朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版) 作:とも667
チャンピオン戦です。
コウキは朝起きて、PWTに直行した。事前に参加者や、トーナメント表の確認をしておきたかったから。PWT会場は、大会当日ということもあって活気に溢れていた。
「うわぁ、すごい人だかり……現代を思い出すな」
「アローラ名物、マラサダはいかがでしょうか!! ポケモンと一緒に食べられますよー!!」
「マラサダも売ってるのか、何個か買っていくか……すみません、マラサダ6つ!!」
ポケモンの人数分買って、ポケモンと一緒に分けて食べながら歩く。
「食べて体力つけとけよ、これから連戦になるからな」
「エンブゥ!!」
「ははっ、エンブオーはやる気満々だな。他のみんなも……」
コウキのポケモン達は闘志に満ち溢れている。そして、PWT会場に入ると……コウキのよく知る二人がいた。
「おーい!! コウキ!! こっちだぜッ!!」
「あ、ヒュウ兄さん!! それにチェレンさんも!!」
「やぁ、久しぶり。僕も参加しようと思ってね、昨日参加手続きを済ませてきたんだ」
それを聞いて、コウキはPWTにチェレンとヒュウが参加していたことを思い出した。アクロマの前に、二人と戦うのだと。
「ホドモエトーナメントの表は……これか」
「あぁ、しかし……初戦の相手がチャンピオンとはね」
「誰が相手だろうと、全力で勝ちを取りに行くだけだッ!!」
コウキがトーナメント表を確認して、驚愕の声を上げる。チャンピオンが来るかもしれないとは聞いていたので、各地方のチャンピオンを思い浮かべてはいたが……
「なにっ!?」
「ん? どうした?」
「い、いや、なんでもない……」
コウキはとても混乱していた。何故ならそこに書いてあった名前は……歴代の女主人公達の名前だったから。
(確かに、金銀クリスタルにレッドが登場したことはあったが……こんなにたくさん、一気に出てくるだと!? それに、時系列的には剣盾やSVはBWよりも未来の話のはずだ……一体どうなってる?)
「最後の一人は『サレナ』さんか……知らない人だね」
「あ、プラズマ団を殺そうとした人……この人と戦うのか」
ヒュウがそう呟く。コウキはそれを見て、少し警戒していた。
(教えてないし、まだ知らないとは思うが……もしアクロマの正体を知ったら、彼女は十中八九殺しにかかるだろう。それは避けないといけない……)
「コウキの一戦目の相手は……ホウエンチャンピオンのハルカ、だって」
「僕の相手は、ガラルチャンピオンのユウリさんか……全力を尽くすほかないな」
そして、最後に……アオイVSアクロマと書かれている。コウキはそれを見て、誰を連れていくかを決定する。
(相手がどんなポケモンを持ってるのか、想像がつかない。主人公のパーティは人によって異なるし、俺のプレイした時のパーティそのままと仮定して挑むのは、流石に無謀だ。なら……)
「参加させるポケモン、お前は何にする? 俺はもう決めたぜ」
「……エンブオー、ハハコモリ、ドリュウズにするよ」
コウキはこの三匹を選択した。これなら二匹の水弱点をハハコモリで補っていけるし、二匹が抜群を取られる地面を4分の1にできる。
「間もなく試合開始時間です。参加者の皆様は、会場内にお集まりください」
「始まるみたいだな。お互い頑張ろう」
「おう、コウキも負けんなよ!!」
「僕の実力、チャンピオンにどれだけ通用するか……試させてもらおう」
三匹を選んで会場内に入ると、観客席は満員になっていた。そこでアナウンスが流れる。
『PWTホドモエトーナメント、シングルバトル!! 今回参加したトレーナーは、こちらッ!! ホドモエトーナメント、いよいよ開幕ですッ!!』
「「ワァァァァァァ!!!」」
「さぁ、それでは早速!! 最初の選手入場といきましょうか!! 左コーナー、どうぞ!!」
左側の入口に、スポットライトが当たる。
「最初からいきなりクライマックス!! ホウエンチャンピオン、ハルカの入場だァ!!!」
「うぉぉぉー!! ハルカー!!」
「待ってましたー!!」
スポットライトの中を歩いて、中央のリングへ向かっていくハルカ。そして今度は、右側にスポットライトが当たった。
「さて、続いて右コーナーより!! 幸か不幸か、チャンピオンの初戦を任された少年!! 初挑戦、ポケモントレーナーのコウキの入場だァ!!」
「すごい熱気だ……ゲーム機越しとは迫力が違うな」
「こんな機会滅多にないぞー!! 楽しんでいけ!!」
完全に勝てないと思われていることが、コウキは不満だったが……文句を言っても仕方がない。事実、コウキはまだ無名なのだから。
「よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします!!」
「第一回戦!! コウキVSハルカ!!」
横の大きな画面に、二人の顔が映し出された。そして、二人がボールを構える。観客の安全のために、リングにPWTのマークがついた壁が出てくる。
「レディ……ファイト!!」
「ゆけっ、オオスバメ!!」
「頼むぜ、ドリュウズ!!」
二体のポケモンがリングに出てきて、同時に雄叫びを上げる。
「スバァァァー!!」
「ドリュウゥゥ!!」
「オオスバメ、『ねっぷう』!!」
「スババァァー!!」
早速、オオスバメの攻撃。ドリュウズに襲いかかる灼熱……コウキはそんな中、冷静に指示を出す。
「ドリュウズ、躱して『いわなだれ』だ!!」
「ドリュウゥゥゥッ!!!」
「速い!? ……あれは『こだわりスカーフ』!?」
こだわりスカーフの効果で、ドリュウズはオオスバメを抜く素早さを手に入れていた。オオスバメの『ねっぷう』を見事に躱して、大岩がオオスバメの上空に出現する。
「ウゥズゥゥッ!!」
「くっ、オオスバメ!! 避けて!!」
──ズドドドドドォォン!!!
「スバッ!! スバァァーッ!!」
しかし、そこは流石チャンピオンのポケモンと言うべきか。岩の雨の間を縫って、ドリュウズへと接近していく。
「今度こそ当てる!!」
「ドリュウズ、もう一発『いわなだれ』だ!!」
「ドリュウゥゥゥッ!!!」
またしても大岩が、オオスバメめがけて降り注いでくる。オオスバメはそれにも怯まず、大岩を避けてどんどん近づく。
「……そう来ると思ってたぜ!!」
──ズドォォン!!
「スバッ!?」
「ッ!? オオスバメの前に岩が……!!」
「今だ、ドリュウズ!! ありったけぶつけろ!!!」
コウキが命令すると、ドリュウズはオオスバメめがけて岩石を大量に落とす。もちろん、こんな状態では避けられない。オオスバメは岩を受けて地に落ちる。
「ドリュウゥゥゥッ!!!」
──ズドドドォォォン!!!
「……やるね、あなた。思ってたより強いや」
「チャンピオンにそう言ってもらえると、光栄ですね」
二人がニヤリと笑って……ほぼ同時に叫ぶ。
「オオスバメ!! 『がむしゃら』!!!」
「ドリュウズ、戻れッ!!!」
「えぇっ!?」
オオスバメが大岩の下から飛び出してきた瞬間に、コウキは笑みを浮かべて……ドリュウズをボールに戻した。予想外だったのか、ハルカが驚愕の声を上げる。
「頼んだ、ハハコモリ!! 『とびかかる』だ!!!」
「ハハァーリィッ!!」
「スバァァァァァ!!」
オオスバメはそのまま、ハハコモリに突撃していく。ハハコモリは体を屈めて、迎撃態勢を取る。そして、オオスバメがその勢いのまま……ハハコモリに激突した。
──ドゴォォォン!!
「ハリッ……イィィィッ!!」
──ズダァァァァン!!!
「スッ、バァァ……」
「オオスバメ戦闘不能、ハハコモリの勝利!!」
審判のその声と共に、ハルカがコウキに尋ねる。
「……いつから気づいてたの?」
「勘ですよ。この程度でチャンピオンのポケモンがやられてくれるとは、到底思えなくてね。この状況からオオスバメが巻き返せる技は、がむしゃらしかない……と思って、元々耐久の低いハハコモリに交換させてもらいました」
「やるね、まるで熟練のトレーナーみたい」
事実、熟練のトレーナーではあるのだが。この世界でなら、まだまだルーキーだ。コウキは謙遜を口にする。
「いえ、僕はまだまだルーキーですよ」
「でも、勝負はここからだよ!! ゆけっ、ミロカロス!!!」
「ミロォォォー!!!」
二体目はミロカロスだった。コウキの目に入ったのは……体についている、赤い玉。
(あれは、かえんだまか……ということは、『ふしぎなウロコ』で防御を上げて押すタイプだな……? 厄介だ……残りHPは1、あれだけでもなんとかしないとな)
「……ハハコモリ!! 『タネマシンガン』で牽制しながら、左回りで接近しろ!!」
「ハリッ!! ハァリィィィー!!!」
──ズダダダダダッ!!!
「やらせない!! ミロカロス、『れいとうビーム』で……!!」
──パキキキキッ!!!
もちろん、それはコウキの想定内。コウキは、そこで指示を変更する。
「今だ、ハハコモリッ!! ミロカロスの懐に飛び込んで『はたきおとす』!!」
「ハァリィィッ!!」
「よし、これで……なにっ!?」
コウキはそこで驚愕する。何故なら、ミロカロスは……
「技には、こういう使い方もあるんだよ!!」
「そうか!! 床が滑るせいで、的の小さいかえんだまには当たり辛い……くっ!!」
「今だよミロカロス、『れいとうビーム』!!」
コウキはそこで、冷や汗を流す。このままでは何もできずにやられてしまう。しかし、戻して受けてもその先が続かない。コウキは……攻撃の命令をした。
「ハハコモリッ!! 『とびかかる』だ!!!」
「ハァリィィィィ!!!」
──ズダァァァァン!!!
「ミロッ……ロォォォォ!!」
──ジュビィィィィッ!!!
ハハコモリの攻撃は、命中したが……もうミロカロスは、火傷状態になってしまっていた。いくらむしのしらせとタイプ一致の攻撃とはいえ……削り切ることは、できなかった。れいとうビームを受けて……ハハコモリは為す術なく氷漬けにされた。
「ハハコモリ戦闘不能、ミロカロスの勝利!!」
(どうする? 相手の防御はとても硬い、たとえエンブオーのワイルドボルトでも、削りきれないだろう。その上タイプ相性はミロカロス有利……抜群を取られれば、無事では済まない。考えろ、どうすれば勝てる!?)
「どうしたの? もう降参?」
ハルカがそう言ってきたが……コウキは笑みを携えて、言う。
「そんな馬鹿な……ここからですよ!!」
「だよね!!」
「行け、ドリュウズ!!」
「ドリュウゥゥッ!!」
出てきたのは、さっきと同じポケモン。ハルカはそれを見て、考える。
(最後の一匹を温存してる? それとも、最後の一匹じゃ勝てないから? ……どちらにせよ、このドリュウズを倒せばいいか!!)
「ミロカロス、『ねっとう』……」
「ドリュウズ!! 『つのドリル』でミロカロスに突っ込め!!!」
「なっ……!?」
「ドォリュウゥゥッ!!!」
──ギュイィィィィッ!!!
ドリュウズは爪を合わせてドリルにし、そのままミロカロスに突っ込んでいく。このままでは、当たってしまう。ハルカは急いで、ミロカロスに命令した。
「ミロカロス、右に避けて!!」
──ガゴォンッ!!
「外れた、今だ!! 今度こそ……」
「甘いな!!」
コウキの言葉を聞いて、ハルカとミロカロスが機敏に反応する。体を逸らして、ミロカロスはつのドリルから何とか逃れた。そして、またしても壁に激突して……ドリュウズが方向転換する。
──ガゴォォン!!
「前が見えないまま、壁にぶつかり続けてる!?」
「俺にも、ドリュウズがどこに行くかはわからない!! 当たるか当たらないかは、完全に運だ!!!」
「くっ……早すぎて、攻撃が当てられない……!!」
攻撃して止めようにも、早すぎて捉えることができない。その上、下手に攻撃を撃てば回避が疎かになってしまう。当たれば一撃必殺である以上は、ドリュウズがどこかで止まるまで待つほかないのだ。
──ガゴォォォン!!
「……ドリュウズが離れた、今だ!! ミロカロス、『ねっとう』!!」
「ミロォォォォ!!」
──ドジュウゥゥゥッ!!!
「止まるな、ドリュウズ!! 進み続けろ!!!」
火傷と大ダメージを負っても、ドリュウズは止まらない。どんどん反射して、また接近してくる。そして……
──ガゴォンッ!!
「ッ、しまった!! この角度は……!!」
「当たれぇぇぇぇぇ!!!」
「ドリュウゥゥゥゥッ!!!」
「ミロカロス、『ねっとう』!!!」
──ドジュウゥゥゥッ!!!
急いでハルカが、攻撃の指示を出す。それは、確かに命中したが……もうつのドリルの勢いは、ドリュウズにすら止められない。そのまま、ねっとうの中を突き進み……
──ズギャギャギャギャッ!!!
「行けぇぇぇぇっ!!!」
「ミ、ロォォォ……」
「ミロカロス!!」
──ズシィィィン。
ミロカロスが一撃必殺を受けて、倒れ込んだ。ドリュウズもHPがゼロになって、その場に倒れ込む。
『りょ……両者、共に戦闘不能!!』
「これで一対一ですね?」
「……まさか、ここまでやるなんて。こんなに強い人と戦うの、久しぶりかも」
そう言って、ハルカが嬉しそうに笑う。
「チャンピオンにそこまで言ってもらえるなんて、光栄ですね」
「でも!! 勝つのは私だよ!! お願い、バシャーモ!!!」
「バシャアァァーッ!!!」
バシャーモが雄叫びを上げる。それを見たコウキも、笑みを浮かべて……言った。
「いや、勝つのは俺だ!! 頼むぜ、エンブオー!!!」
「ブァァァァァッ!!!」
「私達の本気……見せてあげる!!」
そう言って、ハルカが取り出したのは……虹色の宝石がついた腕輪、メガリングだ。バシャーモも足に同じものをつけている。ハルカが宝石を二本指で押すと……紫色の光が、そこから溢れ出す。
──ギュイィィン!!
「これは……!!」
「行くよ、バシャーモ!! メガシンカだ!!!」
「シャモォォッ!!!」
──ギュアァァァァァ!!!
その光に呼応するように、バシャーモの体も輝き始める。まるで進化する時のように、バシャーモが光に包まれた。そして、轟音と共に光にヒビが入り、突き破るように光が割れる。
──バゴォォォォン!!!
「バシャアァァーッ!!!」
「行くよ、メガバシャーモ!!!」
「勝つのは俺たちだ!! そうだろ、エンブオー!?」
「エェンブゥゥーッ!!!」
二匹のポケモンが並び立つ。そして……一瞬の、嵐の前の静けさの後に。
「メガバシャーモ!!!」
「エンブオー!!!」
「「『インファイト』だぁぁぁ!!!」」
その瞬間、二人は相手を睨みつけて……走り出す。バシャーモの足と、エンブオーの拳がぶつかり合い……凄まじい轟音を響かせる。
──ゴバオォォォォォッ!!!
「バシャアァァァァァ!!!」
「エェンブゥゥゥゥッ!!!」
「負けるな、エンブオー!!」
「押し切れ、バシャーモ!!」
殴り合う度に炎が散る。火傷しそうな程の熱が二人を襲っても、二人はバトルを見つめ続ける。そんなことをする暇など、今はないから。そして観客達にとっても、ポケモン達の激しい炎の演武は……とても美しく見えた。
「おい、あいつルーキーだよな……なんであんなについていけてるんだ?」
「わかんねぇけど……とにかくすげぇよ……チャンピオンも、ルーキーも……」
「ど、どっちも頑張れぇぇ!!!」
そんな中で、コウキは冷静に状況を分析する。この勝負は……こちらが不利であることを。
──バフゥオォォォォッ!!!
(エンブオーは『いのちのたま』を持ってるから、火力では劣ってないけど……総合ステータスや攻撃の速さは、あっちが断然上だ。その上、メガバシャーモの特性は『かそく』。時間が経つ程、スピードでは突き放されていく……!!)
「バッシャアァァァッ!!!」
──ズゴォォォォォッ!!!
「エンッ……ブゥゥゥゥゥ!!!」
──ゴバォォォォゥッ!!!
KOされたら負け。それ以外のルールなどない、全力の殴り合い。どちらが先に仕掛けるか、勝敗を分けるのはそれだけ。先に仕掛けたのは……隙を見つけた、ハルカの方だ。エンブオーの拳が空振りした、その瞬間を狙う。
「今だ、バシャーモ!! 全力で『インファイト』だぁぁぁぁ!!!」
「バシャアァァァァッ!!!」
「……エンブオー、そのまま転べ」
──ドサッ。
バシャーモがエンブオーに飛びかかった、その時。加速したバシャーモの全力の攻撃は、空振りした勢いで転んだエンブオーを捉えることなく終わった。加速しすぎていたバシャーモは、勢いを殺しきれずにつんのめる。
「なっ……!? ッ、バシャーモ!! もう一回……」
「今だ、エンブオー!! 『ふいうち』!!!」
「ブァァァァァッ!!!」
──ドゴォォンッ!!!
ハルカがもう一度仕掛けようとした瞬間、顔に『ふいうち』を打ち込まれた。突然の顔への攻撃に、バシャーモは一瞬隙を晒す。
「シャモォ……!!」
「しまっ……」
「今だッ、エンブオー!!! 全力で『インファイト』だぁぁぁぁ!!!」
その瞬間、エンブオーが目の前の怯んだバシャーモに、全力のラッシュを繰り出した。
「エェンブゥゥゥゥッ!!!」
──ゴバゥオォォォォォッ!!!
「バ、シャア……!!」
──ガギャアン!!!
──ドサッ。
「ブゥッ、ブゥ……」
壁に思いっきりぶつかって、そのままバシャーモが倒れ込み……メガシンカが解除される。そしてエンブオーは、息を切らしながらも……天に向かって、拳を掲げた。
『バ……バシャーモ、戦闘不能……ということは、この勝負……』
「……や……」
『勝者……ポケモントレーナーのコウキ!!!』
「やったぁぁぁぁーっ!!!」
チャンピオンと戦って、コウキは見事勝利してみせた。観客達も、これには歓声を上げている。
「マジかよ、あいつチャンピオンに勝ったぞ!!」
「嘘だろ、すげぇ!! 初心者ってのは嘘じゃねぇのか!?」
「……あー、負けちゃった。君、すごいね!! 私、全力だったよ!!!」
ハルカはそう言って、素直にコウキを称える。コウキはそれに、笑って返す。
「いえ……何かが違えば、僕は負けていましたよ。みんなのおかげです」
「悔しいけど、清々しい!! 負けるなんて久しぶりだ~!! また戦おうね、コウキくん!!!」
「えぇ、よろこんで」
コウキとハルカが握手して、またしても歓声が上がる。こうして、コウキのPWT一回戦は終わりを告げたのだった。
一方、その頃。アオイに負けて脱落したアクロマは、観客席でコウキの試合を見ていた。
「……素晴らしいっ!! あれがメガシンカ……実に、実に興味深い!!!」
初めてメガシンカを見たアクロマは、興奮していた。ポケモンの力を引き出すという観点での、一つの究極の形。
「そして、それにメガシンカ無しでついて行けるコウキさんの強さ……あれは一体、どこから来る? 絆とはそこまで、ポケモンを強くしてくれるものなのか……?」
アクロマがブツブツ呟いていると、そこでアナウンスが流れる。
『間もなく、PWTホドモエトーナメント、シングルバトルの準決勝戦が始まります。選手の皆様は控え室にお集まりください』
「おっと……見逃すわけにはいきませんね。コウキさん、今度は何を見せてくれるのか……楽しみにしていますよ」
興奮と歓喜を顔に出しながら、アクロマは観客席に戻っていった。
次回、VSアオイ。