僕は魔法少女でそして… 作:くるみ割り人形
彼女はリボンを器用に操り…辺りを一掃する。
目の前がひらけると、周りにいた化物達は綺麗さっぱりいなくなっていた。
「す、凄い…!」
「戻った?!」
「かっこ…いい…!」
彼女は宝石にリボンを収納すると天井付近を見上げる。
「…魔女は逃げたわ。今回は貴方に譲るから、仕留めたければ直ぐに追いかけなさい」
目線の先には…ほむらが鉄筋の上に立っている。
もう追いついたのか…
「私に用があるのは…」
「ひっ…」
こちらを見下ろす。
まだ何かしようと言うのか…
「見かけによらず諦めが悪いのね、見逃してあげるって言ってるのよ」
彼女はほむらに劣らない…いや、勝る程の威圧感を放つ。
その対象でないとしても、こっちは震えそうだ。
「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」
「…」
スッ
ほむらはその場から音なく立ち去った。
あのほむらを退けたこの女性は、彼女と同等かそれ以上に強いのかもしれない。
「「「はふぅぅぅ」」」
僕たち3人は緊張から解放され安堵のため息を吐く。
「あの…助けてくれてありがとうございます」
真っ先にまどかがお礼を言った。
「気にしないでいいわよ、ちょうど通りかかっただけだから。ひとまず、その子を治さないとね」
そう言って彼女はその動物に手をかざす。
するとその身体が光りに包まれ…傷が治っていく。
これが…魔法って言うやつなのか…
「ふうぅぅ…ありがとう。助かったよ、マミ」
彼女はマミと言うのか…
それに、この動物は声も出せるのか…ますます不思議だ。
「お礼はこの子たちに、偶然通りかかっただけだから」
その動物は立ち上がり、こちらを向く。
「どうもありがとう、僕はキュウベエ」
「あなたが私を呼んだの?」
「そうだよ、鹿目まどか、そして美樹さやか……それと…君」
「どうして名前を知っているの?」
なぜ2人の名前を知っているのか…僕の名前だけ知らないのはよく分からないが、なんだか奇妙だ。
「君たちにお願いがあってね」
「お願い?」
「そう、それはね…僕と契約して魔法少女になって欲しいんだ」
「魔法…少女…?」
「そうさ、君たちには素質がある…僕の声が聞こえるからね」
「ま、待って…僕は?
僕も声が聞こえるのは…どうして…」
「あぁ、僕にもよく分からないんだ、それについては…まあ、でも君は魔法少女にはなれないと思うよ、君は女の子じゃないんだし」
「…そっか…」
少し残念な気持ちだ。
もしかしたら凄い力が貰えるんじゃないかと期待したが…やはり上手くはいかないものだ。
人生、そんな甘くない。
「一応、名前を聞かせてくれるかい?」
「僕は…結城ハルカ…です」
「そうか、なるほどね…で、どうするんだい?」
2人の方へ向き直す。
「…い、今は…まだ考えさせて欲しい…かな」
「あれ?
まどかはまだ良いの?
じゃあ、あたしももうちょい待って欲しいかも」
「そうかい?
じゃあ、ゆっくり考えてくれ」
「そうだっ、自己紹介がまだだったわね。私は巴マミ。良かったらこの後私のうちでお茶でもしながらお話なんてどうかしら?お近づきの印に」
巴さんはそう提案した。
「え?
良いんですか⁉︎」
さやかがいち早く反応する。
「…さやかちゃん…ちょっと遠慮したら…」
「まどか、人の好意は素直に受け取るのがいいと思うよ〜?」
「…じゃあ…行こうかな」
2人とも行くのか…それなら…
「その…叶うなら…僕も…行きたい…です」
「良しっ、じゃあ決まりね!」
巴さんは手を合わせて嬉しんでいる様だ。
…待って…これ…女性の家にお呼ばれ…てこと?
…今になって緊張で上手く歩けなさそうだ…