僕は魔法少女でそして… 作:くるみ割り人形
その日最後の授業、マミさんの声が頭に響く。
(今日、放課後に近くの喫茶店でお話しない?
昨日の事でね)
昨日の…事…
あぁ、しまった…あの後の話を聞いていなかった…
(あたしは良いですよ。まどかとハルカは?)
(私も大丈夫です)
(僕も、行き…ます)
後でもう一度聞くべきか…まどかなら答えてくれるかな…
(よし、じゃあ決まりね)
近くの喫茶店って言ったら…駅前のあそこか…
母さんと行った事…あったっけか…
◆ ◆ ◆ ◆
「ごめん、仁美。今日あたしら、ちょっとヤボ用あってさぁ」
「ごめんね?」
放課後、2人が仁美さんに話している。
僕は接点があまり無いので、横で突っ立っているところだ。
「あら、内緒事ですの?」
「あ、いや…」
そういえば、まだ誤解を解いていないままだった。
「あ、だから…僕たち…そういう関係じゃn」
「いいえ、分かっております。もう既にあなた方達ハレンチ軍団の間に割り込む余地など無いのですねぇ。羨ましいですわ」
「うぇ、いや、違うよ?」
なんか、まだ暴走気味な気がする。
「暁美さん、今日こそ帰りに喫茶店寄ろ!」
「今日もちょっと、急ぐ用事があって。ごめんなさい」
ほむらとクラスの女子が話しているが、会話は、僕らの耳に届く事はなかった。
結局、仁美さんの誤解は解けないまま、僕たちはひとまず、マミさんの教室へ向かった。
◆ ◆ ◆ ◆
「ねえ、まどか…昨日、マミさん、何て言ってたっけ…教えてくれる?」
マミさんの教室へ向かう途中、まどかに聞いてみる。
「ん?
あ、いいよ」
期待通り、答えてくれるみたいだ。
「えっとねぇ……」
マミさんとキュウベエが魔女や魔法少女について説明していたらしい。
ここからは、まどかとさやかから聞いた話だ。
ちなみに、昨日はここからの話をあまり聞いていない。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「願いから生まれるのが魔法少女だとするならば、魔女は呪いから生まれた存在だ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を撒き散らしてしまう」
「しかもその姿は普通の人には見えないから、タチが悪いの。不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみと言った災いの種を世界にもたらしているの。そのせいで、理由のはっきりしない自殺や他殺の事件は、かなりの確率で魔女が原因なのよ。形の無い悪意となって、内側から人間を蝕んでいくの」
「そ、そんなヤバい奴らいるのに、なんで誰もおかしいと思わないんだろ…」
さやかは少し怖がっている様子だ。
「魔女は常に結界、さっき君達が迷い込んだ場所の奥に隠れ潜んでいるからね。決して人前に姿を現さないのさ」
「結構危ないとこだったのよ?普通、アレに飲み込まれた人間は生きて帰れないから」
「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか…」
まどかは怯えながらも、尊敬の目を向ける。
「そう、命懸けよ。」だから貴方達も慎重に判断するべきよ。キュウベエに選ばれた貴方達には何でも願いを叶えるチャンスがあるけど、それは死と隣り合わせなのだから」
「ふえぇ…」
「うわぁ、迷うな…」
2人の頭は不安と葛藤渦巻いている。
「そこで提案なのなだけど、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
「「ええ?」」
「魔女との戦いがどんなものなのか、その目で見て確かめて見れば良いわ。その上で、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのか、じっくり考えてみるべきよ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「なるほど…そういう事だったからか……」
「分かってくれて嬉しいわ」
いつのまにか合流していたマミさんにも補足してもらいながら説明を受け、理解した。
「でも、貴方にもサポートとかを頼もうとしていたんだもの。多少なりともはお話は聞いて欲しかったわ」
「あ、えと…ごめんなさい…」
「ふふ、良いわよ。それじゃ、改めて向かいましょうか」
僕は罪悪感を感じながら、喫茶店へ行く皆について行った。
◆ ◆ ◆ ◆
喫茶店に着き、4人でテーブル席に座る。
僕の左にさやか、向かいにマミさん、その左にまどかが座る。
「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切って行きましょうか。準備は良い?」
マミさんは手を合わせ、早速切り出した。
どうやら、やる気満々みたいだ。
「準備になってるか分かんないけど、持ってきました。無いよりはマシだと思って。」
するとさやかは、木製バットを取り出す。
「ハルカ、あんたの分も持ってきたから。昨日話聞いてなさそうな雰囲気だったからさ、ほい」
「あ、ありがと」
今度はバールを取り出し、僕に手渡す。
「物置き部屋漁ったら置いてあってさぁ、良かった良かった。」
「まぁ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ」
「まどかは何持ってきた?」
次に、さやかはまどかに聞いた。
「えっと…私は…」
スッ
ペラッ
まどかは少し照れながらノートを取り出して中を広げた。
ノートには、なにやら衣装と思われるイラストが描かれていた。
「とりあえず、衣装だけでも考えておこっかなって」
「「あはははは」」
さやかとマミさんが笑い出した。
「こりゃ参った、あんたには負けるわwww。ほんと、まどからしいやwww」
「僕は良いと思うな…こういうの」
「うん、意気込みとしては十分ね。それじゃ、早速行きましょう」
そうして、僕たちは初めての魔女狩りに参加した。