朝起きたらBW2の主人公になってました(全年齢版)   作:とも667

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 ホドモエシティに行きます。


第九話 過去の傷と罪

コウキはルリと電話をした後、ホドモエシティへ行くための橋……『ホドモエのはねばし』へ向かっていた。そこで案の定、ヒュウとプラズマ団に出会う。ヒュウはプラズマ団を睨みつけている。

 

「待てよ、お前らここで何してた?」

 

「何もしていない。ただここにいただけだ。逆に質問するが、俺達がお前に何かしたか?」

 

「……何もしていない。だがな、人のポケモンを奪う貴様らは、絶対に許さない」

 

 ヒュウがボールを構える。そこでコウキが出てきて、ボールを構えた。

 

「同感だ。お前らが何かしでかす前に、倒させてもらおう」

 

「言っておく。俺は今から怒るぜッ!!」

 

「やれやれ……近頃のトレーナーは物騒だ。あれか? ポケモンの強さを自分の強さと勘違いか? まあ、お前なんかどうでもいいが……邪魔されたくないのでな!!」

 

 プラズマ団の四人が、ヒュウを囲い込む。そこでコウキを見て、ヒュウが言った。

 

「コウキ!! 頼りにさせてもらうッ!!」

 

「俺に任せろ!!」

 

「コウキだと? 貴様、ヴィオ様の言っていたおかしな子供か!?」

 

 そう言われて、コウキが挑発的に言う。

 

「そうだったらどうする? 降参するか?」

 

「馬鹿なこと言うな!! こっちには二年前奪って鍛えたポケモンがあるんだぜ!!」

 

「舐めるなよ。目にもの見せてやる」

 

 挑発的な口調を崩さないコウキに、ついにプラズマ団の怒りが爆発する。

 

「ガキの癖に図に乗るなよ!! 行け、ヤブクロン!!」

 

「クロォーン!!」

 

「行け、シンボラー!!」

 

「ボラァァァァッ!!」

 

 ジム戦の前に少しずつ経験値を与えて、レベルが25になったNのシンボラー。プラズマ団がヤブクロンに指示を出す。

 

「やれ、ヤブクロン!! 『ヘドロばくだん』!!」

 

「ヤッブゥゥ!!」

 

「シンボラー、『エアカッター』で弾き返せ!!」

 

「シィィィッ!!」

 

 ──ブァァァァッ!!

 

 シンボラーの羽ばたきと共に、鋭い風の刃がヘドロばくだんに向かっていき……ヘドロばくだんを吹き飛ばした。

 

「なにっ!?」

 

「今だ、シンボラー!! 『さいみんじゅつ』!!」

 

「ボォラァァ……!!」

 

 シンボラーの目から怪しげな波動が放たれて、それを見たヤブクロンは眠ってしまう。

 

「ヤブ、ブゥゥ……」

 

「おい、ヤブクロン!? 何してる!?」

 

「今だシンボラー!! 『サイケこうせん』で追撃しろ!!」

 

「ボラァァァァー!!」

 

 ──ジュドドドドッ!!

 

 サイケデリックな色の光線が、眠ったヤブクロンに炸裂する。無防備なヤブクロンへの、効果抜群の一撃。ヤブクロンのレベルは27だったが、さすがに耐えきれない。

 

「ブッ、クゥゥ……」

 

「くっ、マジかよ!! あれから二年間鍛えるために、かなりいじめ抜いたってのによ!!」

 

「絆も練度も足りないな。出直してこい」

 

 そう言うと、もう一人の団員がボールを構えた。

 

「今度はあたしの出番ね!! 言っておくけど、容赦しないから!!」

 

「かかってこいよ、叩き潰してやる」

 

「行きなさい、ミルホッグ!!」

 

「ホッグゥゥ!!」

 

 それに対してコウキは、エンブオーを繰り出す。

 

「行け、エンブオー!!」

 

「ブァァァァッ!!」

 

「ミルホッグ、『いかりのまえば』!!」

 

 怒りの前歯は、HPを強制的に半分にする技。無論、その技をみすみす受けるはずがない。

 

「エンブオー、ジャンプして躱せ!!」

 

「ブァァァァッ!!」

 

「えっ、早い!? エンブオーは遅いはずじゃ……」

 

 理由は単純明快。レベルの差がありすぎるのだ。

 

「エンブオー、そのまま『ヒートスタンプ』!!」

 

「エェンブッ!!」

 

「くっ、ミルホッグ!! 後ろに跳んで避けなさい!!」

 

 ──ズドォォォォン!!

 

 ヒートスタンプが外れたのを見て、好機と見たプラズマ団員が、今度こそと命令を出す。

 

「今度こそ『いかりのまえば』よ!!」

 

「甘い!! エンブオー、『ニトロチャージ』!!」

 

「ブォォォォォッ!!」

 

「ミルゥッ!?」

 

 ──ズガァァン!!

 

 ヒートスタンプの反動をものともせず、すぐに体勢を立て直して、ニトロチャージで突撃する。プラズマ団員は驚愕している。

 

「嘘でしょ!? あの状態から立て直すなんて……」

 

「そのまま『つっぱり』!!」

 

「エェンブゥゥ!!」

 

 ──ズダダダァァン!!

 

「ホッグゥゥ……」

 

 吹っ飛んだミルホッグが倒れ込む。そして、そこでヒュウの方の勝負も決まったようだ。プラズマ団のミルホッグに、シェルブレードが叩き込まれる。

 

「うそ……これじゃ、二年前の失敗を繰り返しちゃう!!」

 

「フタチマル!! 『シェルブレード』!!」

 

 ──ズシャアァ!!

 

「ミッルゥゥ……!!」

 

「くっ……中々やるな、勘違いするだけのことはある!!」

 

 プラズマ団に勝利して、コウキが言い放つ。

 

「さぁ、この街から出ていくんだな」

 

「参ったね、お子様二人にやられるとはな……その強さに免じて教えてやるとするか。俺達プラズマ団は、あるものを探している。それさえあれば、あいつは真の力を……」

 

「それの名前は『いでんしのくさび』か?」

 

 その名前を言われて、その場にいる全員が驚愕する。

 

「き、貴様!! 何故それを……!?」

 

「前にも他のしたっぱに言ったが、俺はお前らのことをなんでも知ってる。肝に銘じておくんだな」

 

「コウキ、知ってるのか? その『いでんしのくさび』って物のこと……」

 

 頷いて、ヒュウに答える。

 

「うん。ついでに言うなら、『あいつ』っていうのは、伝説のポケモン『キュレム』のことだ」

 

「キュレムのことまでバレてるのか!? くそっ、このことをヴィオ様に報告せねば……さらばだ!!」

 

「あっ……!! くそっ、逃げ足の早いやつらだな!!」

 

 コウキの狙いは、情報がバレていることを伝えることで、計画の練り直しをさせることだ。そうすれば、プラズマ団の計画を先延ばしにできる。

 

(少なくとも、これで俺のことは無視できないはずだ。これで計画に歪みや遅れが出て、冒険が終わるまで持ってくれれば……)

 

「……また聞けなかった。チョロネコのこと」

 

「……ヒュウ兄さん、多分あいつらは知らないよ。知ってるとしたら、もっと上の奴らだ」

 

「あぁ、そうだな……だから、もっと強く……あのサレナって人よりも……!!」

 

 ヒュウの妹のチョロネコ。今は……ダークトリニティに使われて、レパルダスになっている。取り返さねばならないことは、わかっていた。

 

「……それにしても、流石だな!! 前より更に強くなってる!! やっぱり、お前にはセンスがあるな!! これからも頼りにしてるぜ!!」

 

「うん、任せてよ」

 

「さて!! 俺は更にポケモンを鍛える!! お前も、もっと強くなっとけよッ!!」

 

 ヒュウがそう言って走っていく。コウキはそれを見送ったあと、特定の場所まで歩いていく。すると……

 

「……やはりな。もしもし、ルリさん?」

 

「あっ、もしもし。コウキさんですよね? 今、私は仕事でフキヨセに来てます」

 

「そうなんですね。ってことは、電磁石の洞窟を超えて?」

 

 そう尋ねると、ルリは笑いながら答える。

 

「ふふっ、そうですね。バチュル達にくっつかれちゃって大変でした……あ、もうこんな時間。では失礼します、またお話しましょう。さようなら」

 

「ありがとうございました」

 

(彼女と10回話すと、顔見せのイベントがある。とりあえず、16番道路でも話しておこう)

 

 そう思ってコウキは、16番道路に向かって……ついでにトレーナーとバトルしながら、ルリと話をする。

 

「……よし、これで二回目。あと八回だな」

 

「あら? あなたは……久しぶりね」

 

「あ、あなたは……リツコさん!!」

 

 そういえば、迷いの森に行くと言っていたことをコウキは思い出した。

 

「まさか、ここにいたのがゾロアークだとは思わなかったわ……あれほど大規模なイリュージョンを起こせるなんてね」

 

「ゾロアークだったんですね……そういう噂は聞いてましたが」

 

「あぁ、そうだ。これ、あなたにあげるわ。私は使う機会がなさそうだしね」

 

 リツコはコウキに技マシン『バークアウト』を手渡す。それを見て、コウキは素直に感謝する。

 

「ありがとうございます!!」

 

「さてと、次は……そうね、ワンダーブリッジには行けないようだし……タワーオブヘブンに行ってみましょうか。またね」

 

「あ、はい!!」

 

 リツコの好感度がまた上がった。どうやら自分は、リツコにとってとても興味深い対象らしい。

 

「それも当然か、転生してきたんだもんな。あ、そういえば……ホドモエのはね橋、今はチャールズが塞いでるはずだけど……大丈夫かな」

 

 心配になって、少し早足ではね橋に向かった。すると、そこには……またしてもベルがいた。

 

「あ、コウキくん!! ちょうどよかった、これを渡そうと思ってたんだ!!」

 

「これ、『そらをとぶ』か……!! ありがとうございます!!」

 

「これを覚えさせておけば、どこの街にもひとっ飛びだよ!!」

 

 ベルはそう言った後、思い出したように言う。

 

「あ、もう一つ!! コウキくん、『隠し穴』って知ってる?」

 

「あぁ、わかりますよ。あそこに丁度ありますね」

 

「もう知ってたの? やるね、コウキくん!! あの中には、珍しいポケモンがいたりするの!! 機会があったら、入ってみてね!!」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 ベルが去っていったのを見送り、目の前にいるチャールズを倒しに行こうとしたコウキ。しかしその必要はないようだった。

 

「あれ? いない……誰かが倒して行ったのか?」

 

「あぁ、チャールズなら……ついさっき、通りすがりのエリートトレーナーが倒していったぜ。無茶苦茶強かったな……」

 

「……サレナさんか」

 

 確かに彼女なら、そうなって当然だ。納得したコウキは、ルリと電話できる場所で電話をしたあと橋を歩いていく。

 

「おっと、ハネが落ちてた。回収しとこう」

 

 努力値を振れるハネを拾いながら、進んでいく。すると……コウキの記憶通り、元プラズマ団員が、現プラズマ団員に戻ってくるように言われていた。

 

「なあ、前みたいに楽しく人のポケモン奪おうや!!」

 

「それはダメだ、N様が悲しむ……そんなことはできない!!」

 

「改心しようとしたって、世間は冷たいだろ!? だから俺たちと一緒に、世界征服をしようや!!」

 

 その様子を見て、コウキが間に割って入る。

 

「強引な宗教勧誘とは、感心しないな」

 

「なに!? お前は確か……あ、ヴィオ様の言ってた危険因子だな!?」

 

「あなたが……?」

 

 コウキはそう言われて、ハッキリ答える。

 

「そうさ。だったらどうする、俺と戦うか?」

 

「お前、そんなこと言ってられるのも今のうちだぞ!! すぐにNなんて裏切り者より、ゲーチス様の方が素晴らしいって、思い知ることになるだろうよ!! じゃあな!!」

 

「おいッ!!」

 

 そこでヒュウが走ってきて、プラズマ団員を突き飛ばす。

 

「ヒュウ兄さん、来てたの?」

 

「あぁ……プラズマ団、話を聞かせろ」

 

「いってぇ……なんだお前!? あ、いかんいかん。ここで騒ぎを起こすなと、そう言われているんだ。お前の相手は今度……」

 

「へぇ。ゲーチスはここで騒ぎを起こされると、『困る』のね? いいことを聞いたわ」

 

 そこにやって来たのは、サレナだった。プラズマ団を、憎しみの籠った目つきで睨んでいる。

 

「くっ、邪魔者が三人も……今日は厄日だ!!」

 

「大人しく話せ、何があったかをな!!」

 

「ヘッ……誰が言うかよ!! ゴルバット、『そらをとぶ』だ!!」

 

 そう言ってプラズマ団員が、空を飛んで逃走を計る。しかし、そこでサレナがモンスターボールを出して言った。

 

「ファイアロー、『ブレイブバード』」

 

「えっ、ファイアロー……!?」

 

(フェアリータイプがある時点で、いるだろうとは思っていたが……この人、カロスのポケモンまで持ってるのか!?)

 

 ──ズギャアァァン!!

 

「なにっ!? うわぁぁぁぁっ!?」

 

 プラズマ団が叩き落とされて、空から落ちる。

 

「い、いてぇ……骨が折れた……!!」

 

「逃げようとするからよ。答えなさい、ゲーチスは何を企んでいるの?」

 

「い、言えるわけないだろ……言ったら、氷漬けにされちまう……」

 

 そう言ったプラズマ団員に、サレナは冷たい視線を向ける。

 

「そう。それなら……オノノクス。そいつを踏みつけなさい」

 

「お、おい!? 流石にやりすぎだろ!!」

 

「黙れ。こんな腐れ外道共には、これくらいして当然よ」

 

 余りに苛烈なサレナの憎しみ。同じくプラズマ団を憎むヒュウですら、流石に止めに入っている。オノノクスはその命令に従って、プラズマ団に歩いていく。

 

「ッ、マリルリ!! オノノクスを止めろ!!」

 

「マッリィィ!!」

 

「お前も、私の邪魔をするつもり……?」

 

 コウキはサレナを説得する。とりあえず、このままにはしておけないから。

 

「流石にやりすぎです、あとは警察の人達に任せましょう。こいつらのやりたいことは……僕が教えますから」

 

「バカめ、機密事項を知ってるわけがない……!!」

 

「知ってるさ。お前らの計画はキュレムを利用しての、イッシュ地方の凍結だ」

 

 それを聞いて、その場の全員が驚愕する。

 

「な、何故それを……!?」

 

「イッシュ地方の凍結……ゲーチス様はそんなことを企んでいるのか!?」

 

「それなら、プラズマ団がここで何をする気なのかも知ってる?」

 

 そう尋ねられて、コウキは答える。

 

「プラズマ団は『いでんしのくさび』を探している。キュレムの真の力を引き出すアイテム……そのために、ここに来たんだ」

 

「そんなことまで……貴様、一体何者だ!?」

 

「お前らに教えてやる義理はない」

 

 サレナはそれを聞いて、納得したようだ。

 

「……遺伝子の楔。それを奴らより先に手に入れれば、奴らの計画は……!!」

 

「あ、サレナさん……行っちゃったよ」

 

「おい、教えろ!! ヒオウギで奪ったチョロネコはどこだ!?」

 

 そう聞かれても、この男は本当に知らない様子だった。

 

「お、俺は知らない……その作戦には、参加してないからな」

 

「くそっ、またダメか……コウキ、何か知らないか!?」

 

(教えるべきかな? しかし今教えたところで、余計な焦りや暴走を招くだけかもな……)

 

 そう考えて、コウキはわざと知らないふりをした。

 

「ごめん、俺も分からない。誰が今持ってるのかまでは……」

 

「そうか……わかった。あとは警察に任せる、俺は鍛えてくるッ!!」

 

「くっ、ゲーチス様、ヴィオ様……申し訳ありません!!」

 

 プラズマ団員が連行されていき、元団員が申し訳なさそうに言う。

 

「……すみません、私の元仲間がご迷惑をおかけしました。あいつ、元々は同じ団員で友達だったんですよ」

 

「すみません。目の前で物騒なことが起きちゃいましたね」

 

「いいえ、構いませんよ。そうだ、私たちの家で詳しい話が聞けますから、よかったら来てください」

 

 そう言って、元団員は去っていった。コウキはそれについて行くことにした。

 

「……行かないと、ストーリーも進まないだろうしな。行ってみよう」

 

 そこに行くと……やはり、コウキの知っている人がいた。元プラズマ団七賢人、ロットだ。

 

「あ、ロット様! ほら、来ましたよ!!」

 

「ほう、プラズマ団に興味があるのか……」

 

「私達のことを知っている様子で、悪印象はない様子でした」

 

 そう言われて、ロットがコウキに言う。

 

「お客人。悪いが、ここに入るならあなたという人物が、どのようなトレーナーか見せてもらいたい。そう、ポケモン勝負でな」

 

「わかりました、喜んで」

 

「では!! 行け、ハーデリア!!」

 

「ワウーン!!」

 

 それに対して、コウキはシンボラーを繰り出す。

 

「頼むぜ、シンボラー!!」

 

「ボラァァァッ!!」

 

(特性いかくは敵の攻撃を下げる。特攻は下がらないから、シンボラーなら無視していける!!)

 

 ロットは早速、ハーデリアに指示を出す。

 

「ハーデリア、『かみくだく』!!」

 

 ──ガキィィン!!

 

「シンボラー、後退しながら『さいみんじゅつ』だ!!」

 

「ボラァァァァ!!」

 

 怪しい波動がハーデリアに向かっていく。しかしロットも元プラズマ団幹部。簡単にはやられてくれない。

 

「ハーデリア、目を瞑れ!!」

 

「それは読んでた!! シンボラー、急降下して『エアカッター』だ!!」

 

「なにっ!?」

 

 空を飛ぶシンボラーに飛びかかったハーデリアを見て、コウキが指示を出す。ハーデリアの牙が空を切り……そこに、シンボラーのエアカッターが飛んでくる。

 

「ボォラァァァ!!」

 

 ──ズギャギャギャッ!!

 

「キャウゥン!?」

 

「今だ、シンボラー!! 『サイケこうせん』で追撃!!」

 

「シィィィィ!!」

 

 ──ジュドドドドッ!!

 

 エアカッターとサイケこうせんを受けたハーデリアは、地面に落下して倒れた。

 

「キャウゥゥン……」

 

「いいぞ、シンボラー!!」

 

「やるな……だが、まだだ!! 行け、ココロモリ!!」

 

 ロットがココロモリを繰り出す。そこでコウキは、シンボラーを戻す。

 

「ギューアーアーギュアーッ!!」

 

「マリルリ、頼むぜ!!」

 

「ルリィィ!!」

 

 空中戦を今のシンボラーにさせるのは酷。そう考えて、コウキはマリルリに任せることにした。

 

「ココロモリ、『エアカッター』!!」

 

「ギュアァーッ!!」

 

 ──ブァァァァァッ!!

 

「『とびはねる』で避けろ、マリルリ!!」

 

「マリッ!!」

 

 飛び跳ねて、エアカッターが空を切る。しかしココロモリも飛行タイプ、それで諦めるロットではない。

 

「甘い!! ココロモリ、もう一度『エアカッター』!!」

 

「『アクアテール』で弾け!!」

 

「マッリィィ!!」

 

 エアカッターを全て弾き飛ばしたマリルリが、ココロモリに落下していく。そこでロットが命令する。

 

「今だ!! ココロモリ、マリルリに『ハートスタンプ』!!」

 

「ギュアァァァ!!」

 

「それを待っていた!! マリルリ、ココロモリの頭を掴んで後ろに回れ!!」

 

「なっ……!? 外れた!?」

 

 そこでココロモリは、マリルリの後ろに回る。ハートスタンプが外れて、ココロモリに大きな隙ができる。コウキはその隙を逃さない。

 

「マリルリ!! 『アクアテール』!!」

 

「マァリィィィ!!」

 

 ──ドバァァァァン!!

 

「ギュアッ……!!」

 

 水の塊を叩きつけられて、為す術なくココロモリが落ちていく。そこでコウキが、追撃の命令をした。

 

「今だ、マリルリ!! 『じゃれつく』!!」

 

「マッリィィィ!!」

 

 ──ドガガガガッ!!

 

「ギュア、ア……」

 

 ココロモリがじゃれつくを受けて、倒れる。二人の勝利だ。

 

「ありがとう、マリルリ!!」

 

「マリッ!!」

 

「……素晴らしい。ポケモンと心が通じあっているな」

 

 そう言われて、コウキは賞金を受け取ってお礼を言う。

 

「ありがとうございます」

 

「申し訳ない、試すような真似をして悪かった。元プラズマ団ということで、色々あるのだよ……」

 

「構いませんよ、いい戦いでした」

 

 そこに、ヒュウがやって来る。

 

「コウキ!! ここで何やってるんだ?」

 

「あぁ、この人達から話を聞こうと思ってな」

 

「ご友人? それではご一緒に」

 

 そう言われたヒュウは複雑な表情をしている。

 

「……ヒュウ兄さん、一緒に行かない?」

 

「あぁ……行くよ」

 

「さて、実際に見てみると……ポケモンがいっぱいだな」

 

 行く場所のないポケモンの居場所。元プラズマ団達の家。

 

「改めて名乗らせてもらおう、私の名前はロットだ」

 

「……アンタらも、プラズマ団だよな? さっきのプラズマ団と何が違うか教えろよ」

 

「正確に言うなら、元プラズマ団だ。二年前の件をきっかけに、罪滅ぼしとして持ち主と離れ離れになったポケモンの世話をしている。で、お前は?」

 

 ヒュウは相変わらず、ロットを睨んでいる。されたことを考えれば、当然だろう。

 

「俺はヒュウ、ヒオウギシティのヒュウ。昔お前らに、妹の大事なポケモンを奪われた、情けないトレーナーだよ……何が離れ離れだ、そうしたのはお前らだろッ!!」

 

「そうであったか……誠に申し訳ない」

 

「謝るだけかッ!? それで、終わりなのかよッ!! 妹のポケモンは!? チョロネコだよ、チョロネコは?」

 

 そう言われて、ロットが申し訳なさそうに言う。

 

「お前の言うポケモンは、ここにはいない……恐らくだが、今もプラズマ団に扱き使われているのだろう。そして、お前の言う通り……謝ってもなにも解決しない」

 

「ロットさん……」

 

「だが、罪を認め謝らねば、前に進めないのだ……すまない」

 

「もういいッ!! 謝られても妹のポケモン、ここにいないんだろッ!!」

 

 ヒュウが俯いて、コウキに言った。

 

「コウキ、俺はポケモンジムに行く。もっと強くなって、プラズマ団を全員やっつけるッ!!」

 

「……プラズマ団は、彼のようなトレーナーを……改めて悔やむ……なんと愚かであったか。コウキ、ご覧の通りだ。私にできるお礼などない」

 

「いいですよ、お礼なんて……」

 

「いや、むしろ……代わりに頼みを聞いて欲しい。このポケモンの……ゾロアの面倒を見てくれぬか?」

 

 ロットの隣にいるゾロア。Nの残していった、ゾロアだ。コウキはそれを快諾した。

 

「喜んでお引き受けします」

 

「おお、よろしく頼む!!」

 

「きゅあっ!!」

 

 ゾロアはコウキを一目見て、尻尾を振る。それを見て、ロットは驚いている様子だ。

 

「おぉ、N様のゾロアがすぐに心を開くとは……やはり、あなたは素晴らしいトレーナーのようだ」

 

「ゾロア、今日からよろしくな?」

 

「きゅあぁー!!」

 

 ゾロアをボールに戻して、ロットが尋ねる。

 

「お前はこれからどうする?」

 

「プラズマ団は僕が止めます。そしてジムを制覇して、チャンピオンになりますよ」

 

「そうか……彼女を思い出すな。理想の竜に英雄と認められ、N様とゲーチス様を倒した彼女を……」

 

 トウコに似ている。アデクにも言われたことだ。

 

「よく言われます」

 

「頼んだぞ、コウキ。無力な我らの代わりに……」

 

「任せてくださいよ」

 

 託されたものを胸に、コウキは元プラズマ団の家を出る。

 

「さてと……ジムに挑みに行くか」

 

 コウキはこうしてゾロアをもらって、ホドモエジムへと向かっていったのだった。




次回、VSヤーコン。
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