朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 ギャグ回気味です。


第16話 ユウリの恋情

コウキは事件の後始末を手伝った後、フキヨセシティへと足を進めていた。それと同時に、チェレンにもらったわざマシンを見る。

 

「わざマシン『なみのり』……マリルリに覚えさせたら、技がひとつ減るしな。秘伝要員も用意した方がいいか?」

 

 コウキがそう呟きながら歩いていると……ライブキャスターが鳴った。

 

「ん、誰からだろう……えっ、ルリさん? ……もしもし?」

 

『もしもし、コウキさんですか? コウキさんがホドモエシティにいると聞いて、大丈夫かなって思いまして……』

 

「僕なら大丈夫ですよ、ご心配なく」

 

 原作にはなかったルリとの電話イベント。コウキは少し驚いたが、それはそれとして嬉しかった。ルリはそれを聞いて、ホッとしたようだ。

 

『よかった……コウキさんって、すごい人だったんですね。他の地方のチャンピオンに勝って、PWT優勝を勝ち取るなんて』

 

「まぁ、ポケモンが僕に力を貸してくれたのでね。持つべきものはいい相棒です」

 

『ポケモンが大好きなんですね、コウキさんは』

 

 当然だ。コウキは子供の頃からずっと、ポケモンと一緒だったのだから。嫌いなはずがない。

 

「そりゃもちろん、大好きですよ」

 

『とにかく、無事でよかったです。個人的に心配なので、これからは定期的に電話させてもらいますね』

 

「あ、わかりました。お待ちしてます」

 

『はい。それでは、また』

 

 電話が切れて、コウキは嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「こりゃあ嬉しいや、特定の場所に行かなくても通話ができる。仲良くなれるのもそう遠くないかもな……さて、フキヨセに向かうか」

 

 他のみんなは後始末を終えた後、それぞれ行きたいところに行ったらしい。コウキはとりあえずストーリーに沿って、フキヨセに向かうことにした。そして、その道中……

 

「こふゅいぃぃーっ!!」

 

「あっ、コバルオン……そうか、ここで出てくるんだったな」

 

「こふおぉぉぉーっ!!」

 

 コバルオンはコウキを一瞥した後、雄叫びを上げながら去っていった。それを見たロットと老人が、驚愕の声を上げる。

 

「今のポケモンは……!?」

 

「伝説のポケモン、コバルオンじゃな!! こないだ話をしただろ」

 

「あ、ロットさんとおじいさん……どうしてここに?」

 

 コウキが尋ねると、ロットがそれに答えた。

 

「改めて、プラズマ団からこの街を守ってくれたことへの礼を言いたくてな。感謝するよ」

 

「いえ、当然のことをしたまでですよ」

 

「コバルオン、ビリジオン、そしてテラキオンの三匹は、人が始めた戦から仲間を守るため人間に戦いを挑んだという……人が戦いをやめなければ、ポケモン達の平和もない」

 

 コウキはそれを聞いて、ゲーチスを止める決意を新たにする。

 

「しかし、何故人の前に姿を? 二年前プラズマ団が起こした騒ぎに危険を感じ、ポケモンを守るためにイッシュをパトロールしているのか? それとも、新たな騒ぎの兆候を察知したのか……」

 

「コバルオンがお前の前に姿を現したのはたまたまなのか、それとも騒ぎを収めて欲しいと訴えるためなのか……N様と違い、ポケモンの言葉がわからない私には、気持ちを測りかねるがね」

 

「どちらにせよ、僕がゲーチスを止めますよ。あんな奴を放っておいたら、世界は滅茶苦茶にされます」

 

 その場にいたロットも、それに肯定を返す。

 

「やるせないことだ……二年前のことがあってからも、ゲーチス様の悪しき野望は広がり続け、他の誰かを歪めているのか」

 

「……他の誰かを、か」

 

『退きなさい。私がその人殺しを駆除するわ』

 

 サレナの異常なまでの憎しみと怒り。あれも、ゲーチスが原因だ。コウキはプラズマ団への怒りを募らせる。

 

「任せたぞ、コウキ。無力な私の代わりに、イッシュを……N様が愛したポケモン達を守ってくれ」

 

「任せてください。それでは」

 

「……N様、トウコ。どうか勇敢なる若者に、力をお貸しください」

 

 コウキは電磁石の洞窟に入る。そこではバチュルがあちこちに張り付いて、電気を吸っていた。

 

「ゲームで見るのとはまた違う、神秘的な感じだな……あ、ベルさん!!」

 

「あっ、コウキくん!! 知ってる? この浮いてる石、押すと動かせるんだよ!! それにしても、ここは相変わらずポケモンが好きな電気を帯びてるねぇ」

 

「そうですね。そういえば、ベルさんはここに何をしに来たんですか?」

 

 コウキが尋ねると、ベルはそれで目的を思い出したようだ。

 

「あっ、そうだった!! 私、ポケモンの調査をしに来たんだぁ!! じゃあ、またねぇ!!」

 

「……行っちゃった、俺も行くか」

 

「そこのトレーナー、勝負だ!!」

 

「おっと。構いませんよ」

 

 コウキはいつも通り、ポケモンバトルをしながら電磁石の洞窟を進んでいく。そして、途中で……

 

「あっ、そこのキミ!! やってきたね、よく来たね!! 僕はきんのたまおじさんだよ!!」

 

「そして、僕はきんのたまボーイ!! そして更にこっちが……」

 

「僕はきんのたまおじさんの弟!!」

 

「さ、三人いる……!? なんで!?」

 

 コウキはまたしても原作と違う点を見つけた。ここにいるのは二人のはずが、三人になっている。

 

「僕らはきんのたまトリオなのさ!! きんのたまをどうぞ!!」

 

「僕からはでかいきんのたまをどうぞ!!」

 

「僕からは金の延べ棒をどうぞ!!」

 

「待って、最後なに!? ポケモンにないよそんなアイテム!? というか、きんのたまおじさんじゃないの!?」

 

 コウキはツッコミが止まらない。そこできんのたまおじさんの兄の方が言った。

 

「でかいきんのたまときんのたまより、金の延べ棒の方が高く売れるよ!! 有効に活用してくれ、なんたって僕らの延べ棒ときんのたまだからね!!」

 

「……ありがとうございます」

 

(棒が一本と、それを挟むきんのたま……あぁダメだ考えるのやめよう、考えれば考えるほど卑猥になるやつだこれ)

 

 コウキは思考を放棄して、その場を去った。そして、到着したフキヨセシティ。そこですぐに、コウキはそれを換金した。

 

「金の延べ棒と、きんのたまがひとつ、でかいきんのたまがひとつで……計105000円になります」

 

「ちょっと待って、それでかいきんのたまの四倍の価値あるの!? 妙に重いと思ったら!!」

 

「珍しいですね、こんなもの持ってくるなんて。ほとんど持ってる人いないですよ」

 

「でしょうねぇ!!」

 

 ゲームにないんだから、誰も持ってくるはずがない。コウキは意味不明な状況の中、大金を受け取った。

 

「……さて。この先に進むと、確か……」

 

「ハーイ、とも!! やっと、ライブキャスターを使わずお話ができたわね!!」

 

「アララギ博士、こんにちは。お会いできて光栄です」

 

 コウキは気を取り直して、丁寧に挨拶をする。

 

「ご丁寧にどうも!! 改めまして、私がアララギです!! 私のお願いを聞いてポケモン図鑑を受け取り、パートナーとしたポケモンと共にここまで来てくれたんだよね……」

 

「はい、色々ありましたけどね」

 

「見てたわよ、PWT!! すごい戦いだったわね!! ポケモンへの理解や、何より絆が伝わってきたわ!!」

 

 あれがアララギの目にも止まったことを、コウキは嬉しく思っている。

 

「光栄です、ありがとうございます」

 

「じゃあ早速だけど、図鑑を評価させてもらうわね!!」

 

「はい、どうぞ」

 

 コウキはポケモンを全然集めていない……と思いきや、これがあることをわかっていたので、描写外では結構集めていたのだ。

 

「コウキくんがこれまでに見たポケモン、捕まえたポケモンは……ありがとう、たくさんポケモンを捕まえてくれたのね!!」

 

「えぇ、頑張りました」

 

「これはほんのお礼、受け取ってちょうだい!!」

 

 コウキが渡されたのは……最高ランクのボール、マスターボールだ。アルセウスにもらって、もう何個か持っているのだが……

 

「ありがとうございます、使わせてもらいます!!」

 

「それにしても、ポケモンの分布って二年で大きく変わるのね……だからこそ研究は終わらないし、面白いと言えるのだけれど……」

 

「アララギ博士ーッ!!」

 

 そう言って、走ってきたのは……フキヨセジムのジムリーダー、フウロだった。

 

「あら、フウロじゃない!! こちらはフウロ、フキヨセジムのジムリーダーなの!!」

 

「あら、じゃないですよ!! 今は歩きでネジ山を超えてソウリュウシティに行けないから、飛行機に乗せてね!! って頼んできたのはアララギ博士ですよ!!」

 

「あはは、そうだったわね!! でも、その前にお願い!! タワーオブヘブンを調べたいの、だからそれまで待ってて!! それじゃあね、とも。どんな時も、どんなポケモンとも仲良くよ」

 

 アララギは、そう言って走っていった。それを見て、フウロがため息をつく。

 

「もう!! おおらかというか、どこか適当というか……親子ってやっぱり似ちゃうのね」

 

「大変ですね、フウロさん……」

 

「さてと、アナタ。フキヨセジムに来てアタシに挑戦する? それとも、博士が向かったタワーオブヘブンで鍛えます? アタシとしては強いトレーナーと戦えれば、どっちでもいいよ」

 

 コウキはとりあえずタワーオブヘブンに向かうことにした。アララギからもらいたいアイテムもあったから。

 

「じゃあ、タワーオブヘブンに……」

 

「あっ、そういえば。チャンピオンとその連れの一人が、私のところに挑戦しに来たよ。滅茶苦茶強くて手も足も出なかった。あれにも勝っちゃうなんて、君は強いんだね」

 

「ユウリも来たのか……彼女は今どこに?」

 

「確か……タワーオブヘブンで鍛えるって言ってたけど?」

 

 コウキはそれを聞いて、タワーオブヘブンに向かっていく。

 

「みんなタワーオブヘブンに集まってるってわけか。こりゃ、俺だけ行かないわけにはいかないな」

 

 コウキはそう言いながら、タワーオブヘブンに向かって……中に入ると、アララギ博士が誰かと話していた。

 

「あっ、ハルカさん!!」

 

「あっ、コウキくん!! また会ったね!!」

 

「あら、コウキ!! あなたもタワーオブヘブンで修行かしら?」

 

 コウキはそう尋ねられて、頷く。

 

「まぁ、そんなところです」

 

「熱心ね、みんな!! じゃあ、これを使ってみて!!」

 

「『しあわせタマゴ』!! ありがとうございます!!」

 

 しあわせタマゴ、持たせるだけでもらえる経験値が増える優れものだ。

 

「ここ、おくりび山に似てるんだよね。そういう場所だからだと思うけど……」

 

「ハルカさんも修行ですか?」

 

「まぁ、そんなところ。ユウリさんやアオイさん達も上にいると思うよ」

 

 コウキはそれを聞いて、上に登っていく。すると……トレーナーと戦っている最中のユウリがいた。

 

「ミミッキュ、『かげうち』!!」

 

「ミタァーッ!!」

 

「トモシィィ……」

 

 トレーナーに勝って、ユウリが後ろを向くと……コウキがいて、驚いている。

 

「えっ、コウキ!? もうここまで来たんだ……流石だね」

 

「もしかして、先回りされてたってことかな?」

 

「ライバルの動向は、把握しておきたいからね。次戦う時は、今度こそ勝ちたいし」

 

 ユウリは戦いの楽しさを思い出して、目を輝かせている。コウキもそれを聞いて、笑みを浮かべていた。

 

「僕も、いつでも受けて立ちますよ」

 

「ふふっ、そうでなくちゃね。君は私のライバルだし、私に勝った人なんだから」

 

(好感度めっちゃ高いな!? バトルに勝っただけでこうなったのか……? 今も上がってるし、他のみんなに比べて上がりすぎなような……)

 

 コウキはそう思いながらも、上に進んでいく。ユウリはそれを見て、コウキの後についてきた。

 

「上に行くなら私も行く!!」

 

「じゃあ、一緒に行きましょうか」

 

「うん!!」

 

 コウキとユウリは、二人で頂上に登っていく。そして、頂上の一階下にて。今降りてきたと思わしき、アオイ達がいた。

 

「あっ、コウキさん!!」

 

「アオイさん? あなた達もいたんですね」

 

「おぉ、コウキさんだ!! ねぇ、コウキさんっ!! ここで一回戦わない!? ねぇ!?」

 

 ネモにすごい勢いで詰められて、コウキが思わずたじろぐ。その様子を見て、周囲がネモを諌める。

 

「まぁまぁネモ、ちょっと落ち着いて。コウキさんも困ってるし」

 

「うん……ごめんなさい」

 

「落ち込まないで……あ、私とやろう!! 外に出てさ!! いいでしょ?」

 

 アオイがそう言うと顔を上げて、満面の笑みになる。その様子を見て、ボタンとペパーは呆れたような表情をしている。

 

「バトル好きすぎ……勢いヤバいし、ウチだったら倒れちゃうかも」

 

「まぁ、生徒会長はいつもあんな感じだからな……俺はもう慣れたぜ」

 

「お二人も鐘を鳴らしに来たんですか?」

 

 アオイに尋ねられて、コウキとユウリが同時に言う。

 

「「うん、修行のついでに……あ」」

 

「あ、ハモった」

 

「ここの鐘の音、綺麗ですもんね!!」

 

 アオイがそう言った瞬間、また鐘の音が響く。誰かが鐘を鳴らしたようだ。

 

「……また鐘が鳴った。誰かが鳴らしたみたいだけど」

 

「見に行ってみますか?」

 

「お気をつけて!! じゃあネモ……って、わっ!?」

 

「早く行こう、アオイ!!」

 

 ネモは気持ちを抑えきれず、アオイの手を引いて階段を駆け下りていった。運動不足なボタンはそれについていけない様子だ。

 

「はぁ、はぁ……ちょい待ち、ウチを置いてかないで……」

 

「アギャス!!」

 

「え? 乗せてくれんの? ……ありがとう」

 

 ミライドンはボタンを乗せて、先に行った三人を追いかけていった。それを見届けたあと、コウキは上に登る。鐘の前にいたのは……オカルトマニアのリツコだった。

 

「……久しぶり、また会ったわね」

 

「リツコさん!! そういえば来るって言ってましたもんね!!」

 

「コウキの知り合い?」

 

 ユウリが尋ねてきて、コウキが頷く。

 

「まぁ、そんなところです」

 

「知り合い……というのは、語弊があるわね。私とこの人は特別な物で結ばれている。彼と私しか知らない、見えない繋がりで……」

 

「特別な、もの……」

 

 それを聞いたユウリは、何故か少し悲しそうにしている。それを見て、コウキは急いでフォローを入れた。

 

「い、いや!! 違いますからね、そういうのじゃないですからね!! リツコさんも、その言い方は語弊を生みますって!!」

 

「あら、ごめんなさい。私達以外にはわからないことだったわね……では、また会いましょう。運命が私達を導いてくれるわ」

 

「……よくわからない人だな、ホント」

 

 コウキはそう言って、頭を掻いている。そこでユウリが、コウキの方を向いて言った。

 

「コウキ、あの人とどういう関係?」

 

「いや、その……恋人とかではないよ?」

 

「……そっか、よかった」

 

 ユウリはホッとしているようだ。しかし、一瞬見えたユウリの暗い目を、コウキは見逃さなかった。

 

(危ねぇぇぇぇ!! 目付きが完全に俺と戦う前に戻ってた!! というか、ハイライトオフの女の子怖すぎ!! もしかしてユウリってヤンデレ気質!? どうしよう、刺されてBADENDとか嫌だ!!)

 

「と、とりあえず鐘鳴らしてみようか!! うん!!」

 

「私も一緒に鳴らす!!」

 

 ユウリがコウキの手の甲を掴んで、ベルを一緒に鳴らす。鐘の音が辺り一帯に響き渡った。

 

「……綺麗な音だなぁ、実際に聞くと」

 

「そうだね……ここに来てよかった」

 

「うん、じゃあ……そろそろ降りよっか」

 

 ユウリと一緒にタワーオブヘブンを降りていく二人。コウキはそんな中、必死に焦りを顔に出さないようにしていた。

 

(ごめんホミカちゃん、他の女とイチャイチャしてる!! この世界って一夫多妻OKなのか!? もしNGだったら、完全に浮気だ……絶対あの神、そこまで考えてやってねぇな……最悪だ)

 

 コウキがそんなことを考えている中、ユウリは自分の中に渦巻く感情に困惑していた。

 

(何これ……さっきの女とコウキが話してる時、特別な関係だって聞いた時、心がすごく痛くなった……それだけじゃない、私コウキに会っただけで嬉しくなってる。どうして? コウキが強いから? ううん、きっとそれだけじゃない……)

 

 お互いに感情を抱えながら、二人はフキヨセへ戻っていった。そして、コウキはポケセンに立ち寄った後……ジムに向かおうとする。

 

「さてと、それじゃ……ジムに挑戦するとしますか」

 

「ねぇ、コウキ……」

 

「わっ!? どうしたの、ユウリ?」

 

 少し過剰に驚きながら、コウキがユウリに答えて振り向く。そしてユウリは、コウキに言った。

 

「ジム戦が終わったら……どこかで、二人で話さない? ちょっと、話がしたくて」

 

「い、いいよ。わかった、それじゃ……行ってくるね!!」

 

「うん、待ってるから」

 

 コウキはそう言われて、ジムに向かっていく。コウキはもう、焦りを隠せずにいる。辛うじて口には出していないが、体中汗だくだ。

 

(ど、どうしよう!? これ告白だよな!? ホントどうすればいいんだ、アルセウスなら何とかしてくれるか!? でも、なんて言えばいいんだ……もう思いつかない!! とりあえず今は、ジム戦に集中しよう……)

 

「……行っちゃったか」

 

(私のこの感情、もしかしてこれが……『恋』? でも、好きだって言っても……コウキは私のこと、好きなのかな? もし、コウキの気持ちが違ったら……私は、どうしたらいいんだろう……)

 

 ユウリは不安と恋幕を抱えたまま、偶然そこにあったベンチに座り込む。

 

「コウキ……」

 

 まだほんの少ししか関わっていないのに、ユウリはもう完全に、コウキに心を奪われてしまっていた。この気持ちがどこへ向かうのか……それは、まだ誰にもわからない。

 

 

 

 一方、その頃。アルセウスの世界にて、コウキを見守っていたアルセウスは、コウキの願いに気づいていた。

 

「……本来ならば、どちらか一人を選ぶのが倫理的なのでしょうが」

 

 アルセウスはそれを理解した上で、『神』がコウキにやった行いを省みる。そしてそれを事前に止められなかった、自分の不甲斐なさを恥じた。

 

「コウキ。そしてユウリ。あなた達がもしそれを望むのなら……私がお手伝いをしましょう」

 

 そう言って、アルセウスは……コウキがいる世界に足先を当てた。球体型の世界が、白い光に包まれる。

 

「これで、あなたの思うことはできるようになりました。あとは、彼女とあなたの意思次第です」

 

 コウキの知らないところで、コウキのやりたいことがやれるようになった。そうとは知らずに、コウキは焦りながらもジム戦に臨む。アルセウスはそれを、静かに見守り続けていた。




次回、フキヨセジム。
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