虚無の一太刀、運命を斬る   作:多分豆腐

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お久しぶりです。ちょっと書き方を変えてみました。今回はとても短めです。


第5話

 

 

 

「ホシノちゃん...寝ちゃった...」

 

朝焼けに染る閑静な住宅街の道の真ん中で、スヤスヤと寝息を立て安心したように眠る小鳥遊ホシノ。梔子ユメはそんな彼女を膝枕にのせ、愛おしそうに撫でていた。

暫く小鳥遊ホシノの事を撫でていたが、ふと重要なことに気がつく。

 

「あ...。ホシノちゃんをどうやって運ぼう...。」

 

彼女自身、1人でここに来るだけで精一杯だった。小鳥遊ホシノを抱えてアビドス高校に戻ることなど到底不可能である。

ひぃん、と泣いていると後ろから救いの声が梔子ユメへとかけられる。

 

「すまない、今戻った。小鳥遊ホシノは...寝てしまったか。」

「黄泉さぁん!良かったぁ...。どうしようかと思ってたよぉ...。」

 

感動の再会を邪魔しないよう少し離れた場所(離れすぎると迷ってしまうのでギリギリ視界に入る程度)で息を潜めていた黄泉が帰ってきたのだ。

 

「小鳥遊ホシノは私が背負おう。ユメは立てるか?」

「うん!まだちょっとふらつくけど大丈夫!黄泉さんに助けられてばっかじゃいられないからね!」

 

黄泉が小鳥遊ホシノを背負うとふんす!と気合いを入れ、少しふらつきながら立ち上がろうとする梔子ユメ。そんな彼女の手をとり立ち上がらせると、梔子ユメの歩幅に合わせゆっくりと歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄泉に言われた通り自分が抱え込んでいた不安をホシノに吐き出したこと、ホシノに嫌われていなかったこと、これからの事。様々な事を黄泉に話しながらゆっくりと歩いていく。

黄泉は言葉こそないがユメの話を聞きながらユメの隣を歩いていく。

そんな幸せで暖かい空気に包まれていると

 

「おい!てめぇら!アビドスの連中だな!?持ってるもん全部置いていきな!」

「治安が悪いと聞いていたが...ここまでなのか...。」

「えぇ!?こんな時にぃ!?」

 

大人数の不良が銃口を2人に向け脅す。黄泉は治安の悪さにため息をつき、ユメはワタワタと慌てふためく。

ホシノが起きていればこんな場面危うげなく(梔子ユメ的にはあまり暴力を振るって欲しくは無い)切り抜けれるのだが、その頼りになる後輩は今は夢の中。

とりあえず話し合ってみて何とかできないかなと思い、声をかけようとするが

 

「すまない、ユメ。ホシノを少しの間見ていて欲しい。」

 

そう言いながらユメの近くの地面にハンカチを敷きその上に小鳥遊ホシノをゆっくりと寝かせると黄泉は刀を構える。

 

「だ、ダメだよ!こんな大人数相手じゃ危ないよ!」

「大丈夫だ。ユメ達には弾の一つも掠らせはしない。」

 

ユメの心配に何処か的外れな返事をする黄泉。

今じゃ全く使われていない刀を構える黄泉を見て、不良達は下品に笑う。

 

「ギャハハ!!今の時代で刀とかまじウケる!」

「そんな骨董品で私達を倒すとかほんとありえないんですけど!」

 

黄泉を舐め腐り嘲笑う不良達。だがこの後不良達はとても後悔することになる。なぜなら、この後起きるのは

 

 

「凪いだ渡り川で、引導を渡そう。」

 

 

 

一方的な蹂躙なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂嵐が晴れた砂漠を踏みしめる足音が2つ響く。片方はこの暑い砂漠の中黒いスーツを着込んでおり、体は影の様に黒く無機質で、右目にあたる箇所には発光部があり、そこから顔全体に亀裂が走っている男である。もう片方はタキシードを身に纏った双頭のマネキン人形のような姿だった。

そこはビナーが黄泉に一刀両断され、その残骸が今も尚残されている場所。

 

「まさか本当だったとは...。黒服よ、そなたの事を疑ったことを謝罪しよう。」

「クックックッ...。疑ってしまうのも仕方ありません。私も目撃した時は自分の目を疑いましたので。」

 

軋む音と共に謝罪するマネキン人形と、それを上機嫌に許す黒スーツの男。

 

「しかし信じ難いものだ。デカグラマトンの預言者の一人であるビナーがいとも容易く葬られるとは...」

 

軋む音をさらに大きくしながら興奮したように呟くマネキン人形。

 

「えぇ。恐らく彼女の力であれば『色彩』の撃退も可能であるかと。とても素晴らしい、そして研究者としては悔しいものです。」

「我々が『色彩』への対抗手段を模索しているところに答えが転がり込んできたのだ。とても悔しいとも。」

 

2人はビナーの残骸に触れながら会話を続ける。

 

「彼女に協力を仰ぐ必要は無さそうですね。恐らくですが、彼女は言われずとも『色彩』に立ち向かうでしょう。」

「我々は我々で『色彩』への対抗手段を探しつつ神秘を、芸術を突き詰めて行こうではないか!これを使えば私の作品もより一層素晴らしいものへとなるだろう!」

「クックックッ...。あなたの作品がどのようになるのか、楽しみですね。」

 

不気味な笑い声と軋む音が砂漠へと吸い込まれていく。

気が付けば彼ら諸共ビナーの残骸も消えていた。

黒い影がギウォトスの裏で揺らめいていた。




とても難産でした。書きたいところ書いちゃったら一旦満足しちゃって...
マエストロの口調とか変だったらごめんなさい
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