虚無の一太刀、運命を斬る   作:多分豆腐

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見てくれている人がいるとやる気が上がりますね。
今回は途中からよく分かんなくなっちゃったけどどうぞ。


第6話

 

 

目が覚める。

知らない天井...ということはなくいつもの教室の天井だ。

いつの間にか眠っていたようだ。瞼が重い眼を擦りながら意識を覚醒させる。寝惚けた頭を叩き起して寝る前に何があったかをゆっくりと思い出していく。

 

「大人の女と戦って...それから...ユメ先輩が...生きてた...。」

 

そう、ユメ先輩が生きてたのだ。どこを探しても見つからなくて、焦って、後悔して、走り回っていた自分が馬鹿みたいだった。

 

「そうだ!ユメ先輩は!?」

 

辺りを見渡す。いつも通りの寂れた教室。端の方では砂が少し積もっている教室のどこにもユメ先輩は見当たらない。

そうだ、あの時は限界を超えてユメ先輩を探していた。禄な睡眠も取っていなかったと思う。もしかして...夢だった?

 

「い、嫌だ...ユメ先ぱ

「たっだいまー!あれ!?ホシノちゃん起きてる!?良かったぁ〜!」

 

恐ろしい予感に震えながら呟いた声はとても大きな声にかき消された。およそ寝込んでいる人間に対しての声量ではないがそんなことはどうでもよかった。

驚いた顔をして呆けている自分を置いてユメ先輩は続ける。

 

「水買ってきたよー!あとお腹すいてるだろうって思って食料も買おうとしたんだけど、黄泉さんが果物を持ってるんだって!後で持ってきてくれるみたいだからとりあえず水をッ!?」

 

話を遮ってユメ先輩に抱きつく。柔らかい肌にちょっと汗の混じった甘い匂い。胸に耳を当てれば鼓動も聞こえてくる。

本物だ。夢じゃなかった。そう確信すると涙が溢れてくる。

 

「ユメ...先輩...!!本当に心配したんですよ...!?」

「......」

「良かった...夢じゃなくて本当に良かった...」

 

私は抱き着きながら涙を堪えていた。ユメ先輩の手が私の背を優しくさする。

 

「大丈夫だよ。私はちゃーんとここにいるよ。迷惑かけてごめんね?探してくれてありがとう。」

 

2人しか居ない教室に嗚咽が響く。2人は静かに抱き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「泣き止んだ?大丈夫?」

 

ある程度してユメ先輩が声をかけてくれた。

私は頷くとゆっくりと離れる。

 

「ホシノちゃんってこんな泣き虫だったんだね〜。私知らなかったなぁ。」

「だ、誰のせいだと思ってるんですか!」

 

ニマニマと笑うユメ先輩に私は顔を真っ赤にして怒鳴り返すと私は外に出る準備を始める。

恥ずかしさを隠すために、というのもあるが最近ろくにパトロールが出来ていない。このままゆっくりするのも悪くないがこのままダラダラと休んでいくと治安は悪化の一途を辿っていくだろう。

じゃあ見回りに行ってくるんで、と未だにニヤニヤしているユメ先輩に声を掛け教室から出ようとすると、ユメ先輩は私の服を掴み止める。

 

「え!?ダメだよホシノちゃん!?まだゆっくりしてないと!」

「私はもう大丈夫です!それにここ最近見回りに行けてないんですよ!また治安が悪くなってるかもしれないじゃないですか!」

 

水、ありがとうございますと買ってきてもらった水を受け取り支度の済んだ私は足早に教室を出るために扉を開ける。

そこにはビニール袋を手に提げたあの大人が居た。

 

「.......」

「すまない、盗み聞きをするつもりはなかったんだ。ただ邪魔してしまうと思って...。」

 

自分の恥ずかしい所を聞かれてしまっていたと気付いた私はその大人を押し退け、教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、ホシノに恥ずかしい思いをさせてしまった...。」

「大丈夫だよ!ホシノちゃんは賢いから悪気があった訳じゃないってのもわかってるだろうし。」

「.....」

 

謝る黄泉に励ましの言葉をかける梔子ユメ。

それでも気にしてそうな黄泉を見て話題を変える。

 

「あー....。持ってきてくれた果物剥いちゃおっか!多分ホシノちゃんも早く帰ってくるだろうし!」

「...ああ、そうするか。何が好みか分からなかったがこれで大丈夫か?」

 

そう言い持ってきた果物を広げる。桃にバナナに林檎等、メジャーな果物がまるで採れたてのような鮮度で机に並べられた。

 

「どれも美味しそう!こんなにものがいいの初めて見たよ!!どれにしようか悩んじゃうなぁ〜。」

「好きなものを選ぶといい。私は余ったものを頂こう。」

 

ユメが果物達を前にうんうんと唸っていると急に目を見開き、黄泉の方へと向く。

 

「黄泉さんが持ってきたんだからさ!黄泉さんが1番先に選んでよ!私、黄泉さんの好みとか全然知らないから知りたいなぁ〜。」

「私は余り物で大丈夫なのだが...。」

「さぁ選んで選んで!むしろこのままだとどれも美味しそうでずっと悩んじゃうから選んじゃって!」

 

ユメがそういうと黄泉は桃を手に取った。ユメは黄泉にニッコリと笑いかける。

 

「黄泉さん桃が好きなんだ!いいよね桃!甘くて美味しいんだよねぇ〜。」

「...そうだな。桃には生命の喜びが凝縮されている。」

 

実は黄泉は味覚が薄れており、幾つかの味しか感じないのだ。とんでもない辛味がある果物だろうと淡白な味と感じる程には。ほのかな甘みなどはまだ感じることが出来るため、黄泉は桃を好んで食べているのだ。

だが味覚が薄れている事を目の前の心優しき少女が知ってしまったら、陽の光のような笑顔が曇ってしまうだろう。そう思い黄泉は味覚が薄れていることを話さなかった。

 

「じゃあ私はバナナにしよーっと!腹持ちもいいし美味しいし!良いことづくし♫」

 

ユメはバナナを手に取る。悩むと言っていたが黄泉が選んだ後迷うことなくバナナを手に取り頬擦りしていた。

 

「ホシノちゃん早く帰ってこないかなぁ〜?食べるのが待ち遠しいよぉ〜」

「先程ユメが話した通り早く帰ってくるだろう。見回りと言っていたが、今は警戒するべきものもないのだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも通りの巡回コースを歩く小鳥遊ホシノ。

いつもならもう既に2、3回程不良に絡まれてもおかしくは無いのだが、今回は全くそんなことが起きていないのである。

 

(どういうことだ...?私以外にパトロールしている人でもいるのか...?)

 

そんなことは無いのはホシノがいちばん分かっていた。もはや復興の兆しが見えない程膨れ上がった借金に砂嵐で埋もれていく街並み。片足どころか腰の辺りまで棺桶に入っているような状態のアビドスにわざわざパトロールするような人が居るわけがなかった。

それでも不良が殆ど居らず、もしかしたらどこかで徒党を組みアビドスを襲うつもりなのではと不安が膨れ上がる。

 

そんなことが起きてはならない。そんなことをさせないためにホシノはこの近辺の不良達のアジトへと向かった。そこに広がっていたのはボロボロの状態で倒れ伏している不良達だった。

 

「どういうこと...?一体誰が...?」

「...小鳥遊ホシノ!?クッソ!!こんなタイミングでかよ!!」

「もう私達ボロボロだよぉ!死体蹴りにも程があるだろ!?」

「アビドスを襲うのももう辞めるから!!もう許して!!」

 

不良達の阿鼻叫喚に困惑してしまうホシノ。誰がこんなことを...。

それを聞き出す為ボロボロの不良達に銃口を向け問いかける。

 

「もうアビドスを襲わないのなら、見逃してあげる。それで?何があったの?答えないなら...」

「言うから!!言うからその銃下げてくんねぇかな!?怖すぎてろくに喋れねぇよ!!」

 

余程酷い目に合ったのだろう。不良達のリーダーらしき人物は震えながら涙目で訴えてきた。

可哀想に思えてきた私は銃口を下げる。いざ撃たれたとしてもすぐさま反撃できるしここまでボロボロの集団なら特に傷も負わずに蹂躙できるだろうという自信の元であるが。

 

「お前が気絶して変な大人に背負われているのを見た時に...今なら私達をボコボコにしてきた小鳥遊ホシノにやり返せると思って突っかかったんだよ...。だけど...あの大人...とんでもなく強ぇ...!!今も夢に出て震えが止まらねぇよ...!」

 

当然だ。あの大人は私を手加減した状態で圧倒していたのだ。そんじょそこらの不良達が敵う相手ではない。

不良達の答えを聞き納得した私は、今日はもうパトロールの必要も無いだろうと踵を返す。

 

(とりあえず帰って...あの大人に感謝と謝罪をしないと。そういえば名前も聞いていなかったな...。)

 

そう考えながらスタスタと歩いていくと後ろから話し声が聞こえてくる。

 

「リーダー!!どうすんだよ!!アビドスをもう襲わないって言っちゃったけどさ、襲うの辞めたらこの後どうするんだよ...。」

「うるさい!何とかしていくしか無いだろ!?とりあえず今ある物資でやりくりしていくしか...。」

「...。」

 

彼女達は恐らくアビドスに元いた生徒では無い。他の学校の不良達の領地争いに負け、アビドスに来たのだろう。でなければ住人もほぼおらず奪うものがなんにもないここにアジトを作るメリットがないからだ。

先程の話を聞く限りアビドスを襲うのを誰かに依頼されていたみたいだ。その見返りとして質のいい物資を貰っていたのだろう。彼女達がアビドスを襲うのを辞めた場合、その誰かは物資を供給するのを止めるだろう。

そうなってしまえば彼女達はゆっくりと苦しむしかない。他の所に行こうにも既に領地争いで負けたあと。そこに彼女達の居場所は無いのだから。

可哀想と思う反面ざまぁみろという気持ちもあった。今までアビドスを襲っていたのだ。私の知ったこっちゃない。だけど...

 

『困ってる人がいたら、手を差し伸べるの。お腹を空かせてたり、寒さに凍えている人がいたら助けてあげるの』

 

...別に今からする提案が彼女達の救いになるかは分からない。もしかしたらもっと苦しむことになるかもしれない。けど、それでも...

 

私は振り返る。

 

「ねぇ...アビドスに来ない?」

 

わたしは振り絞るように声を出した。もう二度と後悔しないように

 

 

 

 




この後どうなってくんでしょうね(無計画)
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