移動先に気攻波を放っていた。

 父さんもギリギリで回避したけど明らかに父さんの方が負けている。

 

 どうするんだ……父さん。

 

 そう思っていると父さんが何かを決意したように言い放った。

 

「身体よ持ってくれ!三倍"界王拳"!」

 

 先程以上に赤色に染まった父さんがベジータに一瞬で近づいて殴り飛ばした!凄い……一瞬でこんなに強くなるなんて……あの"界王拳"って技は多分自身の力を強化するような技なんだろうけど、先ず間違いなく反動がくる技だ。

 それを使い続けたら身体を壊すことになるんじゃ……

 

 そう思っていると父さんの攻撃で血を流した事に憤ったベジータが上空へと移動した。

 

 そして膨大な気を放出させて左側に両手を重ねるような構えを取った。

 

「(何をする気だ?)」

 

 ベジータはまるでかめはめ波のように膨大な気が溢れていく。

 あの気の量は明らかに地球を壊すほどの威力を秘めている!

 

 膨大な気による気攻波を放とうとしていた。

 父さんはさっき使った"界王拳"を使いながら、"かめはめ波"を使おうとしていた。

 

「地球もろとも宇宙の塵となれ!」

 

 そう言ってベジータは気攻波を放った。

 父さんも迎え撃つべく"かめはめ波"を放った。

 

 二人の膨大な気が手に集まっていき、巨大な気攻波を放った。

 

 赤と青紫色の二つの気攻波が衝突した事でもの凄い衝撃波が周囲を襲ってきた。

 俺も飛ばされないように頑張って踏ん張った。

 

 衝突した二人の気攻波が拮抗してるけど、明らかに"界王拳"を使って疲労が蓄積してる父さんの方が不利だ。

 

 そう思っていると父さんの叫びが聞えた。

 

「"界王拳"……四倍だ!!!!!」

「なっ!?父さん、それ以上は流石に……!」

 

 父さんの気攻波が強くなって、ベジータの気攻波を押しのけては、天高く"かめはめ波"がベジータと共に飛ばしていった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 父さんはまるで手が痺れているような格好で息を切らしていた。

 

「父さん!大丈夫!?」

 

 父さんは"界王拳"による身体の負担から身体が激痛と筋肉痛のような感覚に襲われていた。

 偶然にもこの近くにやってきていたヤジロベーさんが父さんの身体を叩いたせいで、無駄にダメージを負ってしまった。

 

「父さん。後は俺が戦うから少しでも休んでて」

「いや……まだベジータは倒せてねぇ……来るぞ!」

 

 父さんが視線を空へと向けるとベジータがやってきた。

 "かめはめ波"で打ち上げられただけにしてはあまりに遅かったが、一体何をしてたんだ……

 そう思っているとベジータが何やら言ってきた。

 

「月を消しておいてしてやったりってとこだろうが、そうはいかんぞぉ!!」

「月?何の事だ!」

 

 ベジータは一体何を言いたいんだ?

 

 俺と父さんもベジータが何を言っているのか理解出来ていない中、ベジータがサイヤ人の特徴を語った。

 どうやらサイヤ人は大猿になるのには、月からブルーツ波というものが発せられており、ブルーツ波が1700万ゼノを超える満月を見ると、尻尾に反応して大猿に変身してしまうとの事だった。

 

「……しかし、限られたサイヤ人にだけ人工的に創り出すことが出来るのだ!!星の酸素と、このパワーボールを混ぜ合わせることでなっ!」

 

 そう言ってベジータは空にパワーボールを投げた。

 

「な、なんだ!?」

「ま、まさか……!?」

「弾けて混ざれっ!」

 

 ベジータがしようとしている事に気付いた俺は止める間もなくベジータがパワーボールを弾けさせた。

 すると、上空に満月を思わせるエネルギー体ができた。

 それを見たベジータの身体がドクンッ……ドクンッ……と心臓が高鳴ると同時に体が大きくなっていき、毛がふさふさと生えていき、全高6m以上はある大猿になった。

 

 しかも、今までと比べものにならないほどの物凄い気だ!!

 

「ぐははは!どうだカカロット!これで貴様はもう終わりだ!!最後にいいことを教えてやろうか……大猿になったサイヤ人は戦闘力が10倍になるのだ!」

「なっ!?」

 

 10倍だって!!?

 父さんに手を貸そうと動こうとしたけど、父さんから「来るな」と心の声が聴こえた。

 父さんはまだ一人で相手をしようとしてるのかと思ったけど、ベジータからの攻撃を逃げ回りながら反撃をするもダメージも大したものでもなく、"界王拳"によるダメージが残ってる父さんの身体は悲鳴を上げていた。

 我慢できずに飛び出そうとした時だった。

 

「"太陽拳"!!」

 

 父さんがベジータに目眩ましをした。

 強烈な光にベジータは眼を押さえて悶えていた。

 

 その間に父さんは距離を置いて両手を空に翳した。

 父さんの両手を中心に周囲から気が集まっていくのを感じて何か強力な攻撃をする為に気を集めているみたいだ。

 

「父さんの元に集まってく気を一気に放ったら勝てるかも……」

 

 そう思っていたけど、目が眩んでいたベジータの視界が戻って父さんが見つかってしまった!ベジータは口から気攻波を放ったせいで父さんは気の集中を中断することになった。

 ベジータにはたき落とされた父さんの脚を巨大な脚が踏み潰した。両脚を踏み潰された父さんが悲鳴を上げる。

 

 それだけじゃなく、ベジータが指一本で父さんの心臓を貫こうとしたけど、その前に父さんがベジータの片目を気攻波で潰した。

 

「うぁぎゃ──ーっ!」

 

 ベジータは痛みに悶えるけど、父さんを握り潰そうとする。

 

「父さん!」

 

 俺は我慢ができなくなって父さんの元へと急いだ。

 

 その間にベジータが父さんを握り潰そうと大猿の両手で握りしめている。今も悲鳴を上げる父さんの元へと近づいた俺はベジータの目の前に移動してナッパの時と同じ様な力でぶん殴った。

 

「"覇砕空(ハクア)"」

 

 すると、ベジータの顔の空間がヒビ割れを起こして、強力な衝撃波がベジータの顔に残った。

 

「ガハッ……!!?」

 

 ベジータは強力な衝撃波を受けて血を吐きながらも倒れた。

 ベジータの手から離れた父さんを受け止めて優しく地面に置いた。

 

「父さん!大丈夫!!」

「ご……悟、旦……おめぇ……」

 

 父さんの身体はボロボロだ。まともに動かすことも無理だ。

 轟音と共に近くの岩山を瓦解させて倒れていたベジータが俺を睨み付けてくる。

 

「このガキィィイイ!!」

 

 ベジータは怒りを表しながら立ち上がった。

 そんなベジータを目一杯に睨み付けた。

 

「これ以上、父さんを傷つけさせねぇぞ!ベジータ!!」

「……そういえば、貴様も俺に血を流させやがったな……!これは高くつくぞ!」

「やれるもんならやってみろ!!」

 

 身体中に気を流して舞空術でベジータの顔へと飛んでいく。

 ベジータは大猿の手で払ってくるけど、俺はベジータの心の声を聴きながら回避しながら気攻波を打ち続けた。

 

「その程度で俺に勝てると思っているのかッ!」

 

 ベジータが口から気攻波を出そうとしてきた。

 俺は脚に気を纏わせて向かってくる気攻波へと足蹴りした。

 

「"斬脚(ざんきゃく)"」

 

 すると鋭い斬撃型の気攻波がベジータの気攻波を斬り裂いてベジータに向かう。

 

 ベジータは斬撃を紙一重で回避しやがった。

 

「"気円斬"」

 

「「っ!!」」

 

 しかし、どこからか円状のエネルギー刃が横切ってベジータの尻尾が落ちた。

 

 "気円斬"……まさかと思い放たれた場所へと視線を向けるとクリリンさんがいた。

 

「クリリンさん!」

「お父さん!お兄ちゃん!」

「悟飯まで……いったいどうして……!?」

 

 二人がなぜ此処に居るのか理解出来なかった。

 

「き、貴様ァ……お、俺の尻尾を────!!」

 

 ベジータは尻尾を切られたことで大猿から一変して元へと戻った。

 

「き、貴様らぁ!俺を怒らせやがって、そんなに死にたいか……だったら望み通りぶっ殺してやるぞ────っ!!ゴミ共め────!!」

 

 ベジータは怒りにまかせて俺達へと来る。

 

「悟飯、無理はするなよ!」

「う、うん。大丈夫!」

「いくぞ!!」

 

 俺と悟飯は気を解放してベジータに仕掛けた。

 

 隻眼で大猿状態よりも力が低下しているベジータ相手に俺と悟飯はベジータ相手に幾度も攻防を重ねていった。

 

 

 

 そんな俺達の戦いの中でクリリンさんが父さんの元にいた。

 

「悟空、大丈夫か!」

「く、クリリン。いいタイミングで来てくれたな。い……今のうちに……く……クリリンに渡す……」

「わ、渡す?」

 

 クリリンさんはわけがわからないままに父さんの手を取ると、父さんから膨大な気を与えられた。そんな中、俺は悟飯と二人がかりで攻撃を続けているけど、受け流されたりなどして攻撃に決め手がなかった。

 しかし、人数の差とベジータが隻眼であることから徐々にダメージを与えることができつつあった。

 

「せぁ!」

「ぐぁっ……!このゴミ共がぁ!!」

 

 ベジータは俺達に更に怒りを向けてくる。

 ベジータは悟飯の腕を掴んで岩壁へと叩き付けた。叩き付けられた悟飯を案じながらも俺は目一杯に拳に膨大な気と別の力を纏わせた。

 

「"日拳"」

 

 今まで以上の"日拳"をベジータにぶつけた。

 

 ベジータの身体に大きな火傷を負わることは出来たけど、ベジータはそのダメージを堪えて俺に気攻波を放ってきた。

 対処できずに岩壁にまで吹き飛ばされた。

 

「うっ……ぐぅ……」

「トドメだぁ!!」

 

 ベジータが俺にトドメを刺そうと近づいてくる。そんな時、ベジータの背後から大きな気を宿した青い球体が勢いよく迫ってきた。

 

「あたれ──────!!」

 

 当たる直前でベジータはクリリンさんが放った青い球体を避けた。ベジータが避けたせいで俺に当たろうとしている。まずい……どうすればっ!?

 

『悟旦、跳ね返せっ!!』

 

 突然と父さんの声が頭の中に響いた。

 

『その元気玉は味方だ!悪の気がないものなら跳ね返せるはずだ!!』

「(跳ね返す……)」

 

 ダメージであまり動きづらい状態の中で腕を伸ばした。

 迫り来る元気玉?に手が触れると、俺の中の別の力が元気玉に付与されたのか黒色の雷が元気玉の周囲を何周もして、まるで土星のようなリングを作りだして跳ね返っていった。

 

 その元気玉が悪意のある気の元へと引き寄せられるようにベジータに当たった。

 

「ぐわああぁぁぁ────────────っ!!!!」

 

 着弾すると猛烈な二色のスパークが発生して全身を焼かれる苦痛を受けるベジータ。元気玉がそのまま上空へと打ち上がり断末魔と共に空の彼方へと消えていき光の大爆発と轟く雷鳴が見えると同時に聞こえた。

 

「す、すごい……」

 

 あまりの元気玉の威力に驚いた。

 誰もが俺達の勝利だと思い、父さんの傍へと寄った。

 

「とうとうやったな、お前達!」

「はは……父さん、あの元気玉になんでか俺の力も加わったように見えたんだけど……」

「へへっ……悟旦の力が加わってたな……わりぃ……オラにもよくわかんねぇんだ」

 

 父さんにもわかってないみたいだ。

 父さんの説明では自分以外の気を集約して溜めて放つ一人で行なうのは至難の業たる切り札(ジョーカー)らしい。そんな技に俺の別の力が付与されるなんてどうなってるんだろうな。

 

 そう思っているとベジータが落ちてきた。

 

「……コイツは仲間達を殺した最低なやつだけど、せめて……墓くらいは作ってやるか」

「貴様らの墓をか?」

「なっ!?」

「生きてたのかっ!?」

 

 ベジータが生きている事に驚愕する俺達。あれだけの攻撃を受けて生きている……こいつの生命力の高さはなんだ……!?

 

 そう驚愕しているとベジータがボロボロながらも立ち上がった。

 

「随分とひどい目にあわせてくれたな……い、いまのはオレでも死ぬかと思ったぞ」

 

 そう言ってベジータはその場で気による爆破を起こして俺達を吹き飛ばした。

 

 俺達はあまりの爆破力に既に動けない父さんはもちろん、俺達も動けない状態にいる。

 

「は……はやくこいつらを片付けないと……」

 

 ベジータは倒れている俺達を殺そうとボロボロながらも移動していく。

 

「(く、くそぉ……身体が、動かねぇ……)」

 

 身体が動かない理由はわかってる。身体の骨が幾つか骨折したり、ヒビが入っているみたいで動くのが難しい。

 どうにかしないと、また……俺は守れないのか……!?

 そう思っているとベジータが驚いたような声を上げた。

 

「なっ!?」

 

 何事かと視線を向けるとそこには悟飯に尻尾が生えていた。

 ベジータが急いで尻尾を斬ろうとした時、隠れていたヤジロベーさんが刀でベジータの背中を切った。突然の奇襲に反応できず一度倒れるが、すぐさま立ち上がってヤジロベーさんを殴り飛ばした。

 

 そんな二人の行動の間に悟飯はベジータが作った光の球を見ていた。

 

 すると悟飯の気が次第に大きくなっていく。この感じはベジータが大猿になった時と似ている。

 

「し、しまったぁ──────っ」

 

 悟飯が徐々に大猿になっていく。ベジータが必死になって悟飯を殺そうと殴りつけているけど、弱り切ったベジータでは10倍に強化された大猿状態になろうとしている悟飯の力に及ばなかった。

 そうこうしていると大猿悟飯が尻尾を切ろうとしたベジータを殴った。理性がない大猿悟飯は暴れ回り、大岩を持ち上げて俺達の方に迫ってきた。

 

「ご、悟飯!!」

『ご、悟飯……!』

 

 俺達の呼びかけが通じたのか大猿悟飯が一瞬鈍くなった。

 

 

「悟飯!ベジータを狙え!」

『悟飯!!』

「悟飯!!サイヤ人だ!!サイヤ人を攻撃しろぉ!!」

 

 俺達三人の声が届いたのか悟飯がベジータだけを狙い始めた。

 大岩を投げ付けたり、上空に飛んできたベジータを叩き付けては踏みつけようとしたりとさっきの父さんと大猿ベジータに似た一方的な状況下にあった。

 

 そう思っていると、ベジータが残りの気を集約して気円斬を作りだして悟飯の尻尾を切断した。

 しかし、残りの気を尻尾を切るために使ったせいで元のサイズに戻ろうとしている悟飯の下敷きになって地面に叩き付けられた。

 

「ご、悟飯……」

 

 悟飯は気を失っていて、ベジータは死にかけていた。

 今ならトドメを刺せる。そう思って身体を無理矢理動かしてでも近づいていった。

 死にかけているベジータは懐からリモコンを取りだしては操作し、宇宙船を呼んできた。

 

「こ……こ……俺が……まさか……ひ……引き返すことになるとは……」

 

 ベジータは身体を引きずりながら宇宙船に乗り込もうとしている。

 

「逃がすかぁ……!」

 

 何とか立ち上がって俺はベジータを追う。クリリンさんも動けたのか同じ様にベジータを追っている。

 

「オレの刀を使えや────!」

 

 ヤジロベーさんからそう言われて周りを見渡すと、俺の近くにヤジロベーさんの刀があった。

 掴むと俺の中にある別の力が刀に纏われて、刀身が黒くなった。

 

 俺の力の不思議性には理解出来なかったけど、今はあの野郎を倒すことが先決だ。

 

 そう思い、漸く俺はベジータにまで追いついた。

 

「くっ……ぐっ」

 

 ベジータが必死になって宇宙船に乗ろうとしてるけど、追いついた俺がベジータの片手を突き刺した。

 

「ぐぁ……っ!?」

 

 ベジータが俺の方に視線を向けた。

 

「ピッコロさんや殺された地球人達の仇だ!」

「く、くそぉ……身体が言う事を聞かん……この俺が……このベジータ様が……こんなガキに!!」

 

 突き刺した刀を抜いて、俺の中の力を刀に最大限にまで纏わせると黒刀が更に黒光りに輝くと同時に渦状に力が溢れ出す。

 

「死ね!!」

 

 刀を振り下ろした時だった。

 

『待ってくれ悟旦──────っ!!』

 

 頭の中に父さんの声が聞えて刀を止めた。

 

「と、父さん……?」

 

 俺は視線を父さんに向けた。

 

『ご、悟旦。すまねぇが、そ……そいつを行かせてやってくれ……』

「なっ……!?」

 

 父さんの頼みに俺は驚いた。

 

「なに言ってんだよ、父さん!?コイツはピッコロさん達を殺したんだ!今ここで殺さないと今以上の被害が出るんだよ!!」

『そ、それが間違ってるのは……わかってるさ。た……頼む……悟旦……父ちゃんの一度だけのわがままだ……もう一度やつと戦うチャンスをくれ!!』

 

 父さんの頼みに俺は刀をカタカタと振るわせていた。

 そんな親子の言い合いの最中でもベジータは宇宙船に乗り込もうとしていた。

 

 それに気付いてベジータに鋒を突き付ける。

 

「コイツは……人の命を奪って楽しんでるんだ!そんな奴を……」

 

 怒りを込めてベジータを殺そうとする俺に父さんが必死になって止めてきた。

 

『ご……悟旦!頼む!』

 

 父さんの言葉を無視してまで殺そうとした時、俺の肩にクリリンさんが手を置いて止めた。

 

「悟旦……そいつを逃がしてやれ」

「!?クリリンさん……どうして……」

「悟空が言ってたことは俺にも聞えた。お前の気持ちは痛いほどわかる。けど、今の地球があるのも、お前の父ちゃんのおかげでもあり、今まで悟空がしてきた貢献した事を考えたら、悟空にも我儘を言う資格があるさ。それに……子供のお前に、まだそんな事をしてほしくないんだよ」

「……っ」

「な?悟旦……」

 

 クリリンさんの説得に俺は悩んだ末、刀を岩壁に放り捨てた。

 

「……わかりました」

 

 クリリンさんは俺の返事を聴いて慈愛の笑みを浮かべて頭を優しく撫でてくれた。

 

「だけど悟空!今度ん時はちょちょいっとぶっちぎりのパワーでやっつけちまえよ!」

『ああ……!』

 

 俺とクリリンさんは父さんの我儘を聞いて、ベジータを生かす事にした。

 

「よ……よく覚えておけよゴミ共……」

 

 ベジータの声が聞えたので視線を向けると、宇宙船に乗り込んだベジータが俺達に捨て台詞を言おうとしていた。

 

「こ……今度は、貴様等に希望はないぞ……くっくくく……せいぜい楽しんで、お……おくんだな……」

 

 そう言ってベジータが乗った宇宙船が宇宙へと飛んでいった。

 サイヤ人との対決は大きな犠牲の中で終結したのだった。

 

 

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