朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 VSアクロマ。


第25話 純粋なる探究心

コウキ達四人はそれから、ジャイアントホールに直行していた。そこに入ると、早速プラズマ団が二人で道を塞いでいる。

 

「……邪魔だな。戦って退かすか」

 

「うん。あんな奴らに容赦はいらないよ」

 

「よし、やるか……!!」

 

「おーい、ここはもういいってさ!!」

 

 そこでプラズマ団員が来て、二人にそう言う。彼らはそれを見て、嬉しそうに言った。

 

「いよいよだな、よし!! 俺達も急ごう!!」

 

「……一人になったな。誰と戦うか選べよ」

 

「えっ……あ、あなたはあの時の!! 俺です、俺!! 元プラズマ団の!! ロット様に頼まれて、スパイをしてる……」

 

 それを聞いて、二人がコウキの方を見た。

 

「あなたですか。追い払ってくれて、ありがとうございます」

 

「コウキさん、知り合いなの?」

 

「うん、プラズマフリゲートで一人になった時に会ってね……悪い人じゃないよ」

 

 全員、コウキがそう言うなら信用できる。そう思って、警戒を解いてくれた。

 

「元プラズマ団って、必死なんだな……」

 

「うぅ……!! だってN様、ポケモンに優しかったし……俺も、悪い人間からポケモンを守りたいって……」

 

「そうね。奴らを倒さないと、Nもあなたもミイちゃんも、幸せになれないものね。行きましょう、コウキ!!」

 

「俺は先に行くぜ!! 早く追いかけてこいよッ!!」

 

 そう言って、サレナとヒュウは一足先に走っていってしまった。それを見て、プラズマ団員が言う。

 

「ううっ……ありがたいです。ポケモンのためとはいえ、結局は自分達のやりたいことをしてただけなのに……すみません!! 自分、まだやることがあるので!!」

 

「行っちゃったね。私達も行こうか、ゲーチスを止めに」

 

「あぁ。ここで終わらせよう」

 

 コウキとユウリは、二人で一緒にジャイアントホールの深部に入っていく。すると、そこには……ロットと元プラズマ団達が、プラズマ団員を説得していた。

 

「……あれは、誰?」

 

「ロットさん、改心した元プラズマ団だよ。ユウリは知らないよね。あれは元仲間を傷つけないために、説得してるんだよ」

 

「説得が通じるとは思えないけれど……」

 

 サレナがそう言って、現プラズマ団達に冷たい目線を送る。ロットが必死に説得を続けるが、プラズマ団員達は聞く耳を持たない。

 

「ええい、わからず屋共めっ!! わかるまで何度でも言う、ゲーチスが目論んでいたのはイッシュ地方の支配だ!! ポケモンの解放は、建前でしかなかった!! むしろ、ポケモンを苦しめることになったのです!!」

 

「はいはい、爺さんいいこと言ったね。馬鹿か!! 裏切り者の言葉なんか、聞くわけないだろ!!」

 

「……ダメだな。おいッ!!」

 

 そこでヒュウが、目の前にいる全員に向かって叫ぶ。

 

「お前ら、そこ通るぜッ!!」

 

「何言ってんの? 痛い目に遭いたいの?」

 

「……俺は、奪われたポケモンを取り戻す。お前ら悪党の言葉なんか、聞くわけないだろッ!!! ロットの爺さん!! 元プラズマ団!! お前ら、何のためポケモンと一緒にいるんだよ!! 大切なものを、守るためだろ!?」

 

 ヒュウがそう言うと、全員がハッとしたような表情をする。

 

「自分のポケモンが!! 自分の信念が!! 傷ついても戦うべき時って、今だろッ!!!」

 

「……そうね。私も、そのために来た……ライモンシティで奪われた、あのミネズミを……ミイちゃんを取り戻すために私は来たの。そこをどきなさい、さもないと……痛い目に遭わせるわよ」

 

「お子様が、偉そうな口聞いてんなよ!! とにかくプラズマフリゲートに、誰も近づけるんじゃない!! こいつら、まとめて始末しろ!!」

 

 プラズマ団員達がやる気になる。コウキ達は、それを見てボールを構えた。しかし、そこで声がする。

 

「待て!! お前達の相手は僕達だ!!」

 

「……チェレンさん!? ベルさんも!!」

 

「ごめんねぇ、Nさんは連れて来れなかったの……その代わり、私達が助っ人に来たよ!!」

 

「微力だが……僕達にも手伝いをさせてくれ」

 

 二人が来てくれた。コウキにとっては、嬉しい誤算だ。それを見たプラズマ団員が、怒りを込めて叫ぶ。

 

「二人くらい増えたって怖かねぇぞ!! かかれ!!」

 

「二人? それは計算を間違えているな……確かにNはいないが、代わりにある人を連れてきた」

 

「なんだと? お前たちはどう見ても二人……」

 

 そこで飛び出してきた、もう一人の人物。その人を見て、ロットが叫ぶ。

 

「しょあ!!」

 

「アスラ……!? ここに来ていたのか!!」

 

「そこにいる少年に教えてもらってな。おかげで間に合ったよ……助太刀させてもらう!!」

 

「くっそぉぉ、裏切り者がぞろぞろと!! まとめて消してやる!!」

 

 プラズマ団員が地団駄を踏む中、彼らがコウキ達に言った。

 

「お前達、ここは私達に任せて行け!! それと、ヒュウだったか。ついでに、そこにいるエリートトレーナーも。お前達が探しているポケモンは、ダークトリニティ……黒い忍者のような奴が持っているはずだ!!」

 

「わかったッ!! あいつに会えたなら、お前達の罪滅ぼしだっけ……手伝ってやるッ!!」

 

「ありがとう、感謝する……早く行きましょう!!」

 

 コウキとユウリは、そう言われて頷き、氷の上を歩いていく。そして、船の中に侵入すると……コウキの記憶通り、ワープゾーンが広がっていた。

 

「内装が変わってる、侵入されないためか……?」

 

「あっ、お待ちしてました!! 俺です、元プラズマ団の!!」

 

「ここのことについて、なにか知ってる?」

 

 ユウリにそう尋ねられて、団員が考え込む。

 

「ワープゾーンはそれぞれ違うところに繋がってます。スイッチを押すことで、パイプが繋がったり動いたり……ちなみにパイプの上は歩いて進めますよ」

 

「みんな。電流を解除するスイッチを探そう、どこかに必ずあるはずだ……細かい場所まではわからないけど」

 

「わかった、じゃあまた手分けして探すぞッ!! コウキはあっちなッ!!」

 

 コウキはヒュウに言われた方のワープゾーンに乗る。そして、ワープしていき……戦いを覚悟していると。

 

「……いない? みんな出払ってるのか? ゲームでは、もう少しいたはずなんだが……」

 

 それを怪しんで、コウキは警戒しながらパイプの上を歩く。スイッチを見つけて、それを踏むと……

 

 ──ガコン!!

 

「おっ、電流が解除されたか。だとすると、他のみんなも……」

 

 コウキがそう言った途端、電流が全て消えた。彼が元いた場所に戻ると、彼らも戻ってくる。

 

「解除したよ、これでいいの?」

 

「うん、ありがとう。助かったよ!! 後はボスの部屋に……」

 

「おっと、そうはいかねぇぜ」

 

 そこで道を塞ぐ三人。彼らの名前を、憎たらしい気持ちを込めてコウキが呼んだ。

 

「ラムダ、ランス、アテナ……アポロはどこだ?」

 

「奴なら、一足先に船を降りましたよ。ここにはもう未来がない、そう言って……ほとんどの下っ端達を引き連れてね」

 

「でも、私達はやられっぱなしじゃあ癪だから、ここに残ってたのよ」

 

 それを聞いて、コウキが笑みを浮かべる。ゲーチスの統率力がそこまで落ちていることに。

 

「ゲーチスの奴め、それを知ったらきっとキレるだろうな……滅茶苦茶なことするから、こうなるんだ」

 

「とにかく、ここは通しませんよ。通りたければ私達を倒しなさい」

 

「コウキ、先に行けッ!! こいつらは俺達が倒す!! お前なら絶対勝てるはずだッ!!」

 

 そう言われて、コウキが強く頷く。それを見た三人は、とても不機嫌そうにしている。

 

「チッ……子供はこれだから嫌いなんだ。お前らを片付けて、あいつを叩きのめしてやる!!」

 

「そう上手くいくと思わないことね。私だって、弱くはないわよ!!」

 

「一対一なら勝てると思ってる? 残念だけど、私に勝てる人は一人しかいないんだ……倒させてもらうよ!!」

 

「言っておく、俺は今から怒るぜッ!!!」

 

 コウキはアクロマの部屋に行く前に、上と目の前にいる二人を見つめる。キュレムとテラパゴスだ。

 

「ヒュララ……」

 

「パゴォ……」

 

「……待ってろ。絶対に助けてやるからな!!」

 

 そしてコウキが辿り着いた……ボスの部屋。そこにはアクロマと……もう一人、コウキには見覚えのある顔の男がいた。

 

「プルート!? どうしてここに……」

 

「な、何故わしの名前を知っている!? くそっ、ここにいれば安全だと、そう言われていたのに!! おいアクロマ!! なんとかしろ!!」

 

「……邪魔しないでいただきたいですね。私は彼と話したいことが、山ほどあるのです」

 

 そう言ってアクロマは、コウキに近づいてくる。

 

「アクロマさん……アンタがプラズマ団のボスなんだったな、知ってるぜ」

 

「流石ですっ!! その広い知識、そしてポケモンとの絆!! そして何より、ポケモンの力を引き出す技術!! 全てが素晴らしい、100点満点です!!」

 

「どうも。それで……なんでプルートがいるんだ? アンタが仕事をしないから、その代わりか?」

 

 コウキは原作でのアクロマを知っているので、大体予想がついていた。そして、彼の反応を見るにそれは正解らしい。

 

「えぇ、ゲーチスが金で雇った……元ギンガ団幹部らしいですが、ポケモンを持っていないのです。全く、研究者でありながらポケモンを持たないとは……気が知れませんね」

 

「う、うるさいっ!! 仕事を全然しないお前よりマシだ!!」

 

「俺には金で動くお前より、アクロマさんの方がマシに見えるがな」

 

「なっ、なぁにぃぃぃ!? 生意気なガキめ……!!」

 

 プルートはそう言われて、ギリギリと歯軋りをしている。それを無視してアクロマは話を続けていく。

 

「そう言ってもらえて光栄です。とはいえ、私の望みはポケモンの力を、最大限に引き出すこと。そのためなら、手段はなんでもいいのです!!」

 

「知ってるよ。アンタはどこまでも、自分の探究心のために動いている人間だ……そうじゃなきゃ、プラズマ団になんて入らないよな」

 

「あなたがたトレーナーのように、心と心の交流でポケモンの強さを発揮させても!! プラズマ団のように、無慈悲なアプローチで無理やり、ポケモンの強さを引き出しても!! そう!! その結果、世界が滅ぶとしても!!!」

 

 ただただ純粋な興味と、探究心。ポケモンが、どこまで行けるのか……それを知りたい、それだけが伝わってくる。悪しき野望など微塵もない……しかし、だからこそ危険な狂気を孕んでいる。

 

「それはさておき!! 私がイッシュ地方のあちこちで、数多くのトレーナーと勝負をしていたのは……ポケモンの強さを引き出せるか? その資質を見ていたからです!! そういう意味であなたは特に優秀です!!」

 

「どうも、そう言ってもらえて光栄だ」

 

「チャンピオン達の資質にも、素晴らしいものがありましたが……何よりもあなたです!! それすら乗り越える程の力!! さあ、それがどこから来るのか!! 私の望む答えが、あるのかどうか!! 私に教えてくださいっ!!!」

 

 アクロマがそう言うと、コウキは笑みを浮かべて言う。

 

「……いいぜ。どうせ、アンタを倒さないと左側の扉は開かないんだ。俺とポケモンがこれからも、イッシュで生きていくために……勝たせてもらう」

 

「その目!! そう、それが見たかったのですよ!! あなたに勝つために、私はポケモンの構成を徹夜して考えていました!! さて、どれだけ通用するか……試させてもらいます!!」

 

「おい、わしを無視するな!! わしの話を少しは聞けぇぇ!!」

 

 プルートが叫ぶのを無視して、アクロマが初手のポケモンを繰り出す。出てきたポケモンは……

 

「行きなさい、レアコイル!!」

 

「頼んだぜ、ドリュウズ!!」

 

「コォルルゥゥッ!!」

 

「ドリュウゥゥッ!!」

 

 コウキはそれを見て、次の行動を考える。

 

(アクロマはこっちの研究をしてきてるはずだ。俺が『じしん』を撃ってくることくらい、想定してないはずがない……だけど、『かたやぶり』なら『ふゆう』も『がんじょう』も怖くない!!)

 

「ドリュウズッ!! 『じしん』だ!!」

 

「レアコイル、戻りなさい!!」

 

 やはり交換してきた。しかし、ドリュウズの火力を受ければ、どのポケモンであろうとタダでは済まないはず。そう思っていた……のだが。

 

「行きなさい、アーマーガア!!」

 

「なに!? アーマーガアだと!?」

 

「ガァァァァー!!」

 

 飛行タイプへのタイプ相性までは、『かたやぶり』でもどうにもならない。アクロマは、完全にコウキの対策をしてきていた。そしてその隙に、アーマーガアが積み技を使う。

 

「今です、『ビルドアップ』!!」

 

「ッ、ドリュウズ!! 戻れ!!」

 

「なるほど、ここで交換ですか……何を出す?」

 

 コウキはそれを見て、少し考えたあと……繰り出すポケモンを決めた。

 

「行け、エンブオー!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

「エンブオーか……それなら、アーマーガア!! 『ダブルウィング』です!!」

 

「アァァマッ!!」

 

 アーマーガアが突っ込んでくるのを見て、コウキは笑みを浮かべる。計算通りの動きだったから。

 

「今だ、ゾロアーク!! 『かえんほうしゃ』!!」

 

「ッ、特性『イリュージョン』……!!」

 

「きゅあぁぁぁー!!」

 

 ──ゴァァァァァッ!!

 

 『かえんほうしゃ』は特殊技。『ビルドアップ』を積まれていても、特防は上がっていない。激しい炎がアーマーガアを包んだ。

 

「そのまま突っ込みなさい!!」

 

「マァガァァァァー!!」

 

 ──ズギャギャアァン!!

 

「きゅうっ……!!」

 

 翼の二連撃が命中して、ゾロアーク側もダメージを受けてしまう。しかし、攻撃の直後にはまた隙ができていた。

 

「もう一発『かえんほうしゃ』だ!!」

 

「『ボディプレス』だ、アーマーガア!!」

 

「きゅあぁぁぁーっ!!」

 

「ガァァァァー!!」

 

 特殊技と物理技がぶつかり合う。先に命中したのは、『かえんほうしゃ』だった。良ければこのまま撃破、悪くても相打ちの状況だ……普通なら。

 

「アァァマァァァ!!」

 

「なにっ!?」

 

 ──ドゴォォォォン!!

 

「きゅあぁ……」

 

 なんと、アーマーガアは相打ちにすらなっていなかった。HPはギリギリだが、倒れてはいない。コウキには、その原因がわからなかった。

 

「どうなってる……『ビルドアップ』で上がるのは防御と攻撃だけのはず!? まさか、半減きのみか!?」

 

「お答えしましょう。アーマーガアの持ち物は、『タラプの実』です!! あなたが別の特殊アタッカーを連れてきてもいいように、対策しておいたのですよ!!」

 

「タラプの実……特殊技を受けると、特防が一段階上がる……くそっ、まんまとやられたか……!!」

 

 これでアクロマが、一匹分のリード。しかし、コウキは全く諦めていない。ゾロアークをボールに戻しながら、次のポケモンを選ぶ。

 

「劣勢でも消えないその闘志……素晴らしいっ!! もっと見せてください!!」

 

「あぁ、言われなくとも……!! 頼んだぞ、エンブオー!!」

 

「ブァァァァァッ!!」

 

 そこで出てきたのは、エンブオーだった。コウキはすぐに命令を出して、攻撃させる。

 

「やれ、エンブオー!! 『ワイルドボルト』だ!!」

 

「エェンブゥゥゥ!!」

 

「戻りなさい、アーマーガア!!」

 

「やはり、そうするか……さて、何を出してくる?」

 

 コウキの予想としては、オーベムが最有力候補だ。返しのサイコキネシスで、エンブオーを一撃にしていけるから。そして……それは結果として、当たりだった。

 

「行きなさい、オーベム!!」

 

「オーベェェェ!!」

 

「やはり来たか……!! エンブオー、止まれ!!」

 

「ブォォォッ……オォ!?」

 

 エンブオーがそこで急停止させられた。しかしアクロマには、その意図が理解できる。『フレアドライブ』にしなかった理由もそこにあるのだと。

 

「なるほどっ!! ここでエンブオーを失うわけにはいかない、そういうことですか……しかし、やることは変わりません!! 『サイコキネシス』です、オーベム!!」

 

「ベェェェェム!!」

 

 ──ギュイィィィィ……!!

 

「よし、戻れ!! エンブオー!!」

 

(エンブオーは仕留められなかった。とはいえ、オーベムが苦手なゾロアークは倒せている。何が出てきても、対処は可能だ……!!)

 

 アクロマはそう思って、何が出てくるか警戒する。その答えは……

 

「頼んだぜ、ドリュウズ!!」

 

「ドリュウゥゥゥッ!!」

 

「ここでドリュウズか……!!」

 

「ドリュウッ……!!」

 

 確かにドリュウズなら、『サイコキネシス』を半減にできる。コウキが笑みを浮かべて、すぐに命令を出した。

 

「ドリュウズ、『アイアンヘッド』だ!!」

 

「ドォリュウゥゥッ!!」

 

「……なるほど、そういうことですか」

 

 コウキの考えに気づいたアクロマが、納得したように声を上げる。

 

「もう気づいたか……アーマーガアのHPは二度の『かえんほうしゃ』を受けて、ギリギリまで減少してる。わざわざ『いわなだれ』を撃つ必要もない。それに、レアコイルとかに交換されたとしても、厄介な『がんじょう』を潰せるってわけだ」

 

「流石です!! 流石は、私が見込んだトレーナーですね!!」

 

 ──ズガァァァァン!!

 

「オベッ……!!」

 

 そこでアクロマが、すぐに反撃の命令をした。オーベムは『こだわりメガネ』を持っているので、サイコキネシスしかできない。

 

「『サイコキネシス』です、オーベム!!」

 

「もう一回『アイアンヘッド』だ!!」

 

「オベェェェ!!」

 

「リュウズゥゥ!!」

 

 ──ドゴォォォン!!

 

 ──ズガァァァッ!!

 

 二つの攻撃同士がぶつかって、お互いに吹っ飛ばされた。そして、オーベムはそのまま倒れる。満身創痍だが、ドリュウズはまだ戦える様子だ。

 

「これで5対5、取り返せましたね」

 

「流石ですね……しかし、これでは足りません!! 行きなさい、ロトム!!」

 

「ロトォォォ!!」

 

 そこで出てきたポケモンは、ウォッシュロトムだ。コウキの知っている通りなら、『いのちのたま』を持っているポケモン。

 

「ロトム、『ハイドロポンプ』!!」

 

「やはりか……ドリュウズ、戻れ!!」

 

「やはりそうしてきますかっ!!」

 

 ドリュウズを戻して、コウキは次のポケモンを繰り出す。コウキが選んだポケモンは……

 

「頼んだぜ、ハハコモリ!!」

 

「ハハァリィッ!! ……リィィィッ!?」

 

 ──ドボァァァァッ!!

 

「ハハコモリは草虫タイプ、でんきタイプ攻撃も水タイプ攻撃も今一つ。なるほど、合理的な判断です!!」

 

 アクロマは分析を口にしながら、コウキの行動を見る。そこでコウキのとった行動は……

 

「ハハコモリ、『はたきおとす』だ!!」

 

「ハァリィィィッ!!」

 

「くっ……そう来ますか!!」

 

 アクロマにとっては、一番まずい行動だった。アーマーガアは一撃喰らえば終わり、他のポケモンに入れ替えれば、大事な持ち物が消えてしまう。

 

(『みがわり』は、出してもすぐに消えてしまうだろう……今度の『ハイドロポンプ』も耐えられるだろうし、逆に隙を晒してしまうことになるな。それならば……!!)

 

「ロトム、『おにび』!!」

 

「ロトォォォォ!!」

 

「それを待ってた!! ハハコモリ、戻れ!!」

 

「なんですって!?」

 

 これはアクロマも予想外。本命だと思っていた『はたきおとす』すら、陽動だったということ。そして、出てきたポケモンは……

 

「頼むぜ、エンブオー!!」

 

「エェンブゥゥッ!!」

 

「エンブオー!? それでは『おにび』は効かない……!! そうか、最初から狙いは……!!」

 

「もらった!! 今だ、エンブオー!! 『インファイト』!!」

 

 『おにび』を撃って、隙を晒しているロトム。エンブオーが近づいて殴るには、十分すぎる隙だ。

 

「ブゥオォォォォッ!!」

 

 ──ズガガガガガガッ!!

 

「ロトォォォ……」

 

「ウォッシュロトムは電気水タイプ。ゴーストが消えているから、格闘は等倍。『いのちのたま』でHPを二度削っているから、尚更耐えられませんでしたね」

 

「流石はコウキさん、すぐに形成逆転するとは!! もっと、もっと見たい……!!」

 

 アクロマは追い詰められる緊張すら、探究心に変換されている。子供のように目を輝かせる様子が、コウキは自分に重なって見えた。

 

「行けっ、ポリゴンZ!!」

 

「ポリリリ、リリィ!!」

 

「ポリゴンZ……まずいな」

 

 コウキは、このポリゴンZが何をしてくるか、なんとなくわかっていた。そして、その予想が正解であることは、技で示される。

 

「ポリゴンZ!! 『トライアタック』です!!」

 

「ポリリィィィッ!!」

 

「戻れ、エンブオー!! 頼む、シンボラー!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

 ──ドゴゴゴォォォン!!

 

 炎と雷と氷の三発が命中して、シンボラーが大ダメージを受ける。それを見てコウキは、特性を察した。

 

「やはり特性は『てきおうりょく』か……!! シンボラー、『ひかりのかべ』!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「『ひかりのかべ』ですか……確かにこれならば、仕留め切るのは難しいですね。しかし、それならぱ!! ポリゴンZ、『れいとうビーム』です!!」

 

「ありがとう、シンボラー!! 頼むぜ、マリルリ!!」

 

 今度はマリルリが出てきた。さっきから交換が続いているが……これもコウキの作戦の内である。マリルリがれいとうビームを半減にして、『ひかりのかべ』で更に軽減される。ほとんどダメージなしの状況で、コウキは命令を出す。

 

「ポリ、リィィッ!!」

 

 ──ジュビィィィィッ!!

 

「構うな、『アクアジェット』で攻撃しろ!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

 ──ドパァァァン!!

 

「ポリッ……!!」

 

 ダメージが大きいのは、ポリゴンZの方だ。しかしアクロマは、全く焦りを見せていない。そこでアクロマが叫んだ。

 

「今です、ポリゴンZ!! 『はかいこうせん』!!!」

 

「読めてたぜ、アクロマ!! 戻れ、マリルリ!!」

 

「なにっ!?」

 

 コウキは、それも予測できていた。推測の根拠は、ポリゴンZの持ち物にある。さっきダメージを与えたことで落ちた、一本のタスキ……『きあいのタスキ』だ。

 

「すまない、ドリュウズ……頼むぞ!!」

 

「ドリュウッ!!」

 

「ポォリィィィィィ!!!」

 

 ──ドギュオォォォォォン!!!

 

 発射体勢に入った『はかいこうせん』を止める術はない。凄まじいエネルギー波が、ドリュウズを吹き飛ばして、部屋全体に衝撃波を起こす。『ひかりのかべ』も、凄まじい威力に耐えきれず割れてしまった。

 

「ぐぅっ、なんて威力だよ……!!」

 

「き、貴様らぁ!! わしを殺す気か!?」

 

「ドリュウ、ウ……」

 

 効果今一つと、『ひかりのかべ』で耐えきれないかと考えていたのだが、ダメだったようだ。コウキは少し残念に思ったが……しかし、これでポリゴンZは1ターン動けない。

 

「ありがとう、ドリュウズ!! 頼む、マリルリ!! 『はらだいこ』だ!!」

 

「ルゥリィィィィ!!」

 

「動けない……そうか、耐久が高いマリルリで受けたのは、そういう理由で……!!」

 

 マリルリの耐久には、目を見張るものがある。『トライアタック』を撃ち込んでも、一撃では沈まない。しかもポリゴンZは防御に努力値を割いていないので、『アクアブレイク』を打ち込まれれば、『アクアジェット』の圏内まで持っていかれかねない。

 

「早期に決着をつけるなら、『はかいこうせん』しかない。そう思ったんですよね? 採用理由は恐らく、『きあいのタスキ』を加味すれば……エンブオーや『はらだいこ』を使ったマリルリを止めるため、ってところですか?」

 

「……そこまで知られているとは。やはりあなたは規格外ですね!!」

 

「褒め言葉どうも!! 行け、『アクアジェット』だ!!」

 

「マッリィィィィ!!」

 

 マリルリが、ポリゴンZめがけて突撃していく。ポリゴンZが行動できるようになる前に、マリルリの『アクアジェット』が命中した。流石にこれには耐え切れない。

 

 ──ドパァァァァン!!

 

「ポリ、リリ……」

 

「マッリィィ!!」

 

「ありがとう、マリルリ!!」

 

「流石です。ですが、ここでマリルリは止めさせてもらいますよ!! 行け、レアコイル!!」

 

 そこで出てきたのは、久しぶりに登場したレアコイル。『かたやぶり』を持つドリュウズが落ちた今、レアコイルはどんな攻撃でも一撃耐えられる要塞だ。コウキはそれを見て、迷わずマリルリに指示した。

 

「マリルリ、もう一回『アクアジェット』!!」

 

「受けてから『10まんボルト』です、レアコイル!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「ルルルゥゥゥゥ!!」

 

 ──ドパァァァァン!!

 

 ──バヂュヂヂィィッ!!

 

 マリルリの攻撃と、レアコイルの電撃がそれぞれぶつかる。『オボンの実』で回復したとはいえ、どんな技でも耐え切れるわけではない。

 

「マリィィィ……」

 

「ありがとう、マリルリ……休んでてくれ。あとは頼むぜ、ハハコモリ!!」

 

「ハハァリィッ!!」

 

 次に出てきたのは、ハハコモリだ。特性『がんじょう』が発動してHPは1、どの技でも仕留めていける。コウキとアクロマが選んだ技は……

 

「ハハコモリ、『とびかかる』!!」

 

「レアコイル、『だいばくはつ』!!」

 

「なにっ!?」

 

 やられることを見越して、アクロマはレアコイルに自爆の命令を出した。交換ももう、間に合わない。

 

 ──ドギュオォォォォン!!!

 

「コォ、ルゥ……」

 

「ハァ、リィ……」

 

「やっぱりアンタ、イカれてるな。良くも悪くも……頼む、シンボラー!!」

 

「褒め言葉として受け取っておきます。行きなさい、アーマーガア!!」

 

 シンボラーとアーマーガア、飛行タイプが二匹揃う。残りHPを見れば、どちらが勝つかは一目瞭然だ。しかし……アクロマはそう簡単にポケモンを落としはしない。そのための手段もある。

 

「アーマーガア、『はねやすめ』!!」

 

「ガァァァァ!!」

 

「今だ、シンボラー!! 戻れ!!」

 

「交換!? ここでか!?」

 

 それに驚くアクロマ。まさか、ここで切り札を切るとは思っていなかったから。

 

「俺の切り札は全員さ!! 頼むぜ、エンブオー!! 『インファイト』だ!!」

 

「ブゥオォォォォ!!!」

 

「ッ、しまった……!!」

 

 『はねやすめ』をしたターン、そのポケモンはひこうタイプを失う。それはつまり、格闘タイプが抜群で通るようになる。その上、鳥ポケモンは地上戦に向かない。軍配がどちらに上がるかは、火を見るより明らかだった。

 

 ──ズガガガガガァァッ!!!

 

「マァ、ガァァッ……」

 

「ありがとう、エンブオー。シンボラー、頼むぜ!!」

 

「シィィィィッ!!」

 

「……やはり、ここまで追い詰めてくれましたか。いい、実にいい!! 想像通りの、素晴らしい結果です!! それでは……ここからは、私の想像以上を見せてください!! 行け、メタグロス!!」

 

 アクロマの最後のポケモンは、メタグロスだった。それについている物を見て、コウキはアクロマの言葉の意味を知る。それは間違いなく、メガストーンだった。

 

「メッタァァァァ!!」

 

「それは……!? どこでそれを!?」

 

「カロスに赴いて、作ってきたのです!! 全ては今、この時のためにっ!! さぁ、メタグロスッ!! メガシンカです!!!」

 

 ──ギュイィィン!!

 

「グロォォォォス!!」

 

 ──ギュアァァァァァ!!!

 

 アクロマのメガリングから、紫色の光が溢れ出す。それに呼応して、メタグロスの体が輝き始めた。轟音と共に光にヒビが入り、タマゴの殻を破るように……メガメタグロスが、中から飛び出す。

 

 ──バゴォォォォン!!!

 

「メッタァァァァァ!!!」

 

「ッ、シンボラー!! 『サイコシフト』だ!!」

 

「ボォラァァァァァ!!」

 

 しかし、シンボラーの体力は二割近くまで削れている。メガシンカポケモンが相手では、焼け石に水だ。

 

「『コメットパンチ』だ、メタグロスッ!!!」

 

「グロォォォォス!!!」

 

「シンボラー、戻れ!! 頼んだぞ、エンブオー!!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!!」

 

 ──ドゴォォォォン!!!

 

 エンブオーが『コメットパンチ』を受け止める。移された『やけど』状態と、今一つであることも重なり受け出しが成立。エンブオーは見事、メガメタグロスの流星の如き拳を受け止めた。

 

「……受け止めた!? あれをか!?」

 

「今だ、エンブオー!! 『フレアドライブ』ッ!!!」

 

「ブォォォアァァァァッ!!!」

 

「喰らえぇぇぇぇぇッ!!!」

 

 凄まじい炎を纏って、エンブオーがメガメタグロスに突っ込む。攻撃直後のメガメタグロスは、それを避けられない。全力の捨て身珠フレアドライブ、そこにやけどダメージの蓄積。どんなポケモンだろうと、耐え切れないだろう。

 

 ──ドバオォォォォォン!!!

 

「メッ、タァァァ……」

 

「ブゥッ、ブゥッ……」

 

「はぁ、はぁ……やった……!!」

 

 コウキとアクロマの、何時間にも思える死闘。それは……コウキの勝利で、終わりを告げた。

 

「ブォォォォォッ!!!」

 

「やったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「これが、ポケモンの力を引き出すということ……素晴らしいっ!!」

 

 コウキはこうして、最高レベルのポケモンバトルに……見事、勝利を収めたのだった。




アクロマ戦、勝利です。
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