虚無の一太刀、運命を斬る   作:多分豆腐

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誤字報告ありがとうございます。どうして誤字は生まれるのだろう....
あと相も変わらず黄泉さんの口調が迷子です&途中何言ってるかわかんなくなってきてます



第3話

 

 

怒りによって視界が赤く染まっていく。

呼吸が荒くなり、銃を持つ手に力が入る。

いっその事今すぐにでも...と思うが理性によって抑える。

ヘイローが消え、ピクリとも動かないユメ先輩をあの大人の女が背負っているからだ。

 

 

「ごめんなさい....ユメ先輩......。」

「もう少しの辛抱です......。」

「必ず......仇は取りますから。」

 

 

例え刺し違えても。

私はあの大人を.......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな白蛇を両断した後、後ろの彼女の安否を確認するために振り返ると、彼女は信じられないものを見たと言わんばかりに驚いていた。

 

 

「大丈夫か?怪我はして無いか?」

 

 

 

新しい傷を負っているようには見えないが念の為黄泉は彼女にそう声をかけると、腰を抜かしたのかペタンと座り込んだ。

 

 

 

「う、うん......。大丈夫、です。ハイ。」

 

 

 

 

何故か片言になっている彼女に立てるか?と黄泉は問う。

 

 

 

「えへへ...。ごめんなさい。あんな感じでカッコつけちゃったのに動けないや......。」

 

 

 

困ったような笑顔を浮かべる彼女。

少し前まで命に関わる程の脱水症状だったのだ。仕方あるまい。

それに.....。

 

 

 

「いや......貴方の行動は勇敢で輝いていた。」

「思わず目を瞑りたくなるほどに。」

「そんな貴方の行動に、私は動かされた。」

「恥じるのではなく胸を張るといい。」

 

 

「えへへ〜...そ、そうかな?」

「凄い人に言われると照れちゃうなぁ...」

 

 

顔を赤らめながら頭をかいていた彼女だったが、何かを思い出したようで、あ!と声を上げた。

 

 

 

「そういえばお名前聞いてなかった!」

「私は梔子ユメ!アビドス高等学校で生徒会長をやってます!」

「もしよかったらお名前聞いてもいいですか?」

 

 

 

梔子ユメと自己紹介した彼女は深くお辞儀をした後黄泉に名前を聞いてきた。

どうやらアビドスという高校の生徒会長をやっているらしい。

何故学生がこんな砂漠で遭難していたのか...。

そんな疑問を飲み込み、黄泉は応える。

 

 

 

「私の名は黄泉。旅人だ。」

「気がついたらこの砂漠に立っていた。...恐らくだが、私はこの世界の外から来た。」

 

 

 

貴方を助けるためにここに来たとは流石に言えないが、

この世界の外から来たことを黄泉は正直に伝える。

誤魔化す事も考えたが上手く誤魔化せる自信が無かったのと、この世界の常識を教えて貰えるという打算込みで話したのだ。

また、巡海レンジャーという偽りの身分はこの世界に巡海レンジャーは居ないだろうと思い、使わなかった。

 

 

 

「やっぱり外から来た大人の人だったんですね!ヘイローがないからそうかな〜って思ってました!」

「でも外の大人の人ってこんなに強かったんですね!!びっくりしちゃった!」

「外から来たってことは...住む場所とか無いんじゃないですか...?もしよかったらなんですけど、アビドスに来ませんか?」

 

 

ユメは住む場所が無いであろう黄泉にそう提案する。

正直有難い提案だったが、あまりにも無警戒なユメに黄泉は少し面食らってしまう。

もし自分がアビドスを狙う為にユメを助けた悪人だったらどうするのだろうか...。

恐らく彼女はそういう可能性を考えていないのだろう。

純粋で眩しいユメの姿にまた目を瞑りそうになる。

虚無の影に呑まれ、自滅者と成った黄泉には身が焦がれそうな程暖かい光だった。

 

 

 

「ユメが良ければ是非お願いしたい。だが...他の生徒は大丈夫だろうか...?」

 

 

 

考えて欲しい。自分達が過ごしている高校に急遽怪しい大人が暮らすことになったら。

いくら生徒会長が認めているとはいえ反対意見も多数出るだろう。

下手すれば生徒会長であるユメの立場が危ない。

 

 

 

「大丈夫!ホシノちゃんは確かに少し意地悪で怖いけど...とっても優しいんだよ!あと、うちの高校2人しか居ないから!!」

 

 

 

大きな胸を張るユメの言葉に黄泉は思わず耳を疑ってしまう。

2人しか居ない高校は高校として成り立つのか?というか何故2人だけに?ホシノチャンとは誰だ...?少し意地悪で怖いととっても優しいは両立するのか...?

等様々な疑問が浮かび上がってくる。

そんな黄泉に恥ずかしそうにユメがお願いをする。

 

 

 

「それで...アビドスに戻りたいんだけど......動かなくてぇ.....」

「本当に申し訳ないんだけど...背負ってくれませんか?」

 

 

 

問題は山積みのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユメを背負うにあたって、黄泉の背負っている大きな荷物をどうするかという問題があった。

がそれもすぐに解決していた。

必要最低限の物だけを持ち、他の荷物は勿体ないがここに置いていこうと荷物の選別をしようとした時、唐突に荷物が入っている鞄が小さく縮んだのだ。

突然の出来事に2人揃って驚いてしまった。

確かにアッハが用意した物ならこういう芸当も可能なのだろうが、出来れば事前に伝えて欲しかった(アッハはこの反応を見るために何も伝えなかっただろう。実際ユメには聞こえない笑い声が黄泉には聞こえていた。)と黄泉は何度目か分からないため息をついた。

 

 

 

荷物の問題が解決したので黄泉はユメを背負いながら砂漠を歩く。

方向に関しては荷物に入っていたコンパスを頼りにユメが案内してくれていた。

長い帰り道の間にユメは様々な事を黄泉に話した。

キヴォトスの事。アビドスの事。アビドスが抱えている借金のこと。大切な後輩の事。そして....その後輩を怒らせてしまった事。

 

 

 

「私がドジで....それでいて、軽々しく夢や希望なんて語っちゃうから...」

「そんな私に愛想をつかして出て行っちゃったんです。」

「改めて考えると、私ホシノちゃんに何もしてあげることが出来なかったなぁって思っちゃって。」

「だからせめて、今後アビドスが復興するにあたって役に立ちそうな砂漠横断鉄道の関連施設利用権を買い戻そうって思って...。そのために100万円が必要だから融資を受けようとしてきたんだけど......遭難しちゃったの。」

「融資を受けることすら満足に出来ないなんて...ホシノちゃんに合わせる顔が無いよ......。」

 

 

 

太陽のような彼女が滅多に見せないであろう影を、黄泉の背に語りながらその背に顔を埋める。

命の恩人である黄泉の背中が汚れてしまわぬよう、必死に涙を飲み込む。

彼女達が置かれている状況をどうにかすることは黄泉には出来ない。大量の借金を一瞬で返せるぐらいの財もなければ高収入が見込める働き口を紹介することも出来ない。

そんな黄泉でも1つ、確かに言えることがあった。

 

 

 

「何も残せていない。それは間違いだ。」

「ユメの事だから、きっと自分の思っていることを常日頃正直に話しているのだろう。」

「ユメのその想い、願い、希望は....確かに彼女に響いているはずだ。」

 

 

 

私がそうであるように。あまりにも優しい笑みを浮かべながら黄泉は付け足す。

 

 

 

「恐らく...彼女は自分自身にも苛立ってしまっていたのだろう。」

「返す目処が立たない借金、離れていく住民、アビドスで暴れる不良達、そして何もかも上手くいかない自分自身に対して......。」

「彼女は今頃ユメの事を必死に探しているだろう。合わせる顔がない、なんて言わずしっかりと面と向かって話し合うんだ。」

「ユメが感じていた自身への無力感や焦りを、彼女に嘘偽りなく話すべきだ。そうすれば彼女も自分自身の事を話せる。」

「今回はたまたま助かったが、人生というのは何時結末を迎えるのかは誰も知らない。だからこ、その過程を大切にするべきなんだ。」

「結末は、過程によって全く違う意味合いを持つのだから...。」

 

 

 

ユメは黄泉の背にギュッと抱きつくと、不安そうに黄泉に問う。

 

 

 

「もし......あのまま私が死んじゃっていたら......ホシノちゃんはどう思ったんだろう。」

 

 

「推測でしかないが...彼女は一生自分の事を許せないまま生きていくだろう。ユメが亡くなったのは自分のせいだと。」

 

 

「それは...やだなぁ...。ホシノちゃんのせいなんて思ってないよ...。」

 

 

「だがそうはならなかった。ユメは助かった。そして今からでも遅くは無い。ゆっくりと、話し合うんだ。」

「新たな、明るい結末のために......。」

 

 

 

ユメが消え入りそうな、それでいて安心したかのような声でありがとうと言って、黙ってしまった。

いつの間にか日が暮れつつある静かな砂漠に砂を踏みしめる足音だけが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の頭に浮かぶヘイローが消えてから暫くして、小さな寝息が聞こえてきた。

あまりにも小さい寝息とボロボロの姿から、傍から見れば死体を背負って居るようにも見える。

だが背負われている彼女は確かに生きているのだ。死の運命を超えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽が沈み切る少し前にようやく街に帰還できた。アビドス高校まではまだまだ先らしいが砂漠で夜を過ごすよりかはどこか屋内で身体を休める方がいいだろう。

ユメを起こさないよう、黄泉はゆっくりと閑静な街を歩く。

そんな彼女達を見つめる視線を、黄泉は気付いていた。

 

 

 

(2...いや3か...?1つは興味。1つは警戒。そしてもう1つは私への殺意...?)

 

 

 

前2つはまだ分かる。先程キヴォトス中で起きたであろう、世界が一瞬だけモノクロに染まった現象(黄泉がビナーを斬るために長刀を抜いたため)の原因を突き止め、黄泉に対して観察や警戒を行っているのだろう。

だが殺意に対しては全くと言っていいほど心当たりが無い。

この世界に来てあったのは梔子ユメ1人だけであり、成したことといえば梔子ユメを救っただけである。

他の誰かに何かした訳でもない。では何故?

そう考えていると1つの結論が出る。

もしや、梔子ユメは誰かに嵌められあの砂漠で彷徨っていたのではないのか。

梔子ユメが居なくなればアビドス高校に残るは小鳥遊ホシノただ1人になる。

しかも喧嘩別れじみた最後であったため小鳥遊ホシノの精神状態は最悪なものだろう。

その状態の小鳥遊ホシノ相手であればアビドス高校を狙うのも容易くなる。

アビドス高校を狙う者にとって梔子ユメに消えてもらった方が好都合なのだ。

そんな梔子ユメを助けた私はその者にとっては邪魔者でしかないのであろう。

となれば梔子ユメの危機が去ったわけではないようだ。

黄泉の背中で静かに眠る、太陽のような少女を必ず守る。

その誓いを胸に、黄泉は眠る街を行く。その身に殺意の籠った視線を受けながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少ししてユメが言っていた使ってもいい空き家の前に着いた黄泉。

 

 

 

「...失礼する。」

 

 

 

黄泉の声が誰もいない家に吸い込まれていく。

家の中を進み、部屋にあったベットにユメを寝かせる。眠りが深いようで目覚める気配ない。

そんなユメの頬を軽く撫で優しく微笑む黄泉。

だがすぐに表情を戻し、外へと出る。

ユメが寝ている家から離れ、街を歩く。

黄泉は夜空を見上げ、月と空に浮かぶヘイローを眺める。

 

 

(不思議な世界だ...。学園都市キヴォトス。生徒達が暮らす学園が国家にも似た性質を持つ。)

(銃撃戦は日常茶飯事のように起き、撃たれても身体に痣ができる程度。)

(死とはほとんど無縁なこの世界で...ユメは死ぬ運命にあった。)

(彼女は...死ぬべき人間なんかではない。優しく、誰かを思いやれる善人だ。)

(そんな彼女を...守りたい...。そのためには.....)

 

 

 

「後をつけているのは分かっている。出てこい。」

 

 

黄泉は自分をつけている者に声をかける。

後ろの方から物音がしたのでそちらへ振り返るとショットガンの銃口と目が合った。

 

静かなアビドスに命を奪う音が轟いた。

 

 

 

 




戦闘描写とか全然書ける気がしないんだよね。
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