僕は魔法少女でそして… 作:くるみ割り人形
僕らは巴さん…でいいのか…に連れられ、あるマンションの一室に迎え入れられた。
天井は高く、中がとても広い。
「うわぁ…」
「素敵なお部屋ぁ…」
「ひ、広っ…」
「一人暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備も無いんだけど」
どうやら一人暮らしらしい。
…1人にしてはやたらと部屋が大きいと思うが…
「いや…とても…素敵だなと…思います」
「ふふっ、ありがとう。それじゃあ、お茶の準備をするわね。そこのテーブルでくつろいでおいて?」
「あ、はい」
と言われても、部屋が広いのと、初めての女性の部屋という事も重なって落ち着かない。
僕ら3人…主観としては特に僕…はソワソワしていると、巴さんが紅茶と一緒にケーキを持って来てくれた。
聞くと手作りだと言う。
「いたただきます…ん…むぐ、んぐ……ん!」
美味しい…
今まで食べた中で一番だと思う。
……最近…食べていなかったな…そういえば…
「巴さん!
すっごく美味しいです!」
「うんっめっちゃ美味っ」
「美味しい…」
「ふふっありがとう
それと、呼び方はマミで良いわよ?
それに、キュウベエに選ばれた以上、あなた達にとっても他人事じゃないもの。ある程度は説明するべきと思って」
確かに、いろいろと聞きたいことはある。
「うんうん、何でも聞いてくれたまえ〜」
「さやかちゃん、それ逆」
「ふふふっ」
美樹さんはいつもこうなのか…まぁよく言えばいつも明るいって事だが…
コトッ
マミさんはテーブルにアクセサリーの様な物を置いた。
「わぁ、綺麗…」
鹿目さんは興味深く見つめる。
僕と美樹さんも不思議そうに見つめる。
「これがソウルジェム。キュウベエに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。魔力の源でもあり、魔法少女である証でもあるの」
魔力…本当にファンタジーみたいだ…
「契約…って?」
「僕は君たちの願い事を何でも一つ叶えてあげることが出来る」
その場にいるキュウベエが答える。
「マジで?」
「願い事って?」
「なんだって構わないさ。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
そのチャンスが僕にも有ればどれ程良かったか…
「うぅわ…金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか?」
「さやかちゃん…最後のはちょっと…」
「ははっ」
…最後のは僕でもちょっと願いそうだ。
そう思うと僕は笑っていた…
「そして、それと引換に出来上がるのがソウルジェム。この石を手にした者は、魔女と戦う使命を課されるんだ」
「魔女って…さっきの…化物?」
「そうさ」
「…1つ…聞いて良い?
もし…僕が女の子だったら…魔法少女に…なれてた…?」
「うーん…難しい質問だね。君の場合、感情の起伏があまり無いように見えるね」
「感情が…関係してる…てこと…?」
「あぁ、感情の影響で強さとかが変わったりするんだ。あまり感情が無かったりすると、それほど強くはならないかもね。君自身も思うところがあるんじゃないかな?
自分の感情について」
「…」
たしかに…面倒くさいとも、面白いとも、悔しいとも、悲しいとも…
どれも、さほど思わない…
いつの頃からか、口から気持ちを溢れさせる様な癖は…
きっと…自分が無感情で無いと否定したいと思ったから…それが癖付いたのかもしれない…今更感が強いが、今までの事が分かった気がする…
「…そっか…女の子…だったとしても…駄目か…」
「そんなに気を落とさないで?
もしかしたら、私達魔法少女のサポートとか出来るかもしれないじゃない?
貴方ならきっと」
そう言われても…結構にところ、結果は変わらない…
…いくら願っても叶わないのなら……諦めるべきだ…
そして僕はもう1口、ケーキを口に運ぶ。