朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 色々盛り沢山の回です。


第八話 オカルティック&ドラマティック

コウキは現在、ライモンシティに直行せず寄り道をしていた。どこに来ているかというと……

 

「あー、砂が目に入って痛い……『ぼうじんゴーグル』が欲しいなぁ」

 

 コウキはそう言いながら、砂漠の中を歩いていく。ここはリゾートデザート……『こだいのしろ』がある場所でもある。そこでコウキは、トレーナー達を倒しながら歩いていた。

 

「マリルリ、『アクアテール』!!」

 

「ルゥリィィ!!」

 

「マスゥゥ……」

 

「あぁ、デスマス……!!」

 

 この辺のトレーナーを倒し終わり、コウキはポケモンを探す。それも、特別なポケモンを。

 

「……お前はどうだ?」

 

「シィィィィッ!!」

 

(光った!! 間違いない、『Nのポケモン』だ!!)

 

 Nのポケモン、二年前にNが逃がしたポケモン達。BW2の時代では、そのほとんどが野生化して彷徨っている。プレイヤーは特定のイベントを見れば、それを捕まえることができるのだ。

 

「ボラァァァァッ!!」

 

「『サイケこうせん』か!! マリルリ、『とびはねる』でかわせ!!」

 

「マリッ!!」

 

 サイケこうせんは、地面に当たって不発に終わる。そして上から、マリルリがシンボラーめがけて落下する。

 

「少し右側を狙って、『とびはねる』だ!!」

 

「ルゥリィィィッ!!」

 

「シィィィィ!?」

 

 赤ゲージではあるが、狙いを逸らしたおかげで倒れてはいない。その上、麻痺状態になってくれた。

 

「よし、今だ!! 行け、スーパーボール!!」

 

「ボラッ……!?」

 

 ──カチッ。

 

「よっしゃあ!! シンボラーゲットだぜ!!」

 

 マリルリとコウキが一緒になって喜ぶ。コウキはすぐシンボラーの治療を行い、リゾートデザートを出ようとする。

 

「さて、こんな場所はさっさと出てしまおう。砂嵐が痛くて仕方ない」

 

「……ここもダメ。あの時感じた気配は、一体どこに?」

 

「あ、あれはあの時の……」

 

 そこにいたのは、カロスのオカルトマニアだ。コウキは、その人と肩がぶつかったことを覚えていた。そして、その人がコウキに気づく。

 

「っ……あなたは!?」

 

「え、はい……?」

 

「やっぱり、そうだ……!! あなたから匂いがするとこの子達が言っている!!」

 

 オカルトマニアの後ろには、四体のポケモンがいる。それぞれデスマス、バケッチャ、ゴースト、サマヨールだ。

 

「あなたは……?」

 

「私の名前はリツコ……オカルトマニアよ。この子達はさまよう魂とか、そういうオカルトなものがわかるの……だから私の活動に協力してもらってるのよ」

 

「そ、そうなんですね……僕の名前はコウキ、ポケモントレーナーです」

 

 コウキがそう言うと、彼女はコウキを舐め回すように全方向から見る。

 

「やはり匂いはあなたからか……あなた!!」

 

「はい、なんでしょう」

 

「あなたとその体は何かが変。魂がこの世のものではないみたい……一体何者?」

 

 これまで誰にも指摘されなかったことを言われて、コウキはすごく驚いた。どうしてそれがわかるのか、と。

 

「……どうして、そんな細かいことまでわかったんだ?」

 

「この子達が言ってるの。デスマスはさっき捕まえたばかりだけどね」

 

「そうか……ゴーストポケモンって不思議だな」

 

 コウキはそう言ったあと、真面目な顔になって言う。

 

「えぇ、その通りです。俺はこの世界の人間じゃない……アルセウスじゃない神を名乗る男に、この世界に連れてこられました」

 

「そうだったのね……ふふふ、興味深いわ……!!」

 

「僕もよく分かりません」

 

 リツコはそう言われて、納得したように言った。

 

「あなたと会えてよかった……また会うことになると思うから、よろしくね」

 

「あぁ、はい」

 

「次は迷いの森に行ってみましょうか……おかしな噂がある場所だけど……」

 

 それを聞いて、コウキはこれから起こることを察する。

 

(あそこにいるのはゾロアーク。幻覚を見せて、自分の身を守ってた……迷うのもそれが原因だったな)

 

「お気をつけてー!!」

 

(さっきの人、俺の話を聞いたら好感度がすごい勢いで上がった。出会うのは時々になりそうだけど……いつか仲良くなれるかもな)

 

 コウキはそう思いながら、ライモンシティへと進むのだった。そこでコウキは、一つBWからの追加要素を思い出す。

 

『ジョインアベニュー……オンライン要素がないと遊べない場所だ。何かしら変わってるのか、それとも……?』

 

「……あった!! しかも、結構栄えてるぞ……?」

 

「おぉ、ジョインアベニューにようこそ!!」

 

 そこでオーナーが、コウキに話しかけてきた。

 

「こんにちは。僕はコウキと申します」

 

「いやー、彼女の手腕は素晴らしい!! 少し時間があっただけなのに、ここまで発展させてしまうとは!!」

 

「彼女って?」

 

 コウキはそれが気になって、尋ねた。その質問にオーナーが答える。

 

「メイという名前の人なんですが、もう素晴らしいのなんの!! 彼女は今さっきライモンシティに向かっていったんですが……」

 

「なるほど、メイか……」

 

「お、もしかしてお知り合いですか? それなら尚更、ジョインアベニューを楽しんでいってください!!」

 

 コウキはオンラインが使えない自分の代わりに、メイがやったことを知った。確かにこの先でメイは登場する。

 

「くじ引きにマーケット、それに古道具屋など……色々たくさんありますよ!!」

 

「……わかりました。是非見ていきます」

 

「えぇ、是非とも!!」

 

 コウキはとりあえず、くじ引きをしてみることにした。一日一回なので、やっておけば得だと判断したのだ。

 

「くじ一回お願いします」

 

「わかりました!!」

 

「さて、何が出るかな……」

 

 コウキは期待の目で見つめる。そして……出たのは八等だった。

 

「八等が出ました!! ハイパーボールをどうぞ!!」

 

「悪くないな……ありがとうございます」

 

「またのお越しをお待ちしております!!」

 

 コウキはくじを引いて、先に進む。この先に、メイがいるはずだ。コウキがそう思って、歩を進めると……やはりいた。

 

「あ、そこの人!!」

 

「なんでしょう?」

 

「あのギアステーションって建物の中で、ポケモン勝負ができるの!! それでね、腕試しに来たらなんとサブウェイマスターがいたの!!」

 

 目の前にいるのは、ノボリとクダリの二人だ。コウキは、何度も挑んでやられたのをよく覚えている。

 

「ラッキーですね」

 

「でしょ!? しかも二対二なら、特別にここで相手してくれるって!!」

 

「……なるほど。事情はわかりました」

 

 コウキはメイと一緒に戦うことになる。それをわかっていたので、さっきみんなを回復しておいた。

 

「すっごいチャンスでしょ!? お願いっ、一緒に戦って!!」

 

「わかりました、よろこんで」

 

「ありがとう!! あ、私の名前はメイ。サブウェイマスターを超える、最高のペアになろうね!!」

 

「僕の名前はコウキです。よろしくお願いします」

 

 コウキはそう言って、メイと共に二人に向き直る。

 

「というわけで、サブウェイマスターに挑ませてもらいます!!」

 

「このような場所での勝負はイレギュラーですが……これも何かの縁、戦うことで見える景色……わかることもあるでしょう。ではクダリ、なにかございましたらどうぞ!!」

 

「ルールを守って、安全運転!! 目指すは勝利、出発進行!!」

 

 二人がボールを構えたのを見て、コウキとメイがボールを構える。

 

「お願いします、ガントル!!」

 

「行きなさい、ドテッコツ!!」

 

「トルゥゥゥッ!!」

 

「ドッテェェェ!!」

 

 コウキの知っている通りの手持ち。コウキは構えたボールを、メイと共に投げる。

 

「お願い、ジャノビー!!」

 

「頼んだぜ、マリルリ!!」

 

「ジャノォォォ!!」

 

「マリィィィィ!!」

 

 お互いのポケモンが出揃った。先に動いたのはもちろん……コウキのマリルリだった。

 

「マリルリ!! ドテッコツに『じゃれつく』!!」

 

「ルリィィィッ!!」

 

「ドテッコツ、躱して『けたぐり』!!」

 

 じゃれつくを躱したドテッコツは、そのままけたぐりをマリルリに放つ。しかしコウキもマリルリも、その程度は読んでいる。

 

「マリルリ、『とびはねる』!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

「なに、避けられた!?」

 

 そのままマリルリが、ドテッコツに向かって急降下していく。

 

「喰らえっ!!」

 

「させません!! ガントル、『うちおとす』!!」

 

「させないよ!! ジャノビー、『グラスミキサー』!!」

 

 ガントルがマリルリを打ち落とそうとしたが、ジャノビーのグラスミキサーを受けて、照準がズレてしまった。

 

「ジャノォォォ!!」

 

 ──ギュオォォォッ!!

 

「ガントォォォ!?」

 

「ありがとう!! そのままぶつかれ、マリルリ!!」

 

 マリルリはそのまま、ドテッコツに突っ込む。ドテッコツも、流石にこれは避けられない。

 

「ルゥリィィ!!」

 

 ──ズドォォォォン!!

 

「ドッテェェェ……」

 

「ドテッコツ……!!」

 

 あとはガントル一匹だけ。そう思った二人が、同時にガントルに目を向ける。

 

「マリルリ、『アクアテール』だ!!」

 

「ジャノビー、もう一回『グラスミキサー』!!」

 

「ガントル、『パワージェム』で迎撃しろ!!」

 

「トォォォルッ!!」

 

 色とりどりの石の刃が、マリルリとジャノビーに襲いかかる。しかし、二人とも反撃してくることはわかっていた。

 

「マリルリ、ジャノビーを庇え!!」

 

「マリッ!!」

 

「今だよ、ジャノビー!! マリルリを飛び越えて『グラスミキサー』!!」

 

 ジャノビーはマリルリを飛び越えて、草の竜巻を発生させる。そして、それをガントルにぶつけた。

 

「ジャノォォォォ!!」

 

 ──ギュオォォォォッ!!

 

「ガン、トォ……」

 

「ガントル!! まさかやられるとは……」

 

 コウキとメイは、見事に二人で勝利を収めた。それを二人が褒め称える。

 

「ブラボー!! あなた様に見せていただいたのは、トレーナーとしての煌めきです。ですが一言言わせていただきましょう!! あなた様方なら、もっともっと上を目指せましょう」

 

「ぼく、クダリ。ノボリと一緒に負けちゃった。君たちのコンビネーション、最高!! バツグン!! ものすごーく強いトレーナー!!」

 

「ありがとうございました」

 

 ポケモンバトルを終えて、二人分の賞金を受け取る。そして、ノボリが言った。

 

「是非、是非!! 今度は地下鉄にご乗車になって勝負してくださいまし!! それでは出発進行!!」

 

「強かった、流石サブウェイマスター……!!」

 

「やりましたね、メイさん」

 

 コウキがそう言うと、メイは目を輝かせて言った。

 

「もっともっと鍛えて、いつか本気のサブウェイマスターと戦いたい!!」

 

「応援してます」

 

「あなたもすごく強かったよ、おかげで勝てた!! これはお礼だよ、受け取って!!」

 

 そこでコウキは、メイからバトルレコーダーを受け取った。

 

「ありがとうございます、大切に使いますね」

 

「コウキ、あなたと戦うのすごく面白かったよ!! また付き合ってくれると嬉しいな、じゃあね!!」

 

「……行っちゃった。好感度だいぶ上がってたな」

 

 コウキはそう呟いて、これからのことを考える。

 

「とりあえずポケセンに行って……もうカミツレに挑んじゃうか。シンボラーのレベル上げは後でも間に合うし」

 

 コウキはそう言って、ポケモンセンターに立ち寄ったあと……すぐにジェットコースター乗り場になっている、元ジムに向かう。

 

「ここの奥まで行けば、彼女がジムに戻ってくるはずだ。頑張ろう」

 

 そう言ってコウキは、ジェットコースターに乗り込んだ。そして、そこの一番奥にて。

 

「あら? ジムリーダーを探しに来たの?」

 

「えぇ、ですが……不在のようですね」

 

「残念ね、今ちょうど入れ替わりでジムに戻っていったわ。ここまで来た記念に、これを持っていきなさいな」

 

「麻痺治し……使わせてもらいます。ありがとうございました」

 

 コウキはお礼を言って、彼女のいるジムへ向かう。そこに行くと……暗い中で、色とりどりの光が光るランウェイがあった。

 

「おぉ、実際見ると圧巻だな……」

 

「どうですか、驚いたでしょ!? このジムはハッキリ言って、煌めくファッションショーの眩いステージなんすよね!!」

 

「楽しみですね。それでは、行ってきます」

 

 おいしい水を受け取って前に進む。すると目の前にいた女の人に、スポットライトが当たる。観客席から歓声が上がった。

 

「ようこそ、ライモンジムへ!! ポケモンとトレーナーが作る、華麗なファッションショーとポケモンバトルの始まりよ!!」

 

「よろしくお願いします」

 

「「わぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 こうしてコウキの、ドラマチックなジムバトルが始まった。ジムトレーナーとのバトルは、当然ながら勝利。

 

「ショーはこれから……ってあれ、もう終わり? 残念だなぁ……」

 

「ありがとうございました……さて、次だな」

 

「「ひゅーひゅー!!」」

 

 コウキに向かって、歓声が浴びせられる。なんだか照れくさい気分になりながら、ランウェイを歩いていく……そして、最後のジムトレーナーを倒す。

 

「エンブオー、『ヒートスタンプ』!!」

 

「エンブゥゥッ!!」

 

「エレキィィ……」

 

 エンブオーのヒートスタンプを受けて、ジムトレーナーのエレキッドが倒れる。

 

「その強さと美しさ……!! カミツレ様のステージに立ってもいいんじゃない?」

 

「ありがとうございました……さてと」

 

「……待たせたわね」

 

 そこで漸くジムリーダーのカミツレに、三つのスポットライトが当たる。そしてカミツレがポーズをキメると、シャッターの音と歓声が響いた。今日一番の盛り上がりだ。後ろのモニターには、カミツレが映っている。

 

「「わぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

「ようこそ、このステージへ。私の愛しのポケモン達と、あなたのポケモン達……どちらの輝きが本物か、ここで比べましょう!!」

 

「望むところですよ!!」

 

 コウキがボールを構えると、カミツレは微笑を浮かべて……黄色いファーを脱ぎ捨て、またポーズをキメた。

 

「頼んだ、エンブオー!!」

 

「行きなさい、エモンガ!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

「エモ~!!」

 

 相手は電気飛行タイプ、普通なら不利な状況。しかしコウキは全く焦らない。コウキは勝ち筋がもう見えていた。

 

(彼女のエモンガの技構成はわかってる。そしてその中で、エンブオーに抜群を取れる技はひとつしかない……!!)

 

「エモンガ、『つばめがえし』!!」

 

「突っ込め、エンブオー!! 『ニトロチャージ』だ!!」

 

 つばめがえしは、必中の技。だから、コウキは攻撃を避けない。エンブオーはそれに従って、炎を纏って突撃する。

 

「エッモォォ!!」

 

 ──ジャシュッ!!

 

「っ、勢いが落ちない……!?」

 

「エェンブゥゥ!!」

 

 ──ズゴォォォッ!!

 

 炎を纏った、大質量の突撃。エモンガはそれを躱しきれず、吹っ飛ばされた。

 

「エモォォッ……!!」

 

「エンブオー、すかさず『かえんほうしゃ』!!」

 

「ブォォォォォッ!!!」

 

 ──ゴァァァァァッ!!!

 

 吹っ飛ばしたエモンガに、エンブオーの吐いた火炎放射が襲いかかる。無防備な状態で火炎放射を受けてしまい……レベル差もあって、エモンガが倒れる。

 

「エッモォォ……」

 

「やるわね……!!」

 

「いいぞー、コウキ!! エンブオー!!」

 

「負けるな、カミツレー!!」

 

 みんなの歓声が聞こえてくる。コウキはそれを聞いて、ガラルのジム巡りを思い出す。

 

(懐かしいな。剣盾のBGMも、こんな感じだったなぁ……)

 

「行きなさい、モココ!!」

 

「モコォー!!」

 

 モココが出てきたのを見て、コウキは一旦エンブオーをボールに戻す。

 

「よし、よくやった。エンブオー、戻れ」

 

「……交換するのね」

 

「行け、ハハコモリ!!」

 

「ハァリィィィ!!」

 

 コウキは、ハハコモリを繰り出す。カミツレのエースとの戦いに向けて、エンブオーの体力を温存するためだ。

 

「モココ、『あやしいひかり』!!」

 

「モッコー!!」

 

「ハハコモリ、目を瞑れ!!」

 

 目を瞑ることで混乱を回避する。しかしカミツレも馬鹿ではない、その隙を逃さず技を放つ。

 

「今よ、モココ!! 『でんじは』!!」

 

 ──ヂュヂヂヂィ!!

 

「ハハコモリ、『ねばねばネット』!!」

 

「ハァリィィ……イッ!?」

 

 そこででんじはを受けて、ハハコモリは麻痺してしまう。

 

「流石はジムリーダー、強いですね」

 

「ありがとう。でも、ここまでよ!! モココ、『とっしん』!!」

 

「くっ……!!」

 

 麻痺して遅くなった状態のハハコモリに、モココが突進してくる。ハハコモリは、体が痺れて動けない。

 

「モコォォ!!」

 

 ──ズドォォン!!

 

「ハリッ……!!」

 

「ハハコモリ、動いてくれ!!」

 

 コウキがそう言って、ハハコモリは何とか動こうとするが……やはり動きが鈍重だ。そこにカミツレは、追撃の命令を出す。

 

「もう一回『とっしん』よ!!」

 

「ハリィィッ……!!」

 

「くっ……!!」

 

 コウキはハハコモリが動けないので、バッグに手を入れた。麻痺治しを使ってくると踏んだカミツレは、モココにでんじはの命令をする。

 

「モココ、もう一回『でんじは』!!」

 

「今だ、ハハコモリ!! 『リーフブレード』!!」

 

「なっ……!?」

 

 コウキは笑ってそう言った。でんじはを撃ってしまい、大きな隙が生まれたモココに……鈍重にはなっているが、ハハコモリがしっかりと近づいてリーフブレードを振り下ろす。

 

「ハァ……リィィッ!!」

 

 ──ズジャアァ!!

 

「モコォォォー!!」

 

「まさか、全部演技だったの?」

 

 そう尋ねてきたカミツレに、コウキはウィンクして笑ってみせる。

 

「さて、何のことやら……」

 

「モコォォ……」

 

「とっしんを二度も使ってしまったから、反動ダメージが大きかったようですね」

 

 モココはそのまま戦闘不能になってしまった。それを見ていた観客が、更に盛り上がる。

 

「おぉー、チャレンジャーは演技派だなぁ!!」

 

「いいぞー、そのままいけぇー!!」

 

「まだあいつが残ってるだろ、カミツレー!!」

 

 カミツレは一旦目を瞑り……微笑を浮かべ、最後のボールを取り出した。

 

「そうね……!! 行け、ゼブライカ!!」

 

「ピャアァァァァッ!!!」

 

「ピンチを乗り越える!! ファンの期待に応えないと!!」

 

 そう言って出てきたゼブライカに、コウキもハハコモリを引っ込める。

 

「もう一回頼むぜ、エンブオー!!」

 

「エェンブゥゥゥッ!!!」

 

「ゼブライカ!! 『ボルトチェンジ』!!」

 

 電気の塊を生み出して、ゼブライカはそれをエンブオーにぶつけようとする。しかし、コウキもエンブオーも、その程度では驚かない。

 

「ゼブゥゥゥッ!!」

 

「エンブオー!! ジャンプして『ヒートスタンプ』だ!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

 ボルトチェンジは避けられ、エンブオーがゼブライカの真上を取る。しかし彼女もジムリーダーだ、そう簡単にやられはしない。

 

「ゼブライカ、後ろに避けて『ボルトチェンジ』をチャージ!!」

 

「ピャッ!!」

 

 ──ズドォォォォン!!

 

「今よ、ゼブライカ!!」

 

 ゼブライカがエンブオーに、ボルトチェンジを撃ち込む。ここから動いて躱すのは無理だった。しかし、エンブオーとコウキは不敵な笑みを浮かべてみせる。

 

「エンブオー!! 『かえんほうしゃ』で、ボルトチェンジを打ち消せ!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

 ──ゴァァァァッ!!

 

 ──バヂュヂヂィィッ!!

 

「ッ、ゼブライカ!! 『ニトロチャージ』!!」

 

 ゼブライカはそれを目眩しにして、エンブオーにニトロチャージで突っ込む。だが……それが運命の分かれ目だ。エンブオーの火炎放射が、ボルトチェンジを飲み込み……そこに高速で迫ってくるゼブライカ。

 

「ゼブゥゥゥッ!!」

 

「甘い!! エンブオー、体で受け止めてゼブライカを掴め!!」

 

「ブォォォォッ!!」

 

 エンブオーはその体で、まるで力士が相手力士のぶちかましを受け止めるかのように、しっかり受け止めてみせた。そしてゼブライカの細い体をしっかりホールドする。

 

「なっ……ビクともしない!?」

 

「そのまま『つっぱり』だぁぁぁ!!」

 

「エンブゥゥゥゥッ!!!」

 

 ──ズダダダダァァン!!!

 

 凄まじい張り手の嵐が、無防備なゼブライカの体に襲いかかる。ゼブライカは為す術なく、大きく吹っ飛んだ。そして、コウキはそのまま追撃の命令を出す。

 

「本物を見せてやれ、エンブオー!!!」

 

「ブォォォォォーッ!!!」

 

「これは……!!」

 

 炎を纏った、エンブオーのぶちかまし。それはまるで、横綱の大技のような気迫を感じさせた。オボンの実を食べて、なんとか立ち上がったゼブライカにエンブオーが迫る。

 

「これが本家本元の!! ニトロチャージだぁぁ!!!」

 

 ──ズガァァァァッ!!!

 

「ゼブゥゥゥ……」

 

「……ゼブライカ、戦闘不能!! チャレンジャーの勝利です!!」

 

 コウキはそのまま、観客席に振り向いて……エンブオーとグータッチをして見せた。そして、少しだけの静寂の後……

 

「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「すげぇぞ、チャレンジャー!! 今までで最高だ!!!」

 

「写真撮っとけ!!」

 

 カミツレが感嘆のため息を吐いて、一言。

 

「もう……あなたったら、予想以上に素敵なトレーナー。惚れ惚れしちゃうファイトスタイルに、なんだか感激したわ。これを……!!」

 

「ジムバッジ……!! あと賞金も、ありがとうございます!!」

 

「それと、これは私の好きな技。良ければあなたも使って」

 

 ボルトチェンジのわざマシンをもらって、コウキが一礼し……ジムを出ようとすると、カミツレがやってきた。

 

「待って!! 是非、私達と……」

 

「はい、もちろん」

 

「コウキ、かっこいいぞー!!」

 

 歓声を浴びながら、コウキはカミツレ達と共にランウェイを歩いていく。

 

「コウキー!! 最高だったぞ!!」

 

「素敵ー!!」

 

「ブラボー!!」

 

 そして、出口に辿り着いた時……カミツレがコウキに言った。

 

「トレーナーとしての輝き、それを備えているあなたなら、きっと全てのジムバッジを集め、ポケモンリーグに行けるはず!! その時、あなたとポケモンは、さらに眩しく輝く……!!」

 

「はい、ありがとうございました!!」

 

「コウキ、PWTにも出ろよー!!」

 

 そう言われながら、コウキはジムを出る。するとそこには、サレナが立っていた。

 

「……勝ったのね、カミツレに」

 

「サレナさん。えぇ、勝たせてもらいました」

 

「言っておくけど、調子に乗らないことね。私はあなたの上を行く。あなたなんかに負けていられないの」

 

 そう言ってサレナは、ジムに入っていった。

 

「相変わらずクールな人だな……あっ、そうだ。『彼女』の落とし物を拾っていこう」

 

 コウキはそう呟いて、噴水近くを念入りに探す。すると……ライブキャスターが落ちていた。

 

「これを拾えば……あ、鳴ってる。もしもし?」

 

『あの、もしもし……これを拾ってくれた方ですか?』

 

「はい。落とし主の方ですか?」

 

 コウキがそう言うと、肯定が返ってきた。

 

「あっ、はい。そうです、私そのライブキャスターの持ち主なんです……今は古いライブキャスターから連絡しているので、音声だけでごめんなさい。拾っていただいてありがとうございます」

 

「いえいえ。それで、あなたは今どこに?」

 

「それが……すぐにでも、受け取りに行きたいんですけど、私仕事をしていまして……今、受け取りに行くことができない状態なんです。よろしければそのライブキャスターを、しばらくの間預かってもらえないでしょうか?」

 

 コウキは彼女が何者なのか知っている。だから現代ではとても怪しい提案も、快く受け入れた。

 

「はい、もちろん。大丈夫ですよ」

 

「えっ、いいんですか? ありがとうございます、私はル……いえ、ルリっていいます。あなたは?」

 

 コウキは名前を聞かれて、名乗る。

 

「僕の名前はコウキ、ポケモントレーナーです」

 

「はい、コウキさんですね。仕事が落ち着いたら受け取りに行きますので、しばらくの間よろしくお願いします」

 

「わかりました、お任せ下さい」

 

 それから、ルリは続けて言う。

 

「あと……受け渡しが終わるまで、こちらの状況が分からないと心配ですよね。なので、こまめにコウキさんのライブキャスターへ、連絡させていただきますね」

 

「わかりました」

 

「それでは、失礼します」

 

 ライブキャスターが切れた。コウキは、それを見て呟く。

 

「ルリちゃん……可愛いんだよな。彼女とも仲良くなれるといいなぁ……」

 

 コウキはそう言いながら、暗くなった街を歩いて……今日宿泊する場所へ向かった。

 

 

 

 一方その頃。神は、コウキとヒロインとの関わりをずっと見ていた。

 

「ホミカちゃん完全攻略、他の子とも着々と関係を深めている……いいね、期待以上だ。これからも頑張ってくれよ?」

 

『何をやっているのです』

 

「あぁん? 誰……って、アルセウス!?」

 

 なんと、そこにいたのはポケモン世界の神アルセウスだった。神もまさかいるとは思わず、たじろいでしまう。ポケモンではなく、光の塊のような姿だ。

 

『約束が違います。本人に許可を得て、体を転移させる約束だったはずですよ』

 

「だって、それだと女の子と関わらせにくくて……」

 

『そんな理由で、人の子を殺したのか』

 

 アルセウスから、恐ろしい威圧感が放たれる。神はその威圧に後退りしてしまう。

 

「お、おいおい、そんな怒るなって、たかが一人だろ?」

 

『私との約束を破り、人の子を殺害した。挙句、自分の汚らわしい欲望のために、人の子を利用するとはな。万死に値する』

 

「は!? おいやめろ、早まるな!? おいっ!!!」

 

 神は必死に説得しようとしたが、もう遅い。光の塊から、凄まじい量の光の奔流が放たれる。『さばきのつぶて』だ。

 

『絶えろォォォォォ!!!』

 

 ──ブァァァァァァッ!!!

 

「ギャアァァァァァァ!?!?」

 

『……永遠に懺悔せよ』

 

 こうして、神は死んだ。その日は世界中で流星群が見えたという。

 

「おいみんな見てみろ、綺麗だぞ?」

 

「ルリィィ!!」

 

「ハハリッ!!」

 

「エンブゥ!!」

 

「ボラァァ!!」

 

 コウキ達は、その中に神の死体が混じっているとは知る由もなく、それを見つめていた。




次回、ホドモエに行きます。
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