朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版) 作:とも667
ヒウンシティに来ました。
ホミカの家で1泊した次の日。コウキは、ホミカと一緒に港に来ていた。目の前には、船長の船が停泊している。
「……ホントに、行っちゃうんだね」
「あぁ、ごめん……いつでもライブキャスターで、話はできるからさ。な?」
「もっと、一緒にいたいよ……」
ホミカはそう言って、コウキに抱きつく。しかしコウキには、それでも進まなければならない理由がある。そこで、コウキは少し悩んで……
「……そうだ!! 代わりにはならないと思うけど、はい!!」
「これ……モンスターボール?」
「コイル。ドガースと戦った、あのコイルだよ。ホミカにあげる」
それを聞いて、ホミカが驚愕する。
「ポケモンを!? そんな、もらえないよ!!」
「寂しくなっても、コイルと一緒にいれば……思い出を思い出して、少しは寂しさも紛れるかなって思ってさ。ダメかな?」
「……わかった。じゃあ、預かってあげる。でも、絶対……いつか取りに来てね」
ホミカがそう言って、コウキは頷いた。
「うん、約束だ!! 相棒に誓ってな!!」
「よし、言質取ったから!! 帰ってこなかったらぶっ飛ばすッ!!」
「あぁ、絶対帰ってくるよ。それじゃ、船長さん!! お願いします!!」
コウキはそう言って、船に乗り込む。そこで、船長がそれに応えて言った。
「わかりました!! では、出港!!」
「……またな、ホミカ」
「寂しくない……また会える。コイルもいるし……だから、泣かない!!」
ホミカはそう言った後、涙を拭いて……ジムに戻っていった。
コウキは船長の船で、ヒウンシティに来た。そして船長にお礼を言って、街に出る。
「うわぁ、高いな……これが大都会のビルか。前の世界にいた時は見飽きたが……こうして見ると壮観だな」
コウキはそう呟きながら、先に進む。そこで、コウキはピエロの格好をした人に出会った。
「おぉ、あなた!! ヒウンシティは初めてですね!?」
「はい、そうです」
「わかりました、それでは!! これをどうぞ!!」
コウキは、自転車をピエロからもらった。そこで、こういうイベントがあったことを、コウキは思い出す。
(この後、ヒウンシティ各地を回るヒウンラリーの紹介をされるんだけど……すれ違いなんて、できるはずないしな……)
「ヒウンシティに来た人に、移動手段のサービス中です!! あなたもこれで、ヒウンシティをエンジョイしてください!!」
「はい、ありがとうございます」
やはりなかった。少し落胆すると同時に、コウキはこの世界の認識がまた広がる。
(やはり『ゲームだからできていた』要素はほぼなくなってるな。HPゲージが見えてるのも俺だけだし、進化キャンセルの説明をする人とかもいなくなっていた……ここはゲーム世界のようで、そうじゃない)
「とりあえず、修行しに行くか……」
「おーい、コウキ!! お前も来たんだな!!」
そこでコウキは、ヒュウに呼ばれて振り向いた。ヒュウは先に来て、修行をしていたらしい。
「うん、時間がかかってごめんね。ヒュウ兄さんも修行中?」
「それもあるけど……さっきプラズマ団を見つけてな。追ってる最中なんだよ」
「そうだったんだ、わかった。手伝うよ」
コウキは、ヒュウのプラズマ団捜索を手伝うことにした。このイベントを進めないと、アーティに挑むこともできないからだ。
「ホントか!? ありがとう!! じゃあお前はあっちを探してくれ!! 俺はこっちを探すッ!!」
「うん、絶対見つけようね」
「ポケモン泥棒め……絶対に許さねぇ!!」
ヒュウはそう言って、走っていった。コウキはそれから、自転車を漕いで……ヒウンジムの前まで走っていった。すると、案の定アーティはおらず……目の前に立っていた人が、申し訳なさそうに言う。
「ジムに挑戦したい方ですか? それなら申し訳ないんですが、彼なら『事件!! かもしれない!!』って言って、出ていっちゃいまして……良ければ、探してきてください」
(やっぱり、こうなるよな。そして原作通りならここで、彼女が来るはず……)
「あれ? アーティさん、またどこか行っちゃったの?」
そこで後ろから聞こえてきた、女性の声。それに二人が振り向くと……そこには現チャンピオン、ドラゴン使いのアイリスがいた。
(来た、チャンピオンだ……!!)
「お、アイリスさん!! 実はかくかくしかじかでね、アーティさんいないんっすよね」
「ふうん……アーティって、いつもどこかに消えてない? 創作に行き詰まったと言っては、ふらっとジムからいなくなったり……君は?」
コウキはアイリスにそう尋ねられて、自己紹介する。
「はじめまして、コウキです。見ての通り、ポケモントレーナーですよ。プラズマ団を探してたらここまで来ちゃって……何か知りませんか?」
「プラズマ団? でも、プラズマ団って二年前に解散したよ……って、関係ないか!! 困ってるんだよね、助けてあげる!!」
「ありがとうございます、助かります!!」
彼は思った、これでヒウン下水道に行けるようになるはずだと。そこで自分はヒュウとタッグでプラズマ団と戦うのだ。
「うーん、怪しい人がいそうな場所……そうだ!! あそこかも!!」
「あ、走っていっちゃった……」
「やれやれ。アーティさんも、アイリスさんも……この先で曲がったから、ポケモンセンターの方に行っちゃったんですかね?」
そう言われて、彼はポケモンセンターの方へと走る。そしてヒウンシティの右端に辿り着くと、そこに彼女がいた。
「あ、こっちだよ!! ねぇねぇ、行ってみよ!!」
「アグレッシブな人だな、チャンピオンなのに……」
「あちらからね、下水道に入れるんだよ!! どう? 怪しい感じがするでしょ?」
そこにヒュウが走ってきた。見つからなかったのか、だいぶ焦っている様子だ。
「コウキ!! プラズマ団はいたのかッ!?」
「ごめん、見つからなかった……」
「そうか……ポケモン泥棒めッ!! だとすると、後探していないのは……コウキ!! お前の力、借りるぜッ!!」
そう言って彼は、下水道の中へ迷いなく走っていった。コウキもそれを見て、アイリスにお礼を言う。
「……ここにいそうですね。ありがとうございます、助かりました」
「いやいや、人が困ってたら助ける!! 当たり前のことでしょ? 早く行ってあげなよ!!」
「ヒュウ兄さん、待って!! 先に行くと危ないよ!!」
そう言ってコウキも、下水道の中に入っていく。するとそこで、ヒュウが待っていた。
「コウキ!! お前は強いッ!! 俺が認めるんだから、間違いない!! 流石に俺一人で、あいつらとやり合うのはキツいからな……大丈夫、ポケモンは俺が回復してやるからッ!! 頼むぜッ、コウキ!!」
「わかった、任せといて」
「オーケー!! さぁ、プラズマ団を探すぜッ!!」
野生のポケモンを倒しつつ、彼らはプラズマ団に向かって進んでいく。そして北の奥……二人が、プラズマ団を発見した。
「おいッ!!」
「船でここまでご苦労なこったな、プラズマ団」
「なんだ、お前ら?」
そこでヒュウが、プラズマ団への憎しみを顕にして、言う。
「プラズマ団、この悪党ども……」
「なんだと!? 人を悪者扱いするな!! ポケモンを解放しようとした、我々の邪魔をするな!!」
「口を閉じろ。なにがポケモン解放だ、お前らはただのポケモン泥棒。しかも奪ったポケモンを、道具として扱いやがって……」
コウキもそれに合わせて、怒気を強める。
「このテロリスト集団が。口で良いようなことを言っとけば、なんでも許されると思ってるのか? 子供以下だな」
「うるさーい!! お前らのポケモン寄越せ!!」
「やるぞ、コウキ!!」
「あぁ。こいつらに話は通じない!!」
そう言って、コウキとヒュウは懐からボールを取り出した。そしてプラズマ団も、ボールを取り出す。
「やれ、ズルッグ!!」
「行け、メグロコ!!」
「ズッルー!!」
「ロコー!!」
したっぱの持っているポケモンはそれぞれ一匹ずつで、出しているポケモンもゲームと全く同じだ。コウキはそれなら正直言って、余裕だった。
「頼む、チャオブー!!」
「行けッ、フタチマル!!」
「チャブゥッ!!」
「フッターッ!!」
コウキはそこで、ヒュウにメグロコを狙うようお願いする。タイプ相性を考えての行動だ。
「ヒュウ兄さん、メグロコを頼む!! 俺はズルッグをやるから!!」
「任せなッ!! フタチマル、メグロコに『シェルブレード』だ!!」
「チャオブー、ズルッグに『ニトロチャージ』だ!!」
二人は同時に命令を出して、二匹を突撃させる。しかしプラズマ団も、黙ってやられる程甘くない。
「ズルッグ、『ずつき』!!」
「メグロコ、『すなじごく』!!」
「ズッルゥゥ!!」
「グロォォ!!」
二匹が技を繰り出して、二匹を迎撃する。しかし鍛え上げられた二匹にとっては、そのような物は些事でしかない。
「横に回って躱せ、チャオブー!!」
「『みずでっぽう』で飛べ、フタチマル!!」
「チャアォォォ!!」
「タッチィィィ!!」
二匹がそれぞれの技を完全に回避して、それにプラズマ団は驚愕している。
「なにっ!? ただの子供にこんなことが……!?」
「やれ、チャオブー!! 『つっぱり』だぁぁ!!」
「チャアァブゥゥッ!!」
──ズダダダァァン!!
チャオブーの連続張り手が、ズルッグの体中に炸裂し……小気味いい音が鳴って、ズルッグが吹っ飛んだ。
「ズルゥゥ……」
「クソッ、もう負けるのはウンザリなんだよ……!!」
「フタチマル、そのまま『シェルブレード』だ!!!」
ヒュウがそう叫んで、フタチマルがメグロコに向かって、落下の勢いを乗せて……シェルブレードを振り下ろす。
「フゥゥ……タァァァッ!!!」
──ジャシュッ!!
「メェグゥゥ……」
「クソォッ、この奪ったポケモン……ちっとも使えねぇな!!」
二人は愚痴を吐きながら、やられたポケモンをボールに戻す。二人はその傲慢な発言に、とてもイライラしていた。
「ふざけんな、お前らの戦い方が悪いんだろ!?」
「やられたらポケモンのせい、勝ったら自分のおかげか。随分と都合のいい思考回路をしてるんだな、だからテロリストになってるのか?」
「だ、黙れっ!! ガキが偉そうに……待てよ? 前、ヴィオ様から『おかしなガキに気をつけろ』って言われたが……まさか、こいつか!?」
そう言われて、コウキが堂々と答える。
「あぁ、そうだとも。俺が、ヴィオとゲーチスの悩みのタネさ。お前らのことなら、俺はなんでもわかるぜ。毎日食事がパンと水だけなこともな」
「な、何故それを……くっ、まぁいい。こういうこともあろうかと、ヴィオ様の指示で仲間を連れてきているんだ!! 全員集合ー!!」
「なんだと!?」
コウキは原作にはなかった展開に、驚愕した。いつかはそのようなこともあるだろうとは思っていたが、まさかここまで早いとは。凄まじい量のプラズマ団が、目の前に並ぶ。
(どうする!? この数を全員相手にするのか!? 無理だ、みんなの体力が持たない!!)
「フフフ、この数ならお前も厳しいだろ!! ここで引導を渡してやる!!」
「ふざけんな!! 絶対に勝ってやるからな!!」
ヒュウはそう意気込んでいるが、冷や汗を流している。プラズマ団員は、下衆た笑みを浮かべて言った。
「その威勢がどこまで続くかな!? かかれぇぇ!!」
「情けないわね」
「……なんだと? 誰だ!?」
そこにやって来たのは……コウキも旅の中で何度か出会った、エリートトレーナーの人……サレナであった。
「下がっていなさい。足手まといよ」
「なんだと!? 俺達はまだやれる!! だろ、コウキ!?」
「三人で手分けしましょう、トレーナーさん。あなたでも、これだけの量は厳しいのでは?」
コウキがそう言うと、彼女は鋭い目つきでギロリと彼を睨んだ。
「私を舐めないで。こんな下っ端程度に負けるほど、ヤワな鍛え方はしていないの」
「僕も、ヤワな鍛え方はしていません。プラズマ団程度に負けてちゃ、ゲーチスにはとても勝てませんから」
「……いいわ。言っておくけど、足を引っ張らないでよ」
「上等だ!! 行くぜッ、コウキ!!」
そう言って、コウキ達は三人でボールを構えた。
「調子に乗るなよ!! お前ら、行くぞぉぉ!!」
「「「おぉぉーっ!!!」」」
「テロリスト集団が喚きやがって……鬱陶しいんだよ!!」
「黙らせてあげる!! お願い、ローブシン!!」
サレナが繰り出したのは、ローブシンだった。コウキはそのレベルを見て、驚く。
「ブッシィィン!!」
(レベル42!? 高い……!! 言うだけあるな……)
「チャオブー、頼んだ!!」
「行けっ、フタチマル!!」
ポケモンを見て、それに冷たい視線を送るサレナ。それからの戦いは……ハッキリ言って、圧倒的な物だった。
「ローブシン、『ばくれつパンチ』」
「ローブゥゥゥッ!!!」
──ドゴォォォォン!!!
「つ、強すぎる……なんなんだ、こいつら!?」
ローブシンが殴った場所から連鎖爆発が起きて、ポケモン数匹が一気に吹っ飛ぶ。そして、二人も負けてはいない。
「チャオブー、『まるくなる』からの『ころがる』だ!!」
「チャアァオォォッ!!!」
──ドガガガガァァン!!!
「フタチマル、連続で『シェルブレード』!!!」
「タッチィィィィ!!!」
──ジュババババッ!!!
転がるチャオブーに巻き込まれて、為す術なくポケモンが吹っ飛んでいく。フタチマルも次々に向かってくるポケモンを、シェルブレードで切り刻んでいく……
「ぜ、全滅だと!? そんなバカな!?」
「大人しく捕まれ!! もう逃がさねぇぞ!!」
「クッ……!! みんな、こっちに逃げろ!!」
そう言って、プラズマ団は右の抜け道に入っていこうとしたが……そこで、声が聞こえてきた。
「んー、残念だけどそれは無理かなー」
「この声は……!!」
「ボクもジムリーダーだからさー、君たちを逃がすわけにはいかないんだー」
そこに出てきたのは、ジムリーダーのアーティだ。それを見て、プラズマ団は逃げ場が無くなったことを察する。
「くそぉぉ、今日は厄日だ……!! 覚えてろよ!!」
「すぐに忘れてやるよ」
「警察は呼んどいたからさ。もうすぐ来るんじゃないかな」
アーティの言った通り、警察が現れて……プラズマ団達は、全員捕まった。そしてサレナは、外に出てから一言。
「弱いわね、アンタ達」
「なにぃ!? お前……!!」
「ヒュウ兄さん、落ち着いて。確かに今はあなたより弱いですが……きっと、絶対にあなたより強くなってみせますよ」
コウキはそう啖呵を切る。しかし、彼女は興味無さげに言った。
「無謀ね。私はこれからどんどん強くなる、そうでなくちゃいけない。だから、あなた達に追いつかれることは絶対にないわ。諦めなさい」
「諦めない。絶対にな……俺も、ヒュウ兄さんも」
「プラズマ団は……俺が倒す。邪魔はさせない」
ヒュウはそう言ったが……そこでサレナが言う。
「アンタ達に、私の何がわかるの? わからないくせに……何にもない奴らのくせに、偉そうな口を聞かないで。さようなら、もう会わないでいいことを祈るわ」
「なんだよ、アイツ!! 嫌なヤツだな!!」
「……でも、なんか悲しい雰囲気だった」
コウキはそう言って、少し彼女のことを心配する。そこでヒュウが、思い出したように言った。
「そうだ、これはさっきのお礼!! 遠慮なく使えよッ!!」
「ひでんマシン『かいりき』……!! ありがとう!!」
「他のプラズマ団も、絶対見つけ出す……!! ポケモン泥棒は許さない、絶対にッ!!」
そう言って、ヒュウは走っていってしまった。そして、そこにやってきた人間が一人。
「そこのあなた!!」
「はい……?」
「プラズマ団を相手に、自分のパートナーの力を引き出した、見事な戦いぶりでしたね!! その隣にいた、彼女のポケモンの方が強いのにもかかわらず、それと変わらないほどの活躍……!!」
そこに現れたのは、特徴的な髪色をして白衣を着た人間。プラズマ団のボス、アクロマだった。
(アクロマ……ここで戦うのはやめた方がいいな)
「ありがとうございます」
「いい、素晴らしくいい!! そして面白い!! なるほどです!!」
そう言って、アクロマは去っていった。そしてコウキは……下水道の中に、もう一度入ることにした。
「とりあえず、ここを探索しながら鍛えようか……おっと、その前に」
コウキは階段を昇って、アイリスにお礼を言いに行く。そこで彼女は……心配そうに彼に言った。
「君の友達……なんか怒ってたし、喧嘩もしてたよね? 大丈夫だった?」
「いや、大丈夫です。それより、ありがとうございました。プラズマ団、たくさんいましたよ」
「ホント? 力になれてよかった!! そういえば、これからどうするの? ジムリーダーのアーティさんに会ったなら、ジムに挑みに行く?」
コウキはそこで、首を横に振る。
「いえ、しばらく下水道で鍛えていく予定です。僕の実力もまだまだだと、さっきわかったので」
「……そっか。じゃあ、頑張ってね!!」
「はい、ありがとうございました」
コウキは彼女にお礼を言って、再び下水道へと入っていった。
「……エリートトレーナーの子、大丈夫かな。なんか、危ない感じがしたけど……」
アイリスはチャンピオンとして、一人のトレーナーの未来を憂う。これからどうなるのかは、まだ誰にも分からない。