朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版) 作:とも667
話が動き出します。
コウキはその後、19番道路に行き……ベルから、ポケモンの捕まえ方の指南を受けていた。ベルがチョロネコを弱らせてから、モンスターボールを投げる。チョロネコがボールに吸い込まれて……ボールがロックされた。
「……と、こういう風に!! ポケモンを弱らせると、捕まえやすいんだよ!!」
「なるほど……勉強になります」
「うん、それならよかった!! あ、隣町まではここを真っ直ぐ行けばいいよ。ヒュウくんだっけ、あの子にタウンマップを届けるんでしょ? それじゃ、たくさんのポケモンと出会って、たっくさん捕まえてね!!」
ベルはそう言って、コウキに別れを告げた。コウキはお礼を言って、ベルを見送る。
「ありがとうございました!! ……さてと」
ベルが去っていったのを見て、目の前の草むらを見つめる。そこにはポケモンが目に見える形で、何匹も歩いていた。
「ゲーム仕様上見えないだけで、そりゃあいるに決まってるよな」
コウキは鞄の中身を確認する。子供の頃から少しずつおこづかいをもらって、こっそり買っておいたキズぐすりの山。コウキはポカブを出して、言った。
「いくぞ、ポカブ」
「ポカポカァー!!」
「……レベル上げの時間だ」
コウキはそう言って、笑みを浮かべた。この世界がゲームと同じ仕様であることを、コウキは察している。だから……この道路で、レベル上げを行うことにした。
「レベル7……『ひのこ』習得か」
「ポカ?」
「いや、なんでもない。まだまだいくぞ、ポカブ」
コウキは最新作のSVで追加された機能である、『レッツゴー』の要領で、ポカブに自動で戦ってもらっていた。そして、しばらくやり続けたあと……
「……そろそろいいか」
「ポカ?」
「十分だ、ポカブ。ありがとうな」
到達したレベルは15。『ニトロチャージ』を習得するレベルだ。そろそろ行かなければ、イベントが進まないし……『あの人』も待っているはずだから。
「確か、この辺で……」
「そこのトレーナー!!」
「この声は……!!」
威厳のある声が、上から響く。そこにいたのは……イッシュ先代チャンピオンの、アデクだった。アデクは崖から飛び降りて、見事に着地してみせる。
「わしはアデク!! ポケモンと共に歩む素晴らしさを、みなに伝えておる酔狂なポケモントレーナーよ!! お主は?」
「僕はヒオウギシティのコウキといいます。こっちは相棒の、ポカブです」
「ポカァ!!」
「ほう、コウキというのか!! うむ、いいポケモンだ。よく鍛え上げられているな!! 才能のあるトレーナーだ!!」
そう言って、素直にコウキを褒めるアデク。
「ありがとうございます」
「ここまで見込みがあるトレーナーは久しぶりだ。トウコを見た時以来だな……」
「トウコ? もしかして、チャンピオンの……?」
コウキはそこで思い出す。ニュースで言われていた名前は『トウコ』……つまり、女主人公だ。
「おっと、老人の昔話に付き合わせてすまんな。そんなお前さんに、ひとつ頼みがあるのだが……構わないだろうか?」
「僕にできることであれば、よろこんで」
「すまんな。頼みというのは簡単だ、わしの教え子達と戦って、バトルというものを教えてやって欲しいのだ」
そう言われて、コウキは二つ返事で了承する。ゲーム内のイベントを断る理由は、コウキにはない。
「わかりました。謹んでお受けします」
「おぉ、助かるよ。わしに着いてきてくれ」
「はい」
コウキは言われた通り、アデクに着いていく。途中でポケセンに立ち寄り……にそして、アデクの家の前に到着した。そこでアデクが、あることに気づく。
「そういえばお前さん、何故タウンマップを二つも持っているのだ?」
「あぁ、これは友達への届け物でして……」
「おぉ、そうか!! お前さんの友達は、ミジュマルを連れているだろう? それなら、20番道路で修行をしておった。先に渡してきなさい!! 20番道路は、ここを真っ直ぐ行けばすぐだ!!」
そう言われて、コウキは送り出された。そしてコウキは……目の前に並んだトレーナー達を見る。
「あの人達で経験値が入って……それと、ここからタブンネが出るようになるから、それもやらないとな」
「あ、目と目があったな!! ポケモン勝負だ!!」
「おっと……それでは、よろしくお願いします」
コウキはそう言って、モンスターボールを構えた。
「ポカブ、『ニトロチャージ』!!」
「あぁ、チョロネコちゃん!!」
「ありがとうございました」
コウキは道中にいたミニスカートを倒し、ポカブがレベル16になったことを確認した。そして、タブンネを見つけては倒していく。
「……これだけやれば、いいだろう」
ポカブがコウキの予想通り、レベル17になる。そこでポカブの体が光り始めた。
「ポカッ!?」
「進化だよ。大丈夫だ、怖くないぞ」
「ポカァァ……チャオォォォ!!」
ポカブがチャオブーに進化して、コウキが微笑んだ。そして、画面が目の前に出てくる。
「『つっぱり』の代わりに……『しっぽをふる』を忘れさせよう」
「チャブ?」
「ちょっとじっとしてろよ……1,2の……ポカン」
コウキが、チャオブーの頭を軽く叩く。するとチャオブーは、しっぽをふるの使い方を綺麗に忘れた。
「チャオォ……?」
「上手くいったみたいだな。それじゃ行こうか、チャオブー」
「チャブッ!!」
コウキは進化したチャオブーを連れて、サンギ牧場へと向かう。そして、その横の草むらにて。
「チャオブー、手加減して『ひのこ』だ」
「チャブッ!!」
「ルリィィ……!!」
コウキが捕まえようとしているのは、ルリリだ。そこにコウキが、買ったモンスターボールを投げる。
「行け、モンスターボール!!」
──カチッ。
「よし、ルリリゲットだ!!」
ルリリを治療したあと、コウキはヒュウが出てくる場所へと向かった。
「おっ、お前も修行しに来たのか? よし!! 俺がどれくらい強くなったか見てやる!! かかってきな!!」
「わかった、行くよ!!」
「いけッ、ミジュマル!!」
「出ろ、ルリリ!!」
コウキはルリリを、ヒュウはミジュマルを出した。力の差は歴然、このままではルリリは為す術なく倒されるだろう。
「ミジュウゥ!!」
「ルリィ……」
「ルリリ、もういいぞ。戻れ」
コウキはルリリをボールに戻す。そこでヒュウが、その意図を察した。
「なるほどなッ!! ポケモンは戦闘に一度でも顔を出せば、経験値がもらえる!! ルリリに経験値を与えたかったんだな!!」
「そういうことだ!! 行け、チャオブー!!」
「チャオォォォ!!」
コウキが出したチャオブーを見て、ヒュウは驚愕する。コウキは、自分がまだ辿り着けていない場所に、もう辿り着いたのだ。
「この短期間で進化している!? 一体、どんな修行を……」
「ただの根気だよ、根気!! チャオブー、『ニトロチャージ』だ!!」
「チャブゥゥゥ!!」
炎を纏って、チャオブーが突進する。ヒュウは冷静に、ミジュマルに指示を出した。
「ミジュマル!! ジャンプして『みずでっぽう』だ!!」
「ミジュウゥゥ!!」
──バシャッ!!
「チャブゥッ!?」
ニトロチャージは命中せず、ミジュマルに上を取られたチャオブー。効果抜群のみずでっぽうを受けて、倒れ込んでしまう。そしてヒュウはその隙を見逃さない。
「今だ!! もう一発『みずでっぽう』!!」
「……チャオブー!! 『ニトロチャージ』で突っ込め!!」
「なにッ!?」
ヒュウが予想外の指示に、目を丸くする。しかしコウキは、この状況からの回避が不可能なのはわかっていた。それなら、捨て身の攻撃に転じるまで。
「チャアォォォッ!!」
「ミジュウゥゥー!!」
「耐えろ、チャオブー!!」
効果抜群の攻撃であるとはいえ、チャオブーとミジュマルの間には、大きなレベルの差がある。チャオブーは、みずでっぽうの直撃に耐え切ってみせた。
「耐えた!? ミジュマル、避け……」
「遅いっ!!」
──ズガァッ!!
「ミジュッ……!!」
効果は今ひとつではあったが、ニトロチャージはミジュマルに命中した。ミジュマルがそれで、一瞬怯む……そこにすかさず、コウキは追撃の命令をした。
「チャオブー!! 全力で『つっぱり』だ!!」
「チャブゥゥッ!!」
──ズダダダァァァァン!!!
「ミジュウゥゥ……!!」
ミジュマルがつっぱりの連撃を受けて、倒れる。この勝負、コウキとチャオブーの勝利だ。
「ミジュマル……!! 勝たせてやれなくてごめんな……」
「やったな、チャオブー!!」
「チャオォォ!!」
ヒュウから賞金を受け取ったあと、コウキはタウンマップをヒュウに手渡した。
「あと、これ。ヒュウ兄さんにって、妹ちゃんが」
「あいつが……? あいつめ、妹のくせに……お前もありがとな。お前、ちょっと見ない間にめちゃくちゃ強くなりやがって……」
「えへへ、それほどでも……」
そう言っていると、そこにこの牧場のオーナーと奥さんがやって来た。後ろには、ハーデリアを一匹連れている。
「騒がしいと思ったら、ポケモンバトルだったのか。いいねー、若いねー」
「ダレ?」
「誰って……僕はこの牧場のオーナー、こっちは奥さん!!」
二人は自己紹介をした後、奥さんが持っていたキズぐすりを二人にくれた。
「バトルのあとは元気に回復、でしょ!! はい、これどうぞ!!」
「ありがとうございます!!」
「はい、あなたにも!!」
ヒュウもキズぐすりを受け取り、お礼を言う。そこでオーナーが、ハーデリアの話を始める。
「そういえば、聞いて欲しいことがあってさぁ」
「なんでしょうか?」
「ハーデリアがさっきからいなくてねー。いつも二匹一緒だから、こんなこと初めてなんだけど……それで、ちょっと心配なんだよねー」
「なんだそれ!! 本当に心配なのかよッ!?」
気楽な姿勢に、ヒュウが怒りを顕にした。そして、コウキの方を見る。
「だから、今から探そうかと……」
「いい、俺が探すッ!! お前も手伝え、コウキ!!」
「彼はどうして怒ったの? 牧場のどこかで遊んでいるんだと思うけど……」
オーナーはそう言っているが、コウキは真実を知っている。これをやったのが誰なのかを。
「……僕も探しに行ってきます」
「あぁ、頼んだよ」
「さて……道中のトレーナーを倒しながら、行くとするか」
コウキはそう呟いて、目の前にいるトレーナーへと向かっていった。
「チャオブー、『つっぱり』だ」
「チャブゥゥゥ!!」
──ズダァァァン!!
「ガァァァ……」
「あぁ、俺のコダック!!」
コウキは勝負を終えて一礼し、賞金をもらって先に進む。そこで、ハーデリアの声が聞こえてきた。
「くぅーん……」
「今の声……!! 俺はこの辺を探す、お前はもっと奥を探してくれ!!」
「わかった、任せて」
コウキはその先に進んで……プラズマ団員に追い詰められている、ハーデリアを見た。プラズマ団を怖がって、完全に萎縮している。
「……きゃうーん」
「今の鳴き声、見つかったんだな!! よかったぁ!! じゃあ、俺はオーナーを呼んでくる!! お前はその子と一緒にいてやってくれ!!」
「わかったよ!! ……よう、プラズマ団。その子から離れろ」
そこでプラズマ団が声に気づいて、振り向く。
「くっ、邪魔者め!! 俺は泣く子も黙る……」
「プラズマ団だろ? そんなド派手な衣装してればわかる」
「知っているようだな、殊勝な心がけだ!!」
プラズマ団の上から目線な態度に、コウキはイライラしていた。そこでコウキは、プラズマ団の機密情報を喋ってやることにした。
「あぁ、知ってるよ。ついでに当ててやる、アンタの上司の名前はヴィオ。ボスはアクロマとゲーチス……違うか?」
「な、何故それを!? ヴィオ様とゲーチス様は、情報が漏れないように活動していると……」
「悪いな、こっちはお前らの企みを全部知ってるんだ」
コウキはそう言って、笑みを浮かべる。今度はプラズマ団員がイライラしている様子だ。
「くそっ、何故アクロマ様のことまで……!! こいつを追いかけていたら、こんな森の中に迷い込むし……今日は散々だ!! これでも食らえ!!」
「おっと……技マシン『やつあたり』、いただき」
「今だ、退散!!」
プラズマ団員は逃げ足が早く、追いつくことはできそうになかった。その代わりに、その後ろ姿に言う。
「ゲーチスやアクロマに伝えておけよ!! どこの誰ともわからない、おかしなトレーナーが秘密を知ってたってな!!」
コウキはそう言って、ハーデリアの方を見る。まだ震えているようだが、そこにオーナーとヒュウが来た。
「おー、ハーデリア!! 一人でこんな森の奥まで来て……何があったの? 何はともあれ、君達には感謝だよー!!」
「呑気だな、ポケモンがいなくなるかもしれなかったってのに!! もっと大切にしろよな!! じゃあ俺は修行に戻る、お前も修行を積んどけ!!」
「うん、バイバイ!!」
コウキはそう言って、ヒュウを見送った。それを見て、オーナーが呟いた。
「彼、過去になにかあったのかな? ポケモンがいなくなることに、怯えているような……」
「……そうですね」
「とりあえずハーデリア、戻ろうか!! みんなも待ってるよ!!」
コウキは日が暮れてきたのを見て、潮時であることを察する。急いでアデクのところに行った。
「アデクさん、お待たせしました」
「チャオッ!!」
「おぉ、進化させたか!! やはりわしの見込んだ通りだな!! まだ時間はある、来てくれ!! お前とバトルさせたい相手がおるのだ!!」
コウキは言われるがまま、家の中に入る。そこには少年と少女が一人ずついた。
「あ、アデクさん!! この人も修行?」
「でも、この人なんだか強そうだよ?」
「あぁ、強いだろうな!! だが負けて学ぶこともある!! それに、ポケモン勝負は楽しもう!! と、いつも言っているだろう」
二人はそう言われて、立ち上がった。コウキもやる気満々だ。
「それじゃ、僕のポケモンのかっこいいところ、見せてあげます!!」
「よろしくお願いします」
「この次は私ねー!!」
こうして、二人とのバトルが始まり……結果はもちろん、コウキの勝ちだ。
「あーあ、負けちゃったぁ」
「相性をちゃんと考えたのに……」
「二人とも、いい戦いだったな!! ポケモンバトルは相性だけで決まるものではない、今日の教訓だ!!」
アデクはそう言って、豪快に笑った。コウキは二人に一礼して、家を出る。そこでメダルおやじから、メダルとメダルケースをもらった。
「……メダル集め、昔は齧り付いてやったっけな」
「おぉ、そうじゃ!! 伝え忘れておった!! ヒオウギのジムだが、ジムリーダーが到着したと連絡があったぞ!! 今日はもう遅いから、明日挑戦するといい!!」
「はい、そうします!!」
コウキはそう言って、ホテルに宿泊し……就寝となった。
「やっぱりここは、ポケモン世界なんだな」
それと同時に、コウキはベルの上にあった物の正体を考える。あれが何なのかと……しかし、答えは出ないまま、コウキはやがて眠りに落ちた。しかし、その日の夢の中にて……
『……コウキ、起きろ。起きるのじゃ』
「えっ、この声……オーキド博士!?」
『この姿はそういう名前じゃったな。私はまぁ、お前をこの世界に飛ばした……神じゃよ』
コウキはそう言われて、オーキドの姿をした神に掴みかかる。
「お前が……おい!! 俺を現代に帰せ、無断欠勤でクビになるだろうが!!」
『無理じゃよ、お前の体は死んでおる。魂を抜いたからのう』
「……殺されたのか、知らない間に」
神は何食わぬ顔で立っている。コウキは怒気を込めて、神に言った。
「それで、人殺しが俺に何の用だ」
『口が悪いのう……まぁ、よかろう。用というのはだな……ポケモン図鑑といったか、それを出すのじゃ』
「は? ポケモン図鑑……?」
コウキが取り出すと、神がそれに指先で触れた。そして、電子音が鳴る。
『インストール完了』
「は? なんだよ、これ……?」
「それは『ヒロイン図鑑』じゃ。ベルちゃんの上にあったじゃろ、好感度ゲージが。あれを溜めて攻略すると、情報が解放される仕組みじゃ』
コウキはそれを聞いて、ゲージの謎が解けた。
「好感度ゲージだったのか。まぁ、そういうものだろうとは思ってたけど」
「お前はこれから、様々な女の子達と出会うだろう。そこでお前には、女の子達を攻略していってもらいたい」
「……何のために?」
コウキがそう聞くと、神は正直に答えた。
『そりゃあ、私の欲望のためじゃよ。この世界の子達はみんな可愛いし』
「だからお前に従えって? 冗談じゃない」
『いや、お前にもメリットはあるぞ。好感度は、一度上がれば上がることはあっても、減ることはない。だから、お前は好きな女の子と関わってるだけで恋人になれるのさ』
コウキはそう言われて、気持ちが揺らぐ。
「そ、そうなのか……?」
『あぁ、私自身では行けないからのう。だから、お前にやってもらいたい。もちろん、この世界の冒険も続けてくれていいし、ピンチの時は助け舟を出してやる。どうだ?』
「……いいよ、やってやる」
コウキはその契約に乗った。神もそれを見て、笑う。
『そうこなくてはな!! それでは、お前の人生を楽しく見させてもらうぞ』
「おい、待て!! まだ聞きたいことが……」
「時間切れだ。また会おう」
コウキはそう言われて、目覚めた。図鑑は机の上に置かれており、『ヒロイン図鑑』は起動したままだ。
「……本当、らしいな」
コウキはそれを手に取って、握りしめた。
「いいだろう。どうせ戻れないのなら……この世界で、できる限り幸せになってやる」
そう言ってコウキは、ボールを手に取り……ホテルを出て、ヒオウギジムへと向かうのだった。
次回、ジム戦です。