朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 VSヤーコン。


第10話 挑戦者への洗礼

コウキはプラズマ団の家を出て、ヤーコンのジムへと向かう。本来なら、ジム前にヒュウがいるはずだが……

 

「いないか……まぁ、普通に考えて『鍛える』って言って走っていって、もう攻略完了……なんて有り得ないもんな」

 

 ゲームとの違いを実感しながら、コウキはジム内へと足を踏み入れた。そして、それに気づいた係員が声をかける。

 

「ホドモエジムへようこそ、初めての方ですよね?」

 

「えぇ、そうです。普通のジムとは違うみたいですね」

 

「はい。このジムはそこにあるリフトで降りて、暗い中をベルトコンベアで進んでいただきます。進んでいけば、必ずヤーコンさんにたどり着きますよ」

 

 そう言われて、一言お礼を言い……コウキがリフトのスイッチを押す。すると、リフトが降りて……止まった。

 

「実際見ると暗いな……どう進むんだったか、そこまで覚えてないや」

 

 コウキはそう言ったあと、楽観的に呟く。

 

「まぁ、進んでいればいずれたどり着くだろう。行こう」

 

 コウキはそう言って、目の前のベルトコンベアに乗り込んだ。それから、一時間が経過した頃。

 

「……どうしよう、道がわからん」

 

 コウキは迷子になっていた。暗い中を進んできて、段々明るくなってはきたのだが……それでも、ヤーコンのところに辿り着けない。

 

「なぁみんな、どっちだと思う……?」

 

「エンブゥ……」

 

「マリィ?」

 

 ポケモン達も分からない様子だ。コウキが頭を抱えていると……

 

「ボラッ!! ボラッ!!」

 

「シンボラー? あ、もしかして見つけたのか!?」

 

「ボラァー!!」

 

 シンボラーは頷いて、コウキを先導するように飛んで行った。コウキはシンボラーの後ろから、トレーナーを倒しながら進んでいく。そして……

 

「……ここまで来れた!! ありがとうシンボラー!!」

 

「ボラァー!!」

 

「よし、行くぞ……!!」

 

 シンボラーをボールに戻して、コウキはヤーコンのいる場所にようやく辿り着いた。

 

「来やがったか、お前がシンボラーのトレーナーだな?」

 

「ど、どうも……ポケモントレーナーのコウキです」

 

「シンボラーが飛んでるから、何事かと思ったら……まさか、ポケモンに俺様を探させてたってのか?」

 

 コウキはそう言われて、申し訳なさそうに言う。

 

「お恥ずかしながら……」

 

「……まぁ、いい。ここまで来たなら、やることは一つだ。暗い迷路はからっきしらしいが……トレーナーとしてどうなのか、お手並み拝見といこうかね」

 

「よろしくお願いします!!」

 

 コウキとヤーコンが、同時にボールを構えた。コウキが繰り出すのはもちろん……

 

「頼むぜ、マリルリ!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「いけ、ワルビル!!」

 

「ルルビィルッ!!」

 

 そこでコウキは、またしても『記憶と違うこと』を見つける。いや、厳密に言えば記憶にあるにはあるのだが……

 

(レベル34!? これ、チャレンジモードのレベルのはずだろ!? それに手持ちが4匹……いつの間にチャレンジモードに!? さては神の野郎、断りもなく変えやがったな……!?)

 

「マリルリ、早く倒さないとまずい!! 『じゃれつく』だ!!」

 

「マリィィィッ!!」

 

「遅せぇな!! ワルビル!! 『すなあらし』!!」

 

「ワルルゥゥ……!!」

 

 ワルビルを中心に、砂嵐が展開される。しかしマリルリは、その程度では怯まない。そのまま、ワルビルへと向かっていき……可愛らしい音と共に殴って蹴る。

 

「マリリィィッ!!」

 

 ──ポカポカポカポカ!!

 

「ル、ビィィル……」

 

「やるじゃねぇか、俺様のポケモンを一撃とは……相当鍛えてるな」

 

 ヤーコンは素直に賞賛の言葉をかけた。コウキは笑顔で感謝しながらも、内心では焦っている。

 

「そう言ってもらえて光栄です」

 

(くっ……まずいな、ドリュウズとサンドパンの特性は『すなのちから』と『すながくれ』だ……特にまずいのは『すなのちから』!! 砂嵐が吹いている時、攻撃力が1.3倍になる……レベル差があるとはいえ、ドリュウズの攻撃種族値なら全抜きされかねないぞ!!)

 

「さて、早速真打登場といこうか……ぶち抜け!! ドリュウズ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!!」

 

「やはり出してくるか……!!」

 

 今のマリルリは砂嵐のダメージを受けている上、ワルビルの威嚇のせいで攻撃力が一段階落ちてしまっている。コウキは少し考えて……

 

「マリルリ!! 『あまごい』……」

 

「甘いな!! ドリュウズ、『じならし』!!」

 

「ウゥズゥゥゥッ!!」

 

 ──ズゴゴゴゴッ!!

 

 地鳴りと共に、地面が揺れる。体勢を崩したマリルリが転んで、あまごいを中断させられた上にダメージを受けてしまった。

 

「やはり、ダメか……!!」

 

「今だ、ドリュウズ!! 『いわなだれ』!!」

 

「マリルリ、戻れ!!」

 

 コウキはマリルリをボールに戻す。あわよくば雨で上書きするつもりだったが、させてくれないのでは仕方がない。代わりに繰り出したのは……

 

「エンブオー!! 『いわなだれ』を受け止めろ!!」

 

「エェェン……ブゥゥ!!」

 

 ──ズドドドドォォン!!!

 

「ほう、止めたか……だが、無駄だ!! ドリュウズ、もう一発『じならし』!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

 ──ズゴゴゴゴゴッ!!

 

 またしても地鳴りと共に、エンブオーがバランスを崩す。しかし……コウキは笑みを浮かべている。それに気づいたのか、ヤーコンが警戒して眉間に皺を寄せた。

 

(ほのおタイプなんだ、効果抜群のはず……素早さダウンは、元々素早さが低いからいいとしても……抜群のダメージは痛いはずだろ?)

 

「……前方不注意だぜ!! ドリュウズ!!!」

 

「なに!? これは……くっ、ドリュウズ!! 『メタルクロー』で迎撃しろ!!」

 

 ──ジャギィィンッ!!

 

 そこでヤーコンは、コウキの意図を察した。

 

「なるほど、ただ受けるのではなく受け止めさせたのは……転んだ衝撃で岩をこっちに寄越すためか」

 

「そういうことです!!」

 

「しかし、まだ甘いな!! その程度の岩なんざ、ドリュウズにとっちゃ豆腐みたいなもんだぜ!!」

 

 ──ジャギギギィィン!!

 

 ヤーコンの言う通り、山のようにあった岩がドリュウズによって、どんどんバラバラに引き裂かれてゆく。ドリュウズの猛攻が再び始まるのも、時間の問題だ。だが……コウキにはそれも想定内。ドリュウズが目の前にあった岩を切り裂いた、その時……

 

 ──ゴォォォォッ!!

 

「エェンブゥゥッ!!」

 

「なに!? ドリュウズ、『じならし』!!」

 

「ドリュウゥゥ!!」

 

 ──ズゴゴゴゴゴッ!!

 

 『ニトロチャージ』を使って、突っ込んできたエンブオー。それに対応するために、ドリュウズがまたしても『じならし』で攻撃する。またしてもバランスを崩す……と思いきや、コウキとエンブオーはそこで口角を上げた。

 

「エンブオー、ジャンプだ!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

「残念だったな!! 踏みしめる地面が揺れてたせいで、高度が低いぜ!! ドリュウズ、『いわなだれ』!!」

 

 ヤーコンはそう言って、エンブオーを大量の岩で押し潰そうとする。しかしエンブオーもコウキも、まだ諦めてはいない。

 

「今だ、エンブオー!! 『かえんほうしゃ』で、更に上へ!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

 ──ゴォォォォォッ!!

 

「なっ……!? 空中でいわなだれを避けただと!?」

 

 ──ズドドドドォォン!!

 

 ヤーコンもこれには驚愕を隠せない。そして、エンブオーはドリュウズの真上まで辿り着いた。

 

「そのまま『ヒートスタンプ』ッ!!!」

 

「ブァァァァァァ!!!」

 

「ドリュウズ、『きりさく』で迎撃しろ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!!」

 

 ──ズゴァァァァァッ!!!

 

 二つの攻撃がぶつかり合って、轟音がジム全体を揺らす。煙が晴れて、そこに立っていたのは……

 

「……ド、リュ……」

 

「ブゥッ、ブゥッ……」

 

「よっし!! ありがとう、エンブオー!!!」

 

 勝利したのは、エンブオーの一撃だった。倒れたドリュウズを見て、ヤーコンが呟く。

 

「……まさか、ここまでとはな。相打ちには持ち込めると思ったんだが、俺様の読みが甘かったか」

 

「こっちだってボロボロですよ。ありがとうエンブオー、戻ってこい」

 

「だがまだだ、砂嵐はまだ続いてる!! サンドパン、行け!!」

 

「サァァァーンッ!!」

 

 そこでヤーコンは、サンドパンを繰り出した。特性『すながくれ』は、砂嵐が吹いている時だけだが、攻撃が当たりづらくなる効果がある。『すなのちから』と同じ、厄介な特性だ。

 

「頼む、ハハコモリ!!」

 

「ハハァーリッ!!」

 

「草タイプか……だが、虫タイプなら話は別だ!! サンドパン、『いわなだれ』!!」

 

「パァァァァンッ!!」

 

 サンドパンが、いわなだれをハハコモリの上に呼び出す。しかし、コウキは冷静に指示を出す。

 

「ハハコモリ、避けながら『ねばねばネット』をバラ撒け!!」

 

「モォーリッ!!」

 

 ──ズドドドドォォン!!

 

「躱してくるか。それなら……サンドパン、『つめとぎ』だ!!」

 

 ──ギャリンッ!!

 

 刃を研ぐような音が聞こえてくる。攻撃力と、命中率を上げる技。次は躱せない、コウキはそれを察して、ハハコモリにサンドパンから見て左に行くよう指示を出す。

 

「……ハハコモリ、俺の指す位置に!!」

 

「ハハリッ!!」

 

「悠長にしてていいのか!? サンドパン、『いわなだれ』!!」

 

 大量の岩が、ハハコモリを狙って出現する。そこでハハコモリに、コウキが指示を出した。

 

「ハハコモリ、突っ込め!! 『リーフブレード』だ!!」

 

「ハハリィィィッ!!」

 

「捨て身の特攻か? 残念だが、サンドパンには当たらんよ!!」

 

 無論、サンドパンもただ突っ立っているわけがない。左から突っ込んできたので、後ろに跳べばその先は右。その先にあるのは……さっき吐いた、ねばねばネットだった。

 

「足元に気をつけろよ!!」

 

「……!? サンドパン、そっちはまずい!!」

 

「『すながくれ』を信じすぎたな!!」

 

 一度避けてしまえば、『すながくれ』の性質上もう一度見つけるのは困難になる。だから、一度避けて、探している間にいわなだれを叩き込む。それがヤーコンの作戦だったのだが……なにも砂で前が見えにくいのは、ハハコモリやコウキだけではない。

 

 ──ベチョオ……

 

「パンッ!?」

 

「そこだ、『リーフブレード』!!」

 

「ハァリィィィ!!」

 

「サンドパン、『いわなだれ』で押し潰せ!!」

 

 ヤーコンはハハコモリを道連れにするために、ネットに絡め取られたサンドパンに指示を出す。そこでサンドパンの体に、リーフブレードが振るわれた。

 

「ハリッ、ハリッ!! ハァリィィィ!!」

 

 ──ズジャジャジャッ!!!

 

「サァン、ドォォォ……」

 

「ハハコモリ、『こらえる』!!」

 

 ──ズドドドドォォォン!!!

 

 その瞬間、大岩がハハコモリに殺到した。本来なら、脆いハハコモリは一撃だ。しかし……こらえるのおかげで、ハハコモリはHP1で耐えていた。

 

「『すなあらし』のダメージがある。残念だが、ここまでだな」

 

「……それはどうかな?」

 

「ッ……砂嵐が消えた!? ここでか!?」

 

 ヤーコンもそれに困惑し……すぐに気づいた。

 

「まさか、お前……ワルビルが砂嵐を放った時も、さっきねばねばネットを放った時も……その時から時間や、着地地点をわかっていたのか!?」

 

「そういうことですね!! 描いた放物線で、大体どの辺に着地したかはわかる。いわなだれはハハコモリの『こらえる』で何とかなるから、あとはリーフブレードを当てるだけだった、ってわけです」

 

「なんて野郎だ……ここまで計算づくなのか。俺はまんまと嵌められたってわけかよ。チッ……」

 

 舌打ちした後、ヤーコンはサンドパンを戻し……最後のボールを取り出す。そこでコウキは、消耗したハハコモリをボールに戻した。

 

「ありがとう、ハハコモリ……最後は頼むぜ、マリルリ!!」

 

「やっぱりそいつか……行け、イワーク!!」

 

「グォォォォッ!!」

 

 消耗してはいるが、まだマリルリのHPは残っている。効果抜群を取られるエンブオーより、マリルリの方が戦えると判断したのだ。コウキがそこで啖呵を切る。

 

「このまま勝たせてもらいます!!」

 

「普通に考えれば、そうなるだろうな。だが……!! 諦めるのは簡単、いつだってできることよ!!」

 

「マリルリ、イワークに『じゃれつく』だ!!」

 

 そこでヤーコンは、その行動を見て……イワークに指示を出す。

 

「イワーク、『ロックカット』!!」

 

 ──ギャギギギッ!!

 

「ウォォォォォッ!!」

 

(素早さを上げたか……マリルリの素早さはそこまでじゃないし、『アクアジェット』も持ってない。素早さが逆転したな)

 

 そのままマリルリがイワークに突っ込んで、可愛らしい音と共に何発も殴りつけて、離脱する。

 

「マリィィィー!!」

 

 ──ポカポカポカポカ!!

 

「グォッ……!!」

 

「まだだ、イワークはその程度じゃ落ちねぇ!!」

 

 コウキもそれは理解していた。攻撃の意図は、あくまで特性『がんじょう』の対策のため。

 

(HPが必ず1残るのは、HPが満タンの時だけだ。さっき『じゃれつく』で攻撃力が下がったから、一撃くらいは耐えられるはず……イワークの攻撃の種族値は低いから、大丈夫だ)

 

「マリルリ!! 『アクアテール』でトドメだ!!」

 

「マリィィィッ!!」

 

「やらせるかよ、イワーク!! 『じならし』!!」

 

「グォォォォォン!!」

 

 ──ズゴゴゴゴゴッ!!

 

 イワークは地面を揺らして、マリルリを転ばせようとする。しかし、もちろんその程度想定内でないはずもない。

 

「甘い!! マリルリ、『アクアテール』をその場に叩きつけて『とびはねる』!!」

 

「マッリィィィィ!!」

 

 ──ドパァァァァァン!!

 

「攻撃を跳躍のために使うとは……だが、まだだ!! イワーク、『いわなだれ』で追撃しろ!!」

 

「グォォォォォォッ!!!」

 

 大岩がマリルリの上を取った。そこでコウキはヤーコンにとって、衝撃的な命令をする。

 

「今だ、マリルリ!!」

 

「来るか!!」

 

「……『あまごい』!!」

 

「なんだと!?」

 

 攻撃してこないことに、ヤーコンは驚愕する。そのまま着地して、マリルリが走り出す。

 

「空中じゃ自由に動けない。いわなだれで袋叩きにされたら、消耗したマリルリじゃ受けきれない可能性もありますからね!! それに……いわなだれを出してる最中に、他の技は出せないでしょ!?」

 

「くっ……イワーク、『いわなだれ』をマリルリの目の前に!!」

 

「グォォォォォッ!!!」

 

 ──ドドドォォォン!!

 

 マリルリの目の前を塞ぐように、大岩が次々に出現する。しかし、コウキは全く怯まない。

 

「マリルリ!! 『アクアテール』で岩の上に飛び乗れ!!」

 

 ──ドパァァァァン!!

 

「マリィィーッ!!!」

 

「押し潰せ、イワーク!!!」

 

「もう一回だ、マリルリッ!!!」

 

 ──ドッパァァァァァァン!!!

 

 ──ズガァァァァン!!!

 

 コンマ一秒の差で、マリルリが岩の上から離脱する。マリルリの位置は、イワークの頭の真上。コウキが、マリルリと共に全力で叫ぶ。マリルリが一回転しながら、イワークに全力のアクアテールを叩き込む。

 

「『アクアテール』だぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「ルッリィィィィィィ!!!」

 

 ──ドバギャアァァァァァ!!!

 

「オ、オォ、ォ……」

 

 ──ズドドドォォォォ……ン。

 

 大岩の蛇が倒れ込んで、辺りに砂埃が舞う。それを見たヤーコンは、ひとつため息をついてから言った。

 

「やれやれ……本気で戦って負けると、清々しいな!!」

 

「よっしゃあぁぁぁぁっ!!!」

 

「マリィー!!」

 

 コウキの喜びようを見て、ヤーコンはバッジと賞金を差し出した。

 

「フンッ、くれてやる。元々これが欲しくて来たんだろ?」

 

「ありがとうございます!!」

 

「ほら、こいつも持っていきな。『じならし』のわざマシンだ。お前なら使いこなせるだろうよ」

 

 コウキはそれも受け取って、お礼を言う。

 

「ありがとうございます!!」

 

「ったく……とんでもねぇのが現れたもんだ。二年前には、トウコとかいうヤツもいたが……あいつと同じ……いや、それ以上かもな」

 

「そこまで言ってもらえるなんて、嬉しいですね!!」

 

 純粋に喜ぶコウキを見て、ヤーコンは優しい目になった。

 

「フッ……その目を見ると、嫌でも思い出しちまう。タロのヤツは、元気でやってるだろうか……」

 

(そういえばタロちゃん、ヤーコンさんの娘さんだって言ってたよな……)

 

「娘さんですか?」

 

 知っているとは言わずに、コウキは知らないていで尋ねる。

 

「あぁ、とにかく『かわいいポケモン』が大好きなヤツでな。炭鉱や宝石には見向きもせず、可愛らしいポケモン引き連れて、離島の学園に行きやがった。全く、手のかかる娘だ……おっと、身の上話しててもしょうがねぇか」

 

「僕はもっと聞きたいですけどね」

 

「そうか? まぁ、それはまた今度だ。連れていきたいところがある、ワシに着いてこい!!」

 

 そう言って、ヤーコンはコウキと共に外に出た。そこで、ヤーコンを見つけたヒュウが叫ぶ。

 

「あ、お前はもうジムをクリアしたのか? 流石だなッ!!」

 

「ヒュウ兄さん、これから挑戦?」

 

「ちょっと待ってろ、すぐ戻ってきてやる」

 

 そう言ってヤーコンは、PWTの方へ歩いていく。コウキはそれについて行く。

 

「……ここだ。ここが『ポケモンワールドトーナメント』、略して『PWT』さ!!」

 

「わぁぁ、すごい活気だ……!!」

 

「なんたって、イッシュだけじゃない……全地方をあげた一大イベントだ。チャンピオンも来るって噂だぜ? アンタなら、ここに参加してもいいだろう……じゃあ、エントリーは早めにしとけよ!!」

 

 そう言って、ヤーコンは去っていった。コウキはお礼を言って、ホドモエトーナメントにエントリーしに行く。

 

「……はい、エントリー完了です。大会開始まで、しばらくお待ちください」

 

「ありがとうございます……さてと、今日はもう遅いし、明日から準備するか」

 

 コウキはそう言って、今日宿泊するホテルへと向かった。

 

 

 

 その日の夜のこと。コウキは夢の中で、誰かの声に起こされる。

 

『……目覚めてください、人の子よ』

 

「ん……ん!? 神か!?」

 

『あなたの知っている『神』ではありませんが、そうです』

 

 そう言ってコウキの前に現れたのは、光の塊のような存在だった。それにコウキは、見覚えがある。

 

「ア、アルセウス……!? なんでアンタがここに? 神は?」

 

『あの不届き者は私が消しました。これでもう、奴の欲望に振り回されることはありません』

 

「あ、ありがとうございます……死んだのか。なんか可哀想な気も……」

 

 コウキがそう言っていると、アルセウスは明らかに申し訳なさそうな口調で言った。

 

『申し訳ありませんでした。私が軽はずみに許可したばかりに、あなたの命を奪うとは……謝っても許されないことはわかっています、しかし……』

 

「い、いやいや!! アルセウスさんは悪くないでしょ!? 悪いのはあいつで……」

 

『それは私にも責任があります。相手のポケモンが強かったのは、私からの謝罪のひとつです。あなたの『強い相手と戦いたい』欲望を読み取り、相手を強くしました』

 

 あれはアルセウスがやったのか。コウキはそれを聞いて、少し驚いた。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

『しかし、それだけでは不足。せめてものお詫びの印に……こちらをお受け取りください』

 

「これ、マスターボール!? ひいふうみい……何個あるんですか?」

 

 恐る恐る聞くと、アルセウスはとんでもないことを言った。

 

『100個あります』

 

「いやいやいやいや!! 初代のバグ技じゃないんですから!!!」

 

「それだけではありません、ポケモンを強くするアイテムに、特訓用の道具に、お金に変えられる玉に、それから私のプレートを一枚……」

 

「待って待って待って!!! そんなにもらえませんよ!!!」

 

 あまりに過剰な施しに、コウキは嬉しいを通り越してドン引きしていた。アルセウスはそれを見て、言う。

 

『やはりこれでは不足ですか、では……』

 

「増やすな!!! 減らして!!!」

 

『そんなことはできません。あなたに奴が行ったことを考えれば……』

 

 コウキは申し訳なさそうなアルセウスに、必死に伝える。

 

「確かに、僕は勝手にポケモン世界に転生させられちゃいましたけど……今、すごく楽しいですし!! 大満足ですよ!!」

 

『しかし……何かしないと、私は……欲しいものを言ってください、どのような物でも出しますよ』

 

「……それじゃあ、僕の言う物を出してもらえますか?」

 

 コウキは埒が明かないと思って、出して欲しい物をアルセウスに伝える。

 

『わかりました、どうぞ』

 

「一瞬!? すげぇ、流石は創世神……」

 

『奴の作った『ヒロイン図鑑』は、私が引き継ぎましょう。私はいつでも、あなたを見守っています』

 

 そう言って、アルセウスが消える。コウキはその瞬間、また眠りに落ちた。そして、次の朝……

 

「ん……もう朝か……って、机の上が!?」

 

 机の上に、注文した大量のアイテムが所狭しと置かれていた。コウキはそれを見て、ため息をつく。

 

「欲を言うなら……バッグに詰めといて欲しかったなぁ」

 

 そう言ってコウキは、アイテムを頑張って鞄に詰めることになったのであった。




次回、努力値を振ったり色々します。
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