僕は魔法少女でそして…   作:くるみ割り人形

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初陣

 

中に入って少しした頃、周りには化物が集まって来た。

見た目は、蝶の中心から茎のように伸びる胴体、先端には胞子と思わせる、モコモコとした頭が付いている。

また、ヨーロッパのジェントルマンの髭が生えていて、手には槍の様な物をもっている。

今にも襲って来る様子だ。

 

「行くわよ!」

 

 キラッ

 

マミさんがソウルジェムをかざすと光に包まれる。

そして、服装も変わる。

中世ヨーロッパを思わせる、膝下まで長いブーツ、黄色に黒い生地が下に見えるミニスカートを履く。

胴は、ブラウンで真ん中に黄色い線が見えるコルセット、白くピチッとしたアーマー、その襟元に黄色いリボンを付けている。

そして頭にトーク帽を被る。

纏っていた光が消え、魔法少女に変身した。

 

「今度こそ逃がさないわよ!」

 

 ファサァァァ

 キュッ

 

 

リボンを出し、周りにいた化物を縛り上げる。

 

 ババババババババッ

 

そして、リボンを変形し作ったとは思えないほどの見事な出来の白いマスケット銃を撃ち放つ。

そして跡形もなく消滅した。

 

「す、凄い」

 

「うおぉ」

 

「カッコいい!」

 

「ふぅ…」

 

まず一仕事という感じでマミさんは息を吐く。

 

「い…今のも魔女…なんですか?」

 

そんな彼女に質問する。

 

「いいえ、今のは魔女の手下。本丸はここの最奥にいるわ。あ、それから…えいっ」

 

 シャラッ

 

マミさんが、今度はこちらに手をかざすと、さやかの持つバットと僕の持つバールにリボンが巻き付く。

バットは一回り大きくなり宝石のような装飾が施された。

バールは曲がった部分が真っ直ぐになり、少し伸び、持ち手、鍔、刃が形成され、剣が出来る。

どちらも白が基調とされ、持ち手を握るとリボンが2本、手を守るように包んでいる。

 

「おぉ」

 

「凄ぇ」

 

「気休めだけど、これで身を守る程度には役に立つわ。それと、絶対に私の側を離れないでね」

 

「「「はい」」」

 

僕たちは再び、奥へ進む。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

奥に進んでいると、再び手下とエンカウントする。

マミさんは少し離れた所で手下の相手をしている。

マミさん曰く、

 

「貴方達も1度戦ってみましょう」

 

と。

 

 ブンッブンッ

 

「くんな、くんな!」

 

「うひいぃ」

 

さやかはバットを振り回し、近付けさせないようにしており、まどかはその後ろにいる。

僕はその横で手下と相対している。

 

 バッ

 

「くう…!」

 

 ザシュゥゥ

 

「うぅ…うーん…」

 

飛び込んで来た瞬間、剣を振り下ろす。

包丁で切るのと同じだと思っていたが、それとは感触が違う。

相手が異形というのも相まって、気味の悪い感触と少しの快感が伝わる。

 

「いいじゃない、ハルカ君」

 

「こっちだって…そぉりゃぁ!」

 

 バコォッ

 

「わーお」

 

近付いて来た手下を、さやかはフルスイングで殴り飛ばす。

ボール相手ならホームランを狙えそうだ。

 

「どう、怖い?」

 

 バッバババッ

 

マミさんは四方の手下を難なく蹴散らしながら聞く。

 

「どおってこと…ふん!

 ねえって!」

 

 ボコォッ

 

「大…ふっ!

…大丈夫‥です」

 

 ズシャァァ

 

最後の一体を斬り倒し、答える。

手下相手なら、なんとかなりそうだ。

 

「ちょっと、怖いけど…」

 

「頑張って。もうすぐ結界の最深部だ」

 

まどかを気遣いながら、キュウベエは教えてくれた。

もうすぐ魔女のもとに着く、気を引き締めなければいけない。

そして奥へと足を進める。

その先に、自分より何倍もの高さのある扉が見える。

それを視認した直後、扉が開いた。

その先は、屋敷の庭園の様な場所が広がり、辺りには先ほどの手下が飛んでいたり、歩いていたりと、自由にしている様だ。

中心には、おそらく魔女本人と思われる存在が居ており、禍々しい空気を感じた。

 

「見て、あれが魔女よ」

 

「うえ、グロい…」

 

手下を幼虫と見立てると、あの魔女は成虫と見える。

手下よりも2回り程大きく、頭と思われる部分は花がドロドロに溶けた様であり、目が幾つも付いている。

見てるだけで不安になるような姿だ。

 

「えぇ…キモい…」

 

「あんなのと戦うんですか?」

 

「大丈夫、負けるもんですか。下がってて」

 

 ダッ

 

マミさんは楽園の様で地獄のこの場所へ飛び込み、着地する。

直後、手下共が集まる。

 

「マミさん、頑張ってください!」

 

「もちろん。未来の後輩に、あんまりカッコ悪いところ、見せられないものね」

 

バッババッバババッ

 

マミさんは四方どころか八方から襲い来る手下に怯まず、蹂躙している。

まるでバレエの様であり、

 

「綺麗…」

 

思わず声が出てしまう。

いつのまにか、残りは魔女だけになっていた。

 

「追い詰めたつもりかもしれないけど、惜しかったわね。とどめよ!」

 

跳躍し、無数のリボンを出して、形を成形させる。

見た目はマスケット銃だが、大きさは人の5倍程ある。

言うなれば、大砲だ。

それを抱え、トリガーを握りこう叫ぶ。

 

「ティロ・フィナーレ!」

 

 ドンッ…ゴバアァァ…

 

着弾と同時に爆発する。

凄い破壊力だ。

魔女はそれを食らい消し飛んだ。

それと同時に結界が消滅し、元の駐車場へと戻る。

 

「戻っ…た?」

 

「か、勝ったの?」

 

「凄ーい!」

 

 コツッ

 

すると、上から何か降ってきた。

マミさんはそれを拾い上げる。

見ると、黒く、濃い灰色が模様を描いている。

 

「それって…」

 

「グリーフシード。魔女の卵よ」

 

「た、卵って…」

 

まどかはそれが卵だと知り、さやかの後ろに隠れる。

 

「運が良ければ時々、魔女が持ち歩いている事があるの」

 

「大丈夫。その状態では安全だよ。むしろ役に立つ物さ」

 

「私のソウルジェム、昨日より少し色が濁ってるでしょ?」

 

見ると確かに、中が少し黒く濁って見える。

 

「確かに…」

 

「でも、これを使えば…ほら、綺麗になったでしょ?」

 

ソウルジェムを取り出し、グリーフシードを付け合わせる。

すると、ソウルジェムの中から黒いモヤがグリーフシードへ取り込まれる。

 

「これが魔女を倒した見返り。減った私の魔力も元通りになるってわけ。‥あと1度くらいは使えるはずだから、貴方に譲るわ。暁美ほむらさん」

 

振り返りながらそう言うマミさんの後方、少し離れた所に、ほむらが立っていた。

その言葉には、協力しようという裏付けが感じられる。

 

「それとも、人と分け合うのは不服かしら?」

 

「それは貴方の獲物よ。貴方だけの物にすれば良いわ」

 

「そう…それが答えなのね」

 

そう言い終わると、ほむらは音も無くその場から消え失せた。

 

「くぅぁっ、やっぱ感じ悪いヤツぅ」

 

「ほむらは…1人の方がいいのかな…」

 

「仲良く出来れば良いのにね」

 

「お互いに、そう思えば…ね」

 

戦いが終わり、緊張が解ける頃。

辺りはもうすでに暗くなっており、先ほどの奇妙な空気は元から無かったかの様であった。

その後、先ほどの女性のもとへ戻る。

首元の印は無くなっていた。

 

「あれ、ここは…あぁ…私っ、なんであんな事をぉっ…」

 

「大丈夫、もう大丈夫です。ちょっと悪い夢を見ていただけですよ」

 

マミさんは肩に腕を回し手を握る。

アフターケア、というのも欠かさない様子だ。

 

「やっぱり…凄いなぁ…」

 

「ま、とりあえずは一件落着って感じかな」

 

「うん、そうだね」

 

これで、この濃密な1日が終わった。

皆、それぞれの家に帰り就寝する。

そして、僕はまた明日も今日の様に退屈しない日になる事を願う。

その願いは、確定された未来となって夜の中へ溶けていった。

 

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