ベジータが宇宙船に乗って逃げた事を確認した俺はふっと力が抜けて尻餅をついた。
「お、おい!悟旦、大丈夫か!?」
クリリンさんが心配そうに訪ねてきた。
「す……すみません……なんだが力が抜けて……」
「お前も悟飯も本当に頑張ったからな……少し休んでろ。悟飯を悟空の元に運んだら、すぐに運んでやるからな」
そう言って俺に肩を貸してくれたクリリンさんが、今だに気を失っている悟飯を父さんの元へと運んでいく。
すると、休んでいた俺達の元に飛行機がやってきた。
「お──────い!」
確か、ブルマさんだったけ?窓から俺達に呼びかけてくる。飛行機が着陸するのも待たずに母さんが真っ先に降り出てきた。
「か、母さん!?」
「悟旦ちゃん!悟飯ちゃん!!」
鬼気迫る勢いで母さんが父さんを通り越してクリリンさんが抱いている悟飯をかっ攫うように抱き締める。
「だっ大丈夫け!しっかりしろっ!!おっ母がきたぞ!ひでぇめにあっただなっ!」
裸で気を失っている悟飯を心配した声で掛ける母さんが俺の元に来た。
「悟旦ちゃん!!大丈夫か、おっ母だぞ!」
「まぁ……生きてるから大丈夫だよ」
「よ、よかっただ!無事で本当によかっただ!!」
母さんは片手で俺も抱き締めて目尻に涙を浮かべて頬を擦り付けてくる。
武天老師様の家に挨拶しにいった後で、無断で一年もピッコロさんの元で修行してたから母さんが心配するのは当然だよな。
そう思っていると、父さんの元にいるブルマさんと武天老師様が駆け寄っていた。
「わ、わりい。サイヤ人を逃がしちまった……」
「いやいや、追い返しただけでも大したもんじゃよ」
「ぶ、ブルマさん……ヤムチャさん達も、お、俺達四人以外はみんな……や、やられて……」
クリリンさんが申し訳なさそうにブルマさんにヤムチャさん達が死んだ事を告げる。
「平気平気!1年経てばドラゴンボールで生き返っちゃうんだから!」
「……ピッコロも死んじまったから……だ、だから神様も……ドラゴンボールももう……」
「っ!分かってるわよっ!!そんなこと……っ!!!」
ブルマさんは父さんの言葉を防ぐように怒鳴りつけては泣き始めた。空元気のように感じてたけどやっぱり……
「……知ってたんですね」
「まぁな……」
何らかの方法で俺達が戦っている事を見ていたんだろうな。それでヤムチャさん達が死んだ事を知ったんだろうな。
「それより、早く怪我人を病院へ連れて行かんと!もう仙豆はないんだぞ」
仙人が持ちそうな杖を持つ猫人がそう言った。
「すげぇ!猫が喋った!?」
「誰が猫じゃ!」
「いや猫だろ」
俺が猫が喋っている事に驚いていると、猫人が何故かツッコミを入れてくるけどヤジロベーさんが猫だとツッコミを入れた。
俺達は飛行機に運ばれると病院へと向かっていった。
それでも飛行機内は悲しみに暮れていた。
そんな中、クリリンさんが話し出した。
「みんな……その、期待しないで聞いて……も、もしかするとサイヤ人に殺された……みんなを生き返らせることが出来るかもしれない……」
「え!?」
「あ!ちょっと待って。後で話すよ。みんなの遺体を乗せなきゃ……」
最初に戦った場所でピッコロさん達の遺体も回収して飛行機に乗せて病院へと移動していく中、気を失っていた悟飯が目を覚ました。
「う……うーん……」
「悟飯ちゃん!気がついただかっ!」
「悟飯。大丈夫か?」
「あ……え……?お母さん」
目を覚ました悟飯が目の前に母さんがいる事に驚いていた。
「ようやった。大したもんじゃぞ!助かったんだぞ!」
「ど、どうやって!?サイヤ人は?」
「あ、あいつは逃げられた……逃げられちまった!」
悟飯はベジータに逃げられた事や後ろの席に父さんが寝転がっている事を知る。
「クリリン君……話してくれる?さっきのこと……」
「あ!そ、そうか……うん……」
クリリンさんはピッコロさんの事を話した。
ピッコロさんがナメック星人という地球外の宇宙人であり、ナメック星人あけがドラゴンボールを創ることができ、ナメック星人の故郷のナメック星に行けばドラゴンボールを手に入れる事が出来るだろうという話だった。
「そ、そうだよ!僕も聞いた!ピッコロさんだって生き返るんだ!」
「俺も聞きました。ナメック星には地球のドラゴンボールよりももっと強力なドラゴンボールがあるからって……」
「ふ、二人ともなんてことをっ!」
母さんは俺達を誘拐したピッコロさんが苦手みたいだ。恐らく大魔王の頃も含まれてるんだろうな……
「その通りだ!ピッコロが生き返れば、神様も……!ということは
「ふっ。素人は単純でいいわね……だいたい、そのなんとかという星がどこにあるのかどうやって知るわけ?」
「ま、任せてくれ……界王様……聞いていただろ。知ってるか?そのナメック星とかって星の場所をさ……」
父さんが界王様に話しかけた。
『ナメック星か……勿論知っておるぞ。なんといっても儂は界王というぐらいだからな』
どこからか声が聞えてきた。
もしかして父さんが死んだ先で鍛えていた人か?
「す、すごい!ワシ等も聞えとるぞ!」
他の人達も聞えてるみたいだ。
『ナメック星の位置だが……SU83方位の9045YX……か……』
「9045YX!?嫌な予感……」
ブルマさんは電卓を取りだして何か計算をしていた。
界王様からナメック星人は穏やかな種族である事を教わった。しかし、ブルマさんの実家であるカプセルコーポレーションでも千年以上の時間が必要だと判明した。
しかし、クリリンさんがベジータが残した宇宙船のリモコンを見せたことで一縷の希望を手にする事が出来た。
皆に活気が戻ったところで父さんが何かを思い出した様に界王様に話しかけた。
「そ、そういえばよ……界王様……一つ聞きたいんだけどよ」
『ん?なんじゃ?』
「く、クリリンが放った……元気玉だけど……鍛えてた時よりも……違ってた気が……すんだ」
『うむ。お前達の戦いは儂も見ていた。聞え取るか、悟空の息子』
界王様から声を掛けられたけど、俺か悟飯かどっちかわからなかった。
「「?」」
二人揃って頭を傾げる。
『元気玉を弾いた方じゃ』
「あ、俺か」
漸く俺のことを呼んでいる事を理解した。
「それで何ですか?」
『お主。あの時元気玉に何をしたんじゃ?』
「いや。俺もよくわからないです。多分俺の中にある別の力が関係してると思います」
「別の力?」
「そういや小僧。お前がオレの刀を持った時も刃が黒くなったよな?」
ヤジロベーさんからの質問に俺は肯定した。
「6ヶ月前から使えるようになった俺の中にある気とは違う力です」
『その力はどんな効果があるんじゃ?』
「"相手への威圧"と"腕や武器に力を纏わせる"と喋れない動物達の思いが"声として聞える"ぐらいです」
そう伝えると界王様も含めて三人ほど息を呑んだ。
なんだ?
「カリン様、これはもしや……」
「あぁ。そのまさかじゃな……」
武天老師様とカリン様は心当たりがあるみたいだ。
「じ、じっちゃん……カリン様……知ってんのか?」
「悟旦の言ってる通りなら……悟旦の力は覇気じゃ」
「覇気?」
「武天老師様。何ですか、その覇気って?」
クリリンさんが武天老師様に尋ねた。
"覇気„
それは全ての人間が持つ気配・気合・威圧などと人が当たり前のように有する「意志の力」。悟空達が使う気とかわらないが、明確に違う部分がある。
気配を感じ取り、時には万物の声すらも聴ける力──────‟見聞色„
気をより強固に身体に纏うことができ、尚且つ対象物の内部までも破壊する程の力を見えない鎧の如く攻撃と防御を制する力──────‟武装色„
相手を威圧して気絶させたり、攻撃に纏わせることもできてしまう王の器の象徴とされる力──────‟覇王色„
「この三つの力が‟覇気„と呼ばれるとるんじゃ」
「でも、それだけなら特に驚くようなことじゃ……」
「驚くべきなのは覇気の有用性なんじゃ……」
「有用性?」
カリン様の話では特殊能力や超能力なども撃ち破る力もあり、極めれば相手に触れることなく対象者にダメージを負わせる事も出来るだけでなく、再生能力も阻害する力があるそうだ。
「あのカリン様……触れることなく攻撃なんてできるんですか?」
「覇気使いなら可能じゃ。特に覇気使いは実戦での極限状態で開花することが多いんじゃ」
「そ、そういやぁ……悟旦が……ラディッツを殴った時も……触れてなかったな」
父さんがまるで何かを思い出すように言った。
「え?そうだったの?」
父さんの言葉に俺も驚いた。あの時のことは覚えていたけど、触れずにダメージを与えてたのか。
『‟武装色„には段階があってのぉ。第一段階で覇気を身体や武器に纏うことで強度を上げることができる。これが悟空の息子ができている段階だ。第二段階で纏った‟武装色„のエネルギーをさらに引き出し、圧縮して放出するという戦闘技術じゃ。極めた者は武器を黒く変色し続けた武器に成すこともあるそうだ』
そんな力があったのか。
感心していると界王様から助言があった。
『‟見聞色„を使い熟すには、相手の攻撃の意志……気配を感じ取り続けること。極めれば万物の声のみならず、数秒先の未来を視認することも出来る様になるじゃろぉ。
‟武装色„を使い熟すには、見えない鎧を纏い防御と攻撃を行なうこと。そうすれば、鍛えられない内部にダメージを与えられるようになる。
‟覇王色„を使い熟すには、感情を制御すること。制御せねば敵味方問わず威圧してしまうからのぉ。人間的成長でしか強化されんが、‟武装色„と同じく身体や武器に纏わせて特殊能力を阻害することができるようになる。
これらを意識して鍛えてみるといいぞ』
「ありがとうございます。界王様」
俺は界王様に感謝を告げて病院に着くまでベジータとの戦闘を思い出しながら最初に‟見聞色„の修行をしていた。
すぐに修行してたから母さんに叱られてしまった……
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ピッコロさん達を生き返らせられる微かな希望を見いだしたところで、サイヤ人と戦闘して負傷した者達は病院に運ばれてから数日後。
父さんは全治約3ヶ月の重傷。俺は約1ヶ月で悟飯とクリリンさんは数日間入院になった。
俺は折れた腕や足に包帯と頭部にも包帯を巻かれていて、父さんは包帯まみれになってミイラ男になってる。クリリンさんも腕や足を怪我していたようだけど、俺よりも軽症みたいだ。
俺達の病室で楽しく話しているとボサボサ頭のブルマさんが病室に突入してきた。
「ちょっと!みんな、みんな!テレビ見てよ、テレビ!」
「なんじゃブルマか」
ボサボサすぎる髪型になっているブルマさんに武天老師様は誰なのか一瞬分からなかったみたいだ。
ブルマさんが急いでテレビの画面を付けると、そこにはもう一人のサイヤ人が乗ってきていた宇宙船が映っていた。
俺とクリリンさんはよく見覚えがあった。ベジータが乗っていた宇宙船だ。忘れるはずもない。
ブルマさんがクリリンさんから手に入れたリモコンを取りだして操作をした。
【爆発するよ!】
「え、爆発!?」
『え!?』
俺が驚愕の声で呟いた言葉に皆が俺に視線を向けると、テレビの向こうで宇宙船が爆発した。
「本当に爆発した……」
声が聞えたとはいえ、まさか本当に爆発するなんて……カプセルコーポレーションなら解析と改造出来たかもしれないのに、木っ端微塵になるなんて……
「も、もうダメだ……」
「ま、参ったな……」
誰もが絶望している最中、窓側からとある人がやってきた。
「ポポ……宇宙船心当たりある」
「うわああっ!?」
ブルマさんは大声を出して驚いている。窓の外に黒い人がいつの間にかいた。絨毯に乗っていてまるでアラジンっていう絵本の登場キャラみたいだ。
「宇宙船ある。でも、ミスターポポ、ちょっとよくわからない。だから、誰か一緒に来て調べてくれ。ミスターポポ、案内する」
そしてこの中で技術者であるブルマさんが代表で行くことになった。
ブルマさんがミスターポポと一緒に何処かへと行ってから少しして二人が帰ってきた。どうやらミスターポポが知っている宇宙船はまだ一人だったナメック星人が異常気象から抜け出す際に使っていた宇宙船だったらしい。
しかし、宇宙船を操作するにはナメック語で喋らないといけないらしく、ブルマさんはナメック語を教わることと宇宙船内の改良も加えて時間は必要だが、俺と父さん以外はナメック星に一ヶ月の宇宙旅をブルマさんとクリリンさんが向かうことに……
「あの……ぼ、ぼくも連れて行って下さい!」
悟飯がナメック星に行くことを告げた。
誰もが驚いた。
「な、何言ってるだ!!ダメに決まってるべ!!」
母さんに止められて俯く悟飯だが、その意志は固いのか続けた。
「……お母さん……僕、行かなきゃ……ピッコロさんを蘇らせたい……!ピッコロさんは僕を……命を張ってまで守ってくれた……」
「何言ってるだ!おめぇ達はまだ子供だ。それに勉強もせずに1年!そのうえ、2ヶ月もだべ!そったらこと絶対ぇ許さねぇ!ピッコロなんてしったことじゃねぇべ!!」
「母さん。いい加減に……」
「うるさあああい!!」
悟飯の気持ちが理解出来るため、止めようとする母さんの言葉に苛立って言葉を告げようとしたら、悟飯が騒いだ。
誰もが驚いた。俺も、父さんも、そして、言われた母さんまでも……
「ご、悟飯ちゃんが……オラの悟飯ちゃんが不良になっちまっただ……!」
なんかショックを受けてる。母親の言うとおりに動かないと不良扱いなのか?
その後、悟飯が気持ちを伝えて牛魔王爺ちゃんの説得もあって母さんは諦めた。
数日後に退院した悟飯がナメック星に行く前に俺と父さんに挨拶にきた。
「ご、悟飯……おめぇ、どうしたんだ。その髪型……」
「あひゃひゃひゃひゃっ!!!」
おかっぱ頭になった悟飯の髪型とどこかの幼稚園児の服装になっている悟飯が可笑しくて父さんと一緒に笑ってしまった。
悟飯もあまり気に入ってないみたいで、恥ずかしがっている。
「悟飯……頼んだぜ」
「……うん!」
悟飯と母さんを見送ると父さんが話しかけてきた。
「悟旦」
「どうしたの?」
「チチがいねぇ間に言っとくぞ。実はブルマの父ちゃんが見舞いに来た時に俺か兄貴の宇宙船を見つけて改良しててくれって頼んだんだ」
「!?……それって本当!?」
「あぁ。それに重力装置をつけてもらってっから、ナメック星に行く間に修行できっぞ!」
父さんからの言葉にワクワクしていた。
それから約一時間後に悟飯とクリリンさん、そしてブルマさんの気が地球から物凄いスピードで離れていくのを感じ取った。
【弟君達がナメック星に行ったよ】
「悟飯達が行ったみたいだぞ」
「あぁ。悟飯も強くなったな」
「へへ……!ピッコロさんのおかげだよ」
悟飯の成長に俺と父さんは笑った。