朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 VSシャガ。


第20話 ソウリュウシティのシャガ

コウキ達はあの後、ビレッジブリッジまで逃げてきていた。全員が息も絶え絶えになっている。

 

「ぜぇ、ぜぇ……ここまで来ればいいか」

 

「それにしても、まさかポケモンで攻撃してくるなんてな……ポケモンをなんだと思ってるんだ!!」

 

「プラズマ団、倫理観ゼロちゃんだな……父ちゃん思い出しちまうよ」

 

 ペパーが憎たらしそうに、しかしどこか寂しそうなような、複雑な表情をする。それに対して、ボタンがフォローを入れる。

 

「博士とは違うんじゃない? ペパーのお父さんは、ペパーのことを考えてたけど……プラズマ団は他の人のことなんて、絶対考えてないよ」

 

「……うん、そうだな」

 

「それにしても!! コウキさんの戦法、すっごく面白かったね!! 途中から見ただけだけど、参考になった!!」

 

 ネモは自分の知らない戦法を見て、テンションが上がっているようだ。そう言われて、コウキが少し照れる。

 

「そうですかね? へへっ、ありがとうございます」

 

「さて、俺はまたポケモンを鍛えてくる!! お前はどうする? ソウリュウに行くのか?」

 

「うん。そうするつもり……それじゃ、皆さん!! ありがとうございました!!」

 

 コウキはアオイ達にお礼を言って、立ち去る。そして……予定通り、ソウリュウシティに辿り着く。

 

(原作通りなら、ここはプラズマ団に氷漬けにされる。そして、『いでんしのくさび』を奪われることになってしまうが……そうは行くか。この辺りで奴らの計画を破綻させてやる)

 

「やっほー!! ヒウンシティ以来だね!!」

 

「あっ、アイリスさん!! お久しぶりです!!」

 

 コウキはそう言って、アイリスに一礼する。

 

「ご丁寧にどうも!! ソウリュウに来たってことは……ひょっとして、あたしのおじーちゃんに挑戦?」

 

「はい、そうです。アイリスさんのお爺さんなんですね」

 

「うん!! と言っても、血の繋がりはないんだけどね!! あっ、ジムはあっち。行く前に9番道路に行くのもいいかも!!」

 

 コウキはそう言われて、笑顔でお礼を言う。

 

「色々教えてくれて、ありがとうございます!!」

 

「それにしても、お兄ちゃんってポケモンに慕われているのね!! ボールの中からでも、ポケモンの嬉しそうな気持ち伝わってくる!! チャンピオンに勝っただけあるね!!」

 

「はい、ポケモンは大好きなので!!」

 

「じゃあ、これからもポケモンと一緒に頑張ってね!! バイバイ!!」

 

 アイリスはコウキに手を振りながら、どこかに歩いていった。そしてコウキは、ポケセンで回復した後……ジムに向かう。

 

「さてと、実際見ると……すごい迫力だなぁ」

 

 ここのギミックは、龍の首を動かしてシャガのいる場所に向かうという、大迫力のギミックだ。コウキは説明を受けて、白竜の頭に乗る。目の前には、巨大な黒い龍が立っている。

 

「さて、確かこうやって……おぉ、動いた!!」

 

 ──ゴゴゴゴゴ……

 

 ──ズドォォン!!

 

「うわぁ、かっこいい……さてと、よろしくお願いします!!」

 

「いかなる時も上を目指す!! 舞い上がるドラゴンのように!!」

 

 コウキはトレーナーに勝ちながら、どんどん上へと上がっていく。ドラゴンの尻尾から後脚へ、後脚から前脚へ……そして、ついに一番上まで到着すると、シャガのいるドラゴンの頭が見えた。そして二つの龍が、雄叫びを上げる。

 

「「グォォォォォー!!!」」

 

 ──ズドォォォン!!

 

「……よくぞ参られた。私がソウリュウシティポケモンジム、ジムリーダーのシャガである。市長として街の発展に尽力し、トレーナーとしてただ強さを追い求めた……」

 

「シャガさんも、僕のことはご存知ですか?」

 

 コウキが尋ねると、シャガは頷いて言う。

 

「君はチャンピオンを三人倒した、凄まじい実力の持ち主だ。だからこそ、それに敬意を評して……最高の力で戦わせてもらおう」

 

「ありがとうございます。こちらとしても、全力で行かせてもらいますよ」

 

「私が今求めるのは、アイリスのように明るい未来を見せてくれる、若いトレーナーの存在!! 君がトウコのように私に未来を見せてくれること、望んでもいいのだろうか!! 確かめさせてもらう!!」

 

 コウキとシャガが、それぞれボールを構える。シャガの初手ポケモンは……

 

「行け、ギャラドス!!」

 

「ギャアァァオ!!」

 

「頼むぜ、シンボラー!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

 コウキが初手に選択したのは、シンボラーだ。それにはもちろん、理由がある。

 

(ギャラドスの種族値は物理攻撃寄りだ。物理に振ってるなら、『サイコシフト』で弱体化させていけるはず……)

「やれ、ギャラドス!! 『こおりのキバ』!!」

 

「シンボラー、躱して『エアスラッシュ』!!」

 

 ──ガキィィィィン!!

 

 ギャラドスの『こおりのキバ』が、スレスレで空を切る。そして、そこにシンボラーが『エアスラッシュ』を叩き込もうとする。しかしシャガもそう甘くはない。

 

「ボラァァァァッ!!」

 

 ──ビュシュシュシュッ!!

 

「ギャラドス、体を揺らして被弾を抑えろ!!」

 

「ギャオッ……!!」

 

 エアスラッシュの弾幕は最小限の被弾で抑えられ、ダメージはそこまでにはならなかった。しかしコウキは、それに笑みを浮かべる。

 

「それなら、これでどうだ!! シンボラー、『サイコシフト』!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「……『やけど』をこちらに移す技か。流石だな」

 

 シャガはそれを、素直に賞賛する。コウキはそこでシンボラーに追撃の命令をした。

 

「今だ、シンボラー!! もう一度……」

 

「だが甘い!! ギャラドス、『10まんボルト』!!」

 

「なんだって!?」

 

 ギャラドスの予想外の行動に、コウキが驚愕の声を上げる。ギャラドスが体から電撃を放ち、それがシンボラーに命中する。

 

 ──バヂュヂヂィィィッ!!

 

「ボォ、ラァァ……!!」

 

「シンボラー!! くっ、まさか特殊型だなんて……!! 油断した……」

 

「今の攻撃で、シンボラーは麻痺状態になったようだな。ギャラドスは『サイコシフト』で火傷状態だ、麻痺を移すことはできないぞ!!」

 

 コウキはそれに冷や汗を流す。まさか、初っ端から戦法の一つを潰されるとは思っていなかったから。

 

(どうする……今のシンボラーで突っ張るのは自殺行為だ。ギャラドスは確実に水技を覚えている、ドリュウズやエンブオーは使えない……その上ドラゴンタイプですらないから、マリルリも使えないし……いきなり大ピンチだ……!!)

 

「……シンボラー、戻れ!!」

 

「やはりそうするか。さて、何を出す?」

 

 コウキは少し悩んで……そのポケモンを繰り出した。

 

「行け、ハハコモリ!!」

 

「ハハァーリッ!!」

 

「ハハコモリ……なるほどな。それなら確かに『10まんボルト』や水技は半減にしていけるし、『こおりのキバ』なら、カウンターしていける……考えたな」

 

「……その言い方、まだ何かあるんですか?」

 

 コウキの予想通り、やはり覚えていた。コウキがそこで、ハハコモリに指示を出す。

 

「無論だ!! ギャラドス、『かえんほうしゃ』!!」

 

「ハハコモリ、『ふいうち』!!」

 

「なにっ!? ハハコモリはその技を覚えないはず……まさか!?」

 

「ハハァリィッ!!」

 

 ──ズドォォォン!!

 

 『ふいうち』がそのまま命中、ギャラドスのHPが削れる。ギャラドスの『かえんほうしゃ』は、そのままハハコモリに命中した。しかし……四倍弱点のはずなのに、ハハコモリは倒れない。そしてシャガは、その理由に気づいていた。

 

「グッ……ギャオォォォ!!」

 

 ──ゴァァァァッ!!

 

「まずい!! ギャラドス、避け……」

 

「もう遅い!! ゾロアーク、『ナイトバースト』だ!!」

 

「きゅあぁぁぁーっ!!」

 

 ──ドゴォォォン!!

 

 イリュージョンの解けたゾロアークが放った、黒い波動がゼロ距離でギャラドスに押し当てられる。そのままギャラドスは吹っ飛び、戦闘不能になった。

 

「ギャ、ラァァ……」

 

「これでなんとか一匹か……先は長いな」

 

「中々やるようだな。しかし、まだまだここから!! 行け、チルタリス!!」

 

「チルゥゥゥッ!!」

 

 そこで出てきたのは、チルタリスだった。コウキはそれを見て、即座に命令を出す。

 

「ゾロアーク、もう一回『ナイトバースト』!!」

 

「チルタリス、『りゅうのはどう』!!」

 

「きゅあぁぁぁぁ!!」

 

「タリィィィス!!」

 

 ──ドゴォォォォン!!

 

 お互いが放った光線が、ほぼ同時に命中する。ゾロアークは倒れたが、チルタリスはまだ元気そうだ。

 

「ゾロォ……」

 

「ありがとう、ゆっくり休んでくれ」

 

「チルタリス!! 今のうちに『はねやすめ』!!」

 

 『はねやすめ』で体力が半分回復し、チルタリス側は元通り万全になってしまう。コウキはそれを見て、考え込む。

 

(どうする? マリルリを出してもいいが、それをすれば、ほぼ確実に交換されるだろう。それにこの世界にはフェアリータイプがある。何の対策もしていないとは到底思えない……もしマリルリが落ちたら、こっちは大ピンチだ。まだ出すわけにはいかない……!!)

 

「……頼んだぞ、エンブオー!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 そこで出したのはエンブオーだった。しかし、シャガはそれを見て笑う。

 

「火力で押し切る気か……しかし、そうはいかんぞ!! チルタリス、『コットンガード』!!」

 

「構うな、突っ込め!! 『ワイルドボルト』!!」

 

「ブァァァァァッ!!」

 

「チルッ!!」

 

 ──バヂュオォォン!!

 

 捨て身珠ワイルドボルトですら、あまりダメージが入らない。それもそのはず、コットンガードの上昇幅は……一気に三段階なのだから。

 

「効かんな!! チルタリス、もう一度『コットンガード』……」

 

「今だ、エンブオー!! 戻れ!!」

 

「ここで交換だと!?」

 

 コウキはここで敢えて交換を選んだ。そして、防御が六段階上昇している今、有効打があるのは……

 

「頼む、シンボラー!!」

 

「ボラァァ……」

 

「チルタリス、『りゅうのはどう』で仕留めろ!!」

 

 シャガはまずいことを察して、そう言ったが……『コットンガード』をしている最中のチルタリスは、まだ攻撃できない。その隙をコウキは逃さない。

 

「シンボラー、『サイコシフト』だぁぁぁ!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「タリッ!?」

 

「し、しまった……!!」

 

 これでチルタリスは、麻痺状態になった。その隙をコウキは逃さない。

 

「今だ、シンボラー!! 『エアスラッシュ』!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「チルゥッ……!!」

 

 チルタリスは麻痺の影響で動けない。その上、エアスラッシュは三割の確率で相手を怯ませる。つまり、チルタリスは麻痺と合わせて結構な確率で動けないのだ。

 

「もう一回『エアスラッシュ』!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「くっ……チルタリス、戻れ!!」

 

「特性『しぜんかいふく』ですか……」

 

 控えに戻せば、自動で状態異常が治る特性だ。しかし、交換したことでコットンガードは意味が無くなる。

 

「行け、クリムガン!! 『ふいうち』だ!!」

 

「ムガァァァァン!!」

 

 ──ドゴォォン!!

 

 ──ビュシュシュシュッ!!

 

「ボラァァ……」

 

「ありがとう、シンボラー……ゆっくり休んでくれ」

 

 『エアスラッシュ』は命中したが、シンボラーは倒れてしまった。もう『サイコシフト』は使えない。コウキの次のポケモンは……

 

「もう一回頼む、エンブオー!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

「クリムガンと力比べをするつもりか? 面白い!! クリムガン、『げきりん』だ!!」

 

 それを見て、コウキもエンブオーに指示を出す。珠エンブオーとちからずくクリムガンの、パワー対決だ。

 

「エンブオー、『インファイト』で迎撃しろ!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!」

 

「リィガァァァン!!」

 

 ──ズガァァァァン!!

 

 お互いの拳がぶつかり合って、クリムガンとエンブオーがお互いに押し合いになる。

 

「ブゥゥゥゥ……!!」

 

「負けるな、エンブオー!!」

 

「ムゥゥガァァ……!!」

 

「押し切れ、クリムガン!!」

 

 勝負は互角、膠着状態だ。しかし、クリムガンはげきりん以外の行動ができない。ただ、敵を倒す為だけに暴れるだけだ。そこでクリムガンは、エンブオーの顔めがけて噛み付こうとする。

 

「リガァァァァッ!!」

 

「今だ、エンブオー!! 『ふいうち』!!」

 

「エェンブゥゥ!!」

 

「ッ、しまった……!!」

 

 噛み付こうとしたところで顔面に衝撃を与えられ、クリムガンは怯んでしまう。その一瞬が命取りだ。

 

「エンブオー、『インファイト』!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 ──ズガガガガガガッ!!

 

「ムゥ、ガァァン……」

 

 クリムガンが倒れて、シャガは残り三匹。しかしシャガ側には、まだ『あのポケモン』が残っている。

 

「やるな……しかし、こいつを突破できるかな!? 行け、チルタリス!!」

 

「やっぱり出てくるか……戻れ、エンブオー!!」

 

「今だ、チルタリス!! 『コットンガード』だ!!」

 

 またしても『コットンガード』を使われ、物理防御が大幅に上がる。どのポケモンを出しても、できるのは物理攻撃だ。しかしマリルリを切ってしまえば、あちらは何かをしてくるだろう。

 

「それなら……頼む、マリルリ!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

「出てきたか……真打登場といったところか。戻れチルタリス!!」

 

「やはりか……!!」

 

 チルタリスが入れ替わる。それはつまり、チルタリスはフェアリー対策をしていない。そして、何が出てくるか……

 

「行け、オノノクス!!」

 

「バゴォォォォッ!!」

 

「オノノクス……なるほどな」

 

 コウキはやりたいことを大体察した。しかし、シャガのやることはそれを知っていても変わらない。

 

(恐らく、あのオノノクスはタスキを持ってる。タスキで一撃耐えて、その間に竜の舞で全抜きをするつもりだろう。フェアリー対策技も多分あるだろうし、このまま突っ張るのはむしろ危険……けど、戻しても同じことをされるだけだ。なら!!)

 

「……マリルリ!!」

 

「今だオノノクス、『りゅうのまい』!!」

 

「『アクアジェット』を当てて、戻ってこい!!」

 

「なにっ!?」

 

 コウキが選んだのは、効果抜群の『じゃれつく』ではなく、『アクアジェット』だった。タスキ潰しだけなら、それで十分だから。

 

「マリィィィ!!」

 

 ──バシャアッ!!

 

「オノォォォッ!!」

 

「よし……!!」

 

 ここまで、コウキの計算通りだ。後はシャガが次に、何をしてくるか。その答えは……

 

「……オノノクス!! 『どくづき』だ!!」

 

「マリルリ、戻れ!!」

 

「また交換か!?」

 

 コウキはもう、シャガが何をしようとしていたのかを察していた。

 

「シャガさん。思い出したんでしょ? マリルリは水タイプ複合だから、はがねタイプで抜群を取れないことを……『どくづき』を使ったのは、そういうことですよね?」

 

「……そこまで察するか。しかし、それを知ったところでどうする? 当たれば無事では済まんぞ!!」

 

「知ってますよ。だから……行け、ドリュウズ!!」

 

「ドリュウズ……そういうことか!!」

 

 コウキの狙いは、最初からこれだったのである。シャガが察して、コウキが笑って言う。

 

「正解です!! ドリュウズ、『じしん』だ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!」

 

 ──ズゴゴゴゴォォ!!

 

「バゴォォォォォ!?」

 

 ドリュウズの『じしん』が、オノノクスに直撃する。オノノクスの『どくづき』は、ドリュウズのはがねタイプで無効にされた。そして、タスキはさっきの『アクアジェット』で潰されている。耐え切れる道理はない。

 

「オノォォ……」

 

「よし、ありがとう!! ドリュウズ!!」

 

「くっ……この状況にするために、マリルリをブラフとして使ったのか……!!」

 

「そういうことですね!!」

 

 シャガはそれを聞いてもなお、好戦的な笑みを崩さない。

 

「しかし、まだ負けてはいない!! ガブリアス、行け!!」

 

「ガブルァァァァ!!」

 

「ガブリアス……なるほど」

 

 シャガは早速、ガブリアスに命令を出す。まずはドリュウズを仕留めるために。

 

「ガブリアス、『じしん』!!」

 

「ドリュウズ、戻れ!!」

 

「シンボラーはもういない、無効にはできんぞ!!」

 

 コウキもそれは理解していた。しかし、だからこうしているのだ。

 

「わかってますよ、行け!! ハハコモリ!!」

 

「ハハァリッ!!」

 

「ハハコモリ……そうか!! じめんタイプの攻撃は四分の一か!!」

 

「そういうことです!! ハハコモリ、『はたきおとす』!!」

 

 ハハコモリがじしんを撃っているガブリアスに近づいて、攻撃と同時に持ち物を叩き落とす。

 

「ハァリィィィッ!!」

 

 ──スパァァァン!!

 

「しまった、『ヤチェの実』が……!! ガブリアス、『げきりん』!!」

 

「今だ、ハハコモリ!! 『トリプルアクセル』!!」

 

「ハハァリィィ!!」

 

「ガァァブゥゥゥッ!!」

 

 ──パキキキィィィン!!

 

 ──ズガガガガァッ!!

 

 暴れるガブリアスの攻撃を受けながらも、ハハコモリは必死にガブリアスに食らいつく。激しいぶつかり合いの末……結果は、相打ちだった。

 

「ハァリィィ……」

 

「ガァ、ブゥゥ……」

 

「ありがとう、ハハコモリ……!!」

 

「……聞いていた通りの凄まじい人物だ。ハッキリ言って、想像以上だよ」

 

 素直にシャガはコウキを褒め称える。しかし、諦めるつもりは毛頭ないようだ。

 

「ありがとうございます。でも、まだポケモンは残ってますよね?」

 

「あぁ、その通り!! 老いてなお全身の血が滾る!! まだまだ戦おうぞ!! 行け、チルタリス!!」

 

「チルゥゥゥッ!!」

 

 最後の一匹。出すのはもちろん、あのポケモンだ。

 

「行け、マリルリ!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「チルタリス、『コットンガード』!!」

 

「マリルリ、『はらだいこ』!!」

 

 お互いに、自分自身にバフをかける。シャガは防御、コウキは攻撃に。

 

「マリィィッ!!」

 

「タリィィッ!!」

 

「行け、マリルリ!! 『じゃれつく』だ!!」

 

「なにも有効打がないわけではないぞ!! チルタリス、『マジカルシャイン』!!」

 

 チルタリスもフェアリー技を覚えていた。しかし、マリルリにはどちらにせよ関係ない。

 

「チルゥゥゥッ!!」

 

 ──ブワァァァァッ!!

 

「そのまま突っ込め、マリルリ!!」

 

「マァリィィィッ!!」

 

 マジカルシャインの中に、マリルリが突っ込む。そして……マリルリは、その中を体一つで突き抜けてきた。

 

「チルタリス、『コットンガード』……」

 

「いっけぇぇぇぇぇ!!!」

 

「ルゥリィィィィ!!!」

 

 ──ポカポカポカポカ!!!

 

 チルタリスは『じゃれつく』を受けて、地面に真っ逆さまに落下していく。HPを減らされていたチルタリスに、最早抵抗する手段はない。

 

 ──ドゴォォォォン!!

 

「……チルタリス、よくやってくれた。お前の勝ちだ、チャレンジャー!!」

 

「やったぁぁぁぁぁ!!!」

 

「マッリィィィィッ!!!」

 

「ありがとう。自分以外と力を合わせ、困難に挑む!! ポケモン勝負が持つ意味を改めて思い出せたよ。さぁ、これを!!」

 

 レジェンドバッジと賞金を手渡されて、コウキが一礼する。

 

「ありがとうございます!!」

 

「これも貰ってくれたまえ。私が好きな技マシンの一つ、その名もドラゴンテール!!」

 

「ありがたく頂戴します」

 

「さてと……アララギの娘から聞いた。イッシュを作った、伝説のドラゴンポケモンを語るのだな。では、外で待っていてくれ」

 

 コウキはそう言われて、外に出る。そしてすぐシャガも出てきた。

 

「よし、家まで案内しよう。私に着いてきなさい」

 

「よろしくお願いします」

 

「……着いたぞ。さあ、上がりなさい」

 

 コウキはシャガに言われるまま、シャガの家に入る。

 

「お邪魔します」

 

「では、語るとしよう。長くなるが、心して聞いて欲しい」

 

「はい、お願いします」

 

 コウキがそう言うと、シャガは頷いて話し始めた。

 

「二年前、二匹のドラゴンポケモンが目覚めた。理想を求め、世界を希望の世界へ導く黒いドラゴンポケモン、ゼクロム。真実を求め、世界を新たなる善へと導く白きドラゴンポケモン、レシラム。ゼクロムとレシラムは元々、一匹のポケモンだった」

 

「それが何かしらの要因で、分かれてしまったと?」

 

「うむ。何故、分かれたのか? ドラゴンポケモンは双子の英雄を助け、イッシュに新しい国を造った。だが双子の英雄は、それぞれ理想と真実を追い求め、どちらが正しいか決めるべく、国を二つにして争い始めた」

 

 コウキ自身も長いので、そこまで鮮明には覚えていなかった。なので、真剣に耳を傾けている。

 

「この時だ、ドラゴンポケモンは白と黒の二匹に分かたれた!! 理想と真実は、必ずしも対立するものではないのに……実はこの時、もう一匹のドラゴンポケモン、キュレムが生まれたのでは? と推測している」

 

「キュレム……理想と現実が抜けた後の、二人の体だったもの?」

 

「そうだ。その証拠となるのが、代々我が一族に伝わる、『いでんしのくさび』という宝だ。アララギ博士の調べでは、リュウラセンの塔と同じ時代の成分が検出できたらしい」

 

 リュウラセンの塔と同じ時代、つまりジャイアントホールとも同じ時代だということ。隕石から産まれたものなのか、それとも分離の時に生まれた副産物なのか。それはコウキにもわからないが……

 

「それはどこに?」

 

「ああ、いでんしのくさびは大切に保管している。道具として、どのような力を秘めているかわからぬのでな。ただし、もう一匹のドラゴンポケモンがいるのか? キュレムが本当にいるとしても、どのようなポケモンかは不明だ」

 

「……そうですね」

 

 コウキは全てを知っているが、それを言っても仕方がない。

 

「そもそも、あれほど強大な二匹のポケモンに分かれたのだ。いたとしても抜け殻ではないか? そんな風に考えたりもする……」

 

 ──グォォォォン……

 

「はて? 何の音だ? 少し外に見に行って来る」

 

「……来やがったな。お前らの思い通りに、なると思うなよ」

 

 コウキはそう言って、外に出ていく。しかし、コウキはまだ知らなかった。ここから起こることが、誰も予測のつかない災害となることを。




次回、プラズマ団襲来。
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