僕は魔法少女でそして… 作:くるみ割り人形
僕たちは人気のない場所を歩いていた。
マミさんは、手にソウルジェムを持っており、それは淡い光を放っている。
「これが魔力の痕跡、昨日の魔女が残していたものよ。基本的に魔女探しは足頼みだから、こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を探っていくってわけなの」
「意外と地味ですし、光はあんまり変わらないっすねぇ」
「取り逃がしてから一晩経っちゃったから、足取りも薄くなっているわね」
一晩でこう変わってしまうのか。
結構難しいものなのだな。
「あの時…すぐ追いかけてたら…」
「仕留められたかもしれないけど、貴方達を放って置いてまで優先するべきじゃなかったわ」
本当にヒーローの様な人だ。
「ごめんなさい」
「良いのよ。それに、まどかちゃんにあの後すぐ何かあると思っていたもの。私がそうするって決めたのよ。だから大丈夫。」
カッコいい。
誰だって憧れる存在に違いないだろう。
いや、そうに決まってる。
「うん、マミさんはやっぱ正義の味方だ!
それに引き換え、あの転校生、マジでムカつくなぁ」
「本当に悪い子なのかな…」
「何か…事情がある感じだったけど…どうなんだろ…」
昼休みの彼女の表情を見るに、何かある事は確実なはずだ。
しかし、僕にそれを想像するには少々力不足だ。
◆ ◆ ◆ ◆
交通事故や傷害事件、自殺が起こり得る場所には魔女の呪いの影響が多い。
また、病院などにも巣食うこともあり、身体や精神が弱まっている者から生命力を吸い取り、目も当てられない事になってしまう。
なので、こういった場所を優先的に調べる必要があるのだ。
現在、僕らの歩くこの場所は、傷害や自殺が起こりそうな程、静かで人がほとんど居ない。
あと数十分もすれば空が茜色に変わる頃、ソウルジェムが一際目立つ程の光を放つ。
「間違いない、ここよ」
マミさんは立ち止まり、建物を見つめる。
見ると、4階建ての駐車場のようだ。
「あれは…」
屋上に人が立っていた。
見た感じで女性であると分かるが、様子がおかしく、一歩でも前に行くと落ちそうな場所に居る。
「マミさん、あれ!」
タッ
さやかが声を出した瞬間、あの女性が飛び降りた。
「じ、自殺だ」
「うわぁぁぁ!」
「はぁっ!!」
フッフォサァァァッ
マミさんがソウルジェムを手に、前にかざすと、中から無数のリボンが落ちる女性の真下に集まりクッションの役割を担う。
そのまま女性はリボンの海に沈み込み横たわる。
幸い、怪我はようだ。
「魔女の口付け、やっぱりね」
マミさんは女性の首元に手を近付け、そう言った。
見ると、妙な模様が刻み込まれている。
「う、この人は…」
「大丈夫、気を失っているだけ。行くわよ」
マミさんは女性を抱え、敷地の端に運ぶと、駐車場の中へ進む。
僕たちはついて行く。
中に入って少しすると、魔女に襲われたあの時と似た感覚を感じる。
魔女の結界に入ったのだと理解した。
振り返ると入り口は消えており、後戻りは出来そうにない。
気を引き締め、足を前へと進めた。