朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 原作通りにはいきません。


第21話 降り注ぐ宝石

コウキとシャガが外に出る。そして、異様な音に二人で耳を澄ます。

 

 ──グォォォォン……

 

「何事だ……?」

 

「プラズマフリゲートだ……!! 撃ってきますよ、伏せて!!」

 

「なんだって!?」

 

 ──ガチャッ。

 

 ──ギュオォォォォ……

 

 プラズマフリゲートの先端部分から、大砲が出現する。そして、その部分にエネルギーが収束していく……しかし。そのエネルギーは、明らかに氷ではなかった。だが、コウキにとっては見覚えのあるエネルギーだ。

 

「テラスタルエネルギーだと!? 馬鹿な……!?」

 

「テラスタル? そういえば、カキツバタがそんな話を……」

 

 ──バギュオォォォォン!!!

 

 ──ズゴォォォォォン!!!

 

「……これは!!」

 

 コウキの予想は、当たっていた。大砲が炸裂した部分から、みるみるうちに虹色の宝石がそびえ立ってゆく。

 

 ──パキュパキキッ!!!

 

 ──バギュギュギュオォォォォン!!!

 

「くっ……なんだ、これは!? 氷、ではないな……宝石か?」

 

 ──ズゴァァァァァッ!!!

 

「テラスタルエネルギー……パルデア地方に存在する、ポケモンを宝石に変えて力を与える技術です。それをどうして、あいつらが……それに、兵器転用なんて……!!」

 

「この、宝石の世界は……オノノクス、『ドラゴンテール』だ」

 

「オノォォォッ!!」

 

 オノノクスを出して、シャガが命令する。しかし、それには傷一つつかなかった。

 

「……やはりな」

 

「よくやった、オノノクス!! ……やはりというのはどういうことだ?」

 

「多少、この宝石について知見があるんです。これは物理攻撃で壊せる代物じゃない」

 

 コウキがそう言っていると、そこに聞き覚えのある声がした。

 

「そうでしょうとも、この宝石は我々の新兵器ですからね」

 

「貴様は、Nの城の……」

 

「……ヴィオ!! 懲りずにまた出てきやがったな!!」

 

「お前もいたのか、忌々しいトレーナーめ。まぁよい、どうせ貴様もここで終わるのだ」

 

 コウキはそう言われて、更に怒りを強める。しかしヴィオは、それに構わず語り始めた。

 

「さて、これはプラズマ団の技術で生み出した特殊な宝石。あいつを捕まえている限り、壊れることは絶対にないのだ!!」

 

「あいつ……? まさか、それは……!!」

 

「要件を伝えよう。シャガ殿、『いでんしのくさび』とやらを寄越せ。このソウリュウは、過去と未来が絡み合う街。分かれたポケモンを繋げる、くさびがあるに相応しい場所」

 

 シャガは無論、プラズマ団にくさびを渡すつもりは無かった。

 

「お前達がした二年前の所業……それを知っている者が、素直に渡すと考えるのか?」

 

「ふむ、想像通り。ならば、もう一度宝石を撃ち込んでくれよう!!」

 

「なんだと!? しばらくは使えないんじゃ……」

 

「そんなことは一言も言っていない!! 砲台用意!! 標的は……忌々しいトレーナー、コウキだ!!」

 

 砲台がコウキに狙いを定める。ヴィオが本気であることは、コウキにもシャガにもわかった。

 

「逃げろ、コウキ!! ここは私が時間を稼ぐ!!」

 

「くっ!!」

 

「逃がすな、追え!!」

 

 プラズマ団達は追ってくる。それを見て、コウキは冷や汗が流れるのを感じた。

 

(どうする!? 信じられないことだが、奴らは『テラパゴス』を捕まえてる……!! 動力の方は、多分キュレムで補ってるだろうし……テラスタルエネルギーは、全部砲台に回せるんだ!! くそっ、こんなことが……!!)

 

「……エンブオー、頼む!! 俺を掴んで逃げてくれ!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 エンブオーはコウキを乗せて、そのまま走り出す。そこに、プラズマフリゲートから大砲が撃ち込まれた。

 

 ──バギュオォォォン!!!

 

「エンブオー、後ろに跳んで避けろ!!」

 

「ブォアァァァッ!!」

 

「まだだ、どんどん撃て!! 奴を逃がすな!!」

 

 エンブオーはコウキの指示通りに動いて、大砲を躱していく。そして、しばらく避けていると……

 

「はぁ、はぁ……止まった?」

 

「なに、砲身が焼けた!? くっ、あの砲台は元々氷弾用……もっと丈夫にしておくべきだったか」

 

「万策尽きたらしいな、ヴィオ!!」

 

 コウキがそう言ったが、そこでヴィオが言う。

 

「何を言うか、まだ策はある。見つからないなら探すまで!! 探せ、お前達!!」

 

「シャガさん、大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、大丈夫だ。君こそ大丈夫か? まさか、人間に向かって発砲するとは……なんとまあ無礼な連中だ!!」

 

 コウキからすれば、今更だった。原作でもゲーチスは、『こごえるせかい』で主人公に攻撃してきていたし、PWTでも撃ってきた。

 

「コウキ、君の力を貸してくれ。このソウリュウシティから、プラズマ団を追い払うぞ!!」

 

「はい、任せてください!!」

 

「来やがったな!? 行くぜ、お前ら!!」

 

 コウキと一緒に、シャガもプラズマ団を相手にしていく。原作よりも数が多いが、そんなことを気にしている余裕はない。そして、コウキがある程度掃討を終えて、ソウリュウジムへと向かう。

 

「……やれやれ、もう見つかったか。まぁ、いい。貴様は私の手で始末せねば、と思っていたのだ」

 

「かかってこい。お前ごときが俺に勝てると思うなよ!!」

 

「威勢がいい子ね。ラムダとランスに勝っただけあるわ」

 

「貴様は……!?」

 

 コウキが振り向いた先にいたのは、赤い髪をした女性だった。そして、コウキが名前を言う前にヴィオがその名を呼ぶ。

 

「アテナか……ここに何をしに来た?」

 

「あなただけじゃ、多分コウキには勝てないからね。私が助太刀に来たってわけ」

 

「フン……いいだろう。二人がかりで貴様を倒してやる」

 

 コウキは更に不利な状況に追い込まれていた。ロケット団の幹部、そしてプラズマ団の幹部との挟み撃ち。しかし、コウキは無理矢理にでも笑みを作る。

 

「上等だ、やってやる……覚悟しな!!」

 

「アンタ達。私のコウキに何やってるの」

 

「……アンタ、ガラルチャンピオンよね? どうしてここに……」

 

「ユウリ!? ここまで来てたのか!?」

 

 コウキに言われて、ユウリは頷いた。

 

「うん。デパートで買い物をしてたら、変な音が聞こえてきて……私が来てみたら、この様だったよ。よくもやってくれたね」

 

「邪魔者が一人増えたか。まぁよい、ゲーチス様のためにも、チャンピオンにも負けはせん!!」

 

「ユウリ、悪いが手を貸してくれ!!」

 

「そのつもりで来たし、いいよ。このおっさんは私に任せて」

 

 コウキはそう言われて、アテナに向き直る。

 

「そういうことだ、お前の相手は俺だぜ」

 

「舐めない方がいいわよ、アンタの対策はして来てるんだから!!」

 

「それ、ランスの時にも聞いたぞ!!」

 

 アテナとヴィオ、コウキとユウリが、お互いにボールを構える。

 

「行け、フリージオ!!」

 

「行きなさい、アーボック!!」

 

「リィジィィィ!!」

 

「シャアァァァッ!!」

 

 出てきた二匹を見て、コウキとユウリがポケモンを繰り出した。

 

「行け、エースバーン!!」

 

「頼む、シンボラー!!」

 

「バァァァーン!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

 二人がポケモンを出した。ダブルバトル開始だ。最初に動いたのは、ユウリだった。

 

「エースバーン、『フレアドライブ』!!」

 

「フリージオ、戻れ!! 行け、マンムー!!」

 

「マァンムゥゥゥゥッ!!」

 

 フレアドライブの直撃を受けても、マンムーは平気そうだ。それを見て、ユウリはマンムーの特性を察する。

 

「特性は『あついしぼう』か……」

 

「マンムー、『じしん』!!」

 

「なっ……チッ、アーボック!! 戻れ!!」

 

 コウキがまだなにもしていないのに、アテナはアーボックを戻さざるを得なくなった。

 

「行け、バルジーナ!!」

 

「バルジィィィッ!!」

 

「エースバーン、『とびはねる』!!」

 

「バァニィィィッ!!」

 

 そこでアテナが、仲間のことを考えないヴィオに文句を言う。

 

「ちょっと、アーボックに当たったらアーボックまでやられるじゃない!! 少しは考えなさいよ!!」

 

「そんなことは知らん、貴様の方が合わせろ」

 

「なんですってぇ!?」

 

 コウキはそうこうしている間に、シンボラーを戻していた。そして、バルジーナに対応できるポケモンを繰り出す。

 

「頼むぜ、エンブオー!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

「エンブオー? 馬鹿ねぇ、ひこうタイプ相手に格闘タイプなんて!!」

 

 コウキはそれを聞いて、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「それはどうかな……!?」

 

「エースバーン、マンムーに『アイアンヘッド』!!」

 

「バァァァーンッ!!」

 

 ──ガシャアァァン!!

 

「ムゥゥゥ……!!」

 

 エースバーンの攻撃を受けて、マンムーが大ダメージを受ける。コウキがそこでユウリに言う。

 

「エンブオー、エースバーンに向かって走って、それからジャンプだ!! ユウリ、頼む!!」

 

「……そういうことね。OK!! エースバーン、エンブオーに『アイアンヘッド』!!」

 

「バァニィィィッ!!」

 

 ──ズガァァァン!!

 

「なにっ!?」

 

 エースバーンはヘディングをする要領で、エンブオーを打ち上げる。しかし、それでもバルジーナの高度には届かない。

 

「残念だったわね、ギリギリ届かないわよ!!」

 

「知ってるよ!! エンブオー、マンムーを蹴って更に上へ!!」

 

 ──ズダァァン!!

 

「なんだと!?」

 

「ムァァァァァ!?」

 

 エンブオーは更に上に行き、マンムーはそれでバランスを崩してしまう。ユウリはその隙を逃さず、エースバーンに指示を出した。

 

「今だ、もう一回『アイアンヘッド』!!」

 

「バァニィィィッ!!」

 

「エンブオー、『ワイルドボルト』だ!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 エースバーンとエンブオー、コウキとユウリの完璧なコンビネーション。一方全く統率の取れていない、バラバラのヴィオとアテナ。これでは、勝負は見えている。

 

 ──ズガァァァンッ!!

 

 ──バヂュヂヂィィッ!!

 

「バルジィィィィッ!?」

 

「ムァァァァァッ!?」

 

「そのまま叩き落とせ!! 『フレアドライブ』だ!!!」

 

 コウキは追加で命令を出す。バルジーナに組み付いたエンブオーが、激しい炎を纏って落下していく。

 

「エェンブゥゥゥッ!!」

 

「ジィナァァァァ!?」

 

 ──ドゴォォォォォン!!

 

「マァン、ムゥ……」

 

「バル、ジィ……」

 

 バルジーナも、マンムーも。どちらも戦闘不能だ。ヴィオとアテナはそれを見て、歯軋りをしている。

 

「なんと忌々しい……!!」

 

「キーッ、生意気な子供ね!!」

 

「お前らが弱すぎるんだろ?」

 

「コンビネーション取れて無さすぎでしょ」

 

 コウキとユウリの指摘に、アテナは青筋を浮かべている。

 

「クソガキめ、目にもの見せてやるわ!! 行け、アーボック!!」

 

「行け、フリージオ!!」

 

「フリィィィッ!!」

 

「シャアァーボック!!」

 

 コウキはそれを見て、エンブオーを手持ちに戻した。出すのはもちろん、あのポケモンだ。

 

「エンブオー、戻れ!! 行け、シンボラー!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「アーボック、『バークアウト』!!」

 

「キシャアァァァ!!」

 

 コウキはそれを見て、シンボラーに指示を出す。

 

「シンボラー、『ひかりのかべ』!!」

 

「軽減しても無駄よ!! これを食らったら最後、特攻が下がるの!! 喰らえば喰らうほど、シンボラーの生命線が絶たれるってわけ!!」

 

「それがどうした。もっとやってみろよ」

 

 コウキの挑発的な態度に、アテナはイライラしている。挑発に乗り、もう一度『バークアウト』を命令する。

 

「やりなさい、アーボック!! 『バークアウト』!!」

 

「戻れ、シンボラー!!」

 

「なにっ!? ここで!?」

 

 コウキは笑みを浮かべて、次のポケモンを繰り出す。特攻が下がるなら、下がっても大丈夫なポケモンを出せばいいだけだ。

 

「行け、マリルリ!! 『はらだいこ』だ!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「なるほどね……相変わらず、やるじゃん」

 

 コウキはユウリから賞賛されながら、アーボックに攻撃する。

 

「やれ、マリルリ!! 『アクアブレイク』だ!!」

 

「ッ……!! アーボック、『くろいきり』!!」

 

「シャアァァァァ!!」

 

 ──ブワァァァァッ!!

 

 それで『はらだいこ』の効果が無くなり、マリルリは窮地に陥った……ように見えたが、実際のところはそうでもない。

 

 ──ドパパァァァァン!!

 

「アァボッ……!!」

 

「残念だったわね!! アーボック、『アシッドボム』!!」

 

「エースバーン、今だ!! 『フレアドライブ』!!」

 

「バァニィィィィッ!!」

 

 ──ドゴォォォォォン!!

 

 死角からのエースバーンの突撃。それに対応しきれず、アーボックに命中してしまう。

 

「アァ、ボォォ……」

 

「なっ……どうしてこっちに!? ヴィオ、何やってるの!?」

 

「フリージオは氷単タイプ、エースバーンとは相性が悪すぎたんだ。さて、お前達はあと一匹だな」

 

 二人が悔しそうにしながらも、最後のボールを投げる。コウキもその間に、ポケモンを入れ替えていた。

 

「戻れ、マリルリ!! 行け、シンボラー!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「クソッ……行け、マニューラ!!」

 

「やりなさい、ラフレシア!!」

 

 最後のポケモンは、コウキの知っている通りの二匹だった。コウキはシンボラーに命令を出し、トドメを刺しにかかる。

 

「フレェェェェ!!」

 

「ニュウゥゥゥー!!」

 

「シンボラー、ラフレシアに『エアスラッシュ』だ!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

 ──ビュシュシュシュッ!!

 

 シンボラーが『エアスラッシュ』で攻撃する。しかし何故か、アテナは余裕そうだ。

 

「食らいなさい!! 『ねむりごな』!!」

 

「レェシィィィ……!!」

 

 ──ブワァァァァ!!

 

「よし、当たったッ!! これで……」

 

「フレェェェェ!?」

 

 ラフレシアは『エアスラッシュ』を受けて、ほぼ瀕死だ。しかし、アテナはシンボラーが眠っていると思い込んでいる。

 

「今よ、『やどりぎのタネ』!!」

 

「シンボラー、『エアスラッシュ』!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

 ──ビュシュシュシュッ!!

 

「なっ……何故眠らない!? 確かに『ねむりごな』は命中したはず……」

 

 コウキはそれを聞いて、ため息を吐く。

 

「そんなことも知らないのか? ポケモンは状態異常になってる時、他の状態異常にはならないんだよ。シンボラーの持ち物くらいは知ってるだろ?」

 

「……まさか、そんな!?」

 

「フレェェェ……」

 

 ラフレシアが倒れる。そして、アテナはようやく理解した。自分達に勝ち筋などなかったということを。

 

「残念だったな、お前らの完敗だ」

 

「マニューラ、今だ!! シンボラーに『れいとうパンチ』!!」

 

「ニュラァァァァ!!」

 

 そこでコウキは、シンボラーに命令を出す。

 

「シンボラー、『サイコシフト』!! 後は任せるぜ、ユウリ!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「うん!! エースバーン、『ギガインパクト』!!」

 

「バァァァーンッ!!」

 

 『サイコシフト』で下がってしまった攻撃力、向いていないダブルバトル。マニューラは突撃してきたエースバーンを、避けられなかった。

 

「マニューラ、避け……」

 

「「もう遅いッ!!!」」

 

 ──ドゴァァァァァン!!

 

「ニュウァァァァァ!?」

 

 マニューラが吹っ飛んで、壁に叩きつけられた。誰がどう見ても、戦闘不能だ。

 

「……強いトレーナー達だな。流石チャンピオンとそれに勝った男だ。ポケモンを使いこなすことに長けている……ここは一旦、引くとしよう」

 

「覚えてなさいよ……いつか絶対に、アンタを潰すからね!!」

 

「だが、想像するのだ。イッシュ地方の全てがこの宝石と、氷に覆われた世界を。そのためにも、絶対にいでんしのくさびは手に入れるぞ!!」

 

 ヴィオとアテナはそう言って、逃げていった。

 

「チッ、逃げ足の早いテロリストだ……ありがとうユウリ、おかげで助かった」

 

「いいよ、あのままじゃコウキがヤバかったし。でも、あの調子なら一人でも余裕だったかな?」

 

「ははっ、そうだな」

 

 そう言っていると、そこにシャガがやって来た。

 

「流石だ、コウキ。君のおかげで……ん? あなたはガラルチャンピオンの……」

 

「どうも。ユウリです、今はチャンピオン兼コウキの恋人です」

 

「そうか……ともかくありがとう、助かったよ。ここで待っていてくれ、すぐに戻るから」

 

 シャガはそう言って、ジムに入っていき……一分もしないうちに戻ってきた。ユウリはそれに驚いているようだ。

 

「わっ、もう戻ってきた!?」

 

「うむ……! 言って戻るまでの記録更新だな。いいか、コウキ。いでんしのくさびとはこれだ!!」

 

「これが、いでんしのくさび……」

 

 三角柱の形をした灰色と黒と白、そして黄色の物体。それがいでんしのくさびだった。

 

「これがあいつら……プラズマ団の手に渡らなくて本当によかった!! 目的はわからないが、良くないことを企んでいるだろう……む!?」

 

「案の定、ジムが隠し場所だったか。なるほど、よく考えている。シャガがいなければ入れないし、いれば最強の番人となる……ポケモンジムを改装したのも、それが理由か。ですが、いでんしのくさびは私が……ん? ない?」

 

「……残念だったな。お前が盗るのはお見通しだ、言ったろ? お前らのことはなんだってわかる」

 

 コウキは、ダークトリニティに取られる直前にいでんしのくさびを先に取っていた。それを見たダークトリニティは、舌打ちをする。

 

「やはり、貴様は危険だな」

 

「あぁ、そうだろうとも。それで、どうする? この場で俺と戦うか?」

 

「お前と戦うのはまた今度だ。今の私の目的は、貴様の排除ではない」

 

「それならさっさと……がっ!?」

 

 コウキは後ろから殴られて、吹っ飛ぶ。そこにいたのは、アギルダーとダークトリニティだった。コウキはアギルダーに背中を蹴られたのだ。それを見たユウリとシャガが、怒りを露わにする。

 

「貴様ら……ポケモンで人を殺そうとしたのか!?」

 

「ええ。どんな手を使ってでも、目的は達成します。他の誰でもない、ゲーチス様のために」

 

「お前らぁぁぁッ!!! ムゲンダイナァァァァ!!! 『ダイマックスほう』だぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「ダァイナァァァァ!!!」

 

 ──ギュオォォォアァァァァ!!!

 

 ムゲンダイナの放った『ダイマックスほう』がダークトリニティめがけて、一直線に飛んでいく。しかし、目的を達成したダークトリニティは消えてしまった。

 

「目的は達成した。さらばだ」

 

「待て!! くっ……」

 

「クソッ、やられた……ごめんなさい……」

 

「コウキは悪くないよ、まさかあんなことするなんて……!!」

 

 コウキは幸い、大怪我はしていなかった。そのまま立ち上がって、ため息をつく。

 

「ごめんなさい、結局盗られちゃいましたね」

 

「いや、コウキはよくやってくれた。不甲斐ないのはこの私だ……!!」

 

「……ごめん、コウキ。コウキがやられちゃうって思ったら、頭に血が登っちゃって……つい」

 

「いいよ。ああでもしなきゃ、本当に殺されてたかもしれないしな……俺は奴らにとって、相当怖い存在のようだ」

 

 コウキにとっては好都合。自分にターゲットが向くのなら、全員を相手にすればいいだけだから。そこでライブキャスターが鳴る。

 

「もしもし?」

 

『コウキ、ソウリュウに変な船が飛んで行ったろ!? あれ、PWTの時の……!!』

 

『僕もそれを見た、今そっちに向かっている!!』

 

 コウキはそれを聞いて、少し申し訳なくなる。

 

『チェレンさんっ!! あれって、プラズマ団の船だよな?』

 

『うん、間違いない……!! とにかく、もうすぐ到着するから!!』

 

『じゃあお任せします!! コウキ、困ったら俺に連絡しろよなッ!!』

 

 そうして、ライブキャスターの通話が切れる。そこでシャガが、悔しそうな声を上げた。

 

「ぐぬぅ……私の体が二つあれば、この街を守りつつ、奴らを追いかけられるのに!!」

 

「コウキ!! あっ、シャガさんもご無事でしたか!! よかった……って、ガラルチャンピオンまで!?」

 

「チェレンではないか、すっかり逞しくなったな。今はアロエに代わって、ヒオウギのジムリーダーだったか」

 

「ありがとうございます。いや、挨拶はまた今度で……プラズマ団の居場所は、大体わかってます。イッシュ地方で今、一番気温が低いところ……セイガイハシティの近くです!!」

 

 チェレンがそう言って、コウキはそこに向かうことを決めた。

 

「じゃあ、決まりですね。そこに向かいましょうか」

 

「僕とコウキでプラズマ団を調べます。だから、シャガさんはソウリュウを守ってください!!」

 

「私だって行くよ。コウキを一人にしておけないもの」

 

「ユウリも来るんだな。よし、決まりだ……そういうわけなので、僕らに任せてください」

 

 コウキがそう言うと、シャガは安心したように言った。

 

「そう言ってくれるか……わかった、そちらは任せる!! だが、決して無理はするなよ。特にコウキ、危なくなったらすぐ逃げろ!! 君は殺されかねないからな!!」

 

「殺される……そこまで危険視されているなんて、君は本当に規格外だね。大丈夫です、僕らがコウキを守ります」

 

「コウキの見えないところは私達が見とく。安心して」

 

「ありがとう、みんな……それじゃチェレンさん、ユウリ!! 行きましょう!!」

 

 コウキがそう言うと、二人が頷く。

 

「それではシャガさん、行ってきます!!」

 

「頼んだぞ……人とポケモンの交わりはどうすべきか、どうあるべきかはそれぞれが考えることだ!! あいつらが……プラズマ団が勝手に決めることではない!!」

 

「僕が止めてみせます、安心してくださいよ!!」

 

「私がコウキを守ります、心配しないでください!!」

 

 コウキとユウリはそう言って、ソウリュウの外に走っていった。




次回、最終ジム。
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