「玩具常識改変罪……っ、そういうことか」
黒代さんになにが起きているのかが最も分かりやすい説明で自分の身に起こっている事を理解する。
答えだけ言えば俺は洗脳されている。洗脳をされかけていると言うのが正しいだろう。黒代さんの玩具常識改変罪と言う罪状のおかげで少しずつ、少しずつだが洗脳されていた時の思考が消え去り本来の正常な思考に戻っていく。
「コイツ、っ!?」
俺を洗脳してきた奴が誰なのか、直ぐに見当がついた。先ほど手に入れたカード【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードだ。
黒代さんが【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードを切ろうとした際にカードを切れず謎の力に弾かれていた。【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードを見れば誰かが何かをしたわけでもなくカードが空中に浮いている。
『カクカク……ほぉ、スピリットモンスターズに選ばれし者でもないのに我が存在に気付いたか。相当な智者か臆病者か』
「龍一課長……行けるか?」
「この場合はパターンは茶色のケースだ……どうにかするから時間稼いでくれ」
浮いている【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードを見る黒代さん。
なにをしてくるのか分からない以上はなにかをされる前に力で抑えなければならない。龍一課長に抑えれるかと黒代さんがアイコンタクトを龍一課長はパターン茶色のケースでどうにかすると言った。
パターン茶色、それは既存の技術等で相手を倒す特定の手段を既に見つけているが逆にその特定の手段以外の方法では相手を倒すことが非常に難しいのと倒すだけでは事件が解決しないに加えて既に赤の他人レベルの見知らぬ一般人にまで何かしらの影響を与えている事件の事だ。
『まぁまぁ、そう慌てるな……喰うか喰わないかは我が決めること。スピリットモンスターズに選ばれてない者のソウルを喰らっても美味くない』
「……上原、オレと時間を稼ぐぞ」
「ええ……お前は何者だ?」
『そこに我が二つ名、そして名が刻まれているであろう。我こそはスピリットモンスターズ7つの黒のカードが1つ、魂の髄までしゃぶり尽くす無限の暴食魔人!ソウルイーター!』
「…………なるほど、カードそのものか」
『カクカク、理解が早くて助かる』
「ならば、ついでに色々と教えてくれないか?スピリットモンスターズについて」
『確かに我等の詳細は都市伝説扱いだから気にはなって当然か。よかろう』
「いや、それもあるがスピリットモンスターズのルールとか……こんなカードゲームがあるなんて知らなかったんだ」
『……………え?』
食事とか睡眠とかちゃんとしているが、このオカルト課は物凄く忙しい。
戦闘能力と事務能力や考える力を持つ、更に加えて便利な力があるから問題が起きるのがこの後に薄々分かっているのにも関わらず間に入って止めず問題が起きてから神秘的な異能を使い止める人間性な人間を受け入れないので人手が常に足りない。
ネットニュースをチラッと見ていたりするが夕方や夜のニュース番組はここ最近まともに見ておらず、既に社会現象を巻き起こしているスピリットモンスターズと言うカードゲームがあることすら全くと言って知らない。なんだったらさっき龍一課長が履歴書に不採用のハンコ押し続けるだけの仕事が辛いから気分転換にテレビを流していいか?と聞くまで知らなかった。
『お、お前、スピリットモンスターズを知らんのか!?』
「オレも知らん」
「課長も知らないよ」
『ば、バカな!スピリットモンスターズと言えば日本の総理大臣やアメリカの大統領ですらデッキを持っていると言うのに……ここはどんなド田舎だ!?』
「ここは神戸だから比較的に都会だぞ?」
最もな疑問をぶつければ【無限の暴食魔人 ソウルイーター】は驚いていた。
サラリととんでもない事を言っている。コレはホントになるべく早くに解決をしなければならない事件だな。
「お前は見たところスピリットモンスターズを知り尽くしているのだろう?だったら知り尽くした者として初心者への講座をしてほしい」
『ホ、ホントにスピリットモンスターズを知らんのか!?その辺で売っているクズカードのみで出来た構築済みデッキだけでも持っておらんのか!?まさかカードゲーム自体をしたことが無いと言うのか!?』
「いや、昔はカードゲームをしていたのだがある時にルールが大幅に変更されて上手く遊べなくなってその時に引退した。最近になってネットで出来るようになったからそっちの方でやっている。現実の方は転売ヤーとかがバカみたいに増えて、カードバブルが起きたりとかでそもそもで強い新規カードが入った構築済みデッキや新しいカードが入ったパックそのものを購入出来ないとか仕事や勉強が普通に忙しくてショップ大会とかに行けないとかが多くて、もう課金するだけで確実にカードは手に入ってオンライン対戦が出来るマ◯ターデ◯エルでいいんじゃないかと」
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】はカードゲームそのものをしたことがない堅物なのか!?と驚いているが、カードゲームはどちらかといえばしていた方だ。ただ、ルール改定とかで一気にやりづらくなってその際に紙媒体は引退、またまたルール改定で前の環境よりはやりやすくなったのだが初期のカードとか昔のカードを強化する!とかが出てきてそれが環境に入ったりしたから何時の間にかカードの値段が色々とおかしくなっている上にカードゲームバブルの時代に入り何処に行ってもパックも構築済みデッキも売り切れとかで最終的にソシャゲの方でカードゲームをした方がいいんじゃないのかとなりマ◯ターデ◯エルをしている。
「そ、そっちの2人は!?』
「オレはカードゲームよりソシャゲ派でウマ◯とかに課金してる。そしてジャスタウェイが実装された時を想定し、何時でも10000円をチャージ出来る状態にしている」
「課長はカードゲームよりも、TVゲーム。最新の
『ええい!!貴様らのゲーム事情なんざ知ったことではない!せめてカードゲームをしろ!!』
聞いてきたのはお前の方だろう。
ゲームと一口に言っても色々とある。黒代さんはウマ◯等に課金しており、龍一課長はイナイレの2と3のリメイクを待っている。俺はマスタ◯デュ◯ルをしている。ゲームの好みなんて人それぞれだ。
『まさか、我の操り手が全くと言ってスピリットモンスターズを知らぬとは』
「スピリットモンスターズを知り尽くしているのならば、教えてくれてもいいだろ?」
『まぁ、いい。スピリットモンスターズ、それは』
「あ、先にルールの方を。世界観とかそういうのは後で」
『ぐぅ……落ち着け。殺してしまうのは簡単だがこの男が我の操り手である事には変わりはない』
世界観の方を説明しようとしていたので先にルールの説明を求める。
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】は明らかに怒っているのだが必死に自分を抑え込む。
『スピリットモンスターズは様々なスピリットを持つモンスターを使い戦う。まず、スピリットには色がある。赤、青、黄色、緑、ピンク、オレンジ、紫、そして黒。それぞれに特徴がある。例えば赤のスピリットを持つモンスターは基本的な攻撃力が高く防御力が低い。サポートカードも攻撃力を増加させたり攻撃回数を増やしたりするものがある』
「出来れば他の色もお前の口から頼む」
『ふむ、熱心だな。ならば全てを教えよう。赤の次に緑。緑のスピリットは攻撃力と防御力は低いものが多く、モンスターの効果もプレイヤーへのサポート系が多いのだが召喚コストが少なく生贄コストが高いカードが多い。モンスター以外のサポートカードは墓地からカードを1枚手札に加えるやデッキからカードを1枚ドロー、指定のシリーズのカードをデッキから1枚手札に加える等が多い』
赤はパワーで緑はデッキを回す……召喚コストとか生贄コストとか言っているから詳しいルールも聞かないといけないな。
『次に黄色のスピリット!黄色のスピリットは全体的に見ればモンスターよりもサポートカードの方が充実しており、モンスターも効果は強いが攻撃力や防御力が低い!サポートカードは主に効果破壊や効果無効、効果や戦闘対象をこちらの任意で入れ替える等がある』
となると残りのスピリットもなんとなくで読めるな。まぁ、カードゲームなんて大体は同じところに行き着くからそうなるか。
『次に紫のスピリット!モンスターは攻撃力も防御力も高いが召喚コストも高い。モンスター効果やサポートカードは相手の能力を下げたり相手のカードを使用不能にしたり破壊無効を無視し強制的に墓地に送るデッキ破壊等が多い』
パワー系、デッキを回す、効果破壊及び効果無効、能力変化及びデッキ破壊及び使用不可
『次に青のスピリット!モンスターは攻撃力よりも防御力が高く設定された者が多く、モンスター効果も戦闘では破壊されない、効果では破壊されない等が多く、サポートカードは破壊されない効果を付与をする効果やカードを手札に戻す効果が多い』
そして防御系……
『次にオレンジのスピリット!赤のスピリットモンスターの高い攻撃力!黄色のスピリットモンスターの強い効果の2つを宿したモンスター!ここまでは紫と似ている!しかし召喚やサポートカードも発動する際には色々と条件を満たす必要がある!例えば緑のモンスターの生贄コストを用いなければ召喚出来ない、特定のカードが5枚ちょうど墓地にある時などがある!無論、難しい条件に見合ったそれ相応の効果はある』
条件がややこしいが使いこなせれば強いオレンジ
『次にピンクのスピリット!コレはもっともモンスターもサポートカードも少ないスピリット!しかし黒を含めて他とは圧倒的に違う効果!プレイヤーのライフ回復、直接攻撃以外でのライフ減少、相手のターンスキップ、バトルフェイズを行えない、特定の条件を満たせばその勝負に勝利する特殊勝利等のルールに干渉する系のカードが多い!』
奇妙な使い道が多いピンク
『そして我が黒!それは余程変なデッキ、例えばフルモンスター、フルマジックカード、フルカウンターカードの様なデッキでは無い限りは最低でも1枚は入っていると言われる程に汎用性に長けたカードが多い……だがの……』
「……まぁ、カードのインフレが進めば汎用性が高いカードよりもシリーズ専用のサポートカードの方が重要になるからな」
黒のカードについてなにか言うに言えない【無限の暴食魔人 ソウルイーター】
汎用性が高いカードは強いには強いのだが、そのシリーズ専用のサポートカードとか効果の方が強かったりするのはよくある話でカードゲームのインフレが進めば汎用性が高いカードは使われなくなる。それを入れない方がデッキを回しやすいとかは普通にある。
『いや……エースが我等しかおらぬのだ』
「…………どういうことだ?」
『色々とカードにもシリーズがある。例えばモンスターに追加攻撃+何かしらの能力を与える聖剣シリーズ、聖剣シリーズの【エクスカリバー】、乱世シリーズの中で召喚は難しいが召喚すれば3ターンだけ攻撃力が10000になるモンスター【三日殿下のヒデヨシ】黒色以外には色々なシリーズがあり、色々なエースがある。しかし黒色のシリーズとエースとなりうるカードは我を含めて7枚、1シリーズしか存在せぬ』
「おい、それゲームバランス大丈夫なのか?」
『7人しかおらぬが、我を含めた7人全員が最強の性能をしている。我のカードには強い効果しか書いてぬであろう。そして他の黒色、例えば【色欲の賢者 リリス】は攻撃力、防御力は勿論のこと効果として』
「そういうのは後で見る……まだスピリットモンスターズのルールを知らない」
チラリと俺は龍一課長を見る。
龍一課長は【無限の暴食魔人 ソウルイーター】をどうにかして抑え込むことが出来ないのか色々としている。おそらくは龍一課長固有のあの能力で【無限の暴食魔人 ソウルイーター】をどうにか出来るようにする。
『では、スピリットモンスターズのルールを教えよう。スピリットモンスターズはスピリットモンスターズカードを40枚から60枚までの枚数でデッキを構築する。最初に先攻か後攻かを決めてから互いに手札が5枚になる様にデッキトップ5枚をドローをし、勝負が始まる。スピリットモンスターズの勝利条件は幾つかある。先ほど言ったピンクのスピリットの特定の条件を満たせば勝利になる特殊勝利、有名どころで言えば【ピンキー・ピン筋】のフィールドに【ピンキー・ピン筋】がいる時、手札にあるモンスターカードを墓地に送り、そのモンスターカードの攻撃力と防御力が【ピンキー・ピン筋】の攻撃力と防御力に加算される。そして攻撃力か防御力のどちらかが50000を越えれば勝利する、だな』
スピリットモンスターズを聞いたのがさっきだから有名と言われても困るのだが。
『特殊勝利に関しては置いておこう、アレは選ばれし者でも早々に出来ない事だ。次に普通の勝ち方だが相手のモンスターを戦闘及び効果で合計10体以上破壊する、相手のデッキが0になる、相手に3回直接攻撃をぶつけるのどれかを満たせば決まりだ』
……意外と普通だな。
『そしてモンスターにはレベルと召喚コストと生贄コストがある。全てのモンスターはレベルが決められている。サポートカードを使わなければ基本的にはレベルは変動しないし、しても1ターンのみで攻撃力と防御力は変動しない。基本的にはレベルが高いモンスター=強い効果、攻撃力、防御力の何れかを持ったカードと認識すればいい』
「……生贄コストと言っているが?」
『モンスターを召喚するにはコストが必要だ。召喚コストはそのモンスターを召喚するのに必要なコスト、そして自身が召喚の為の生贄になった際になる何個分のコスト、生贄コストが書かれている。基本的にはレベル1のモンスターは召喚コストが0で生贄コストが1以上、中にはレベル1でも生贄コストが1だが使える効果を持っているレベル1のモンスター等も居る。勿論、召喚コストが1で生贄コストが0だが攻撃力と防御力がレベル2クラスのモンスター等も居る』
「……」
『カクカク……少々難問すぎたか?』
「いや、普通に面白そうなカードゲームだと思っただけだ。モンスターはフィールドに何枚まで?サポートカードの種類は?」
「おい、上原……玩具常識改変罪を忘れるな」
ここまで聞けば普通に面白そうというかちゃんと考えられたカードゲームだなと思える。
少しどんなものか気になるなと思っていれば黒代さんが玩具常識改変罪について言われるので両頬を叩き気持ちを入れ直す。
「モンスターはフィールドに3枚までしか出せない。サポートカードはマジックカード、アームズカード、キャッスルカード、カウンターカード。マジックカードはカードのドローからモンスター効果の無効まで色々とあるのでなんとも言えん。アームズカードは適合するシリーズに装備する事が出来て基本的には攻撃力か防御力を上げる+何かしらの追加効果だ。キャッスルカードは複数の効果を持つカードでフィールドに残る。破壊されない限りは複数の効果を同時に発動し続ける物であり自分のフィールドに1枚しか存在出来ず、発動中はマジックカード、アームズカード、カウンターカードの使用も出来ず毎ターン自分のデッキトップ3枚を墓地に送りそのカードはこのゲームでは使用出来ない等の恐ろしいデメリットがある。カウンターカードは相手が何かしらの条件を満たした時に発動出来るカード。例えば召喚コスト6以上のモンスターを召喚すればそのモンスターを墓地に送り、代わりにそのカウンターカードをモンスターとして扱い相手のフィールドに送る。そのカウンターカードは攻撃力は0で防御力も0で生贄コストも0……そしてこの4枚のサポートカードは発動にコストが要らぬ!まぁ、マジックカードの中には特定の条件下でないと発動出来ない物もありキャッスルカードはカードの維持コストとして何処からかカードを使えなくするから全てとは言えんが」
「……カウンターカードはフィールドにセット?」
『いや、手札に握られている……スピリットモンスターズはドローとデッキ消費が激しいゲームだ。手札が中々に減らない、何故か1枚だけ残っているがもしかするとカウンターカードかもしれないという心理戦を繰り広げれる』
その手の何かがあったときに発動出来る系のカウンター系のカードは基本的にはフィールドにセットされてるものなのだがな。
『そしてモンスター同士のバトル!モンスターは攻撃することで相手の防御力を削る。相手の防御力を0以下にしたらモンスターは戦闘破壊される。中には元から防御力0のモンスターもいるが、その場合は攻撃力が0以外のモンスターで攻撃すれば何事もなく負ける。ただし攻撃権は使う。効果が付与されていない限りは基本的には1ターンで1つのモンスターは1つのモンスターにしか攻撃が出来ない』
聞いた感じだとやってみれば意外と面白いと思えるカードゲームだな。
「ドローは?」
『手札が1〜5枚になる様に何れかの枚数を引く。カードが5枚の時はドローしなくもいい』
「……それはゲームバランスが壊れないか?」
『このゲームのスタートは基本的には召喚コスト0生贄コスト1以上モンスターを召喚するところから始まり徐々に強いカードを出していく、故にカードをドローする効果や特定のシリーズのカードを手札に加えるマジックは全てのスピリットにある。そして真に厄介なのがここで、サポートカードのみがデッキに眠り、そのカードで手札に加えたいモンスターや使い所が今ではないカードで固まる。そうなった場合、どうなるか?……カクカク、貴様に想像出来るか?』
サーチカードやサポートカードが極端にデッキの底に眠っている。
青のスピリットは戦闘破壊無効とかのカードとかがあると言っていた……5枚ドローして全てモンスター、自分のフィールドには3体のモンスターが居るが相手のフィールドに戦闘破壊無効なモンスターが居る……ドローも出来ないし、リリースも出来ないとなれば詰み……いや、除去カードはしっかりと存在している。今時のカードゲームならば効果破壊が出来ないか戦闘破壊が出来ないの効果は標準装備だろうから何かしらの方法で除去出来る。多分、そういうパワーバランスになって……ないな。このスピリットモンスターズが玩具常識改変罪と言う罪に値するカードゲームならば。
『まぁ、色々とあるが……ふむ……』
「どうした?」
『操り手が我以外のカードを持っていないからな、強きカードの力を探していた。約10km程の距離に無数のカードの気配を感じる』
「……カードショップとかフィギュアの店が多いオタ通りがあるからな」
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】がカードをどうにかして手に入れなければならないと考えており、他のカードを探していた。
黒代さんが神戸にあるカードショップとかフィギュアとかがあるオタ通りなエリアの事を言っているのだと直ぐに理解した。
「それで、お前はなんだ?【無限の暴食魔人 ソウルイーター】と言うカードに宿った霊か?それとも【無限の暴食魔人 ソウルイーター】と言う存在なのか?」
『クカクカ……どちらでもある、な。スピリットモンスターズの一部のカードには魂が宿る。数十年単位で物を大事にして魂が籠もるのでなくホントにそのモンスターの魂が宿っている』
「……オレは戦闘能力がカスで事務員をしてるがオカルト課に必要なオカルト関係の専門的な業界知識はある。ソウルイーターって言葉は聞かなくもないが、無限の暴食魔人なんて異名を持ったソウルイーターなんて知らねえ」
『だろうな。我いや、カードに宿る魂はこの世界の住人ではない。この世界と何処か似ている世界があり、その世界の住人だ。その世界は大きな戦争で世界そのものが消滅し、魂のみとなった我等はこの世界でカードとして生まれ変わった』
異世界転生は異世界転生でも逆にこちらの世界に来るタイプの異世界転生か。珍しいな。
『カードにはスピリットとシリーズの2つがある。シリーズに関しては貴様等は理解しているから言わないでおこう。スピリットについて語ろう。スピリットの正体は一言で言えばカードになる前の我等の派閥だ。赤色のスピリットは正義と言う曖昧な物を掲げているバカが多い。紫は優れた家柄の者が多く自分達が世界を動かしていると言う選民思想の者が多い。ピンク色のスピリットは1つの芸を究極なまでに極める人生を送ったが故に社会に馴染めない社会不適合者の集まり』
「社会不適合者なのか」
『貴様達の世界に……面ごとに色の違う正方体の6面をスライドさせて揃える玩具があると聞く』
多分、ルービックキューブのことだな。
『一瞬で6面全てを同じ色に揃える技能を持っている。その能力は凄まじいが、それは社会で役立つ時は来るのか?それを使って人並みの生活を送る金を稼ぐことが出来るか?』
「……まぁ、公式大会と一発芸ぐらいにしか使い道は無いが」
世界大会があるにはあるが、ルービックキューブだけで飯を食っているという人は聞いたことがない。
ルービックキューブの世界大会に出ることが出来る人は10秒もあればルービックキューブの6面を揃えることなど余裕だが普段はなんかの仕事をしていると聞く。
『同じ色のスピリットでも人としての相性が悪く噛み合わない事も多々ある、そして人は自分と異なる思想や意志と対立する。後は言うまでもない、争いが起きる。大きなことから些細な事まで色々とだ。その結果、世界が歪み消滅し、こちらの世界でカードとして生まれ変わった』
「……それで?カードになったお前等はどうしたいんだ?上原の事を操り手と言っていたが」
『言ったであろう?スピリットとは派閥であることを。黒のスピリットは世間一般で言う悪だ。我の願いは1つ、喰うことだ。貴様に問おう、この世で最も美味い物はなんだと思う?』
「人の不幸」
『……そこは肉とか酒とか女とかではないのか?』
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のこの世で最も美味い物に関しての質問に対して黒代さんは即答した。
特になんか迷ったり、そういう風な素振りを一切見せずにホントにあっさりと即答しており【無限の暴食魔人 ソウルイーター】は若干だが引いている。
「他人の不幸ほど美味い物は無い……なにが答えだ?」
『……我は暴食魔人の名の通り色々な物を食べた。水や与える餌を徹底して拘った肉、最も適した環境で育てた野菜、最新の技術で最も食べ頃な時になった魚……しかしそんな物よりも美味い物はあった。それは魂だ。ああ、言っておくが貴様の様にスピリットモンスターズに選ばれていないどうでもいい人間の様な魂は家畜の餌にもならない』
「じゃあ、なんだ?ノブレス・オブリージュなんかの高潔な精神を持った僧侶とか聖女の魂とか?」
『それはそれで美味いがもっと上がある。それは普通ではありえない過酷な環境下に置かれた際にその環境から脱出する為に問題を突破する為に常人では思い浮かばない行動や閃きをする。その時の魂が発するエネルギーがこの世の何よりも最も美味い!我はそれの養殖物や天然物を喰らっていた!!』
過酷な環境下の中から突破しようと脱出しようと考える人間とそうでない人間が居る。
そうでないは主にただ自分がしたくないからテスト前の勉強等の一般的な事の努力をしない奴等が主だ。
過酷な環境下から脱出しようと考える人間は努力をしようとする。そしてその努力は常軌を逸脱した努力だ。ただし、それでその問題や環境から抜け出せるかどうかは話は別だ。努力が実を結ぶ事があるが、努力が実を結ばない事も普通にある。そして大半は努力が実を結ばない。恵まれていない過酷な環境だから、と言えば言い訳に聞こえるがその通りだ。
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】は養殖物と言っている。あえて過酷な環境下を作り出し、その魂を喰っている……なるほど、悪人だな。
「オレがスピリットモンスターズに選ばれてないとか言ってっけど、どういうことだ?」
『そのままの意味だ。我等の世界が滅びスピリットモンスターズのカードとして生まれ変わった!生まれ変わった我等の力を真に引き出す事が出来る者!それがスピリットモンスターズに選ばれし者だ!我を真に使いこなせるのはそこの男だけだ!』
俺が【無限の暴食魔人 ソウルイーター】の操り手だと言ってくる……が、俺は少し考える
「お前はカードだ。だからお前をエースとしたデッキのデッキレシピとカード、そのデッキの回し方とかをその辺のショップ大会の優勝者に教えるのはダメなのか?」
『無論、それでも充分に戦える。しかし、カードとなった我等はまだまだ進化する無限の可能性を秘めている!その可能性の力を出すことが出来るのがスピリットモンスターズに選ばれし者!そしてお前が我の力を真に引き出せる!』
「……上原がなんでお前となんだ?他にも色々とカードがあるだろ?」
『それに関しては分からん。魂が似ているのか育った境遇が似ているのか人間性が似ているのか好物が似ているのか。少なくとも法則性の様な物は一切無い』
「お前の今後の目的は?」
『自分の操り手を見つけた物を探し、負ければ死ぬ闇のバトルを挑み魂を喰らう。この際に気をつけなければならないのは十二使徒だ。ピンク色のスピリット以外の何れかのスピリットに該当する十二のモンスター。嘗て我等の世界で7つの黒である我等と唯一互角に渡り合う事が出来た者達がカードとなっている。どういう能力かは知らないが、我がスピリットモンスターズの中でも異常なまでの強さを持っているのだからそれなりの力は持っているだろう』
俺と黒代さんが交互に質問をしていく。
龍一課長はまだ動かない……無理ならば無理だと言ってくれたら別のプランで動かないといけない。
「1つ、聞いていいか?」
『貴様、さっきから質問ばかりだろう。まぁ、いい。貴様等はホントにこの世界の知識が無い。更には貴様はスピリットモンスターズに選ばれし者ではないからな!!』
「オレみたいに選ばれし者じゃない奴が選ばれし者を倒してアンティルールで選ばれし者が持つ魂が宿るカードを手に入れたら、そのカードが逆らうとかそういう事をするか?」
『カクカク、選ばれし者でない奴が選ばれし者を倒す?面白い冗談だな!!まぁ、天地がひっくり返ってもそれはありえぬが選ばれし者が持つ魂が宿るカードは従属する。勝者は絶対なのだから』
「……例えばモンスターとか言っているがこれどう見ても女性だろ?と言える女性型のモンスターも言うことを聞くか?」
「黒代さん?」
『当然!!』
「例えば口元を隠しているだけでどう見てもコスプレしているエッチなお姉さんにしか見えない女性型のモンスターでも?」
「黒代さん!?」
『当然!』
「エッチな命令でも?」
「黒代さん!!」
『当然可能だ!最も、貴様はスピリットモンスターズに選ばれていない。選ばれた奴からカードを手に入れるなど不可能だろう』
色々と欲望がダダ漏れな発言をしている黒代さん。カードだから顔色は見えないが【無限の暴食魔人 ソウルイーター】は気分がいいと言った声色を出している。黒代さんが欲望をダダ漏れなのが嬉しいのだろう。
「例えば、このスピリットモンスターズを作っている会社がある。カード製作陣営の1人がこちらの世界の今も生きているスポーツ選手なんかを見てインスピレーションを受け、そのスポーツ選手をモチーフにしたカードを作り出す。ならばそのスポーツ選手が何時かそのカードに宿る魂になる事は?」
『我等はカードとなったのだから、こちらの世界の人間もなろうと思えばなれる』
「そうかそうか…………龍一課長」
「ああ、流石に時間が掛かったがなんとかいけた!!」
スピリットモンスターズのルール説明からスピリットモンスターズの魂が宿るカードについて等を色々と聞き……時間稼ぎに成功した。黒代さんは最後の質問の答え次第ならば無理ならば無理と判断を下そうとしたが【無限の暴食魔人 ソウルイーター】が可能だと言った。だから龍一課長はそこに至れた。
『ガァッ!?』
「安心しろ、パターン茶色で罪状が玩具常識改変罪で貴重なサンプルだから殺さない……」
『な、何故だ!?百歩譲ってスピリットモンスターズに選ばれし者ならば我の魂に干渉出来る!だが、貴様もスピリットモンスターズに選ばれてはおらん!!何故、何故我に干渉を……っ!!貴様、スピリットモンスターズの人間になったのか!?』
「ああ、正解だ」
【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードを殴り飛ばせばカードから【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードのイラストに記載されているソウルイーターが飛び出た。龍一課長はソウルイーターを掴んでおり無数の魔法陣等が展開されており、ソウルイーターから放たれている禍々しいオーラが抑え込まれている。
『バカな!!バカな!!何故、何故!?』
「課長の固有能力のおかげだ」
『固有能力!?まるで意味がわからん!』
「……今の俺はお前と同じスピリットモンスターズの住人……ふん!!」
『っぐ、ぐぁあああ!!』
龍一課長が時間をかけて本来は干渉する事が出来ないスピリットモンスターズの住人に干渉出来る様になった。
スピリットモンスターズの住人となることでスピリットモンスターズの住人に干渉が出来て【無数の暴食魔人 ソウルイーター】を力で抑え込んだ。