朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 サレナ回です。


第23話 黒百合になったワケ

コウキがジムを出ると、二人が駆け寄ってきた。バッジ入れには、8つのバッジが輝いている。

 

「それ、最後のジムバッジ……これで全員に勝ったのか、すごいね」

 

「へへっ、それ程でも……」

 

「本当ならポケモンリーグに挑戦……だけど、今はプラズマ団が先だからなッ!!」

 

 そこにシズイがやって来て、三人に声をかける。

 

「よう、おはんら!! 聞こえたけど、プラズマ団って何してる連中よ?」

 

「プラズマ団ってのは、妹の……いや!! 人のポケモン奪うし、ポケモンの力でイッシュ地方を氷漬けにして支配しようと目論んでる、悪い連中だよ。シズイさん知らないのか?」

 

「知らん! 海で暮らしていると、そういうことはあまり気にならん。何しろ海はどんな川をも受け入れるからなぁ……で、おまはんら。プラズマ団は悪いと思うか?」

 

 コウキとユウリが聞かれているようだ。コウキとユウリの答えは、もちろん決まっている。

 

「えぇ。僕の大切な人やポケモンを傷つけるし、ポケモンバトルに熱中することも許さない……邪魔以外の何物でもない、僕の敵です」

 

「同じく。コウキの敵は私の敵だからね」

 

「そうか、おはんらにはちゃんと理由があるんやな。大切な人のためか……おはんら、それを大切にせぇよ。信念は自分に力をくれるからな。さてと……」

 

 そう言って、シズイは行ってしまった。ヒュウはそれを見て呟く。

 

「なんだ、おおらかというか、無責任というか……なんか気性を削がれたけど、相手はプラズマ団だからな!! 気を引き締めろ……って言う前に、どこにいるか探さないと。よし、手分けするぞッ!! お前は22番道路なッ!!」

 

「……ヒュウ兄さん、行っちゃったか。ユウリは、海辺の洞穴を探索しといてくれる? あそこ強いトレーナーとかが多そうだからさ」

 

「わかった、任せといて。くれぐれも気をつけてね?」

 

 コウキは頷いて、22番道路へと向かった。そして、規定の場所に来て……アクロマとテラキオンを待つ。

 

「さてと、ここで待ってれば来るはずだが……何故来ないんだ?」

 

「……ここにいたか」

 

「あなたは……サレナさん? どうしてここに……」

 

 幽鬼のように、フラフラと歩いてくるサレナ。そして、ボールを強く握りしめながら言った。

 

「私と戦え……今すぐに!!」

 

「……構いませんが、どうして?」

 

「そんなことは、お前には関係ないッ!!!」

 

 サレナが凄まじい勢いで、コウキを怒鳴りつける。正気を失っているのは火を見るより明らかだ。落ち着かせるためにも、戦って勝つ他ない。

 

「わかりました、やりましょう」

 

「私は誰にも負けない、負けるはずがない……!! ここで終わりにしてやるッ!! 行けッ、ファイアロー!!」

 

「ファイィィィッ!!」

 

 サレナの初手は、同じポケモンだった。コウキはそれを見て、前とは違う手を取る。

 

「頼むぜ、エンブオー!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

「ファイアロー!! 『ブレイブバード』!!」

 

 サレナは後先考えず、ファイアローに突撃の命令を出す。ファイアローが高速で突っ込んでくるのを見て、コウキはポケモンを入れ替える。

 

「戻れ、エンブオー!! 行け、ドリュウズ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

「関係ない!! 突っ込めぇぇ!!」

 

 サレナは激情に突き動かされて、叫ぶ。しかしコウキは、あくまで冷静だ。

 

「ドリュウズ、ファイアローの前に『いわなだれ』!!」

 

「リュウズゥゥゥッ!!」

 

 ──ドゴゴゴォォォン!!

 

「ファイィッ!?」

 

 ──ドガァァッ!!

 

 大岩に、『ブレイブバード』のスピードを殺しきれないまま、ファイアローが激突する。それを逃さず、コウキは命令を出した。

 

「今だドリュウズ!! 『いわなだれ』!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!」

 

 ──ズガガガァァァン!!

 

「ファ、イィ……」

 

「くっ……くそっ、まだまだぁぁ!!」

 

 サレナの目は血走っている。その様子を見て、コウキが声をかけようとするが……

 

「サレナさん、ちょっと落ち着いて……」

 

「黙れ黙れ黙れぇッ!! 私の心が、お前なんかにわかるもんか!! 行けっ、ヒヒダルマ!!」

 

「ダッルゥゥゥゥ!!」

 

 コウキはそれを見て、次の行動を考える。サレナは感情に任せて、次の命令をした。

 

「やれっ、ヒヒダルマ!! 『フレアドライブ』!!」

 

「ドリュウズ、戻れ!! 頼む、マリルリ!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

 次に出てきたのは、マリルリだ。ヒヒダルマは一直線に、マリルリめがけて突進する。しかし、マリルリは避けようともしない。

 

「マリルリ、そのまま『アクアブレイク』!!」

 

「ルッリィィィ!!」

 

 ──ドパパァァァン!!

 

「マァッ、カ……!!」

 

 それを見て、サレナはヒヒダルマに追加の命令をする。今のサレナに『交換』の二文字はない。

 

「まだだっ!! ヒヒダルマ、『じしん』!!」

 

「マリルリ、『アクアジェット』だ!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

 ──ドパァァァン!!

 

「ダァルゥゥ……」

 

 『アクアジェット』が命中して、二匹目も倒されてしまった。それを見て、サレナは更に感情的になっているようだ。体中に汗が浮かんでいる。

 

「ぐぅぅぅ……!! 舐めるな、そいつの対策はしてきてあるんだッ!! 行け、ジバコイル!!」

 

「ジジィィバァァァ!!」

 

「ジバコイルか……さぁ、どう来る?」

 

 コウキが出方を伺う。すると、サレナは……予想外の行動に出た。

 

「ジバコイル、『ロックオン』!!」

 

「ジィバァァァ!!」

 

 ──キュイィィ……

 

「次の攻撃が必中になる技……まさか、あれか!?」

 

 コウキは、その技を採用していることが信じられなかった。命中不安かつ、PPも5しかない技。しかし、コウキの予想は当たりだった。

 

「やれ、ジバコイル!! 『でんじほう』!!」

 

「コォルルルルゥ!!」

 

「マリルリ、戻れ!! 行け、ドリュウズ!!」

 

 もちろん、コウキもそれを素直に受けるつもりなどない。ドリュウズに交換して、それを無効化する。

 

「ッ、『でんじほう』が……!?」

 

「ドリュウズ、『じしん』だ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!」

 

 ──ズゴゴゴゴォォォ!!

 

「ジ、ジババァァァ!?」

 

 ジバコイルに『じしん』が命中し、そのまま倒れる。だが、サレナは諦めずに更に攻撃しようとしている。

 

「まだだ!! ジバコイル、『てっていこうせん』!!」

 

「……無理ですよ」

 

「なに!? 『がんじょう』はどうなって……まさか!?」

 

 そう、ドリュウズの特性は『かたやぶり』だ。『がんじょう』の意味はない。そこでコウキが、サレナに宣告する。

 

「……サレナさん。降参してください、今のあなたじゃ、俺には勝てない」

 

「偉そうにッ!! 私のことを何も知らないくせに!! ローブシン、やれぇぇぇ!!」

 

「ロォブゥゥゥッ!!」

 

 コウキはそれを見て、ドリュウズを戻して次のポケモンを出す。出すポケモンはもちろん……

 

「ありがとう、ドリュウズ!! 頼むぜ、マリルリ!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

「『はらだいこ』だ、マリルリ!!」

 

 マリルリが『はらだいこ』でパワー全開になるところを狙って、ローブシンが向かってくる。

 

「やれッ、『からげんき』だ!!」

 

「ブッシィィィン!!」

 

 ──ズガァァァァッ!!

 

「マリッ……!!」

 

 マリルリは吹っ飛ばされたが、まだ立っている。特性『こんじょう』が発動していなければ、『オボンの実』込みで耐え切れる。

 

「耐えた!? くっ……『マッハパンチ』だ、ローブシン!!」

 

「マリルリ、『じゃれつく』で迎撃!!」

 

「マァリィィィィ!!」

 

「ロォォブゥゥゥッ!!」

 

 ──ポカポカポカポカ!!

 

 ──ズガァァァン!!

 

 『マッハパンチ』と『じゃれつく』がぶつかり合う。そして、その結果は……マリルリの勝利だ。

 

「マッリィィィ!!」

 

「ありがとう、マリルリ……!!」

 

「そ、そんな……!? こんなことが……」

 

 サレナは今のところ、コウキのポケモンを一匹たりとも落とせていない。一方、サレナ側は残り二匹だ。

 

「どうします? 降参しますか?」

 

「そんなわけ、ないでしょ……!! 私は勝つんだ!! 絶対に、絶対にぃっ!!!」

 

「……わかりました」

 

 コウキは一度倒さないと、サレナが止まらないことを察する。サレナの次のポケモンは……

 

「行け、アーケオス!! 『じしん』だ!!」

 

「『アクアジェット』だ、マリルリ!!」

 

「マッリィィィィ!!」

 

「ケォォォ……オォッ!?」

 

 『じしん』を受けながらも、『アクアジェット』でアーケオスに突っ込むマリルリ。アーケオスはそれを受けて、マリルリと共に地に落ちる。

 

「マリィィ……」

 

「ケォォォ……」

 

「くそっ、残り一匹……!? まだだ、まだあの子がいる……!! あの子なら、あの子さえいれば……!!」

 

 サレナは最後のボールを大事そうに握りしめている。コウキはそれが何なのか、見当がついていた。

 

「……それならエンブオー、頼むぜ!!」

 

「お願いっ、ギガイアス!!」

 

「ギッガァァァァ!!」

 

「エェンブゥゥゥ!!」

 

 先に命令を出したのはサレナの方だ。コウキはそれを予測できていた。今のサレナは、感情的になりすぎて、冷静さが欠片もないから。

 

「ギガイアス、『じしん』!!」

 

「今だ、エンブオー!! 戻ってこい!!」

 

「なっ……ここで!?」

 

 コウキの交換先は、じめんタイプを無効にできるあのポケモン。コウキにとっては、全員が相棒なのだ。

 

「シンボラー、頼んだぜ!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「くっ、でも……それなら!! 『ストーンエッジ』だ!!」

 

 サレナは、負けじと次の命令を出す。しかし、コウキはそれも読めていた。

 

「『サイコシフト』だ、シンボラー!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「ガイアァァァァァ!!」

 

 ──ドゴォォォォォン!!

 

 岩の剣がシンボラーを突き刺す。しかし、シンボラーは倒れない。『サイコシフト』で『やけど』を移したからだ。

 

「ボラッ……ボラァァ!!」

 

「落ちない……『やけど』を移されたの!?」

 

「『サイコキネシス』だ、シンボラー!!」

 

 コウキは、シンボラーに次の命令を出す。サイコキネシスで振り回されて、ギガイアスがあちこちに叩きつけられる。

 

 ──ドガガガァァァッ!!

 

「ギィッ、ガァァ……!!」

 

「負けるな、ギガイアス!! 『ストーンエッジ』だぁぁぁ!!!」

 

「トドメだ、シンボラー!! 『サイコキネシス』!!!」

 

 そこでコウキは、確かに見た。ギガイアスは、コウキに何かを訴えようとしている。何かを懇願するような、そんな目つきだ。

 

「……わかった。俺に任せておけ」

 

「シィィィィィッ!!!」

 

 ──ズガァァァァン!!!

 

「ガイ、アァ……」

 

 ギガイアスも戦闘不能。これで、サレナは完全敗北した。サレナがまたしても、膝をつく。心底絶望したような、そんな表情をしている。

 

「また、負けた……私、勝てなかった……ごめん、なさい……」

 

「……ごめんなさい? どういうことですか?」

 

「アンタには、関係ないでしょ……放っておいて」

 

 しかし、コウキはそうするわけにはいかない。ギガイアスのあの目を見たからには。

 

「関係あります。一緒にポケモンバトルをしたり、助けて貰ったりしたこともありますし……教えてくれますか?」

 

「……わかったわよ。私は裕福ではないけど、いいお父さんとお母さん、そして弟がいた。みんなに囲まれて、幸せだった」

 

「ダンゴロとは、いつ?」

 

 最初から、ギガイアスだったはずがない。いつから一緒にいるのか、コウキは単純に気になったのだ。

 

「まだ、トレーナーになる前から……ずっと一緒にいた。でも、その更に前からいたのがミネズミ。みんなに愛されて、幸せそうだった」

 

 コウキは黙って耳を傾ける。そこで、サレナが憎しみを込めて言った。

 

「でも、それもあいつらに壊された。他でもないプラズマ団に……!!」

 

「……そのミネズミを、奪われたんですね」

 

「ポケモンを寄越せって言って、奴らは家の中に入ってきて……お父さんとお母さんは、殴られて気絶した。私も殴られて、動けなくなって……必死にダンゴロの入ったボールを隠してた。そんな中、私の弟がプラズマ団に掴みかかったの。そのミネズミを返せって言って……」

 

 どんどん口調が重苦しくなっていく。そこで、サレナが衝撃的なことを言う。

 

「弟はプラズマ団に、思いっきり蹴り飛ばされた。弟は壁にぶつかって、頭を強く打って……そのまま死んだわ」

 

「なっ……」

 

「あいつらはそれを隠蔽した。多分、ゲーチスがやったんだと思う。私もお父さんもお母さんも、プラズマ団を憎んだ。だけど、何もできなくて……それを言ってる私達の方が、気狂い扱いされた。お父さんもお母さんも、段々気が狂っていった」

 

 サレナはポケモンでやってはいけないレベルの話を、話し続ける。コウキはポケモンに、たまにブラックジョークや、重たいテーマがあることは知っていたが……ここまでの物は見たことがない。

 

「お父さんは酒に溺れて、酒と金を要求するようになった。私がお金やお酒を買ってこないと、私達を殴ってた。お母さんも心を病んで、何もできなくなっていった……動けるのは、私だけだった」

 

「サレナさんは……そこから、復讐に?」

 

「ううん。あの時は、いつか元に戻ってくれると思って……言われた通りにしてた。ポケモンバトルの賞金で、お酒や食べ物を買っていって……必死に二人のお世話をしてた。でも……」

 

 サレナが涙を流す。コウキはそれを見て、何が起きたのかを察してしまう。

 

「……もう、いないんですか?」

 

「お母さんは、多分……もう、耐えられなかったんだと思う。ある日、眠れなくて……私が、トイレに行ってた時。部屋の方から、変な音がした。私は何があったのかって思って、急いで見に行った」

 

「何が、起きてたんですか……?」

 

 コウキも少し、恐怖を覚えてきた。しかし聞くのをやめるわけにはいかない。彼女を想う、ポケモン達のためにも。

 

「……お母さんは、お父さんを刺したんだ。何度も何度も、執拗に……辺り一面に、赤黒い液体が飛び散ってて……吐きそうなくらい、酷い匂いがした」

 

「そんな、それじゃ、お母さんは……」

 

「捕まったんじゃないよ。私を見て、自分が何をしたのか理解して……自分で自分を刺した。私にも液体が飛び散った。そこでようやく、私は何が起きたのかを理解して……泣いたし、吐いたよ」

 

 コウキの頭から、冷や汗が流れ落ちる。プラズマ団は、コウキの知っているより惨たらしいことをしていたのだ。

 

「私は思った。どうして、こんなことになったんだろうって。それは一つしかない……プラズマ団。全部、プラズマ団のせいだよ。あいつらがいなければ……あいつらがミイちゃんを奪わなかったら、こうはならなかったんだ!!!」

 

「……」

 

「だから、私はプラズマ団を一人残さず殺す。誰なのかなんてわからない、だから全員殺して復讐する。私はもう、敵討ち以外にできることがないから……そうすれば、きっと天国のみんなも笑ってくれる!!!」

 

 コウキはそれを聞いて……少し考えて、言った。

 

「確かに、そうですね。天国の皆さんは、笑ってくれるかもしれません……僕にはわかりませんが」

 

「でしょ!? 私は間違ってないはず、なのにっ……どうして、勝てないの……?」

 

「でも。あなたのポケモンは、今笑ってません」

 

 コウキはハッキリと、そう言い切った。サレナが盲点を突かれたかのように、キョトンとする。

 

「え……? ポケモンが?」

 

「はい。あなたのポケモンは、全く楽しそうじゃなかった。ずっと辛そうです……でも、その理由がようやくわかった。このままじゃ、あなたが救われないからです」

 

「救われるですって……? その方法は一つしかない……プラズマ団を、ゲーチスを殺すことだけ!!!」

 

「それは手段です。今のあなたは、手段が目的になってるんです。今のあなたが復讐を果たしても、あなた自身が幸福になれない。だからポケモン達は、みんな辛そうなんです」

 

 サレナはモンスターボールを見る。ずっと辛い思いをさせていたのか、と。

 

「でも……私は、それ以外にできることが……」

 

「いいえ。ミネズミは、まだどこかにいるはず。絶対にいます」

 

「……ミネズミ? あの子が?」

 

 コウキは力強く頷いて、言った。

 

「追加でお伝えしますが……ヒュウって人がいましたよね。あの人の取り戻そうとしているチョロネコは、ゲーチスの側近が持っています。だから、あなたのミネズミだって……きっと、どこかにいるはず」

 

「でも、今の私が行っても……」

 

「ミネズミだって、家族でしょ? 家族が泣いてたら、天国の皆さんはきっと笑顔になれませんよ。特に弟さんはね」

 

 サレナは思い出した。ミネズミに頬を擦り寄せる弟。ミネズミと遊んでもらう弟。ミネズミを、必死に守ろうとした弟……出てくるのは、ミネズミとの思い出ばかりだ。

 

「ミイちゃん……」

 

「いい名前ですね。それじゃ、尚更奪い返さないと……ポケモン達も、きっとそれを望んでる」

 

「ごめんね……ギガイアス、みんなっ……!! 私が、間違ってたっ……!! ごめんねぇぇ……!!」

 

 そこでポケモン達が勝手に出てきて、サレナに寄り添った。『ひとりぼっちじゃない』と、そう言いたげな様子で。サレナはその中心で、今まで流せなかった涙を流し続ける。コウキはそれを、じっと見つめていた。そして、しばらくして……

 

「落ち着きましたか?」

 

「……ごめんなさい。私、大分おかしかったわね。彼にもまた、謝らないと」

 

「ヒュウ兄さんにですか? ヒュウ兄さんなら、もう気にしてないと思いますが……」

 

「私が納得できないのよ!!」

 

 頑固なところは元からのようだ。コウキはそう言われて、頷く。

 

「まぁ、悪いことではないですもんね」

 

「……あと、ありがとう。色々と、助かった」

 

「助けを求めてくれたのは、ギガイアスですよ。お礼を言うなら、ギガイアスにお願いします」

 

 コウキはそう言ったが、サレナは首を横に振る。

 

「それに気づいてくれたのは、あなたでしょ? だから、ありがとう」

 

「な、なんかそう言われると……照れちゃうな」

 

(好感度……あ、めちゃくちゃ上がってる。条件を達成すると、一気に上がるタイプか? それにしてもすごいな!? もう100までいったぞ!?)

 

 コウキはサレナの好感度ゲージを見て、少々困惑している。しかし、サレナはそんなこと知るよしもない。

 

「でも!! 負けたこと自体は悔しいから、いつか絶対リベンジするからね!! 覚悟しておきなさい、次はみんなと一緒に勝つ!!」

 

「楽しみに待ってます、次は楽しくやりましょうね」

 

「そうね……ふふっ」

 

 こうしてサレナを救ったコウキは、セイガイハシティへと歩いていった。

 

 

 

 一方、その頃。アクロマは……プラズマフリゲート内に閉じ込められていた。

 

「……やれやれ。ゲーチスめ、私をここから出さないつもりですか……せっかくアクロママシーンを、彼に手渡そうと思っていたのに……」

 

 アクロマがそう言って、ため息をつく。そこにヴィオがやってきて、報告する。

 

「申し上げます。ガラルチャンピオンにこの場所が発見されたそうです。いかがいたしましょうか?」

 

「もう見つかりましたか。恐らくはコウキさんが……流石だ、彼はやはり他とは違うな」

 

「アクロマ様? 早くご指示を……」

 

 そこでアクロマは、適当に指示を出す。

 

「下っ端を何人か配置しておきなさい」

 

「はっ!!」

 

「……待っていますよ。コウキさん」

 

 アクロマはそう言って、椅子に座り直した。




次回、プラズマフリゲートに行きます。
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