狼姫とその友人のヒーローアカデミア(仮)   作:少年少女を見守り隊

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ヒーローを目指して

 

「…おぉ、ここが雄英高校」

 

「大きいよね」

 

「そう言えば、ヴェナも受けるんだな」

 

「うん、ママもヒーローだから…目指したいの」

 

ヴェナの両親はプロヒーローとサイドキックであり、個性も母親が『調教』という相手をムチで叩き、命令する事で動きを支配する個性であり、父親は『動物使い』という、飼育している動物や手懐けた野生動物を操る個性だ。

 

災害救助やヴィランの捕縛を主な活動にしている。

 

「うちはパン屋だけどねぇ…」

 

ケンの両親はパン屋を営んでおり、父親は『熱調整』という一定範囲の空間の温度を変えたり、物体の熱を自由に変える事が出来る。母親は『手を温かくする』個性を持っている。

味も好評の人気店で、ケンも何回か手伝いをする時がある。

 

「ケンのパパとママのパン、美味しいからリピーターしてるよ」

 

「父さんと母さんからよく聞くよ、仕事帰りに寄って結構な量買ってくれるって…でもあの量を毎日食べるのキツくないか?」

 

「大丈夫、美味しいから食べ切れる」

 

「そう言う問題か…?」

 

そんな事を話しながら、二人は会場へと歩みを進めた。

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

 

試験会場へと着いた二人は暫く待っていると、全員揃ったタイミングで、プロヒーロープレゼントマイクによる試験内容の説明を始まった。コールアンドレスポンスを求めるプレゼントマイクだが、応えるもの一人もいなかった。

 

「…大丈夫か?」

 

「ちょっと…ぐわんぐわんする…」

 

ヴェナは聴覚が良い為、プレゼントマイクの声がより頭に響いたのだろう。耳を抑えている。

 

『こいつぁシヴィーーー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?』

 

 

「あ、カバンに耳栓あったぞ、これで少しはマシになったか?」

 

「…何とか、マシ」

 

 

『入試要項通り!!リスナーにはこの後十分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』

 

試験内容は「演習場に配置された仮想ヴィランを行動不能にして点数を稼げ」との事、仮想ヴィランの種類は一ポイント、二ポイント、三ポイントの三種類。

そして、この試験のミソは「破壊」出来なくても拘束などで「行動不能」にすればポイントが入る…つまりは仮想ヴィランを破壊出来る程の戦闘能力が無くとも、動けなくすればポイントになるという事だ。

 

 

「───プリントには四種の(ヴィラン)が記載されております!誤載であれば───」

 

如何にも生真面目な印象を受ける少年が挙手をしてプレゼントマイクに質問をすると、視線を着席している同じ受験生へと向けた

 

「次いでにちぢれ毛の君!!先程からぼそぼそと...気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻ここから立ち去りたまえ!次にそこの銀髪の女子!!ここに受験しにきているのではないのか!!体調管理もままならないのなら君も立ち去りたまえ!!

そしてその隣の黒髪の少年!心配するのなら挙手して医務室に連れて行きたまえ!その程度もできないのなら立ち去りたまえ!!」

 

「あぁ…すいません、隣の友達も大丈夫そうなので話を続けて下さい」

 

『オーケーオーケー、受験番号7111君、ナイスなお便りサンキューな!!四種目のヴィランは0ポイント!そいつはいわばお邪魔虫!!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?アレのドッスンみたいなモンさ!!各会場に一体!所狭しと大暴れしているギミックよ!』

 

「わざわざ配置するって事は何かしらの意図があるって事だね」

 

「うん…多分…強大な敵を前にして、一歩を踏み出せるか…だと思うよ」

 

『俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の「校訓」をプレゼントしよう、かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った、「真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者」と!』

 

 

Puls ultra

 

 

Puls ultra、直訳で「更に向こうへ」

 

「不幸を乗り越えて進め…かぁ…ある意味現実的な事だよね」

 

「うん…いつかは直面する事…心構えはしっかりしないと」

 

ケンとヴェナはその言葉を聞いてそれぞれ気を引き締めた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「うーん広い」

 

「広いね…」

 

市街地の様な場所が、目の前に広がっていた。

2人は学校指定のジャージを着た程度だが、ヴェナのジャージの下だけ少し改造されていた。尻尾を出しても大丈夫な様に細工がしてあるらしい

 

「ここのどこかに仮想ヴィランがいる訳か」

 

「うん…」

 

ケンは手足のストレッチを行い、ヴェナは個性の発動段階を一段上げる。

 

「おっ、狼!?」

 

「なんだありゃ!可愛過ぎだろ!?」

 

そんなヴェナに注目が集まる中

 

『はいスタートー!』

 

待機場所に設置されている拡声器からプレゼントマイクの声が響く

 

「ん、少し退いて」

 

そう言ってヴェナは人だかりを飛び越えて市街地の中へ走って行く

 

「よしっと」

 

それに続くようにケンも走り出した。

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントダウンなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!?』

 

プレゼントマイクのその発言に、慌てて動き出す人混み

 

ドゴォッ!!!

 

「おうっ!?」

 

『標的補足、ブッコロス!!』

 

「しっかりと物騒なやつだ!」

 

先を走るヴェナとケンの間に一ポイントヴィランが現れる。

 

一ポイントヴィラン越しにヴェナを見れば、迫り来る仮想ヴィランを蹴りで破壊しまくっていた。

 

「機械ならコレで問題ないだろ!」

 

ケンは『複製』を使い、あるものを複製した。

 

高電圧スタンバトン……のようなモノだ。

 

何故こういう説明になるかと言えば、複製した物が記憶によるあやふやな物の為だ。

 

バチバチと紫電を走らせるバトンを一ポイントヴィランの攻撃を回避して遠慮なく首の隙間に差し込む

 

『ギャァァァ!!!』

 

紫電に包まれた一ポイントヴィランは機能を停止する。

 

それと同時にスタンバトンもどきも、溶けるように消えて行った。

 

「よし、この調子で……走り回って見つけるか!」

 

既にケンの近辺では仮想ヴィランを倒さんと後続が追い付いており、周りには仮想ヴィランの残骸が多数転がっている。

 

そのままケンは市街地を走り回り、仮想ヴィランを見つけては倒し、途中で同じ受験生が困っていたら手助けをした。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

そして、試験開始から6分が経過した。

 

すると、市街地に地響きが鳴り響き、地面の下から巨大な機械が現れる。

 

「…でっかいね」

 

「でかいな」

 

いつの間にか側に居たヴェナと共に、ビルの上から0ポイントヴィランを見上げるケン。

 

そして、他の参加者は我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げて行く

 

「ま、待ってくれ!瓦礫に体が挟まって動けねぇ…!」

 

『誰か助けてよぉぉぉ!』

 

運悪く出現場所の近くに居た受験生は、瓦礫に体を挟まれたり、瓦礫に周りを覆われて動けない状態になっている者も居た。

 

「…つまり、こう言う状態でどうするかって事だよね」

 

ヴェナはそんな光景を見ながら淡々と言う

 

「とりあえず、アレを壊せるか?」

 

ケンは0ポイントヴィランを指さしてヴェナに問いかける

 

「完全には無理、三段階でも穴を開けるのが精々だと思う」

 

「穴を開ければ上出来だと思うんだが……とりあえず救助が先だな」

 

そう言ってケンはビルから飛び降りる

 

「…着地、どうするんだろう?」

 

ヴェナも続けて飛び降りた。

 

 

 

 

「ん、スーパー着地!」

 

両足と片腕の三点での着地をカッコよく決めるも、衝撃の緩和なんて技術はない為に片腕と両足に少なくないダメージ(シビレ)を貰いながら、ケンは即座に救助に動いた。

 

『っ、助けてくれるの!?』

 

ケンはまず瓦礫に覆われている者の救助を開始した。

 

「ふんぬっ…あっ意外と重いな!」

 

『だ、大丈夫なんだよね!?』

 

 

「おい、俺が先だろっ!!」

 

体を瓦礫に挟まれた受験生はケンに怒声を浴びせる

 

「貴方は私がやる、文句を言わないで」

 

そう言って、ヴェナは受験生の体に乗っかっている瓦礫をポイと軽く投げ捨てる。

 

「っ、ありがとな!」

 

「礼は要らない」

 

ヨタヨタとふらつきながら去って行くのを尻目にヴェナはケンの方を確認した。

 

「よし、何とかなったぁ…」

 

「あ、ありがとうございました!その、早めに逃げて下さいね!」

 

そう言ってもう一人の受験生は走り去って行った。

 

そして、そんな救助をやっている間に、0ポイントヴィランがすぐそこまで来ていた。

 

「…どうする?」

 

「どうするって…ここまで来たらぶっ壊すか機能停止を狙うしかないだろ」

 

そう言うとケンは屈伸をしてあるモノを複製する。

 

「…トライデント?」

 

「やっててよかったよ、マインクラフト」

 

そう言ってケンはトライデントを構えると

 

「ヴェナ、投げ飛ばしてくれ、アレをぶち抜く」

 

「…分かった…」

 

そう言うとヴェナは三段階目の変化を行い、狼人間に変化する。

 

白銀の体毛が肢体を覆い隠し、両手足には肉を簡単に抉れる鋭い爪

その瞳は爛々と黄色く輝き、口には鋭い牙が見えている。

そしてその背は四メートルを越えていた。

正しく、獰猛な狼の怪物…狼人間だ。

 

『言っておくけど、加減はあんまり出来ないから、頑張って』

 

ヒョイと片手で持ち上げられて軽く握られるも、ケンはウキウキしていた。

 

「オーケー、というかやってみたかったんだよ回転アタッk…」

 

『ふんっ!』

 

「うぉぁぁぁぁぁ!!!」

 

投げ飛ばされたケンは綺麗な回転をしながら

 

0ポイントヴィランを撃ち抜いた。

 

 

『試験終了〜!!!!』

 

「おぉっ…と」

 

「…着地の事、考えてなかった」

 

回転しながら瓦礫の山に突っ込む寸前だったケンは、ヴェナにお姫様抱っこで抱えられていた。

 

「ありがとう」

 

「…気にしないで、友達だし…」

 

人の姿に戻ったヴェナに抱っこされたまま、ケンは呟く

 

「これで試験は終わったな」

 

「…結局、筆記の方…大丈夫だった?」

 

「いや、あんま自信ない"っ!?」

 

そう答えたケンはヴェナに落とされた。

 

「…私と一緒に頑張った、だから胸を張って欲しい」

 

「お、おう…!」

 

ズキズキと痛む背中をさすり、ケンは起き上がった。

 

 

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