朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 VSアーティ。


第七話 芸術は爆発、熱意も爆発

あの後、コウキはいつもより気合いを入れて、レベル上げをしていた。トレーナーが居れば、どんどん勝負を挑んでいく。

 

「チャオブー、『ニトロチャージ』!!」

 

「ミィルゥゥ……」

 

「クルミル……やられたか」

 

 コウキはドクターのタイゾウに勝利し、ポケモンを回復してもらった。それから、またレベル上げを続ける。

 

「君は何をしているんだい? 戻ってきては私に治療を頼んでるけど……」

 

「ポケモンを鍛えてます!!」

 

「はぁ、そうなのか……」

 

 レベル上げのことを知らないタイゾウからすれば、コウキのやっていることは奇行でしかない。コウキはヒウンシティの中にある、始まりの場所の草むらで、レベル上げを続けていた。

 

(俺はまだまだ弱い。こんなんじゃダメだ、更に強くならないと……ゲーチスには勝てないぞ!!)

 

 コウキはそう思って、タブンネ狩りを延々と続けていた。そして、数時間が過ぎたあと……

 

「チャオブー、レベル39か。『かえんほうしゃ』習得……そろそろいいな」

 

「チャブッ……!!」

 

「いいぞ、進化しても」

 

 コウキは進化キャンセルを繰り返していたが……OKが出て、チャオブーの体が変化する。更に逞しく、大きく……

 

「ブォォォォッ!!!」

 

「エンブオーに進化……目の前にいると、やっぱりかっこいいや」

 

「エンブゥゥゥ~♪」

 

 進化できて、エンブオーはご機嫌そうだ。コウキもその様子に思わず笑ってしまう。

 

「ハハッ、ご機嫌だな。俺も嬉しいよ……さて、あとはクルマユだけだな」

 

 コウキはそう呟いて、クルマユの育成を開始する。さっきベルに聞いたところ、かなりなついているようだ。進化も、そろそろ起こるはず……コウキがそう思っていると、やはり起きた。

 

「マユッ!!」

 

「……わぁっ!!」

 

「マユゥゥゥ!?」

 

 クルマユを驚かせて、コウキはまた進化キャンセルを行う。そして、クルマユに謝った。

 

「ごめんな、クルマユ。もうちょっと待ってくれよ」

 

「マユ!!」

 

「よし、やるか」

 

 そして彼はレベル36になった時点で、キャンセルをやめて……クルマユを進化させる。

 

「ハハ~リッ!!」

 

「『リーフブレード』習得……よし、あと3レベル上げるか。頼むぜ、ハハコモリ」

 

「ハリッ!!」

 

 コウキはそう言って、ハハコモリのレベルを更に上げていく。そして、レベル39になると……

 

「よし、『シザークロス』習得。これで技構成はシザークロス、リーフブレード、こらえる、ねばねばネット……だな」

 

「ハリッ!!」

 

「マリルリはアクアテール、じゃれつく、とびはねる、あまごい……エンブオーはかえんほうしゃ、ヒートスタンプ、つっぱり、ニトロチャージか。いい感じだな」

 

 コウキはここでの育成は十分だと判断し、ヒウンジムへ向かうことにした。そして、ヒウンジム内。

 

「繭がいくつかあるけど……正解の繭は、確かこれだよな」

 

 コウキは繭の前に立つと……その中に吸い込まれて、上に登る。道中にいるトレーナーを片っ端から倒しながら、どんどん進んでいく……

 

「エンブオー、『かえんほうしゃ』だ!!」

 

「ブォォォォッ!!!」

 

 ──ゴォォォアァァッ!!

 

「マユゥゥ……」

 

「あぁ、私のクルマユが……!!」

 

 コウキは最後のトレーナーを倒して、更に上へ進んでいく。

 

「ありがとうございました。さてと、あそこを上に登れば……」

 

「ようこそ。来ると思ってたよー」

 

「アーティさん、こんにちは。ジムバトルをしに来ました」

 

 そう言ってコウキが、ボールを前に突き出す。アーティはそれを見て、笑みをこぼす。

 

「いいね、絵になってるよ……後でスケッチさせてくれるかい?」

 

「構いませんよ」

 

「ありがとう!! ではでは、早速勝負だね!!」

 

 アーティがボールを取り出して、前に投げる。コウキもそれに合わせて、ボールを投げた。

 

「頼んだよ、クルマユ!!」

 

「マユゥゥ!!」

 

「頼むぜ、エンブオー!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!」

 

 それを見て、アーティは少なからず驚いている様子だ。

 

「エンブオー!? そんな強いポケモンを連れてるなんて……!!」

 

「最初から本気で行く!! エンブオー、『ニトロチャージ』だ!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 ──ゴォォォウッ!!

 

 炎を纏ったエンブオーが、高速でクルマユへと迫る。しかしアーティは怯まず、冷静に指示を出した。

 

「クルマユ、『まもる』!!」

 

「マユゥゥー!!」

 

 ──ガキィン!!

 

「読んでたさ!! その勢いのままジャンプしろ、エンブオー!!」

 

「エェンブッ!!」

 

「クルマユ、上に『いとをはく』だ!!」

 

 クルマユが上空のエンブオーに向かって、丈夫な糸を吐き出す。しかしエンブオーもコウキも、そんな物は意に介さない。

 

「そのまま『ヒートスタンプ』!!!」

 

「ブォォォォッ!!!」

 

「なにっ!? 糸が焼き切られて……!?」

 

 クルマユに向かって、炎を纏った急降下攻撃を繰り出すエンブオー。丈夫な糸も、エンブオーの重さと炎には耐えきれない。そのままエンブオーは、クルマユに激突した。

 

 ──ズドォォォォン!!!

 

「マァユゥ……」

 

「クルマユ、くっ……強いね!! 噂に聞くだけあるよ!!」

 

「それ程でもありませんよ」

 

 アーティはそう言いながらボールにクルマユを戻して、次のボールを構えた。

 

「頼むよ、イシズマイ!!」

 

「ズマーッ!!」

 

「エンブオー、ありがとう。休んでな」

 

 そう言ってコウキは、エンブオーをボールに戻して……マリルリのボールを投げる。

 

「頼む、マリルリ!!」

 

「ルッリーッ!!」

 

「イシズマイ、今のうちに『ロックカット』だ!!」

 

 イシズマイは自分の爪で、体を磨き……素早さを上昇させた。元々鈍足なマリルリは、それで素早さが抜かれてしまう。

 

「マリルリ、『アクアテール』!!」

 

「ルリィィィッ!!」

 

 ──バシャアァァァン!!

 

「当たらないよ!! イシズマイ、『だましうち』だ!!」

 

 イシズマイは一瞬で姿を消して、マリルリの後ろを取った。そこでコウキは、次の指示をマリルリに出す。

 

「ズッマァァッ!!」

 

「マリルリ、『とびはねる』!!」

 

「マリィィィッ!!」

 

 だましうちは空振りに終わり、マリルリは上空へと飛び上がった。しかし、それはアーティの思うつぼ。

 

「そう来ると思ったよ!! イシズマイ、『うちおとす』!!」

 

「ズマァァイッ!!」

 

「し、しまった!! マリルリッ!!」

 

 ──ズダァァァン!!

 

「ルリィッ!!」

 

 上空で高速の岩を当てられ、撃ち落とされたマリルリ。コウキは迂闊だったと反省する。

 

「残念だったね、イシズマイの技構成までは知らなかったかな?」

 

(俺がこうするのを読んでくるとは、やはりジムリーダー。一筋縄ではいかないな……でも!!)

 

「イシズマイ、もう一発『うちおとす』だ!!」

 

「マリルリ!! 『アクアテール』で石を打ち返せ!!」

 

「なんだって!?」

 

 アーティはその指示に驚いた。てっきり、また向かってくるものだと思っていたから。

 

「ズマァァァッ!!」

 

「ルゥリィィィッ!!」

 

 ──カキィィン!!

 

「イシズマイ、避け……」

 

 ──ズガァァッ!!

 

「ズマッ……!!」

 

 アクアテールをバット代わりにして、弾き返された石。それはイシズマイに襲いかかり、怯みを誘発させた。そこにマリルリが走ってくる。

 

「もう一発『アクアテール』!!」

 

「マリィィィッ!!!」

 

 ──ダバァァァァン!!!

 

「イシィィ……」

 

 イシズマイは大量の水と質量を叩きつけられて、戦闘不能になった。

 

「イシズマイ!! ……むぅん、むしのしらせ!! 結構ピンチかも、だって!?」

 

「でも、まだ負けてない。でしょ?」

 

「その通り……!! 行くよ、ハハコモリ!!」

 

 アーティはそう言って、相棒の入ったボールを投げる。コウキもそれを見て、マリルリを引っ込めた。

 

「ハッハーン!!」

 

「マリルリ、戻ってこい!! 頼むぜ、相棒!!」

 

「エェンブゥゥゥ!!!」

 

「やっぱり、そう来るか……!!」

 

 アーティは圧倒的な力の差の中、勝ち筋を探し続ける。そして……

 

「……ハハコモリ!! 『はっぱカッター』!!」

 

「ハハァリッ!!」

 

「エンブオー、『かえんほうしゃ』で焼き尽くせ!!」

 

 エンブオーは口から火炎を吐いて、迫ってくるはっぱカッターを根こそぎ燃やす。しかし、それにアーティは不敵な笑みを浮かべた。

 

「ブォォォォォ!!」

 

 ──ゴバァァァァッ!!

 

「そこだ!! ハハコモリ、『いとをはく』!!」

 

「なに!? エンブオー、避けろ!!」

 

「遅いよ!! 引っ張れ、ハハコモリ!!」

 

 丈夫な糸が、エンブオーの足を狙って伸びてくる。火炎放射をするのに夢中だったエンブオーは避けきれず、足に糸を巻き付けられ……引っ張られて、転倒してしまう。

 

「ブォッ!?」

 

「エンブオー!!」

 

「そこだ、ハハコモリ!! 『いあいぎり』!!」

 

 ハハコモリは、転んだエンブオーを爪で切り裂きにかかる。もちろん、コウキも黙ってはいない。

 

「エンブオー、『かえんほうしゃ』で迎撃だ!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!!」

 

 ──ゴォォォォッ!!

 

「ハハコモリの素早さは、伊達じゃないよ!!」

 

 ハハコモリは火炎放射を素早い動きで躱して、立とうとしたエンブオーを切りつけた。マウントポジションを取って、何度も切りつけ続ける。

 

 ──ジャシュシュシュッ!!!

 

「ハァハァリィィィッ!!!」

 

「ブァッ、ブッ……!?」

 

「エンブオー!! くっ、どうにかできないか……!?」

 

 マウントポジションを取られては、立ち上がることも難しい。この状態では火炎放射も当たらないだろう。コウキは考えて……閃いた。

 

「エンブオー!! 『つっぱり』……」

 

「させないよ、ハハコモリ!!」

 

「ハハーリッ!!」

 

 腕に向かって振り下ろされる爪。それを見て、コウキは笑う。

 

「じゃなくて、そのまま掴め!!」

 

「えぇっ!?」

 

「ハリッ!?」

 

 二人が驚愕し、エンブオーがいあいぎりしようとした爪を掴む。そして、コウキは更に命令した。

 

「上空に投げて『かえんほうしゃ』だ!!!」

 

「ブァァァァァッ!!!」

 

 ──ゴバァァァァッ!!!

 

「ハハコモリ、離れて!!」

 

 たまらず、ハハコモリが距離をとる。コウキはエンブオーが立ち上がったことで、勝ちを確信する。

 

「この勝負……もらった!!」

 

「勝ち誇るのは早いよ!! ハハコモリ、もう一回『はっぱカッター』!!」

 

「エンブオー、『かえんほうしゃ』でなぎ払え!!」

 

 コウキは真っ直ぐ撃つのではなく、薙ぎ払うように命令する。そのように撃たれては、ハハコモリも動くに動けない。

 

 ──ゴァァァァァッ!!!

 

「くっ……!!」

 

「そのまま『ニトロチャージ』だ!!」

 

「ブォォォォォォ!!!」

 

 火炎を纏って、エンブオーがハハコモリに突貫する。二度目のニトロチャージで、素早さが倍になってはハハコモリもついていけない。

 

「ハハコモリ、避けて!!」

 

「逃がすな、エンブオー!! ハハコモリを掴め!!」

 

「ハハァリ!?」

 

「ブゥゥッ……!!」

 

 ハハコモリの足を掴んだエンブオーとコウキが同時に、不敵な笑みを浮かべた。そしてトドメの一撃の体勢に入る。

 

「掴んだままジャンプしろ、エンブオー!!」

 

「エェェン……ブゥッ!!」

 

「ハハコモリッ!!」

 

 細い体を掴まれては、細いハハコモリではエンブオーに対抗できない。そして、コウキは更に指示を出す。

 

「そこだ、エンブオー!! 『つっぱり』で叩き落とせ!!」

 

「ブォォォォォ!!」

 

「ハハァリィ……!!」

 

 ──ズダダァァン!!

 

 ──ズドォォォン!!

 

 エンブオーのつっぱりを受けて、ハハコモリが地面にめり込む。そして、エンブオーはそのまま炎を纏う。

 

「『ヒートスタンプ』だぁぁぁっ!!!」

 

「ブゥゥアァァァァッ!!!」

 

 ──ドバォォォォォォン!!!

 

「ハ、ハリィ……」

 

 ハハコモリが戦闘不能になる。それを見た審判が、声を上げた。

 

「ハハコモリ、戦闘不能!! チャレンジャーの勝利です!!」

 

「よっしゃあぁぁぁっ!!」

 

「ブォォォォォ!!」

 

 アーティは少し悔しそうにしたあと、スケッチブックを取り出した。

 

「いいね、君達……そのままでいて、ぜひスケッチさせてくれ!!」

 

「はい、いいですよ」

 

「……うん、いい感じだ!! 今度色は塗るとして、はい!! 賞金と、ビートルバッジ!!」

 

 それをもらって、コウキはお礼を言った。

 

「ありがとうございます!!」

 

「あと、これも!! 技マシン、『むしのていこう』だよ!!」

 

「大切に使いますね!!」

 

 コウキはそれから、しばらく彼の絵のモデルになった後……ジムを出た。

 

「さてと、この後はアクロマと戦うはずだからな。しっかり準備しとかないと……ポケセン行くか」

 

 そう言ってコウキは、ポケセンへと向かって……ポケセンを出たあと、アクロマがいるところへと向かう。

 

「先程のあなたっ!!」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「差し支えなければ、あなたのポケモンを見せていただいてもよろしいですか?」

 

 コウキはそう言われて、自分の相棒を見せる。

 

「エンブオー!!」

 

「ブォォォォォ!!」

 

「おぉ、さっきまでチャオブーだったのにも関わらず……素晴らしい!! もう進化しているなんて、一体どんな育成を……」

 

 アクロマはとても興味深そうな表情だ、コウキはそれを見て一言。

 

「根気ですよ、根気。短気は損気って言いますし、ポケモンとの絆も簡単にできるものじゃありませんから」

 

「なるほどっ!! 確かに、研究でも短気になっては元も子もない……おっと、失敬。私の名前はアクロマ、ポケモンの研究をしています」

 

「僕の名前はコウキ、ジムを巡るポケモントレーナーです」

 

 コウキはアクロマに自己紹介を返した。アクロマは更に続ける。

 

「私の研究テーマは、『ポケモンの力は何によって引き出されるか?』です。ポケモンの力を引き出すのは!! それも、最大限に引き出すのは……絆なのか、それとも別の何かなのか?」

 

「僕は絆だと思っていますがね」

 

「だからこそ、私はあなたと戦ってそれを確かめたい。よろしいですか?」

 

 アクロマの問いに、コウキは快く答えた。

 

「もちろん、大丈夫ですよ」

 

「では、この先の四番道路で待っています。準備ができたら、来てください」

 

「……やはり知識欲の塊だな、アクロマは」

 

 コウキはアクロマのことを、正直言って嫌いではなかった。プラズマ団ではあるが、ゲーチスが嫌いなことは一致していたし……恩もあるから。

 

「だけど、プラズマ団を止めるなら……戦うことにはなるよな」

 

 コウキはそう言って、四番道路に進んでいく。そこで、後ろから声が聞こえてきた。

 

「おうい!!」

 

「あ、ベルさん。どうしてここに?」

 

「街中で見かけたから、追いかけちゃった。はいこれ、ダウジングマシン!!」

 

 コウキはマシンを手渡されて、そういえば入手するのはここだったことを思い出す。

 

「ありがとうございます!!」

 

「これで隠れてるアイテムとかを探せるから!! じゃあ、引き続き冒険を楽しんでね!!」

 

「はいっ!!」

 

 ベルにお礼を言い、コウキは手を振って見送る。それからコウキは、アクロマのところへ歩いていこうとしたが……そこで、ふと思い出す。

 

「そうだ、あれを買っていくか」

 

 コウキはそう呟いて、Uターンする。コウキが行ったのは、ヒウンアイスのお店だ。昔は大繁盛だったこのお店だが、今となってはブームが去って、閑古鳥が鳴いている状態だ。

 

「あ、いらっしゃいませ。いくつにしますか?」

 

「1ダース、保冷バッグ入りで」

 

「はい、それでは12個で1200円です」

 

 コウキは1200円で、ヒウンアイスを大量に購入する。そこでふと、コウキはベンチに座ってヒウンアイスを食べている人がいることに気がつく。その人の顔に見覚えがあったので、コウキはその人に近づく。

 

「……ヒウンアイス、好きなんですか?」

 

「ひゃあぁぁぁぁ!? な、何よアンタ!?」

 

「あ、すみません。美味しそうに食べていたのでつい」

 

 コウキは一つアイスを取り出して、食べ始める。そこにいた人……サレナはコウキを睨みつけている。

 

「私になんの用? まさか、バトルして汚名返上するつもり?」

 

「いえ、そんなことはしませんよ。ただ……好きなのかなって」

 

「……好きで悪い?」

 

 サレナはぶっきらぼうに言う。相変わらずの無愛想さに、少し笑うコウキ。

 

「あははっ、そんなことないですよ。クールな人だなって思ってたので……可愛らしい一面もあるんだなって」

 

「なっ……!! あ、アンタね!! 名前も知らない人に向かって、そんな発言っ……セ、セクハラよ!!」

 

「セクハラ!?」

 

 コウキは、通報されるのではないかと慌てる。しかし、サレナはその慌て方を見てため息をついた。

 

「はぁ……変なヤツね。まぁ、いいわ。とにかく、もうプラズマ団には関わらないようにね。私が、全部なんとかするから」

 

「いえ、僕はやりますよ。絶対にいつかあなたも超える」

 

「威勢がいいのか、そうじゃないのか……ハッキリしないヤツね」

 

 サレナはそう言って、背を向けて歩いていく……そこでコウキは、ひとつ尋ねた。

 

「あ、言い忘れてた!! 僕はコウキ、ポケモントレーナーです!!」

 

「……サレナ。それじゃ」

 

「サレナ……名前? 名乗ってくれたのか」

 

 コウキは彼女が名乗ってくれたことが、かなり嬉しかった。コウキはそこで、本来の目的を思い出す。

 

「あ、そうだ。四番道路に行かないとな」

 

 コウキはそう呟いて、四番道路へと向かった。そしてそこでは、イワパレスの群れが道を塞いでいる。

 

「すみません、遅くなりました……これ、イワパレス?」

 

「その通り。今は動かなくなっているようですが……私の機械で動かしてみせましょう」

 

「……パレッ!?」

 

 イワパレス達が目覚めて、去っていく。コウキはその様子を見て、アクロマの科学力を実感した。

 

「イワパレス達……ここまで来て、力尽きていたのでしょうか」

 

「疲れちゃったのかな?」

 

「おっと、考察をすると止まらなくなってしまいますね。それでは、約束通り……お願いします」

 

 アクロマはそう言って、ボールを取り出した。

 

「よろしくお願いしますね」

 

「これで何が掴めるか……楽しみです!!」

 

「行け、エンブオー!!」

 

 コウキもそう言って、エンブオーを繰り出した。それから10分後……

 

「ギアル、『ギアソーサー』!!」

 

「ギアルアルアルッ!!」

 

 ──ヴィィィィィン!!

 

「エンブオー、『つっぱり』で押し返せ!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

 ──ズダダダァァン!!

 

 迫ってきたギアルに、エンブオーがつっぱりを打ち込んで吹っ飛ばす。ギアルが倒れて、アクロマが納得したような表情を見せた。

 

「なるほどっ!! 勉強になります……!!」

 

「なにかわかりましたか?」

 

「えぇ、あなたはポケモンの力を100%引き出している。ポケモンを信じることで……でも、きっとそれだけではない。他の要因もあるはず……考えが深まりました。これはお礼です」

 

 そう言ってアクロマは、タウリンを手渡してきた。

 

「ありがとうございます!! ありがたく使わせてもらいますね!!」

 

「それでは、失礼します。またお会いしましょう!!」

 

「……さて。俺もそろそろ進むか」

 

 彼はそう言って、エンブオーをボールに戻し……砂漠の中に歩いていくのだった。




次回、ライモンシティ。
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