お前を無責任保護者罪で逮捕する!   作:アルピ交通事務局

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お前を魔法少女勧誘罪で逮捕する!!
プロローグ


 俺の名前は上原純平(うえはらじゅんぺい)、自分で言うのもなんだがどちらかと言えば出来る人間だ。

 容姿はブサイクだ。人間性も割と酷い。しかし勉強は出来るし割としっかりとしており一万円札の人こと福沢諭吉でお馴染みの慶應義塾大学に入学し国家公務員総合職試験を受けて見事に一発合格し、官僚になった。小学生の頃に市役所の職員を将来の夢にしていたから出来た方、国防省の官僚になったのだからエリートと言ってもいいだろう。

 

「失礼します……お呼びでしょうか?」

 

 官僚になってから半年が経過した。仕事はまだまだ覚える事が沢山あるし責任を負う仕事ばかりだ。

 

「おぉ、来てくれたね……彼が上原純平くんです」

 

「……ほぉ……」

 

 上司に呼び出された。会議室に入れば上司は待っていたよと微笑み1人の中年男性に声をかけた。

 中年男性は俺の事をまじまじと見ている…………………この男性、何処かで見たことがある……芸能人、政治家、ゲームやアニメのキャラ……なんだ?……何処かで見たことがあるが思い出せない。

 

「珍しいやないか……原種の日本人なんて……」

 

「……………………この人は?」

 

「この人はみんなご存じ、えべっさんだ」

 

 俺を見て大変興味深そうにしている中年男性。

 この人について何処かで見たことがあるが思い出すことが出来ないなと思いこの人が何者なのかを上司に聞いた。上司はみんなご存じえべっさんと言った。みんなご存じと言われても……いや、どちらかと言えば流行に疎い俺だから知らないだけで、物凄く有名な人か?俺も何処かで見たことがある顔だなと思っているし。

 

「ああ、すまんな。儂は恵比寿や」

 

「恵比寿……恵比寿……あ!七福神の恵比寿!」

 

 何処かで見たことがある顔だなと必死になって思い出そうとすれば中年男性が名を名乗った。

 えべっさんと言われてもピンと来ないが恵比寿と言われてピンと鍛えている。富や寿命などの福を授けてくれる七福神の恵比寿にこの人は瓜二つだ。ビールの恵比寿や人形の恵比寿、全員がイメージしている少しふっくらとした感じの富を築き上げましたとなる恵比寿に瓜二つだ。

 

「えべっさんを呼び捨てなんて」

 

「いやいや、ええねん。知ってくれてるだけでもありがたいんやから」

 

「……………………で、何者なのですか?」

 

「自分、言うたやん。七福神の恵比寿って」

 

 恵比寿だと言えば呼び捨て扱いで慌てふためく上司。

 恵比寿顔の人はそれは特に怒ることではないとしており……何者なのかが分からないので再度聞いたら、恵比寿顔の人は返す。俺が言ったと。七福神の恵比寿と。

 

「…………あ、恵比寿関係の神社の人ですか?」

 

 探せば結構見つかる恵比寿関係の神社の人なのか、と考えに至った。

 耳が福耳だから縁起が良いとかそういうのがあるし、この顔ならばそれだけでオーラとか後光とかそういうのを感じる。

 

「いやいや、ちゃうねん。儂、ホンマもんの恵比寿やねん」

 

「………………?」

 

「だから言うたやん!こないなやり方よりも手から霊気とか出した方が信頼出来るって!!」

 

 本物の恵比寿と言われてもどういう事だ?となった。恵比寿顔の人は上司の人に対して文句を言っている。

 上司の人は申し訳ありませんと頭を下げた。

 

「上原はどうですか?」

 

「原種の日本人っちゅうレア物見せられたら、そら合格やわ。魂もしっかりとしとるし安心出来るわ」

 

「そうですか」

 

「あの……話が全然飲み込めないのですが……」

 

「上原、明日から来なくていいから」

 

「は!?…………すみません!ちゃんと説明してください!場合によっては不当解雇だなんだで色々と弁護士を」

 

「お前もうちょい言葉選べや……ホンマに役所の奴等は……まぁ、ええわ。儂がキッチリと説明したるわ」

 

 いきなり上司に来なくていいと言われた。

 権力争いとかそういう感じの醜いもので負けたとかそういうのでなくいきなり来なくていいと言われた。

 あまりにも不当な解雇通知なので俺は場合によっては弁護士を立てたりしようと抗議をするのだが、恵比寿顔の人は上司に対して青筋を立てた後に1枚のお札を取り出した。如何にも陰陽師が使っていそうなお札で……俺と恵比寿顔の男の間に野球のボールサイズの水の球が出現した。

 

「え……」

 

「儂はこれでも海の神様でもあるから水属性やねん……」

 

「……まさか……貴方はホントに恵比寿なのですか?」

 

「せや……やっぱこっちの方が信じてくれる……漫画とかゲームとかってホンマに大事やな……」

 

 水の球が出現したのでまさかと思い聞いてみれば恵比寿顔の人は恵比寿顔の人でなく恵比寿だった。

 恵比寿顔の人改めて恵比寿はお札を懐に入れた……自分が七福神の恵比寿であることを証明する為に不思議な事をすれば納得する。

 

「その、失礼な態度を取ってしまって」

 

「ええ、ええ、そう言うのええ。上司に対して多少の暴言吐けてホンマに大事な時に顔を立ててくれたらそれでええねん。あ、でも出来れば様は頼むわ。威厳は欲しいから」

 

 恵比寿、いや、恵比寿様に失礼な態度をとってしまったことを謝る。

 しかし……なんというか関西人独特の雰囲気を出している……様をつけてくれと言っているのがなんとも言えないな。

 

「あの、神様が何故?……俺は神学系の学校とかそういうのに通っていませんし神主とかじゃないですが?」

 

「……儂が恵比寿や今見せたので魔法みたいなのが実際にあんの認知出来たか?」

 

「……飲み込めました……元々その手の存在は信じているタイプですし……」

 

「なら話は簡単……と言いたいんやがな……」

 

「……魔法使い、ではなく陰陽師がスカウトに来た?」

 

「合っとるっちゃ合っとるけど、ちょい惜しいねんな……」

 

 神社の宗教の人間、巫女や神主ではない。実家が神社や寺でもない。

 先ほどお札を経由して水を操る姿を見せられたので俺の中にあるゲームや漫画の知識からして魔法使い、となったが日本なので陰陽師がスカウトにやってきたと考えた。あまりにも突拍子もない話だが、そういう風にすれば納得は出来る。

 

「上原は神様を信じとるんやな?」

 

「ええ、まぁ……ただ祈るかどうかはまた別です」

 

「今時の子やな……ゼウスとかが善良な神とか漫画やゲームで描写されてハデスが悪とかそういう風に描かれててホンマのしっかりとしたファンタジーやったらゼウスは色ボケの下半身に正直な奴でハデスの方がしっかりし人の味方しとるし……当然と言えば当然か……神様の存在を信じるんやったら、異世界の存在は信じるか?」

 

「それは所謂、平行世界(パラレルワールド)ですか?それとも全く異なる世界ですか?」

 

「どちらとも言えるな」

 

「…………信じていますが……」

 

「……異世界はマジで存在しとんねん」

 

「…………」

 

 異世界が存在している、と恵比寿様が言った。神様が居るのならば異世界の1つや2つ、存在していてもおかしくはない。

 話は飲み込める……異世界が存在していると言われてもそれは信じれるし信じられないと言えば恵比寿様はなにかしらの手段を用いて俺に異世界は存在しているのだと納得するまで説明をする。だが……

 

「俺にどうしろと?」

 

「上原純平……神秘異能対策オカルト課に君は転属する事をここに命ずる」

 

「……名前からして、魔法や呪術等のファンタジーな存在に対する警察かなにかで?」

 

「理解力!……まぁ、その通りや」

 

「……あの……一般人ですよ?」

 

 先祖がスゴい偉人とか伝説の武器に選ばれたとかそういう感じではない。

 上司が言う神秘異能対策課はおそらくは世に言うオカルト案件な事を対応する部署だ。だが、俺は世に言う霊能力とかを使った事が無い。他人のオーラとか分からないし、業界用語とかそういうのを知らない。

 火、水、風、土の四大元素な考えと火、水、木、土、金の五行思想とかそういう感じの細々とした物凄くややこしいオカルトに関する知識はゲームや漫画とかでしか学んだことがない。

 

「安心せい、お前は原種の日本人や。普通の人やけどスゴくなれる可能性はある……原種の日本人がまだ残ってたんは驚きや」

 

「…………原種の日本人、は今は聞きませんが……神秘異能対策オカルト課について詳しい話を聞きたいです」

 

「上原の予想通り、魔法なんかのファンタジーな事に対応する部署だ」

 

「……そういうのは、それこそ安倍晴明の末裔とか土御門とかの漫画やゲームに出てくる有名な陰陽師の子孫とかそういうのがする仕事では?」

 

 俺の考えている通り魔法なんかのファンタジーな事に対応する部署、上司に言われた。

 しかしそういうのを聞けばそれこそ有名な陰陽師の子孫とか、平安時代から続く陰陽師をとかが率先してする仕事じゃないのか?と疑問をぶつけた。

 

「それがな……レジェンド大戦で殆どの奴等が死んだんや」

 

「レジェンド大戦?」

 

「さっき、異世界がある言うたやろ?……それはな……かなり洒落にならんことやねん」

 

「……文化や文明が違う。漫画ではメジャーな貴族なんかはとっくの昔にこの国では廃止されたりしている。そこから起きる差別等があるからですか?」

 

「それもあるけど……異世界Aがあったとしよう……そこには国があり独自の文明を築き上げとる。その世界に悪魔や神様がおって、その世界がどうしてあるのかとかの創世の時代がある……コレがどういう意味か分かるか?」

 

「…………すみません、分かりません」

 

 異世界があって、異世界に悪魔や神が存在していて、神が世界を創造したと言われてもピンと来ない。

 神や悪魔が世界を創造したと言われてもそれはよくあるよく聞くファンタジーの定番の話だ。だからなにがあるかと言われてもピンと来ない。

 

「聖書の神が創った言われとるこの世界とは似とるけど異なる世界が聖書の神以外が創ったんや……自分達が信仰しとる神と同等の存在やそれ以上の存在やアカシックレコードに書かれてない存在があるっちゅう話や……」

 

「あの」

 

「話がデカすぎるやろ?……まぁ、ここは宗教の価値観とかそういうのが入るからええわ。日本はその辺、クソ緩いからな……問題は異世界A以外にも異世界B異世界C異世界Dとアホほど存在していて……異世界からの干渉があったんや。イメージとしてはせやな……プリ◯ュアが1番合っとるな」

 

「プ◯キュアですか?」

 

「そう。自分達の世界が侵略に遭ったから助けてくれ、SOSを出してこっちの世界にやってくる。やって来る奴はその世界の王族や神様関係の奴で自分達の世界を侵略してきた奴も追いかけてくる。そんな中で偶然にも一般人と出会い一般人は純粋な善意で助けてあげようと考える……そないなことが何十年も前から起きて、10年程前に異世界に戦争を仕掛けたんや」

 

「え……何故です?」

 

「そもそもで関わり合いを持たせるな、関わってくるな……お前みたいな魂なら大丈夫やけども、異世界の住人に干渉された奴は大半は子供で◯リキュアに出てくるプリキ◯アに変身出来る子供と同じで純粋やったんや。だから深く考えへん、疑うことをせずに動いて色々と悲劇に遭った……自分が信仰しとる神様がSOSを出して助けるならともかく全く関係無い奴が干渉してくる。そら、宗教の売り込みやったらええで。ただ信仰しとらん奴を暴力で解決せえへんとアカン厄介な事に巻き込ませるんはおかしいやろ?」

 

「……プリキュ◯みたいな存在、全否定ですか」

 

「あんなぁ……これ、現実やで?」

 

 フィクションみたいな事が起きているように見えるが、現実で起きているのだと恵比寿様は真剣に語る。

 

「曇らせとか勘違いとかそういうのがおもろいのは知っとる、ただそれはフィクションやから読者視点やからおもろい。現実やとクソや」

 

「……そういう身も蓋もない事を言うのですね……」

 

「誰かが言わなアカンかったら儂が代表して言うわ……オーディンとかラーとかのメジャーな神様とか安倍晴明とかジークフリートの末裔とか生まれ変わりとかが異世界がこっちの世界に干渉出来ないようにする戦争で殆ど死んだんや。冥界に行くんやなくてホンマに消えた……それがレジェンド大戦や。だから人材が物凄く不足しとる……それでも尚、異世界は干渉してくる。100000000の異世界の干渉を食い止めたけどもそれでもまだまだ異世界は存在しとる……おそらくは天文学的数字の世界レベルで存在しとる。そして干渉してくる……ホンマ、勘弁してほしいわ」

 

 恵比寿様は怒っているが悲しんでもいる。

 とにかく異世界があった……それが干渉してきていて、色々と厄介なことになっている。そういう風に認識すればいいのだろう。

 

「でまぁ、オカルト案件な部署の人間を増やそうで……お前を役人が推薦した……まさか原種の日本人とは思わんかったわ」

 

「…………俺は国防省の人間です。配属される部署や責任がある仕事等も受け入れますが……その業界に関する知識は殆ど0です」

 

 実はすごい家系だったけれどもなんにも知らない一般人を自称する奴がファンタジーな業界に足を踏み入れた。

 その結果、アレは間違っている。コレは間違っている。そういう事を言い出し……その現場しか解決をしようとしない。他にも一例はあるのか、他にも何かあるんじゃないのかと探さない。疑おうとしない。

 

「現代日本が舞台のファンタジー物で主人公達が現れるまで間違っている事を間違っていると正す事が出来ない、それはまだ良いですが主人公達が関わっていないことは改善されない。正されない……俺は自らで知ることは大事だと思っています。疑う事も大事だと思っています」

 

「……神秘異能異世界対策オカルト課に入りたくないんか?」

 

「いえ……ただ俺に物語の主人公みたいなことを期待しないでほしいです」

 

「安心せえ、それはフィクションやから受け入れれるんや…………ほな、辞令とかの書類作成しといてな」

 

 神秘異能対策オカルト課に転属が決まった。恵比寿様は会議室を出ていけば上司の人を見る。

 上司の人は俺を厄介払い……と言うほどの関係性ではないか。国防省に入ってまだ半年しか経過していないから。

 転属することが決まったので上司の人が辞令を渡してくる……いきなりオカルトに関する部署に行けと言われれば左遷だなんだと思ってしまう。恵比寿様が1回入ってくれたおかげでなんとか事情を飲み込めて受け入れることが出来た。

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