僕は魔法少女でそして… 作:くるみ割り人形
もし目に留まったなら1度で良いので読んでみてください。
「彼女だけでは荷が重すぎたんだ」
白い獣の姿をした何かはそう言った。
「そんな…あんまりだよ…こんなのってないよ…!」
ここはなんなんだ?
「諦めたらそこまでだ。でも君なら運命を変えられる、避けようのない滅びも嘆きもすべて君が覆せばいい。そのための力が君には備わっているんだから」
「本当…なの…?」
「◆◆◆◆●●●‼︎‼︎」
傷を負い化物と対峙している少女はこちらに何かを叫んでいる。
なんで建物が浮いているんだ
なんなんだあの化物は…なんであの子は戦っているんだ?
「もちろんさ、だから…僕と契約して魔法少女になってよ!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ピピピ‼︎ ピピピ‼︎ ピピピ‼︎
カチッ
「んあ?」
「…夢?」
おかしな夢だなと思いながら大きなあくびをする。
「ふあぁぁぁぁ〜」
ベットから出て、シャワーを浴び、朝食を食べ、歯を磨き、制服に着替え学校へ向かう。
なんら変わらない1日がまた始まる。
僕こと結城ハルカは最近中学2年生になった。
1年生の時よりかは少しは今までの日常が変わるだろうと思っていた時期が僕にもあった。
現実では、1年生の時とあまり変わらなかった。
しいて言うなら、歳が1つ上になりクラスが変わったぐらいだ。
入学してからあまり経っていない頃は、女子の様な名前をいじられていたが、今は皆から興味すら無くなっていた。
授業も、内容が変わるだけでやり方は変わらないし、つまらない。
「…はあぁぁぁ…」
ため息も出るくらいだ。
サァァァ
風が吹くと、花びらが目の前を飛んで行く。
桜が綺麗に咲いており、自然と目線が下から上を向く。
「今日こそ何か起こればいいなあ」
そんなことを口にしながら学校へ向かう。
◆ ◆ ◆ ◆
「…つまんないなぁ…」
つい独り言を発してしまった。
今このホームルームに対してもあるが、自分の人生に対してもだ。
…まぁ、後者の場合は常日頃思っているのだが…
彼女も趣味も無いし、友達もあまり多くなく、好きな事とかもあまり無い。
しいて言うなら、本屋で立ち読みしたり、毎日そこらを散歩するぐらいしか無い。
「女子の皆さんはくれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないこと‼︎」
「先生の話し長いんだよなあ…」
交際中の彼氏の愚痴をもうちょっと減らすか短くしてくれと願う。
て言うか、昨日まで惚気てたじゃんか。
「ダメだったか〜」
「ダメだったね〜」
女子ももう呆れてるよ…。
「そして!男子の皆さんは絶対に卵の焼き加減にケチを付けるような大人にならないこと!!」
「はあぁ…」
別に目玉焼きにケチなんか付けないと思う。
だってケチ付けたら面倒くさいことに絶対なると思いながら先生の話しに呆れる。
「はいっ、あとそれから今日は皆さんに転校生を紹介しますっ」
何かついでの様な言い方だ。
転校生の紹介の方が大事なんじゃ…
「じゃあ明美さん、いらっしゃい♪」
ガラッ
コツッコツッコツッコツッ
「おぉ」
思わず声が出る。
転校生が扉を開け、入ってきた。
歩くたび、ロングストレートの黒髪が少し揺れ、目は少しキリッとしており、綺麗な顔をしている。
誰が見ても美人だと思うだろう。
でも何か…どこかで見た気が…。
その時、今日見た夢がフラッシュバックした。
「うそ…だろ…」
あの子だ、あの化物と傷を負いながらも必死で戦っていたあの子に似ている。
同一人物と言ってもいいくらいに。
「はいっ、それじゃあ自己紹介いってみよう」
「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
『………』
「…へ?…終わり?」
まずい、あまりにも短すぎて思わず声が出てしまった。
こういう口にすぐ出る癖をどうにか治したい。
「……」
やばい、こっちを睨みつけている。
パチパチパチパチパチパチ
とりあえず、クラスに合わせて拍手をする。
「……」
「…え?」
今度は違う人を睨みつけている。
目線の先に居るのは、桃色の髪をツインテールに結ぶ女の子。
あの子は確か…鹿目…まどかさんだったか。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「暁美さんって前はどこの学校だったの?」
「東京のミッション系の学校よ」
「前は部活とかやってた?
運動系?文化系?」
「やってなかったわ」
「すごい綺麗な髪だよね〜、シャンプーは何使っているの?」
「」
「」
クラスの女子達に質問攻めされている。
あれぞ転校生にとっての最初の行事だと思う。
「ごめんなさい、何だか緊張しすぎたみたいでちょっと気分が…保健室に行かせてもらえるかしら」
「え?あ、じゃあ私が案内してあげる」
「あたしも行く行く」
暁美さんどうしたのだろうか…しかし、どうやって夢の事を話すものか…
「お構いなく。係の人にお願いしますから」
鹿目さんのところへ歩いて行く。
「?」
「鹿目まどかさん、貴方がこのクラスの保険係よね?」
「へ?えっと…あの…」
「連れてってもらえる?保健室」
タイミングは…今か?
「ま、待って…その、聞きたいことがあって…歩きながらでもいいから、話しをしたいんだけど…」
「え?」
鹿目さんは動揺した様子でこちらを見つめる。
「別に構わないわ」
意外にも大丈夫そうだ。
暁美さん本人が言うのだから。
「別に大丈夫だけど…じゃあ…行こっか…」
僕は2人の後ろをついて行き、保健室へ向かった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
コツッコツッコツッコツッ
保健室に向かう途中、鹿目さんが道を案内する必要がない様に見える。
暁美さんが前を歩いているし、保健室まで行く道に迷いがない。
「あ、あの、その…私がどうして保険係って…」
「……早乙女先生から聞いたの」
「あっ、そうなんだ…えっと保健室は…あぁ」
「こっちよね?」
スッ
コツッコツッ
「え?あ、そうなんだけど…」
鹿目さんが案内する前に道を曲がる。
絶対に道を知っていると思う。
もしかして覚えてる自慢か何かなのか?
いや…それは無いだろう。
「もしかして、場所知ってるのかなあって…」
「……」
「……」
会話が無くなりつつある。
この空気はキツイものがある。
まあでも、聞くのはこのタイミングかもしれないな。
『あの、暁美さん…あ』
タイミングが鹿目さんと被ってしまった。
「…ほむらでいいわ…」
「えっと、じゃあ…ほむら?」
「ほむらちゃん?」
「何かしら?」
「…鹿目さんからどうぞ」
「あ、うん、えっと…変わった名前だよね?」
それを聞く?言い方がちょっと…ダメな気がする。
「……」
「いや、だから…あのね?変な意味じゃなくてね?その…か、かっこいいな〜なんて」
「……」
「ほ、ほむら…あの…僕が聞きたいことって言うのは…その…どこかで見たって言うか、会ったって言うか…その…そういう事ってなかったっけ…?」
「え?」
鹿目さんが目を丸くしている。
あぁまずい、変な聞き方をしたせいで、変に見られてしまったに違いない…
「ハルカ君もそう思うの?」
「え?鹿目さんも?」
まさか、こんな事があるとは。
そういえば、鹿目さんもその場にいたぞ。
て言うか、話しをしたことって有るか無いかの程なのに、名前を覚えてくれてるとは。
「さあ、知らないわ」
「そう…だよね…」
わかりきった答えを聞いてどうするんだ…
「…少し外れてくれるかしら?
鹿目まどかさんとお話しがあるの」
「あ、うん…わかった」
やはり、邪魔だったか。
僕は気まずい気持ちを必死に抑え、その場を後にした。