朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版) 作:とも667
VSシャガ。
コウキ達はあの後、ビレッジブリッジまで逃げてきていた。全員が息も絶え絶えになっている。
「ぜぇ、ぜぇ……ここまで来ればいいか」
「それにしても、まさかポケモンで攻撃してくるなんてな……ポケモンをなんだと思ってるんだ!!」
「プラズマ団、倫理観ゼロちゃんだな……父ちゃん思い出しちまうよ」
ペパーが憎たらしそうに、しかしどこか寂しそうなような、複雑な表情をする。それに対して、ボタンがフォローを入れる。
「博士とは違うんじゃない? ペパーのお父さんは、ペパーのことを考えてたけど……プラズマ団は他の人のことなんて、絶対考えてないよ」
「……うん、そうだな」
「それにしても!! コウキさんの戦法、すっごく面白かったね!! 途中から見ただけだけど、参考になった!!」
ネモは自分の知らない戦法を見て、テンションが上がっているようだ。そう言われて、コウキが少し照れる。
「そうですかね? へへっ、ありがとうございます」
「さて、俺はまたポケモンを鍛えてくる!! お前はどうする? ソウリュウに行くのか?」
「うん。そうするつもり……それじゃ、皆さん!! ありがとうございました!!」
コウキはアオイ達にお礼を言って、立ち去る。そして……予定通り、ソウリュウシティに辿り着く。
(原作通りなら、ここはプラズマ団に氷漬けにされる。そして、『いでんしのくさび』を奪われることになってしまうが……そうは行くか。この辺りで奴らの計画を破綻させてやる)
「やっほー!! ヒウンシティ以来だね!!」
「あっ、アイリスさん!! お久しぶりです!!」
コウキはそう言って、アイリスに一礼する。
「ご丁寧にどうも!! ソウリュウに来たってことは……ひょっとして、あたしのおじーちゃんに挑戦?」
「はい、そうです。アイリスさんのお爺さんなんですね」
「うん!! と言っても、血の繋がりはないんだけどね!! あっ、ジムはあっち。行く前に9番道路に行くのもいいかも!!」
コウキはそう言われて、笑顔でお礼を言う。
「色々教えてくれて、ありがとうございます!!」
「それにしても、お兄ちゃんってポケモンに慕われているのね!! ボールの中からでも、ポケモンの嬉しそうな気持ち伝わってくる!! チャンピオンに勝っただけあるね!!」
「はい、ポケモンは大好きなので!!」
「じゃあ、これからもポケモンと一緒に頑張ってね!! バイバイ!!」
アイリスはコウキに手を振りながら、どこかに歩いていった。そしてコウキは、ポケセンで回復した後……ジムに向かう。
「さてと、実際見ると……すごい迫力だなぁ」
ここのギミックは、龍の首を動かしてシャガのいる場所に向かうという、大迫力のギミックだ。コウキは説明を受けて、白竜の頭に乗る。目の前には、巨大な黒い龍が立っている。
「さて、確かこうやって……おぉ、動いた!!」
──ゴゴゴゴゴ……
──ズドォォン!!
「うわぁ、かっこいい……さてと、よろしくお願いします!!」
「いかなる時も上を目指す!! 舞い上がるドラゴンのように!!」
コウキはトレーナーに勝ちながら、どんどん上へと上がっていく。ドラゴンの尻尾から後脚へ、後脚から前脚へ……そして、ついに一番上まで到着すると、シャガのいるドラゴンの頭が見えた。そして二つの龍が、雄叫びを上げる。
「「グォォォォォー!!!」」
──ズドォォォン!!
「……よくぞ参られた。私がソウリュウシティポケモンジム、ジムリーダーのシャガである。市長として街の発展に尽力し、トレーナーとしてただ強さを追い求めた……」
「シャガさんも、僕のことはご存知ですか?」
コウキが尋ねると、シャガは頷いて言う。
「君はチャンピオンを三人倒した、凄まじい実力の持ち主だ。だからこそ、それに敬意を評して……最高の力で戦わせてもらおう」
「ありがとうございます。こちらとしても、全力で行かせてもらいますよ」
「私が今求めるのは、アイリスのように明るい未来を見せてくれる、若いトレーナーの存在!! 君がトウコのように私に未来を見せてくれること、望んでもいいのだろうか!! 確かめさせてもらう!!」
コウキとシャガが、それぞれボールを構える。シャガの初手ポケモンは……
「行け、ギャラドス!!」
「ギャアァァオ!!」
「頼むぜ、シンボラー!!」
「シィィィィッ!!」
コウキが初手に選択したのは、シンボラーだ。それにはもちろん、理由がある。
(ギャラドスの種族値は物理攻撃寄りだ。物理に振ってるなら、『サイコシフト』で弱体化させていけるはず……)
「やれ、ギャラドス!! 『こおりのキバ』!!」
「シンボラー、躱して『エアスラッシュ』!!」
──ガキィィィィン!!
ギャラドスの『こおりのキバ』が、スレスレで空を切る。そして、そこにシンボラーが『エアスラッシュ』を叩き込もうとする。しかしシャガもそう甘くはない。
「ボラァァァァッ!!」
──ビュシュシュシュッ!!
「ギャラドス、体を揺らして被弾を抑えろ!!」
「ギャオッ……!!」
エアスラッシュの弾幕は最小限の被弾で抑えられ、ダメージはそこまでにはならなかった。しかしコウキは、それに笑みを浮かべる。
「それなら、これでどうだ!! シンボラー、『サイコシフト』!!」
「シィィィィッ!!」
「……『やけど』をこちらに移す技か。流石だな」
シャガはそれを、素直に賞賛する。コウキはそこでシンボラーに追撃の命令をした。
「今だ、シンボラー!! もう一度……」
「だが甘い!! ギャラドス、『10まんボルト』!!」
「なんだって!?」
ギャラドスの予想外の行動に、コウキが驚愕の声を上げる。ギャラドスが体から電撃を放ち、それがシンボラーに命中する。
──バヂュヂヂィィィッ!!
「ボォ、ラァァ……!!」
「シンボラー!! くっ、まさか特殊型だなんて……!! 油断した……」
「今の攻撃で、シンボラーは麻痺状態になったようだな。ギャラドスは『サイコシフト』で火傷状態だ、麻痺を移すことはできないぞ!!」
コウキはそれに冷や汗を流す。まさか、初っ端から戦法の一つを潰されるとは思っていなかったから。
(どうする……今のシンボラーで突っ張るのは自殺行為だ。ギャラドスは確実に水技を覚えている、ドリュウズやエンブオーは使えない……その上ドラゴンタイプですらないから、マリルリも使えないし……いきなり大ピンチだ……!!)
「……シンボラー、戻れ!!」
「やはりそうするか。さて、何を出す?」
コウキは少し悩んで……そのポケモンを繰り出した。
「行け、ハハコモリ!!」
「ハハァーリッ!!」
「ハハコモリ……なるほどな。それなら確かに『10まんボルト』や水技は半減にしていけるし、『こおりのキバ』なら、カウンターしていける……考えたな」
「……その言い方、まだ何かあるんですか?」
コウキの予想通り、やはり覚えていた。コウキがそこで、ハハコモリに指示を出す。
「無論だ!! ギャラドス、『かえんほうしゃ』!!」
「ハハコモリ、『ふいうち』!!」
「なにっ!? ハハコモリはその技を覚えないはず……まさか!?」
「ハハァリィッ!!」
──ズドォォォン!!
『ふいうち』がそのまま命中、ギャラドスのHPが削れる。ギャラドスの『かえんほうしゃ』は、そのままハハコモリに命中した。しかし……四倍弱点のはずなのに、ハハコモリは倒れない。そしてシャガは、その理由に気づいていた。
「グッ……ギャオォォォ!!」
──ゴァァァァッ!!
「まずい!! ギャラドス、避け……」
「もう遅い!! ゾロアーク、『ナイトバースト』だ!!」
「きゅあぁぁぁーっ!!」
──ドゴォォォン!!
イリュージョンの解けたゾロアークが放った、黒い波動がゼロ距離でギャラドスに押し当てられる。そのままギャラドスは吹っ飛び、戦闘不能になった。
「ギャ、ラァァ……」
「これでなんとか一匹か……先は長いな」
「中々やるようだな。しかし、まだまだここから!! 行け、チルタリス!!」
「チルゥゥゥッ!!」
そこで出てきたのは、チルタリスだった。コウキはそれを見て、即座に命令を出す。
「ゾロアーク、もう一回『ナイトバースト』!!」
「チルタリス、『りゅうのはどう』!!」
「きゅあぁぁぁぁ!!」
「タリィィィス!!」
──ドゴォォォォン!!
お互いが放った光線が、ほぼ同時に命中する。ゾロアークは倒れたが、チルタリスはまだ元気そうだ。
「ゾロォ……」
「ありがとう、ゆっくり休んでくれ」
「チルタリス!! 今のうちに『はねやすめ』!!」
『はねやすめ』で体力が半分回復し、チルタリス側は元通り万全になってしまう。コウキはそれを見て、考え込む。
(どうする? マリルリを出してもいいが、それをすれば、ほぼ確実に交換されるだろう。それにこの世界にはフェアリータイプがある。何の対策もしていないとは到底思えない……もしマリルリが落ちたら、こっちは大ピンチだ。まだ出すわけにはいかない……!!)
「……頼んだぞ、エンブオー!!」
「ブォォォォォッ!!」
そこで出したのはエンブオーだった。しかし、シャガはそれを見て笑う。
「火力で押し切る気か……しかし、そうはいかんぞ!! チルタリス、『コットンガード』!!」
「構うな、突っ込め!! 『ワイルドボルト』!!」
「ブァァァァァッ!!」
「チルッ!!」
──バヂュオォォン!!
捨て身珠ワイルドボルトですら、あまりダメージが入らない。それもそのはず、コットンガードの上昇幅は……一気に三段階なのだから。
「効かんな!! チルタリス、もう一度『コットンガード』……」
「今だ、エンブオー!! 戻れ!!」
「ここで交換だと!?」
コウキはここで敢えて交換を選んだ。そして、防御が六段階上昇している今、有効打があるのは……
「頼む、シンボラー!!」
「ボラァァ……」
「チルタリス、『りゅうのはどう』で仕留めろ!!」
シャガはまずいことを察して、そう言ったが……『コットンガード』をしている最中のチルタリスは、まだ攻撃できない。その隙をコウキは逃さない。
「シンボラー、『サイコシフト』だぁぁぁ!!」
「シィィィィッ!!」
「タリッ!?」
「し、しまった……!!」
これでチルタリスは、麻痺状態になった。その隙をコウキは逃さない。
「今だ、シンボラー!! 『エアスラッシュ』!!」
「ボラァァァァッ!!」
「チルゥッ……!!」
チルタリスは麻痺の影響で動けない。その上、エアスラッシュは三割の確率で相手を怯ませる。つまり、チルタリスは麻痺と合わせて結構な確率で動けないのだ。
「もう一回『エアスラッシュ』!!」
「シィィィィッ!!」
「くっ……チルタリス、戻れ!!」
「特性『しぜんかいふく』ですか……」
控えに戻せば、自動で状態異常が治る特性だ。しかし、交換したことでコットンガードは意味が無くなる。
「行け、クリムガン!! 『ふいうち』だ!!」
「ムガァァァァン!!」
──ドゴォォン!!
──ビュシュシュシュッ!!
「ボラァァ……」
「ありがとう、シンボラー……ゆっくり休んでくれ」
『エアスラッシュ』は命中したが、シンボラーは倒れてしまった。もう『サイコシフト』は使えない。コウキの次のポケモンは……
「もう一回頼む、エンブオー!!」
「ブォォォォォッ!!」
「クリムガンと力比べをするつもりか? 面白い!! クリムガン、『げきりん』だ!!」
それを見て、コウキもエンブオーに指示を出す。珠エンブオーとちからずくクリムガンの、パワー対決だ。
「エンブオー、『インファイト』で迎撃しろ!!」
「エェンブゥゥゥッ!!」
「リィガァァァン!!」
──ズガァァァァン!!
お互いの拳がぶつかり合って、クリムガンとエンブオーがお互いに押し合いになる。
「ブゥゥゥゥ……!!」
「負けるな、エンブオー!!」
「ムゥゥガァァ……!!」
「押し切れ、クリムガン!!」
勝負は互角、膠着状態だ。しかし、クリムガンはげきりん以外の行動ができない。ただ、敵を倒す為だけに暴れるだけだ。そこでクリムガンは、エンブオーの顔めがけて噛み付こうとする。
「リガァァァァッ!!」
「今だ、エンブオー!! 『ふいうち』!!」
「エェンブゥゥ!!」
「ッ、しまった……!!」
噛み付こうとしたところで顔面に衝撃を与えられ、クリムガンは怯んでしまう。その一瞬が命取りだ。
「エンブオー、『インファイト』!!」
「ブォォォォォッ!!」
──ズガガガガガガッ!!
「ムゥ、ガァァン……」
クリムガンが倒れて、シャガは残り三匹。しかしシャガ側には、まだ『あのポケモン』が残っている。
「やるな……しかし、こいつを突破できるかな!? 行け、チルタリス!!」
「やっぱり出てくるか……戻れ、エンブオー!!」
「今だ、チルタリス!! 『コットンガード』だ!!」
またしても『コットンガード』を使われ、物理防御が大幅に上がる。どのポケモンを出しても、できるのは物理攻撃だ。しかしマリルリを切ってしまえば、あちらは何かをしてくるだろう。
「それなら……頼む、マリルリ!!」
「マッリィィィ!!」
「出てきたか……真打登場といったところか。戻れチルタリス!!」
「やはりか……!!」
チルタリスが入れ替わる。それはつまり、チルタリスはフェアリー対策をしていない。そして、何が出てくるか……
「行け、オノノクス!!」
「バゴォォォォッ!!」
「オノノクス……なるほどな」
コウキはやりたいことを大体察した。しかし、シャガのやることはそれを知っていても変わらない。
(恐らく、あのオノノクスはタスキを持ってる。タスキで一撃耐えて、その間に竜の舞で全抜きをするつもりだろう。フェアリー対策技も多分あるだろうし、このまま突っ張るのはむしろ危険……けど、戻しても同じことをされるだけだ。なら!!)
「……マリルリ!!」
「今だオノノクス、『りゅうのまい』!!」
「『アクアジェット』を当てて、戻ってこい!!」
「なにっ!?」
コウキが選んだのは、効果抜群の『じゃれつく』ではなく、『アクアジェット』だった。タスキ潰しだけなら、それで十分だから。
「マリィィィ!!」
──バシャアッ!!
「オノォォォッ!!」
「よし……!!」
ここまで、コウキの計算通りだ。後はシャガが次に、何をしてくるか。その答えは……
「……オノノクス!! 『どくづき』だ!!」
「マリルリ、戻れ!!」
「また交換か!?」
コウキはもう、シャガが何をしようとしていたのかを察していた。
「シャガさん。思い出したんでしょ? マリルリは水タイプ複合だから、はがねタイプで抜群を取れないことを……『どくづき』を使ったのは、そういうことですよね?」
「……そこまで察するか。しかし、それを知ったところでどうする? 当たれば無事では済まんぞ!!」
「知ってますよ。だから……行け、ドリュウズ!!」
「ドリュウズ……そういうことか!!」
コウキの狙いは、最初からこれだったのである。シャガが察して、コウキが笑って言う。
「正解です!! ドリュウズ、『じしん』だ!!」
「ドリュウゥゥゥッ!!」
──ズゴゴゴゴォォ!!
「バゴォォォォォ!?」
ドリュウズの『じしん』が、オノノクスに直撃する。オノノクスの『どくづき』は、ドリュウズのはがねタイプで無効にされた。そして、タスキはさっきの『アクアジェット』で潰されている。耐え切れる道理はない。
「オノォォ……」
「よし、ありがとう!! ドリュウズ!!」
「くっ……この状況にするために、マリルリをブラフとして使ったのか……!!」
「そういうことですね!!」
シャガはそれを聞いてもなお、好戦的な笑みを崩さない。
「しかし、まだ負けてはいない!! ガブリアス、行け!!」
「ガブルァァァァ!!」
「ガブリアス……なるほど」
シャガは早速、ガブリアスに命令を出す。まずはドリュウズを仕留めるために。
「ガブリアス、『じしん』!!」
「ドリュウズ、戻れ!!」
「シンボラーはもういない、無効にはできんぞ!!」
コウキもそれは理解していた。しかし、だからこうしているのだ。
「わかってますよ、行け!! ハハコモリ!!」
「ハハァリッ!!」
「ハハコモリ……そうか!! じめんタイプの攻撃は四分の一か!!」
「そういうことです!! ハハコモリ、『はたきおとす』!!」
ハハコモリがじしんを撃っているガブリアスに近づいて、攻撃と同時に持ち物を叩き落とす。
「ハァリィィィッ!!」
──スパァァァン!!
「しまった、『ヤチェの実』が……!! ガブリアス、『げきりん』!!」
「今だ、ハハコモリ!! 『トリプルアクセル』!!」
「ハハァリィィ!!」
「ガァァブゥゥゥッ!!」
──パキキキィィィン!!
──ズガガガガァッ!!
暴れるガブリアスの攻撃を受けながらも、ハハコモリは必死にガブリアスに食らいつく。激しいぶつかり合いの末……結果は、相打ちだった。
「ハァリィィ……」
「ガァ、ブゥゥ……」
「ありがとう、ハハコモリ……!!」
「……聞いていた通りの凄まじい人物だ。ハッキリ言って、想像以上だよ」
素直にシャガはコウキを褒め称える。しかし、諦めるつもりは毛頭ないようだ。
「ありがとうございます。でも、まだポケモンは残ってますよね?」
「あぁ、その通り!! 老いてなお全身の血が滾る!! まだまだ戦おうぞ!! 行け、チルタリス!!」
「チルゥゥゥッ!!」
最後の一匹。出すのはもちろん、あのポケモンだ。
「行け、マリルリ!!」
「マッリィィ!!」
「チルタリス、『コットンガード』!!」
「マリルリ、『はらだいこ』!!」
お互いに、自分自身にバフをかける。シャガは防御、コウキは攻撃に。
「マリィィッ!!」
「タリィィッ!!」
「行け、マリルリ!! 『じゃれつく』だ!!」
「なにも有効打がないわけではないぞ!! チルタリス、『マジカルシャイン』!!」
チルタリスもフェアリー技を覚えていた。しかし、マリルリにはどちらにせよ関係ない。
「チルゥゥゥッ!!」
──ブワァァァァッ!!
「そのまま突っ込め、マリルリ!!」
「マァリィィィッ!!」
マジカルシャインの中に、マリルリが突っ込む。そして……マリルリは、その中を体一つで突き抜けてきた。
「チルタリス、『コットンガード』……」
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
「ルゥリィィィィ!!!」
──ポカポカポカポカ!!!
チルタリスは『じゃれつく』を受けて、地面に真っ逆さまに落下していく。HPを減らされていたチルタリスに、最早抵抗する手段はない。
──ドゴォォォォン!!
「……チルタリス、よくやってくれた。お前の勝ちだ、チャレンジャー!!」
「やったぁぁぁぁぁ!!!」
「マッリィィィィッ!!!」
「ありがとう。自分以外と力を合わせ、困難に挑む!! ポケモン勝負が持つ意味を改めて思い出せたよ。さぁ、これを!!」
レジェンドバッジと賞金を手渡されて、コウキが一礼する。
「ありがとうございます!!」
「これも貰ってくれたまえ。私が好きな技マシンの一つ、その名もドラゴンテール!!」
「ありがたく頂戴します」
「さてと……アララギの娘から聞いた。イッシュを作った、伝説のドラゴンポケモンを語るのだな。では、外で待っていてくれ」
コウキはそう言われて、外に出る。そしてすぐシャガも出てきた。
「よし、家まで案内しよう。私に着いてきなさい」
「よろしくお願いします」
「……着いたぞ。さあ、上がりなさい」
コウキはシャガに言われるまま、シャガの家に入る。
「お邪魔します」
「では、語るとしよう。長くなるが、心して聞いて欲しい」
「はい、お願いします」
コウキがそう言うと、シャガは頷いて話し始めた。
「二年前、二匹のドラゴンポケモンが目覚めた。理想を求め、世界を希望の世界へ導く黒いドラゴンポケモン、ゼクロム。真実を求め、世界を新たなる善へと導く白きドラゴンポケモン、レシラム。ゼクロムとレシラムは元々、一匹のポケモンだった」
「それが何かしらの要因で、分かれてしまったと?」
「うむ。何故、分かれたのか? ドラゴンポケモンは双子の英雄を助け、イッシュに新しい国を造った。だが双子の英雄は、それぞれ理想と真実を追い求め、どちらが正しいか決めるべく、国を二つにして争い始めた」
コウキ自身も長いので、そこまで鮮明には覚えていなかった。なので、真剣に耳を傾けている。
「この時だ、ドラゴンポケモンは白と黒の二匹に分かたれた!! 理想と真実は、必ずしも対立するものではないのに……実はこの時、もう一匹のドラゴンポケモン、キュレムが生まれたのでは? と推測している」
「キュレム……理想と現実が抜けた後の、二人の体だったもの?」
「そうだ。その証拠となるのが、代々我が一族に伝わる、『いでんしのくさび』という宝だ。アララギ博士の調べでは、リュウラセンの塔と同じ時代の成分が検出できたらしい」
リュウラセンの塔と同じ時代、つまりジャイアントホールとも同じ時代だということ。隕石から産まれたものなのか、それとも分離の時に生まれた副産物なのか。それはコウキにもわからないが……
「それはどこに?」
「ああ、いでんしのくさびは大切に保管している。道具として、どのような力を秘めているかわからぬのでな。ただし、もう一匹のドラゴンポケモンがいるのか? キュレムが本当にいるとしても、どのようなポケモンかは不明だ」
「……そうですね」
コウキは全てを知っているが、それを言っても仕方がない。
「そもそも、あれほど強大な二匹のポケモンに分かれたのだ。いたとしても抜け殻ではないか? そんな風に考えたりもする……」
──グォォォォン……
「はて? 何の音だ? 少し外に見に行って来る」
「……来やがったな。お前らの思い通りに、なると思うなよ」
コウキはそう言って、外に出ていく。しかし、コウキはまだ知らなかった。ここから起こることが、誰も予測のつかない災害となることを。
次回、プラズマ団襲来。