朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 チャンピオン戦です。


第12話 PWT開幕、VSチャンピオン

コウキは朝起きて、PWTに直行した。事前に参加者や、トーナメント表の確認をしておきたかったから。PWT会場は、大会当日ということもあって活気に溢れていた。

 

「うわぁ、すごい人だかり……現代を思い出すな」

 

「アローラ名物、マラサダはいかがでしょうか!! ポケモンと一緒に食べられますよー!!」

 

「マラサダも売ってるのか、何個か買っていくか……すみません、マラサダ6つ!!」

 

 ポケモンの人数分買って、ポケモンと一緒に分けて食べながら歩く。

 

「食べて体力つけとけよ、これから連戦になるからな」

 

「エンブゥ!!」

 

「ははっ、エンブオーはやる気満々だな。他のみんなも……」

 

 コウキのポケモン達は闘志に満ち溢れている。そして、PWT会場に入ると……コウキのよく知る二人がいた。

 

「おーい!! コウキ!! こっちだぜッ!!」

 

「あ、ヒュウ兄さん!! それにチェレンさんも!!」

 

「やぁ、久しぶり。僕も参加しようと思ってね、昨日参加手続きを済ませてきたんだ」

 

 それを聞いて、コウキはPWTにチェレンとヒュウが参加していたことを思い出した。アクロマの前に、二人と戦うのだと。

 

「ホドモエトーナメントの表は……これか」

 

「あぁ、しかし……初戦の相手がチャンピオンとはね」

 

「誰が相手だろうと、全力で勝ちを取りに行くだけだッ!!」

 

 コウキがトーナメント表を確認して、驚愕の声を上げる。チャンピオンが来るかもしれないとは聞いていたので、各地方のチャンピオンを思い浮かべてはいたが……

 

「なにっ!?」

 

「ん? どうした?」

 

「い、いや、なんでもない……」

 

 コウキはとても混乱していた。何故ならそこに書いてあった名前は……歴代の女主人公達の名前だったから。

 

(確かに、金銀クリスタルにレッドが登場したことはあったが……こんなにたくさん、一気に出てくるだと!? それに、時系列的には剣盾やSVはBWよりも未来の話のはずだ……一体どうなってる?)

 

「最後の一人は『サレナ』さんか……知らない人だね」

 

「あ、プラズマ団を殺そうとした人……この人と戦うのか」

 

 ヒュウがそう呟く。コウキはそれを見て、少し警戒していた。

 

(教えてないし、まだ知らないとは思うが……もしアクロマの正体を知ったら、彼女は十中八九殺しにかかるだろう。それは避けないといけない……)

 

「コウキの一戦目の相手は……ホウエンチャンピオンのハルカ、だって」

 

「僕の相手は、ガラルチャンピオンのユウリさんか……全力を尽くすほかないな」

 

 そして、最後に……アオイVSアクロマと書かれている。コウキはそれを見て、誰を連れていくかを決定する。

 

(相手がどんなポケモンを持ってるのか、想像がつかない。主人公のパーティは人によって異なるし、俺のプレイした時のパーティそのままと仮定して挑むのは、流石に無謀だ。なら……)

 

「参加させるポケモン、お前は何にする? 俺はもう決めたぜ」

 

「……エンブオー、ハハコモリ、ドリュウズにするよ」

 

 コウキはこの三匹を選択した。これなら二匹の水弱点をハハコモリで補っていけるし、二匹が抜群を取られる地面を4分の1にできる。

 

「間もなく試合開始時間です。参加者の皆様は、会場内にお集まりください」

 

「始まるみたいだな。お互い頑張ろう」

 

「おう、コウキも負けんなよ!!」

 

「僕の実力、チャンピオンにどれだけ通用するか……試させてもらおう」

 

 三匹を選んで会場内に入ると、観客席は満員になっていた。そこでアナウンスが流れる。

 

『PWTホドモエトーナメント、シングルバトル!! 今回参加したトレーナーは、こちらッ!! ホドモエトーナメント、いよいよ開幕ですッ!!』

 

「「ワァァァァァァ!!!」」

 

「さぁ、それでは早速!! 最初の選手入場といきましょうか!! 左コーナー、どうぞ!!」

 

 左側の入口に、スポットライトが当たる。

 

「最初からいきなりクライマックス!! ホウエンチャンピオン、ハルカの入場だァ!!!」

 

「うぉぉぉー!! ハルカー!!」

 

「待ってましたー!!」

 

 スポットライトの中を歩いて、中央のリングへ向かっていくハルカ。そして今度は、右側にスポットライトが当たった。

 

「さて、続いて右コーナーより!! 幸か不幸か、チャンピオンの初戦を任された少年!! 初挑戦、ポケモントレーナーのコウキの入場だァ!!」

 

「すごい熱気だ……ゲーム機越しとは迫力が違うな」

 

「こんな機会滅多にないぞー!! 楽しんでいけ!!」

 

 完全に勝てないと思われていることが、コウキは不満だったが……文句を言っても仕方がない。事実、コウキはまだ無名なのだから。

 

「よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします!!」

 

「第一回戦!! コウキVSハルカ!!」

 

 横の大きな画面に、二人の顔が映し出された。そして、二人がボールを構える。観客の安全のために、リングにPWTのマークがついた壁が出てくる。

 

「レディ……ファイト!!」

 

「ゆけっ、オオスバメ!!」

 

「頼むぜ、ドリュウズ!!」

 

 二体のポケモンがリングに出てきて、同時に雄叫びを上げる。

 

「スバァァァー!!」

 

「ドリュウゥゥ!!」

 

「オオスバメ、『ねっぷう』!!」

 

「スババァァー!!」

 

 早速、オオスバメの攻撃。ドリュウズに襲いかかる灼熱……コウキはそんな中、冷静に指示を出す。

 

「ドリュウズ、躱して『いわなだれ』だ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!!」

 

「速い!? ……あれは『こだわりスカーフ』!?」

 

 こだわりスカーフの効果で、ドリュウズはオオスバメを抜く素早さを手に入れていた。オオスバメの『ねっぷう』を見事に躱して、大岩がオオスバメの上空に出現する。

 

「ウゥズゥゥッ!!」

 

「くっ、オオスバメ!! 避けて!!」

 

 ──ズドドドドドォォン!!!

 

「スバッ!! スバァァーッ!!」

 

 しかし、そこは流石チャンピオンのポケモンと言うべきか。岩の雨の間を縫って、ドリュウズへと接近していく。

 

「今度こそ当てる!!」

 

「ドリュウズ、もう一発『いわなだれ』だ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!!」

 

 またしても大岩が、オオスバメめがけて降り注いでくる。オオスバメはそれにも怯まず、大岩を避けてどんどん近づく。

 

「……そう来ると思ってたぜ!!」

 

 ──ズドォォン!!

 

「スバッ!?」

 

「ッ!? オオスバメの前に岩が……!!」

 

「今だ、ドリュウズ!! ありったけぶつけろ!!!」

 

 コウキが命令すると、ドリュウズはオオスバメめがけて岩石を大量に落とす。もちろん、こんな状態では避けられない。オオスバメは岩を受けて地に落ちる。

 

「ドリュウゥゥゥッ!!!」

 

 ──ズドドドォォォン!!!

 

「……やるね、あなた。思ってたより強いや」

 

「チャンピオンにそう言ってもらえると、光栄ですね」

 

 二人がニヤリと笑って……ほぼ同時に叫ぶ。

 

「オオスバメ!! 『がむしゃら』!!!」

 

「ドリュウズ、戻れッ!!!」

 

「えぇっ!?」

 

 オオスバメが大岩の下から飛び出してきた瞬間に、コウキは笑みを浮かべて……ドリュウズをボールに戻した。予想外だったのか、ハルカが驚愕の声を上げる。

 

「頼んだ、ハハコモリ!! 『とびかかる』だ!!!」

 

「ハハァーリィッ!!」

 

「スバァァァァァ!!」

 

 オオスバメはそのまま、ハハコモリに突撃していく。ハハコモリは体を屈めて、迎撃態勢を取る。そして、オオスバメがその勢いのまま……ハハコモリに激突した。

 

 ──ドゴォォォン!!

 

「ハリッ……イィィィッ!!」

 

 ──ズダァァァァン!!!

 

「スッ、バァァ……」

 

「オオスバメ戦闘不能、ハハコモリの勝利!!」

 

 審判のその声と共に、ハルカがコウキに尋ねる。

 

「……いつから気づいてたの?」

 

「勘ですよ。この程度でチャンピオンのポケモンがやられてくれるとは、到底思えなくてね。この状況からオオスバメが巻き返せる技は、がむしゃらしかない……と思って、元々耐久の低いハハコモリに交換させてもらいました」

 

「やるね、まるで熟練のトレーナーみたい」

 

 事実、熟練のトレーナーではあるのだが。この世界でなら、まだまだルーキーだ。コウキは謙遜を口にする。

 

「いえ、僕はまだまだルーキーですよ」

 

「でも、勝負はここからだよ!! ゆけっ、ミロカロス!!!」

 

「ミロォォォー!!!」

 

 二体目はミロカロスだった。コウキの目に入ったのは……体についている、赤い玉。

 

(あれは、かえんだまか……ということは、『ふしぎなウロコ』で防御を上げて押すタイプだな……? 厄介だ……残りHPは1、あれだけでもなんとかしないとな)

 

「……ハハコモリ!! 『タネマシンガン』で牽制しながら、左回りで接近しろ!!」

 

「ハリッ!! ハァリィィィー!!!」

 

 ──ズダダダダダッ!!!

 

「やらせない!! ミロカロス、『れいとうビーム』で……!!」

 

 ──パキキキキッ!!!

 

 もちろん、それはコウキの想定内。コウキは、そこで指示を変更する。

 

「今だ、ハハコモリッ!! ミロカロスの懐に飛び込んで『はたきおとす』!!」

 

「ハァリィィッ!!」

 

「よし、これで……なにっ!?」

 

 コウキはそこで驚愕する。何故なら、ミロカロスは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。凍らせていたのは、地面の方だ。それを見たハルカが、笑みを浮かべた。

 

「技には、こういう使い方もあるんだよ!!」

 

「そうか!! 床が滑るせいで、的の小さいかえんだまには当たり辛い……くっ!!」

 

「今だよミロカロス、『れいとうビーム』!!」

 

 コウキはそこで、冷や汗を流す。このままでは何もできずにやられてしまう。しかし、戻して受けてもその先が続かない。コウキは……攻撃の命令をした。

 

「ハハコモリッ!! 『とびかかる』だ!!!」

 

「ハァリィィィィ!!!」

 

 ──ズダァァァァン!!!

 

「ミロッ……ロォォォォ!!」

 

 ──ジュビィィィィッ!!!

 

 ハハコモリの攻撃は、命中したが……もうミロカロスは、火傷状態になってしまっていた。いくらむしのしらせとタイプ一致の攻撃とはいえ……削り切ることは、できなかった。れいとうビームを受けて……ハハコモリは為す術なく氷漬けにされた。

 

「ハハコモリ戦闘不能、ミロカロスの勝利!!」

 

(どうする? 相手の防御はとても硬い、たとえエンブオーのワイルドボルトでも、削りきれないだろう。その上タイプ相性はミロカロス有利……抜群を取られれば、無事では済まない。考えろ、どうすれば勝てる!?)

 

「どうしたの? もう降参?」

 

 ハルカがそう言ってきたが……コウキは笑みを携えて、言う。

 

「そんな馬鹿な……ここからですよ!!」

 

「だよね!!」

 

「行け、ドリュウズ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

 出てきたのは、さっきと同じポケモン。ハルカはそれを見て、考える。

 

(最後の一匹を温存してる? それとも、最後の一匹じゃ勝てないから? ……どちらにせよ、このドリュウズを倒せばいいか!!)

 

「ミロカロス、『ねっとう』……」

 

「ドリュウズ!! 『つのドリル』でミロカロスに突っ込め!!!」

 

「なっ……!?」

 

「ドォリュウゥゥッ!!!」

 

 ──ギュイィィィィッ!!!

 

 ドリュウズは爪を合わせてドリルにし、そのままミロカロスに突っ込んでいく。このままでは、当たってしまう。ハルカは急いで、ミロカロスに命令した。

 

「ミロカロス、右に避けて!!」

 

 ──ガゴォンッ!!

 

「外れた、今だ!! 今度こそ……」

 

「甘いな!!」

 

 コウキの言葉を聞いて、ハルカとミロカロスが機敏に反応する。体を逸らして、ミロカロスはつのドリルから何とか逃れた。そして、またしても壁に激突して……ドリュウズが方向転換する。

 

 ──ガゴォォン!!

 

「前が見えないまま、壁にぶつかり続けてる!?」

 

「俺にも、ドリュウズがどこに行くかはわからない!! 当たるか当たらないかは、完全に運だ!!!」

 

「くっ……早すぎて、攻撃が当てられない……!!」

 

 攻撃して止めようにも、早すぎて捉えることができない。その上、下手に攻撃を撃てば回避が疎かになってしまう。当たれば一撃必殺である以上は、ドリュウズがどこかで止まるまで待つほかないのだ。

 

 ──ガゴォォォン!!

 

「……ドリュウズが離れた、今だ!! ミロカロス、『ねっとう』!!」

 

「ミロォォォォ!!」

 

 ──ドジュウゥゥゥッ!!!

 

「止まるな、ドリュウズ!! 進み続けろ!!!」

 

 火傷と大ダメージを負っても、ドリュウズは止まらない。どんどん反射して、また接近してくる。そして……

 

 ──ガゴォンッ!!

 

「ッ、しまった!! この角度は……!!」

 

「当たれぇぇぇぇぇ!!!」

 

「ドリュウゥゥゥゥッ!!!」

 

「ミロカロス、『ねっとう』!!!」

 

 ──ドジュウゥゥゥッ!!!

 

 急いでハルカが、攻撃の指示を出す。それは、確かに命中したが……もうつのドリルの勢いは、ドリュウズにすら止められない。そのまま、ねっとうの中を突き進み……

 

 ──ズギャギャギャギャッ!!!

 

「行けぇぇぇぇっ!!!」

 

「ミ、ロォォォ……」

 

「ミロカロス!!」

 

 ──ズシィィィン。

 

 ミロカロスが一撃必殺を受けて、倒れ込んだ。ドリュウズもHPがゼロになって、その場に倒れ込む。

 

『りょ……両者、共に戦闘不能!!』

 

「これで一対一ですね?」

 

「……まさか、ここまでやるなんて。こんなに強い人と戦うの、久しぶりかも」

 

 そう言って、ハルカが嬉しそうに笑う。

 

「チャンピオンにそこまで言ってもらえるなんて、光栄ですね」

 

「でも!! 勝つのは私だよ!! お願い、バシャーモ!!!」

 

「バシャアァァーッ!!!」

 

 バシャーモが雄叫びを上げる。それを見たコウキも、笑みを浮かべて……言った。

 

「いや、勝つのは俺だ!! 頼むぜ、エンブオー!!!」

 

「ブァァァァァッ!!!」

 

「私達の本気……見せてあげる!!」

 

 そう言って、ハルカが取り出したのは……虹色の宝石がついた腕輪、メガリングだ。バシャーモも足に同じものをつけている。ハルカが宝石を二本指で押すと……紫色の光が、そこから溢れ出す。

 

 ──ギュイィィン!!

 

「これは……!!」

 

「行くよ、バシャーモ!! メガシンカだ!!!」

 

「シャモォォッ!!!」

 

 ──ギュアァァァァァ!!!

 

 その光に呼応するように、バシャーモの体も輝き始める。まるで進化する時のように、バシャーモが光に包まれた。そして、轟音と共に光にヒビが入り、突き破るように光が割れる。

 

 ──バゴォォォォン!!!

 

「バシャアァァーッ!!!」

 

「行くよ、メガバシャーモ!!!」

 

「勝つのは俺たちだ!! そうだろ、エンブオー!?」

 

「エェンブゥゥーッ!!!」

 

 二匹のポケモンが並び立つ。そして……一瞬の、嵐の前の静けさの後に。

 

「メガバシャーモ!!!」

 

「エンブオー!!!」

 

「「『インファイト』だぁぁぁ!!!」」

 

 その瞬間、二人は相手を睨みつけて……走り出す。バシャーモの足と、エンブオーの拳がぶつかり合い……凄まじい轟音を響かせる。

 

 ──ゴバオォォォォォッ!!!

 

「バシャアァァァァァ!!!」

 

「エェンブゥゥゥゥッ!!!」

 

「負けるな、エンブオー!!」

 

「押し切れ、バシャーモ!!」

 

 殴り合う度に炎が散る。火傷しそうな程の熱が二人を襲っても、二人はバトルを見つめ続ける。そんなことをする暇など、今はないから。そして観客達にとっても、ポケモン達の激しい炎の演武は……とても美しく見えた。

 

「おい、あいつルーキーだよな……なんであんなについていけてるんだ?」

 

「わかんねぇけど……とにかくすげぇよ……チャンピオンも、ルーキーも……」

 

「ど、どっちも頑張れぇぇ!!!」

 

 そんな中で、コウキは冷静に状況を分析する。この勝負は……こちらが不利であることを。

 

 ──バフゥオォォォォッ!!!

 

(エンブオーは『いのちのたま』を持ってるから、火力では劣ってないけど……総合ステータスや攻撃の速さは、あっちが断然上だ。その上、メガバシャーモの特性は『かそく』。時間が経つ程、スピードでは突き放されていく……!!)

 

「バッシャアァァァッ!!!」

 

 ──ズゴォォォォォッ!!!

 

「エンッ……ブゥゥゥゥゥ!!!」

 

 ──ゴバォォォォゥッ!!!

 

 KOされたら負け。それ以外のルールなどない、全力の殴り合い。どちらが先に仕掛けるか、勝敗を分けるのはそれだけ。先に仕掛けたのは……隙を見つけた、ハルカの方だ。エンブオーの拳が空振りした、その瞬間を狙う。

 

「今だ、バシャーモ!! 全力で『インファイト』だぁぁぁぁ!!!」

 

「バシャアァァァァッ!!!」

 

「……エンブオー、そのまま転べ」

 

 ──ドサッ。

 

 バシャーモがエンブオーに飛びかかった、その時。加速したバシャーモの全力の攻撃は、空振りした勢いで転んだエンブオーを捉えることなく終わった。加速しすぎていたバシャーモは、勢いを殺しきれずにつんのめる。

 

「なっ……!? ッ、バシャーモ!! もう一回……」

 

「今だ、エンブオー!! 『ふいうち』!!!」

 

「ブァァァァァッ!!!」

 

 ──ドゴォォンッ!!!

 

 ハルカがもう一度仕掛けようとした瞬間、顔に『ふいうち』を打ち込まれた。突然の顔への攻撃に、バシャーモは一瞬隙を晒す。

 

「シャモォ……!!」

 

「しまっ……」

 

「今だッ、エンブオー!!! 全力で『インファイト』だぁぁぁぁ!!!」

 

 その瞬間、エンブオーが目の前の怯んだバシャーモに、全力のラッシュを繰り出した。

 

「エェンブゥゥゥゥッ!!!」

 

 ──ゴバゥオォォォォォッ!!!

 

「バ、シャア……!!」

 

 ──ガギャアン!!!

 

 ──ドサッ。

 

「ブゥッ、ブゥ……」

 

 壁に思いっきりぶつかって、そのままバシャーモが倒れ込み……メガシンカが解除される。そしてエンブオーは、息を切らしながらも……天に向かって、拳を掲げた。

 

『バ……バシャーモ、戦闘不能……ということは、この勝負……』

 

「……や……」

 

『勝者……ポケモントレーナーのコウキ!!!』

 

「やったぁぁぁぁーっ!!!」

 

 チャンピオンと戦って、コウキは見事勝利してみせた。観客達も、これには歓声を上げている。

 

「マジかよ、あいつチャンピオンに勝ったぞ!!」

 

「嘘だろ、すげぇ!! 初心者ってのは嘘じゃねぇのか!?」

 

「……あー、負けちゃった。君、すごいね!! 私、全力だったよ!!!」

 

 ハルカはそう言って、素直にコウキを称える。コウキはそれに、笑って返す。

 

「いえ……何かが違えば、僕は負けていましたよ。みんなのおかげです」

 

「悔しいけど、清々しい!! 負けるなんて久しぶりだ~!! また戦おうね、コウキくん!!!」

 

「えぇ、よろこんで」

 

 コウキとハルカが握手して、またしても歓声が上がる。こうして、コウキのPWT一回戦は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 一方、その頃。アオイに負けて脱落したアクロマは、観客席でコウキの試合を見ていた。

 

「……素晴らしいっ!! あれがメガシンカ……実に、実に興味深い!!!」

 

 初めてメガシンカを見たアクロマは、興奮していた。ポケモンの力を引き出すという観点での、一つの究極の形。

 

「そして、それにメガシンカ無しでついて行けるコウキさんの強さ……あれは一体、どこから来る? 絆とはそこまで、ポケモンを強くしてくれるものなのか……?」

 

 アクロマがブツブツ呟いていると、そこでアナウンスが流れる。

 

『間もなく、PWTホドモエトーナメント、シングルバトルの準決勝戦が始まります。選手の皆様は控え室にお集まりください』

 

「おっと……見逃すわけにはいきませんね。コウキさん、今度は何を見せてくれるのか……楽しみにしていますよ」

 

 興奮と歓喜を顔に出しながら、アクロマは観客席に戻っていった。




次回、VSアオイ。
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