朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 VSサレナ。


第18話 それぞれの目的地

次の日。コウキはユウリと一緒に、空港に来ていた。コウキ達が乗る飛行機が、滑走路に止まっている。

 

「ハーイ、コウキくん!! 山を超えても、同じようにいい調査ができるといいわね!! って、あら? そっちの人はもしかして……」

 

「どうも、チャンピオンのユウリです。コウキの彼女をやらせてもらってます」

 

「あら、そうなの!? ポケモンバトルは絆を繋いでくれるけど、恋に発展することもあるのね……素晴らしいわ!!」

 

 アララギ博士は二人が照れる様子を見て、笑みを浮かべている。そこでフウロが、話を進めるために割って入った。

 

「おほん!! それじゃ、博士の調査も一段落したようですし、コウキさんと……あとチャンピオンもあたしの飛行機に乗りますか?」

 

「はい、お願いします。ユウリも乗るのか?」

 

「いや、私はもうちょっと鍛えてから行かせてもらうよ。今度会う時は勝ちたいからね、一緒にいたい気持ちもあるけど……ライバルでもあるし」

 

 コウキはそう言われて、少し寂しがりながらもそれに納得した。

 

「わかった、ちょっと寂しいけど……ありがとう、またな!!」

 

「うん、またね。次は絶対私が勝つから」

 

「待ってるよ!! それじゃあフウロさん、お願いします!!」

 

 コウキがそう言うと、フウロが笑って言う。

 

「ふふ、それじゃ……飛ばしますよ!!」

 

「さあ、フウロ!! ヤマジタウンまでお願いよ!!」

 

「ふえええ……ま、待って……くださいぃ……はぁ、はぁ……私も飛行機に、乗りますよぉ」

 

 そこで息切れしながら、ベルが走り込んできた。ベルも飛行機に乗りたがっているらしい。

 

「あっ、ベルさんも乗るんですね」

 

「リ……リバースマウンテンの調査をしたいんですう……」

 

「あら!? ベルもすっかり研究者の顔ね!! じゃあみんなで一緒に、ヤマジタウンへ参りましょう!! フウロ、お願いね!!」

 

「うふふ、皆さんお揃いですね。それではレッツフライト、です!!」

 

 みんなが飛行機に乗り込んでいく中、コウキはユウリに手を振りながら歩いていく。

 

「それじゃあまたな、ユウリ!! 次も絶対、俺が勝つからなー!!」

 

「うん、またね!! でも、次に勝つのは私だよ!!」

 

「ドア閉めますよー!!」

 

 飛行機のドアが閉まり、飛行機が地面を滑走し始めて……飛行場から、ジェットエンジンを吹かして飛び立つ。ユウリはそれを見送った後……後ろを振り向いた。

 

「……残念だったね、みんな行っちゃったよ。でも私に見られてちゃ、白昼堂々爆破なんてできないもんね? ……プラズマ団さん」

 

「くっ、なんでバレたんだ……!? くそっ、全員が乗った飛行機を、あとから爆発させてやるつもりだったのに!!」

 

「こうなったら仕方ない、チャンピオンのポケモンを奪って帰ってやる!! 覚悟しろ!!」

 

 そう言ってボールを構えたプラズマ団達に、ユウリは冷徹な視線とボールを向ける。

 

「覚悟するのはお前らだよ。私の大切な人に手は出させない」

 

 その後、プラズマ団達はユウリにあっけなく蹴散らされて、警察に引き渡された。そして一方、そんなことは知らないコウキ達は……

 

「ここがヤマジタウン……そして、あれがリバースマウンテンか。さすが活火山、大迫力だ……」

 

「さて、あなたをここまで連れてきた理由を説明しないとね。チェレンから聞きました、プラズマ団と名乗る連中が……今一度、伝説のポケモンで、イッシュの支配を目論んでいると」

 

「伝説のポケモン、ゼクロムとレシラムですか」

 

 コウキはイッシュ地方の危機を確信していた。ゲーチスも、ロケット団も……どちらもイッシュを滅ぼしかねない、危険極まりない者達だ。

 

「そう!! イッシュには、ゼクロムとレシラム……伝説のドラゴンポケモンが二匹います。ただ二年前、ゼクロムとレシラムはそれぞれ英雄と認めるトレーナーに付き従った」

 

「……Nさんと、トウコさんですね」

 

「えぇ、その通り。だから、プラズマ団が二匹を利用するなんて、できるわけがないはず……それに気になるのは、PWT会場を凍らせた氷弾。あれは明らかに、ポケモンの力だった……それも伝説級のね」

 

 コウキはその正体を知っている。しかし、彼女達は根拠のある情報が欲しいのだから、コウキが言っても意味はない。

 

「ですよねぇ……何をするつもりなのかなぁ?」

 

「そうね、ベル。でも、レシラムやゼクロム達についてはまだ、わからないことばかり……そこで、ソウリュウシティのジムリーダー、シャガさんに詳しい話を聞きたいのね。あの人はドラゴンタイプのジムリーダーだから」

 

「……なるほど、事情はわかりました。僕にそこに向かって欲しいと、そういうわけですね?」

 

 コウキは原作のことを知っているので、すぐにそう言った。アララギは頷いて言う。

 

「流石はコウキくん、察しがいいわね!! あなたにはソウリュウに向かって、シャガさんに話を聞いてほしいの!! そして何かあった時、力を貸してほしいの!!」

 

「わかりました、僕に任せてください。プラズマ団は僕が何とかします」

 

「ありがとう!! もっとも、プラズマ団なんかと関わり合いにならないのが、一番いいんだけどね……いずれにせよ、シャガさんからドラゴンポケモンの話を聞くのは面白いし、なによりポケモン図鑑を埋めるのに役立つわよ!!」

 

 コウキはそう言われて、快く頷いた。

 

「プラズマ団がいたら、平和に旅なんてできそうにもないですからね。いつかは戦うことになる奴らですよ」

 

「では、あたしはこの先にある火山……リバースマウンテンにいると言われる、珍しい炎ポケモンの調査をしてきます!!」

 

「それじゃお願いね、コウキくん!!」

 

 コウキはもう一度頷いて、リバースマウンテンへと向かっていく。すると……ベルが野生のポケモンに手こずっていた。コジョフーで戦っているようだが、防御力が高くて中々削れないようだ。

 

「くっそー、このガントル強いよぉ……!!」

 

「コジョオォ……」

 

「マリルリ、『アクアブレイク』だ」

 

 コウキはそこに助け舟を出すために、マリルリを繰り出した。マリルリが水を纏った打撃をガントルに繰り出す。

 

「マッリィィ!!」

 

 ──ドパパパァァン!!

 

「ガントォォ……」

 

「あ、コウキくん!! ありがとう、助かったよ!!」

 

 ベルは傷ついたコジョフーを回復しながら、コウキにお礼を言う。

 

「礼には及びません、当然のことをしたまでですよ。な、マリルリ?」

 

「マリッ!!」

 

「息ぴったりだね、二人とも!! あっ、そうだ!! コウキくん、ここを出るまででいいから、私についてきてくれない? 野生のポケモンも、君なら余裕だと思うし!!」

 

 ベルは原作通り、コウキに頼んできた。無論、コウキに断る選択肢などない。

 

「はい、よろこんで」

 

「ありがとう!! あっ、回復は私がするから心配しないでね!! それじゃ、レッツゴー!!」

 

「……そういえば、ここにいる『珍しい炎ポケモン』って、なんなんですか?」

 

 コウキはもう知っているのだが、知らないていで聞いてみた。するとベルは、嬉しそうにそれに答える。

 

「よく聞いてくれました!! 実は、ここはシンオウの火山と同じ構造をしててね。だから、出てくるポケモンも同じなの。だから、伝説のポケモン『ヒードラン』を調べるために来たの!!」

 

「壁や天井を十字の爪で這い回る、あの……」

 

「その説明はやめてあげて!? シンオウのナナカマド博士ったら、あんな説明をつけるなんて……」

 

 自分で言っておいて、酷い説明だと思うコウキ。それからコウキはひとつ、気になっていたことを尋ねてみた。

 

「ベルさん。トウコさんはどんな人だったんですか?」

 

「トウコ? そうだなぁ……無口な人で、あんまり喋らないけど……自分の芯がきちんとある人だよ。だから、ゼクロムにも選ばれたんだろうねぇ」

 

「ゼクロムってことは、Nが選ばれたのはレシラムですか」

 

 そう言うと、ベルは頷いて言う。

 

「うん、私はその場にいなかったんだけど……彼は負けた後レシラムに乗って、どこかに飛び去っていっちゃったんだって。どこにいるのかなぁ?」

 

「さぁ……どこにいるんでしょうね」

 

「トウコの話してたら、色々思い出しちゃった。あの頃の旅、楽しかったなぁ……」

 

 ベルはそう言って昔を懐かしんでいる。そこでコウキ達は出口に辿り着いた。

 

「あ、出口まで来ましたね。それでは、僕はこの先に進みます」

 

「うん、そうだね!! ヒードランに関すること、もうちょっと調べておきたいし!! 一緒にいてくれてありがとう、気をつけて旅を続けてね!!」

 

「ベルさんもお気をつけて!! ……さてと」

 

 コウキはそう言って、リバースマウンテンを出る。すると……冷たい潮風がコウキの体を包んだ。

 

「サザナミタウン……雰囲気いい場所だよな。ここでは、ヒュウ兄さんと戦うことになるはずだけど……ん?」

 

「くそっ、また負けたッ……俺の何がいけないんだ……!?」

 

「やっぱり弱すぎる。PWTの時から何も変わってないわね。そんなことじゃ、プラズマ団に勝つなんて夢のまた夢よ」

 

 コウキはまたもや、原作と違う光景を目にすることになった。負けて膝をつくヒュウと、それを見下すサレナ。コウキはヒュウに駆け寄っていく。

 

「ヒュウ兄さん、大丈夫!?」

 

「コウキ……悪い。俺、また負けちまった……」

 

「ハッキリ言って、話にならないわ。こんな強さで、よくプラズマ団を潰そうなんて思えるわね」

 

 コウキはその言葉に、少しカチンときた。サレナを睨みつけて、言う。

 

「お言葉ですが……ヒュウ兄さんも全力で戦ったんですよ。そんな言い方をするのは、スポーツマンシップに反するのでは?」

 

「知らないわよ、そんなこと。私にとってポケモンバトルは趣味ではなく、手段よ。復讐のためのね」

 

「……あなたの考えを、否定はしません。だけど、ヒュウ兄さんへの言葉は取り消してください」

 

 コウキは、そう言って食い下がる。しかしサレナは、取り消すつもりは全くないようだ。

 

「弱いやつを弱いと言って、何が悪いの? 弱いのなら手を引けと、そう言っているだけよ。何が悪いの?」

 

「……それなら、僕とバトルをしましょう。もし僕が勝ったら、さっき言ったことを取り消してください」

 

「面白い。いいわ、相手してあげる……少しは骨がありそうだしね」

 

 コウキとサレナが、お互いにボールを構えた。それを見たヒュウが、コウキに言う。

 

「気をつけろ、コウキ!! この人、めちゃくちゃ強いぞ!!」

 

「チャンピオンに負けて、私は更に強くなった。簡単に勝てると思わないことね!! 行け、ファイアロー!!」

 

「頼むぜ、ドリュウズ!!」

 

 サレナとコウキ、二人のポケモンが同時に雄叫びを上げて、開戦を告げた。

 

「ファイィィィッ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

「ファイアロー、『おいかぜ』!!」

 

 そこでコウキは、ファイアローの機敏な動きを見て、ファイアローの特性を察する。

 

(やはり特性は『はやてのつばさ』……HP満タンの時、素早さに関係なく飛行技が先制技になる。これでもナーフされたんだが、やはり強いな……)

 

「ドリュウズ、『いわなだれ』だ!!」

 

「リュウズゥゥッ!!」

 

 ──ズドドドォォォン!!

 

「ファイアロー、かわして『フレアドライブ』よ!!」

 

「アロォォォォォ!!!」

 

 ──ゴォアァァァッ!!

 

 いわなだれを避けたあと、ファイアローは炎を纏って、ドリュウズに突撃していく。あたかも、その姿は炎の矢のようだ。しかし、コウキは冷静だった。

 

「よし、ドリュウズ戻れ!!」

 

「えっ!? ここで交換!?」

 

「ファイアローを受け止めろ、エンブオー!!」

 

 コウキが出したのは、エンブオーだった。炎を纏って、突っ込んでくるファイアロー。しかし、エンブオーはそれを難なく仁王立ちで受け止めた。

 

「エェンブゥッ!!」

 

 ──ズゴァァッ!!

 

 ──ガシッ!!

 

「ファイッ!?」

 

「し、しまった……!!」

 

 気づいた時にはもう遅い。コウキはそのまま、エンブオーに命令を出した。ファイアローは羽をガッチリ掴まれて、動けない。

 

「エンブオー、『ワイルドボルト』で感電させろ!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!!」

 

 ──バヂュヂヂィィィッ!!

 

「ファイィィィッ!?」

 

 耐久に振っていないファイアローでは、エンブオーの捨て身珠ワイルドボルトを耐えられない。為す術なく、撃破されてしまった。

 

「まずは一人……こっちがリードですね?」

 

「くっ……図に乗らないで。まだ勝負はついてない、追い風だって吹いてる!! お願い、アーケオス!!」

 

「ウルゥゥゥゥッ!!」

 

 そこで出てきたのは、元から種族値の高いアーケオスだった。確かにこれなら、単純に素早さで抜いていけるポケモンはいない。

 

「……エンブオー、戻れ!!」

 

「戻しても同じことよ、何が出てきても対処できる!!」

 

「頼む、ドリュウズ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

 そこで出てきたのは、ドリュウズだった。それを見て、サレナは考える。

 

(ドリュウズ……巻いているのは『こだわりスカーフ』だから、今のアーケオスには関係ない。なら今の最大火力は……)

 

「アーケオス、『じならし』!!」

 

「それを待っていた!! ドリュウズ、戻れ!!」

 

 それを見ても、サレナは驚かない。何かしら、対策を練っているだろうことはわかっていたから。

 

(一撃受けて受け出ししても、次がある。アーケオスには切り札もあるし……やれるはず!!)

 

「頼むぜ、シンボラー!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

 アーケオスの放った『じならし』は、ひこうタイプのシンボラーによって、当たらずに終わる。しかし、それをしてくるのも彼女の想定内。

 

「今よ、アーケオス!! 『アクロバット』!!」

 

「ケォォォォス!!」

 

「今だ、シンボラー!! 『サイコシフト』!!」

 

「ボラァァァッ!!」

 

 ──シュドドドドッ!!

 

 機敏な動きで、アーケオスがシンボラーに連撃を繰り出す。サレナは、シンボラーが落ちたことを確信した。

 

(アーケオスの高種族値からの、ジュエルアクロバット……耐えられるはずがない!!)

 

「今だ、シンボラー!! 『サイコキネシス』!!」

 

「シィィィィィッ!!」

 

「えぇっ!?」

 

 サレナは驚きを隠せずにいる。ジュエルアクロバットを耐え切るなど、普通はできない。しかしアーケオスが、普通の状態でなかったとしたら、どうだろうか?

 

「ケォォォォォ!?」

 

 ──ズドドドォォォン!!

 

「ど、どうして……ジュエルアクロバットは命中したはず!! 耐久に振ってたって、耐え切れるはずない!!」

 

「アーケオスの羽をよく見てみろよ」

 

 そこには……火傷の跡があった。そして、シンボラーの持っている『かえんだま』にサレナも気がつく。

 

「そうか、さっきの『サイコシフト』……!! してやられた!!」

 

「ケ、オォォ……」

 

「特性『よわき』発動。悪いが、起点にさせてもらうぞ。シンボラー、戻れ!!」

 

 シンボラーを手持ちに戻すコウキ。それを見てサレナは、アーケオスをボールに戻すことにした。サレナがそれを決意した時には、もうコウキのマリルリがボールから出ていた。

 

「行け、マリルリ!! 『はらだいこ』だ!!」

 

「マッリィィ!! マリィィィッ!!」

 

「戻れ、アーケオス!! お願い、ヒヒダルマ!!」

 

「マルッダァァァ!!」

 

 三匹目に出てきたのは、ヒヒダルマだった。サレナはマリルリを処理するために、ヒヒダルマと相討ちに持ち込むつもりなのだ。

 

(追い風はまだ吹いてる、素早さなら抜いていけるはず。相討ちに持ち込めれば、勝機はある!!)

 

「マリルリ、『アクアジェット』だ!!」

 

「ヒヒダルマ、迎撃の『アイアンヘッド』!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「ヌオォォォォッ!!」

 

 ──バシャアァァッ!!

 

 ──ガギャアァァン!!

 

「マリッ……!!」

 

「ダッ、ルゥゥ……」

 

 ヒヒダルマが倒れる。そして、アイアンヘッドを受けたマリルリは……倒れていなかった。サレナはまたしても、予想を裏切られることになった。

 

「嘘でしょ!? どうして……」

 

「オボンの実ですよ。あれで回復したおかげで、少しだけ延命できたんです」

 

「くっ……くそっ!! ローブシン、お願い!!」

 

「ブッシィィィン!!」

 

 そこで出てきたのは、BW時代の要塞として有名なローブシンだった。アクアジェットでは倒しきれない相手だ。

 

「マリルリ、『じゃれつく』!!」

 

「ローブシン、『からげんき』!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

「ロォブゥゥゥッ!!」

 

 ──ポカポカポカポカ!!

 

 ──ズゴォォォン!!

 

 マリルリとローブシンの、激しい叩き合い。その結果は……相討ちで終わった。土煙が晴れて、ポケモンがお互いに倒れる。

 

「これであなたは三体落とし、ほぼ瀕死のアーケオス含めればラスト一体。さぁ、どうしますか?」

 

「舐めるな、まだ負けたわけじゃないッ!!」

 

「いい闘志ですね、尊敬します」

 

 コウキは純粋に尊敬の意を示した。しかしサレナには、それが煽りと捉えられたようだ。

 

「馬鹿にするな!! 行け、アーケオス!!」

 

「ウ、ルゥゥ……」

 

「それなら……行け、エンブオー!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

 コウキは、ほぼ瀕死のアーケオスにエンブオーを繰り出した。そこでサレナが、笑みを浮かべて叫ぶ。

 

「そうしてくると思ってたわ!! アーケオス、『がむしゃら』!!」

 

「ケォォォ……オ!?」

 

「……今だ、ゾロアーク!! 『ナイトバースト』だ!!」

 

「きゅあぁぁぁっ!!」

 

 ──ドゴォォォォン!!

 

 そこでイリュージョンを解いて、アーケオスにナイトバーストが撃ち込まれる。がむしゃらには当たってしまったが、元々耐久の低いゾロアークには関係ない。そのままナイトバーストが、アーケオスに炸裂する。

 

「ウルゥゥ……」

 

「ゾロアーク……くっ、一体何枚手札があるのよ!?」

 

「臨機応変はトレーナーの基本ですからね!!」

 

 コウキがそう言うと、サレナは悔しそうにアーケオスを戻して、最後のボールを握りしめる。

 

「行けっ、ギガイアス!!」

 

「ギッガァァァァ!!」

 

(レベル80……高いな。相当鍛えてるらしい、あの子が相棒なんだろうか)

 

 サレナは冷や汗を流し、歯軋りをしながらどうにか思考を回している。ここから勝利するには、どうすればいいのかと。

 

「ッ、ギガイアス、『じしん』!!」

 

「ガィアァァァァ!!」

 

「戻れ、ゾロアーク!!」

 

 サレナはそれを見越していた。そのための対策技も、きちんと覚えさせているのだ。

 

(抜群を取られるから、エンブオーとドリュウズはまず有り得ない……マリルリはさっき倒したし、ない。なら、あとはシンボラーと……あと一体だ。シンボラーなら、『ストーンエッジ』でトドメを刺せる……!!)

 

「行け、ハハコモリ!!」

 

「ハハァーリッ!!」

 

「なっ……ハハコモリ!? 四倍弱点が二つもあるポケモンを、どうして……!?」

 

 サレナは困惑していた。確かに、ハハコモリは対戦環境向けのポケモンではないだろう。しかしコウキが使う理由は、ひとつだけ。

 

「決まってるだろ、ポケモンが!! ハハコモリが!! 大好きなんだよ!! ハハコモリ、『タネマシンガン』だ!!」

 

「『タネマシンガン』!? ダメ、これじゃ『がんじょう』が意味ない……でも、二回だけなら!!」

 

「ハハァリィィッ!!」

 

「ギッ、ガァァ……!!」

 

 ──ズダダダダダッ!!!

 

 サレナの希望的観測も虚しく、タネマシンガンは五回当たった。そこでコウキが、ハハコモリの持ち物を教えると同時に……ギガイアスが倒れた。

 

「ギ、ガァ……」

 

「ハハコモリの持ち物は『いかさまダイス』なんです。四回以上当たることが保証される上、それ以上が出る確率も上昇する……ともあれ、僕の勝ちですね」

 

「……そ、んな……私が、完敗……?」

 

「す、すげぇ……すげぇぞ、コウキ!! こんな簡単に勝っちまうなんて……前より強くなってる!!」

 

 ヒュウにそう言われて、コウキが照れる。サレナはコウキの試合を見ていなかった。コウキなど眼中になかったから……PWTで優勝するまでは。今頃後悔しても、時すでに遅い。

 

「えへへ、そうかな? ありがとう。ヒュウ兄さんに認めてもらえると、嬉しいよ」

 

「さて、約束です。発言を取り消してくれますか?」

 

「……ヒュウさん、ごめんなさい。さっきの発言は撤回する……それじゃ」

 

 それだけ言って、サレナはフラフラとどこかに歩いていってしまった。ヒュウはその姿を見て、コウキに言う。

 

「なぁ、コウキ。追いかけなくていいのか?」

 

「俺たちにあの人の気持ちは分からない。放っておくしか、ないと思う」

 

「……そうか」

 

 コウキとヒュウは、それから疲れたポケモン達を回復させるために、ポケモンセンターに歩いていった。

 

 

 

 一方、その頃。アクロマはプラズマフリゲートを動かして、ある場所に来ていた。一見、なんの変哲もない海だが……

 

「艦載潜水艦を出してください。私が、直接見に行きます」

 

「え? ボス自らが? そんなことをしなくても、私たちが……」

 

「私が行きます。早く出しなさい」

 

 アクロマは珍しく強い口調で、部下に命令をする。団員達は急いで動き、潜水艦の発進口を開いた。

 

「潜水艦、発進します!!」

 

「……反応が強くなっている、絶対にここだ!!」

 

 ──ボゴボゴボゴ……

 

 スクリューが動いて、海底の洞窟内へと入っていく。真っ暗な洞窟内が照らし出されて……それに反応するように、虹色の光が出始めた。

 

「いた……いた!! あなたが、そうなのですね!? 素晴らしいっ!!」

 

「……パゴ?」

 

「やはり、やはり実在していた……絶滅してなど、いなかったんだ!! やっと会えましたね!!!」

 

 アクロマは興奮を隠しきれない様子で、ゲーチスから預かったマスターボールを、勝手に使ってしまう。その、虹色の……亀のようなポケモンが、ボールに入っていく。

 

「……あぁ、これで……これで!! ポケモンの強さの秘密がわかる!! コウキさんの強さにも、近づけるはず!! そのためにも……協力してくださいね?」

 

 そしてアクロマは、そのポケモンの名前を呼んだ。知的好奇心から来る愛しさを、たっぷり込めて。

 

「……テラパゴスさん!!」




プラズマ団、テラパゴスを手に入れてしまいました。
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