朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版) 作:とも667
VSサレナ。
次の日。コウキはユウリと一緒に、空港に来ていた。コウキ達が乗る飛行機が、滑走路に止まっている。
「ハーイ、コウキくん!! 山を超えても、同じようにいい調査ができるといいわね!! って、あら? そっちの人はもしかして……」
「どうも、チャンピオンのユウリです。コウキの彼女をやらせてもらってます」
「あら、そうなの!? ポケモンバトルは絆を繋いでくれるけど、恋に発展することもあるのね……素晴らしいわ!!」
アララギ博士は二人が照れる様子を見て、笑みを浮かべている。そこでフウロが、話を進めるために割って入った。
「おほん!! それじゃ、博士の調査も一段落したようですし、コウキさんと……あとチャンピオンもあたしの飛行機に乗りますか?」
「はい、お願いします。ユウリも乗るのか?」
「いや、私はもうちょっと鍛えてから行かせてもらうよ。今度会う時は勝ちたいからね、一緒にいたい気持ちもあるけど……ライバルでもあるし」
コウキはそう言われて、少し寂しがりながらもそれに納得した。
「わかった、ちょっと寂しいけど……ありがとう、またな!!」
「うん、またね。次は絶対私が勝つから」
「待ってるよ!! それじゃあフウロさん、お願いします!!」
コウキがそう言うと、フウロが笑って言う。
「ふふ、それじゃ……飛ばしますよ!!」
「さあ、フウロ!! ヤマジタウンまでお願いよ!!」
「ふえええ……ま、待って……くださいぃ……はぁ、はぁ……私も飛行機に、乗りますよぉ」
そこで息切れしながら、ベルが走り込んできた。ベルも飛行機に乗りたがっているらしい。
「あっ、ベルさんも乗るんですね」
「リ……リバースマウンテンの調査をしたいんですう……」
「あら!? ベルもすっかり研究者の顔ね!! じゃあみんなで一緒に、ヤマジタウンへ参りましょう!! フウロ、お願いね!!」
「うふふ、皆さんお揃いですね。それではレッツフライト、です!!」
みんなが飛行機に乗り込んでいく中、コウキはユウリに手を振りながら歩いていく。
「それじゃあまたな、ユウリ!! 次も絶対、俺が勝つからなー!!」
「うん、またね!! でも、次に勝つのは私だよ!!」
「ドア閉めますよー!!」
飛行機のドアが閉まり、飛行機が地面を滑走し始めて……飛行場から、ジェットエンジンを吹かして飛び立つ。ユウリはそれを見送った後……後ろを振り向いた。
「……残念だったね、みんな行っちゃったよ。でも私に見られてちゃ、白昼堂々爆破なんてできないもんね? ……プラズマ団さん」
「くっ、なんでバレたんだ……!? くそっ、全員が乗った飛行機を、あとから爆発させてやるつもりだったのに!!」
「こうなったら仕方ない、チャンピオンのポケモンを奪って帰ってやる!! 覚悟しろ!!」
そう言ってボールを構えたプラズマ団達に、ユウリは冷徹な視線とボールを向ける。
「覚悟するのはお前らだよ。私の大切な人に手は出させない」
その後、プラズマ団達はユウリにあっけなく蹴散らされて、警察に引き渡された。そして一方、そんなことは知らないコウキ達は……
「ここがヤマジタウン……そして、あれがリバースマウンテンか。さすが活火山、大迫力だ……」
「さて、あなたをここまで連れてきた理由を説明しないとね。チェレンから聞きました、プラズマ団と名乗る連中が……今一度、伝説のポケモンで、イッシュの支配を目論んでいると」
「伝説のポケモン、ゼクロムとレシラムですか」
コウキはイッシュ地方の危機を確信していた。ゲーチスも、ロケット団も……どちらもイッシュを滅ぼしかねない、危険極まりない者達だ。
「そう!! イッシュには、ゼクロムとレシラム……伝説のドラゴンポケモンが二匹います。ただ二年前、ゼクロムとレシラムはそれぞれ英雄と認めるトレーナーに付き従った」
「……Nさんと、トウコさんですね」
「えぇ、その通り。だから、プラズマ団が二匹を利用するなんて、できるわけがないはず……それに気になるのは、PWT会場を凍らせた氷弾。あれは明らかに、ポケモンの力だった……それも伝説級のね」
コウキはその正体を知っている。しかし、彼女達は根拠のある情報が欲しいのだから、コウキが言っても意味はない。
「ですよねぇ……何をするつもりなのかなぁ?」
「そうね、ベル。でも、レシラムやゼクロム達についてはまだ、わからないことばかり……そこで、ソウリュウシティのジムリーダー、シャガさんに詳しい話を聞きたいのね。あの人はドラゴンタイプのジムリーダーだから」
「……なるほど、事情はわかりました。僕にそこに向かって欲しいと、そういうわけですね?」
コウキは原作のことを知っているので、すぐにそう言った。アララギは頷いて言う。
「流石はコウキくん、察しがいいわね!! あなたにはソウリュウに向かって、シャガさんに話を聞いてほしいの!! そして何かあった時、力を貸してほしいの!!」
「わかりました、僕に任せてください。プラズマ団は僕が何とかします」
「ありがとう!! もっとも、プラズマ団なんかと関わり合いにならないのが、一番いいんだけどね……いずれにせよ、シャガさんからドラゴンポケモンの話を聞くのは面白いし、なによりポケモン図鑑を埋めるのに役立つわよ!!」
コウキはそう言われて、快く頷いた。
「プラズマ団がいたら、平和に旅なんてできそうにもないですからね。いつかは戦うことになる奴らですよ」
「では、あたしはこの先にある火山……リバースマウンテンにいると言われる、珍しい炎ポケモンの調査をしてきます!!」
「それじゃお願いね、コウキくん!!」
コウキはもう一度頷いて、リバースマウンテンへと向かっていく。すると……ベルが野生のポケモンに手こずっていた。コジョフーで戦っているようだが、防御力が高くて中々削れないようだ。
「くっそー、このガントル強いよぉ……!!」
「コジョオォ……」
「マリルリ、『アクアブレイク』だ」
コウキはそこに助け舟を出すために、マリルリを繰り出した。マリルリが水を纏った打撃をガントルに繰り出す。
「マッリィィ!!」
──ドパパパァァン!!
「ガントォォ……」
「あ、コウキくん!! ありがとう、助かったよ!!」
ベルは傷ついたコジョフーを回復しながら、コウキにお礼を言う。
「礼には及びません、当然のことをしたまでですよ。な、マリルリ?」
「マリッ!!」
「息ぴったりだね、二人とも!! あっ、そうだ!! コウキくん、ここを出るまででいいから、私についてきてくれない? 野生のポケモンも、君なら余裕だと思うし!!」
ベルは原作通り、コウキに頼んできた。無論、コウキに断る選択肢などない。
「はい、よろこんで」
「ありがとう!! あっ、回復は私がするから心配しないでね!! それじゃ、レッツゴー!!」
「……そういえば、ここにいる『珍しい炎ポケモン』って、なんなんですか?」
コウキはもう知っているのだが、知らないていで聞いてみた。するとベルは、嬉しそうにそれに答える。
「よく聞いてくれました!! 実は、ここはシンオウの火山と同じ構造をしててね。だから、出てくるポケモンも同じなの。だから、伝説のポケモン『ヒードラン』を調べるために来たの!!」
「壁や天井を十字の爪で這い回る、あの……」
「その説明はやめてあげて!? シンオウのナナカマド博士ったら、あんな説明をつけるなんて……」
自分で言っておいて、酷い説明だと思うコウキ。それからコウキはひとつ、気になっていたことを尋ねてみた。
「ベルさん。トウコさんはどんな人だったんですか?」
「トウコ? そうだなぁ……無口な人で、あんまり喋らないけど……自分の芯がきちんとある人だよ。だから、ゼクロムにも選ばれたんだろうねぇ」
「ゼクロムってことは、Nが選ばれたのはレシラムですか」
そう言うと、ベルは頷いて言う。
「うん、私はその場にいなかったんだけど……彼は負けた後レシラムに乗って、どこかに飛び去っていっちゃったんだって。どこにいるのかなぁ?」
「さぁ……どこにいるんでしょうね」
「トウコの話してたら、色々思い出しちゃった。あの頃の旅、楽しかったなぁ……」
ベルはそう言って昔を懐かしんでいる。そこでコウキ達は出口に辿り着いた。
「あ、出口まで来ましたね。それでは、僕はこの先に進みます」
「うん、そうだね!! ヒードランに関すること、もうちょっと調べておきたいし!! 一緒にいてくれてありがとう、気をつけて旅を続けてね!!」
「ベルさんもお気をつけて!! ……さてと」
コウキはそう言って、リバースマウンテンを出る。すると……冷たい潮風がコウキの体を包んだ。
「サザナミタウン……雰囲気いい場所だよな。ここでは、ヒュウ兄さんと戦うことになるはずだけど……ん?」
「くそっ、また負けたッ……俺の何がいけないんだ……!?」
「やっぱり弱すぎる。PWTの時から何も変わってないわね。そんなことじゃ、プラズマ団に勝つなんて夢のまた夢よ」
コウキはまたもや、原作と違う光景を目にすることになった。負けて膝をつくヒュウと、それを見下すサレナ。コウキはヒュウに駆け寄っていく。
「ヒュウ兄さん、大丈夫!?」
「コウキ……悪い。俺、また負けちまった……」
「ハッキリ言って、話にならないわ。こんな強さで、よくプラズマ団を潰そうなんて思えるわね」
コウキはその言葉に、少しカチンときた。サレナを睨みつけて、言う。
「お言葉ですが……ヒュウ兄さんも全力で戦ったんですよ。そんな言い方をするのは、スポーツマンシップに反するのでは?」
「知らないわよ、そんなこと。私にとってポケモンバトルは趣味ではなく、手段よ。復讐のためのね」
「……あなたの考えを、否定はしません。だけど、ヒュウ兄さんへの言葉は取り消してください」
コウキは、そう言って食い下がる。しかしサレナは、取り消すつもりは全くないようだ。
「弱いやつを弱いと言って、何が悪いの? 弱いのなら手を引けと、そう言っているだけよ。何が悪いの?」
「……それなら、僕とバトルをしましょう。もし僕が勝ったら、さっき言ったことを取り消してください」
「面白い。いいわ、相手してあげる……少しは骨がありそうだしね」
コウキとサレナが、お互いにボールを構えた。それを見たヒュウが、コウキに言う。
「気をつけろ、コウキ!! この人、めちゃくちゃ強いぞ!!」
「チャンピオンに負けて、私は更に強くなった。簡単に勝てると思わないことね!! 行け、ファイアロー!!」
「頼むぜ、ドリュウズ!!」
サレナとコウキ、二人のポケモンが同時に雄叫びを上げて、開戦を告げた。
「ファイィィィッ!!」
「ドリュウゥゥッ!!」
「ファイアロー、『おいかぜ』!!」
そこでコウキは、ファイアローの機敏な動きを見て、ファイアローの特性を察する。
(やはり特性は『はやてのつばさ』……HP満タンの時、素早さに関係なく飛行技が先制技になる。これでもナーフされたんだが、やはり強いな……)
「ドリュウズ、『いわなだれ』だ!!」
「リュウズゥゥッ!!」
──ズドドドォォォン!!
「ファイアロー、かわして『フレアドライブ』よ!!」
「アロォォォォォ!!!」
──ゴォアァァァッ!!
いわなだれを避けたあと、ファイアローは炎を纏って、ドリュウズに突撃していく。あたかも、その姿は炎の矢のようだ。しかし、コウキは冷静だった。
「よし、ドリュウズ戻れ!!」
「えっ!? ここで交換!?」
「ファイアローを受け止めろ、エンブオー!!」
コウキが出したのは、エンブオーだった。炎を纏って、突っ込んでくるファイアロー。しかし、エンブオーはそれを難なく仁王立ちで受け止めた。
「エェンブゥッ!!」
──ズゴァァッ!!
──ガシッ!!
「ファイッ!?」
「し、しまった……!!」
気づいた時にはもう遅い。コウキはそのまま、エンブオーに命令を出した。ファイアローは羽をガッチリ掴まれて、動けない。
「エンブオー、『ワイルドボルト』で感電させろ!!」
「エェンブゥゥゥッ!!!」
──バヂュヂヂィィィッ!!
「ファイィィィッ!?」
耐久に振っていないファイアローでは、エンブオーの捨て身珠ワイルドボルトを耐えられない。為す術なく、撃破されてしまった。
「まずは一人……こっちがリードですね?」
「くっ……図に乗らないで。まだ勝負はついてない、追い風だって吹いてる!! お願い、アーケオス!!」
「ウルゥゥゥゥッ!!」
そこで出てきたのは、元から種族値の高いアーケオスだった。確かにこれなら、単純に素早さで抜いていけるポケモンはいない。
「……エンブオー、戻れ!!」
「戻しても同じことよ、何が出てきても対処できる!!」
「頼む、ドリュウズ!!」
「ドリュウゥゥッ!!」
そこで出てきたのは、ドリュウズだった。それを見て、サレナは考える。
(ドリュウズ……巻いているのは『こだわりスカーフ』だから、今のアーケオスには関係ない。なら今の最大火力は……)
「アーケオス、『じならし』!!」
「それを待っていた!! ドリュウズ、戻れ!!」
それを見ても、サレナは驚かない。何かしら、対策を練っているだろうことはわかっていたから。
(一撃受けて受け出ししても、次がある。アーケオスには切り札もあるし……やれるはず!!)
「頼むぜ、シンボラー!!」
「シィィィィッ!!」
アーケオスの放った『じならし』は、ひこうタイプのシンボラーによって、当たらずに終わる。しかし、それをしてくるのも彼女の想定内。
「今よ、アーケオス!! 『アクロバット』!!」
「ケォォォォス!!」
「今だ、シンボラー!! 『サイコシフト』!!」
「ボラァァァッ!!」
──シュドドドドッ!!
機敏な動きで、アーケオスがシンボラーに連撃を繰り出す。サレナは、シンボラーが落ちたことを確信した。
(アーケオスの高種族値からの、ジュエルアクロバット……耐えられるはずがない!!)
「今だ、シンボラー!! 『サイコキネシス』!!」
「シィィィィィッ!!」
「えぇっ!?」
サレナは驚きを隠せずにいる。ジュエルアクロバットを耐え切るなど、普通はできない。しかしアーケオスが、普通の状態でなかったとしたら、どうだろうか?
「ケォォォォォ!?」
──ズドドドォォォン!!
「ど、どうして……ジュエルアクロバットは命中したはず!! 耐久に振ってたって、耐え切れるはずない!!」
「アーケオスの羽をよく見てみろよ」
そこには……火傷の跡があった。そして、シンボラーの持っている『かえんだま』にサレナも気がつく。
「そうか、さっきの『サイコシフト』……!! してやられた!!」
「ケ、オォォ……」
「特性『よわき』発動。悪いが、起点にさせてもらうぞ。シンボラー、戻れ!!」
シンボラーを手持ちに戻すコウキ。それを見てサレナは、アーケオスをボールに戻すことにした。サレナがそれを決意した時には、もうコウキのマリルリがボールから出ていた。
「行け、マリルリ!! 『はらだいこ』だ!!」
「マッリィィ!! マリィィィッ!!」
「戻れ、アーケオス!! お願い、ヒヒダルマ!!」
「マルッダァァァ!!」
三匹目に出てきたのは、ヒヒダルマだった。サレナはマリルリを処理するために、ヒヒダルマと相討ちに持ち込むつもりなのだ。
(追い風はまだ吹いてる、素早さなら抜いていけるはず。相討ちに持ち込めれば、勝機はある!!)
「マリルリ、『アクアジェット』だ!!」
「ヒヒダルマ、迎撃の『アイアンヘッド』!!」
「マッリィィ!!」
「ヌオォォォォッ!!」
──バシャアァァッ!!
──ガギャアァァン!!
「マリッ……!!」
「ダッ、ルゥゥ……」
ヒヒダルマが倒れる。そして、アイアンヘッドを受けたマリルリは……倒れていなかった。サレナはまたしても、予想を裏切られることになった。
「嘘でしょ!? どうして……」
「オボンの実ですよ。あれで回復したおかげで、少しだけ延命できたんです」
「くっ……くそっ!! ローブシン、お願い!!」
「ブッシィィィン!!」
そこで出てきたのは、BW時代の要塞として有名なローブシンだった。アクアジェットでは倒しきれない相手だ。
「マリルリ、『じゃれつく』!!」
「ローブシン、『からげんき』!!」
「マッリィィィ!!」
「ロォブゥゥゥッ!!」
──ポカポカポカポカ!!
──ズゴォォォン!!
マリルリとローブシンの、激しい叩き合い。その結果は……相討ちで終わった。土煙が晴れて、ポケモンがお互いに倒れる。
「これであなたは三体落とし、ほぼ瀕死のアーケオス含めればラスト一体。さぁ、どうしますか?」
「舐めるな、まだ負けたわけじゃないッ!!」
「いい闘志ですね、尊敬します」
コウキは純粋に尊敬の意を示した。しかしサレナには、それが煽りと捉えられたようだ。
「馬鹿にするな!! 行け、アーケオス!!」
「ウ、ルゥゥ……」
「それなら……行け、エンブオー!!」
「ブォォォォッ!!」
コウキは、ほぼ瀕死のアーケオスにエンブオーを繰り出した。そこでサレナが、笑みを浮かべて叫ぶ。
「そうしてくると思ってたわ!! アーケオス、『がむしゃら』!!」
「ケォォォ……オ!?」
「……今だ、ゾロアーク!! 『ナイトバースト』だ!!」
「きゅあぁぁぁっ!!」
──ドゴォォォォン!!
そこでイリュージョンを解いて、アーケオスにナイトバーストが撃ち込まれる。がむしゃらには当たってしまったが、元々耐久の低いゾロアークには関係ない。そのままナイトバーストが、アーケオスに炸裂する。
「ウルゥゥ……」
「ゾロアーク……くっ、一体何枚手札があるのよ!?」
「臨機応変はトレーナーの基本ですからね!!」
コウキがそう言うと、サレナは悔しそうにアーケオスを戻して、最後のボールを握りしめる。
「行けっ、ギガイアス!!」
「ギッガァァァァ!!」
(レベル80……高いな。相当鍛えてるらしい、あの子が相棒なんだろうか)
サレナは冷や汗を流し、歯軋りをしながらどうにか思考を回している。ここから勝利するには、どうすればいいのかと。
「ッ、ギガイアス、『じしん』!!」
「ガィアァァァァ!!」
「戻れ、ゾロアーク!!」
サレナはそれを見越していた。そのための対策技も、きちんと覚えさせているのだ。
(抜群を取られるから、エンブオーとドリュウズはまず有り得ない……マリルリはさっき倒したし、ない。なら、あとはシンボラーと……あと一体だ。シンボラーなら、『ストーンエッジ』でトドメを刺せる……!!)
「行け、ハハコモリ!!」
「ハハァーリッ!!」
「なっ……ハハコモリ!? 四倍弱点が二つもあるポケモンを、どうして……!?」
サレナは困惑していた。確かに、ハハコモリは対戦環境向けのポケモンではないだろう。しかしコウキが使う理由は、ひとつだけ。
「決まってるだろ、ポケモンが!! ハハコモリが!! 大好きなんだよ!! ハハコモリ、『タネマシンガン』だ!!」
「『タネマシンガン』!? ダメ、これじゃ『がんじょう』が意味ない……でも、二回だけなら!!」
「ハハァリィィッ!!」
「ギッ、ガァァ……!!」
──ズダダダダダッ!!!
サレナの希望的観測も虚しく、タネマシンガンは五回当たった。そこでコウキが、ハハコモリの持ち物を教えると同時に……ギガイアスが倒れた。
「ギ、ガァ……」
「ハハコモリの持ち物は『いかさまダイス』なんです。四回以上当たることが保証される上、それ以上が出る確率も上昇する……ともあれ、僕の勝ちですね」
「……そ、んな……私が、完敗……?」
「す、すげぇ……すげぇぞ、コウキ!! こんな簡単に勝っちまうなんて……前より強くなってる!!」
ヒュウにそう言われて、コウキが照れる。サレナはコウキの試合を見ていなかった。コウキなど眼中になかったから……PWTで優勝するまでは。今頃後悔しても、時すでに遅い。
「えへへ、そうかな? ありがとう。ヒュウ兄さんに認めてもらえると、嬉しいよ」
「さて、約束です。発言を取り消してくれますか?」
「……ヒュウさん、ごめんなさい。さっきの発言は撤回する……それじゃ」
それだけ言って、サレナはフラフラとどこかに歩いていってしまった。ヒュウはその姿を見て、コウキに言う。
「なぁ、コウキ。追いかけなくていいのか?」
「俺たちにあの人の気持ちは分からない。放っておくしか、ないと思う」
「……そうか」
コウキとヒュウは、それから疲れたポケモン達を回復させるために、ポケモンセンターに歩いていった。
一方、その頃。アクロマはプラズマフリゲートを動かして、ある場所に来ていた。一見、なんの変哲もない海だが……
「艦載潜水艦を出してください。私が、直接見に行きます」
「え? ボス自らが? そんなことをしなくても、私たちが……」
「私が行きます。早く出しなさい」
アクロマは珍しく強い口調で、部下に命令をする。団員達は急いで動き、潜水艦の発進口を開いた。
「潜水艦、発進します!!」
「……反応が強くなっている、絶対にここだ!!」
──ボゴボゴボゴ……
スクリューが動いて、海底の洞窟内へと入っていく。真っ暗な洞窟内が照らし出されて……それに反応するように、虹色の光が出始めた。
「いた……いた!! あなたが、そうなのですね!? 素晴らしいっ!!」
「……パゴ?」
「やはり、やはり実在していた……絶滅してなど、いなかったんだ!! やっと会えましたね!!!」
アクロマは興奮を隠しきれない様子で、ゲーチスから預かったマスターボールを、勝手に使ってしまう。その、虹色の……亀のようなポケモンが、ボールに入っていく。
「……あぁ、これで……これで!! ポケモンの強さの秘密がわかる!! コウキさんの強さにも、近づけるはず!! そのためにも……協力してくださいね?」
そしてアクロマは、そのポケモンの名前を呼んだ。知的好奇心から来る愛しさを、たっぷり込めて。
「……テラパゴスさん!!」
プラズマ団、テラパゴスを手に入れてしまいました。