「【騎士王 アルトリウス】で攻撃」
「なんも無いっす。オレの負けです」
「……藤、真面目にやっているのです?」
「手札はこんな感じでデッキはこんな感じですよ」
スピリットモンスターズの世界大会、
まだまだオカルト課は裏で暗躍をする。向かったのは神奈川県にある遊学社、それはスピリットモンスターズを作った会社であり末広はスピリットモンスターズを作った男、
「……ふむ……」
「どうすればデッキを強くすることが出来るのは全員の課題だから、スピリットモンスターズ作った人が依怙贔屓しないでくださいよ」
冬夏春秋とバトルをするがあっという間にボコボコにされた。
1ターンキルにはならなかったものの、あまりにも弱すぎるので少し違和感を覚える冬夏だったが、末広はなんの迷いもなくデッキと手札を見せる。それを見た冬夏はこのデッキならばあのカードが相性が良いなと末広のデッキを強化する方法を考えたが依怙贔屓しないでくれと言われた。
「それはすみません」
「いや、いいんですよ。自分ならばどういう風にデッキを作るか考えるのも醍醐味ですから……しかし強いすね。冬夏さんの九英雄デッキは……っと、コレで自分が分かりましたか?」
「ああ、君はスピリットモンスターズに選ばれていないしスピリットモンスターズ力はとても低い」
「……分かってることだけど真正面から言われたら凹むな……」
末広が冬夏とスピリットモンスターズでバトルをしていた理由?
バトルを通して相手の人となりを知ろうぜ!!なホビーアニメあるあるな理由である。結果としてボコボコにされ、冬夏から見て藤末広はスピリットモンスターズをしているのだがスピリットモンスターズの腕は無いとの判断だった。
冬夏はこの結果を見て益々、高校の専門学科にスピリットモンスターズ科の設立を早めなければ。1人でも優秀なバトラーを養成しなければならないのだと感じる。
「一般教養のペーパーテスト、詰みスピリットモンスターズ、人間性……スピリットモンスターズの実力とスピリットモンスターズに選ばれていないと言う点を除けば全てが満点に近いですね」
「その2つがあったら嬉しいんですけどね……スピリットモンスターズの世界大会は」
「ああ、君達ならば大丈夫だ」
「ありがとうございます」
末広がここに来た理由は2つある。1つはスピリットモンスターズの生みの親である冬夏春秋の口からスピリットモンスターズの世界大会の公式運営になってくれの進言だ。スピリットモンスターズの生みの親からこの人がルール整備云々をする人だと言われればスピリットモンスターズ協会も文句は言えない。
今回は表も裏も合わせた文字通り本当の世界最強を決める大会、スピリットモンスターズ協会の偉い人間になったとしても1人のバトラーとして本当の世界最強の座はなんだかんだで欲しいものである。大会運営に携わる=WSRGの街の予選大会から出場は出来ない!と言う恐ろしい規約がある。
「私も1人のバトラーとして楽しまなければ……それで、他になにかあるのでは?」
「ありゃ?見抜かれてんの?」
「ええ……でなければ私の機嫌を取る事が出来るバトラーが来ますからね」
冬夏春秋はスピリットモンスターズの生みの親だ。スピリットモンスターズが生み出す利益や社会効果は途轍もない。
スピリットモンスターズの大会管理とかはスピリットモンスターズ協会がやっているが、スピリットモンスターズに関係する大会以外の事に関しては主に遊学社主導のもとで行われている。例えば新たに設立される様に誘導しているスピリットモンスターズ科の学校、無人島を開拓して学校を作り上げるのだが政府のプロジェクトでもあり遊学社が色々と関わっている。
冬夏春秋はスピリットモンスターズ界で色々と力を持っているので当然、彼に胡麻を擂る人間は後を絶たない。自分の機嫌1つでスピリットモンスターズ関係のあれこれが動き莫大な金や権力が動くのだから。
今回、WSRGの公式運営を任せてほしいという藤末広、そのバックに控えているのはスピリットモンスターズに関係する色々な事を研究している部署があると知っている。だからこそ、自分に胡麻擂りをするのならば接待として程良い力量の優秀なバトラーを用意する。普通ならばそうするのだが藤末広は弱かった。なにか裏があると読んだ。
「ならば単刀直入に聞きます……スピリットモンスターズをどうやって生み出したの?」
「おや、ご存知ないのですか?」
「貴方の口からハッキリと聞きたいので」
末広が送られてきた理由、いや、もう1つの目的、それはどうやってスピリットモンスターズを生み出したのかを聞くことだ。
それを聞いた冬夏はその事に関して雑誌の特集とかで何回か喋っているのでそれを見ればと思い知らないのかを口にするのだが末広はハッキリと自分の口から聞きたいのだと答えた。
「なるほど……つまり、裏があるのも気付いているのですね」
「それを聞きたいのですよ」
「……スピリットモンスターズが生まれた理由は至って普通です。遊学社は
TVゲームやソシャゲの様なゲームに負けないゲームを生み出せ。
遊学社がゲーム会社ならば言っていることは極々普通の事だ。自社ブランドで名作を生み出す、ホントに極々普通の事だ。
「それならば知ってます。何度も何度もボツになって100回目にスピリットモンスターズが採用されたって」
「貴方が聞きたいのは、なにからスピリットモンスターズを、キッカケ、インスピレーションですね」
「ええ、そこが気になるんで」
「今でこそ私は遊学社のトップですが当時はゲーム事業部のゲーム開発係の人間でした。TVゲームやソシャゲ、そしてボードゲーム等のゲームが多くあるこの世の中で新しいゲームを作るのは非常に困難。作ったのはいいが同じ内容のゲームがある。作ったのはいいがその手段だけ取ればどんな手を使って来ようとも勝ててしまう。そんな感じの理由で浮かんだゲームの案が全てボツとなり私は非常に追い込まれていました」
アミューズメント産業とかの0から1を作る業界はホントに過酷である。
無数の0から1を作らなければならない。そして仮に出来たその1が必ずしも2以上の大きな数字になるとは限らない。
「栄養ドリンク漬けの日々で、既存のゲームと被らない云々を調べたりしていたのですが……過労で倒れてしまいましてね」
「ブラックですね」
「この手の業界の睡眠を取る行為や休暇を手に入れるは他の人達の命的なのを犠牲にすると言う意味合いですから……過労で倒れた私は明晰夢を見ました。そう、スピリットモンスターズのモンスター達が居る不思議な世界の夢を。後に魂が宿るカードからそれはスピリットモンスターズ界で起きた実際の出来事だったと教えてもらいました」
「なるほど……なにか特別な出来事や物事からインスピレーションを受けてスピリットモンスターズを作ったのではなく、最初からスピリットモンスターズを見てそこからスピリットモンスターズを作り上げたのですね」
「ええ……軽蔑しましたか?」
「…………何故、貴方なんですか?」
「?」
ブラックな仕事の末に辿り着いたスピリットモンスターズの世界。そこからスピリットモンスターズと言うカードゲームを生み出した。0から1を作ったわけでなく1=1をしただけであり、ゲームクリエイターとしてはあまり褒められたものではないのだと心の何処かで認識をしており、軽蔑はされるかと聞けば末広は何故に自分なのかを聞いた。その質問の意味が分からないので末広は説明する。
「話を聞く限りスピリットモンスターズと言うカードゲームが生む前、その時点で既にゲーム会社は沢山ありました。大手のカードゲーム、有名な漫画をカードゲーム化させたもの。有名な漫画雑誌に載っていてアニメ化されているからカードゲーム化した、他にもまだ色々とあります。会社を除けば同人サークルでもそういうのを作っています……それなのになんで貴方が?スピリットモンスターズに選ばれた人間で同じ条件、同じ立ち位置に居る人間は探せばそれなりに出てきますよね?」
「…………考えたことが無かったね……それに関してはホントにわからない。過労で倒れて気付けばスピリットモンスターズ界の出来事を夢として見ていた。本当に偶然という言葉で片付けるしかない」
「スピリットモンスターズに選ばれた、と言う考えを持つのにですか?」
「っ……」
なんで冬夏がスピリットモンスターズ界の出来事を夢として見たのか?冬夏以外にも同じ条件の人間は探せば確かに居る。
今までそのことに関して指摘された事は無いので改めて考えてみるのだが、ホントになんでかは分からない。ならば偶然と言う言葉で片付けるしかないのだが、それならばスピリットモンスターズに選ばれし者の考えがおかしい。スピリットモンスターズに選ばれし者はそういう運命にある人間だ。
「私自身がスピリットモンスターズを生み出す運命にあったと?面白い考察をするね」
「ええ、おそらくは間違いではないと……魂が宿るカードはバトラーになにかしらの影響を及ぼす。一番有名なのはドロー、カードと共に心を合わせれば欲しいカードを常にドローし続ける事が出来る。S級バトラークラスは全員がそれを可能としてる」
「ああ、その説ならば聞いているしその説は正しいとのデータもあるよ……」
「ならば、居るのではないのですか?貴方にスピリットモンスターズを作らせる為にスピリットモンスターズ界の出来事を明晰夢として見せた存在が」
「ふむ……面白い考察だ。しかし……いや、待て……うん……」
「なにか心当たりがあるすか!?」
前回起きた大きな事件、伝説のミックスジュースを作る乙女達を探すニチアサキッズタイム的な展開。あの事件で悪いのはこちらの世界を軍事侵攻しようとしたアル大臣達と覚悟もなんにも出来ていないが純粋な善意のみで動こうとして危機感がなにのない一般人を魔法少女にしようとしてリンクが悪いジャンルで言えば魔法少女勧誘罪や外患誘致罪に該当する。
そして今回の事件は玩具常識改変罪、内容としては世界の価値観等をホビーアニメの世界に作り変える。物事の価値観は時代によって切り替わるのだが、それでも変わらない物もあり、それすらも変えてしまうのが玩具常識改変罪の恐ろしいところだ。
この世界がホビーアニメの世界に成り代わらない様にオカルト課は必死に動いている。既に打開策を見つけており、表と裏を含めた文字通りの本当の世界最強を決める世界大会はこの世界をホビーアニメの世界に変えない為である。
龍一が商売繁盛の神様達と共にスピリットモンスターズ産業の経営を不振にする呪いをかける、上原と末広はスピリットモンスターズをオワコンにする。事が上手く運べばスピリットモンスターズをオワコンにする事が出来るのだが、最終的に誰が悪者なの?と言う話である。明確な悪人が居ない事件だって探せば普通にあるが、諸悪の根源が居るのならば居るで捕まえないといけない。なにせスピリットモンスターズを扱う国際テロ組織が居てスピリットモンスターズの闇のバトルで命を奪われた一般人は普通に居るのだから、その諸悪の根源がケジメを付けないといけない。
「1度だけ私と同じ夢を見ている人が現れた夢を見た。ですが、その人とはスピリットモンスターズ産業が始まってから1度も関わっていない」
「なにか情報は?」
「確か……『ホビーアニメなんてインフレ・デフレが激しくて、転生者1人で全てが壊れるクソみたいなもの』と言っていて、文句を言いたかったので名前を聞けばナナシノゴンベエと。未だにカードとしてもバトラーとしてもその名を聞かないので偽名かと」
「…………」
スピリットモンスターズ界の出来事を明晰夢として見た際に出会った謎の男、ナナシノゴンベエ。
ナナシノゴンベエがスピリットモンスターズを冬夏春秋に作らせるかのように動いたのかと考えれば末広は少し引っかかる。この違和感に関しては分からない、分からないがこういう時は黒代辺りがなにか答えを知っているかもしれないので可能性を考えるだけで終えた。
「……あ、もしかしたら……」
スピリットモンスターズを作る原因を作った諸悪の根源、それについて心当たりがと冬夏は自身のデッキを取り出した。
「【黄昏のヨシュア】【騎士王 アルトリウス】【雷帝 アレキサンダー】【皇帝王 ユリウス】……これらのカードは所謂九偉人をモチーフにしています」
「スピリットモンスターズのカードがこっちの世界の歴史上の人物云々と似ているとかは普通にあるんすけど?」
「ええ、そうですね……ならば……居るのではないですか?」
「なにが?」
「世界を創ったと言われる聖書の神が居る様に、スピリットモンスターズ界を創った始まりの神が」
「……なるほど、確かにその線は考えてないな」
世界を創ったと言われる聖書の神がこの世界には居る。だったらスピリットモンスターズの世界にもスピリットモンスターズの世界を創った文字通り始まりの神様が居るのではないのか?
とある物を作ってもらう為にオカルト課の研究所に向かった際に3枚のエロい美女なモンスターカードを末広は見た。その中の1枚に【豊穣の女神 デメテル】と言うカードがあった。アレはホントに魂が宿るカードの1枚だとするのならば、この世界のギリシャ神話に出てくるオリンポス十二神のデメテルと似ている存在であるならば、居る可能性は確かにある。
文字通りスピリットモンスターズ界を作り上げた最初の神、原初の神とも言うべき存在が。スピリットモンスターズの世界が滅んでも、スピリットモンスターズと言うカードゲームのカードに宿る魂として生まれ変わっているスピリットモンスターズの世界の住人が居るのならばその原初の神が冬夏春秋を選び、スピリットモンスターズを作らせたのではないのかと。
「神と扱われるカードは幾つかあり、こちらの世界の神と非常に酷似している……ギリシャのオリンポス十二神や北欧神話のオーディン等の有名な神様と酷似しているカードがあるのならば世界を創った聖書の神と同じ立ち位置の神のカードがある、かもしれない」
「……そのカードの情報は?」
「7つの黒のカードも含めてですが、全てのカードを認識していないので……おそらくは私の知らないカードでしょう」
カードを作っている会社がカードを認知してないのどうなの?と末広は思ったが言っても大して効果は無いので言わない。
「ですが、とても運が良い」
「まだ存在しているかすらも分からないカードなんですけど」
「ええ……だからこそWSRGの価値がある。表の住人と裏の住人を含めた全てのスピリットモンスターズのバトラーを戦わせる。おそらく世界大会本戦では7つの黒のカードの持ち主や賞金王、オフィシャル公認S級バトラー等のスピリットモンスターズ界の上澄みも上澄みの者達が一堂に集う。当然、魂が宿るカードも。魂が宿るカードとそのカードと適合した者達同士の熱いバトルが巻き起こります」
「……スピリットモンスターズ界を創ったと思われる貴方に干渉した神様はそこに現れると?」
「それは保証出来ません。ですが、ただカードゲームの大会をして何事もなく大会が終わる、と言うのは起きないでしょう。純粋に世界最強を求める者、優勝賞品のどんな願いでも叶う権利を求める者、スピリットモンスターズを悪事に使う為に敵となる存在を潰す者、様々な思惑が集まっておりなにかがある可能性が高いと言うか起きるでしょう」
「なるほど」
「ですので、そちらがお抱えの表に出るつもりがないS級クラスを出してくださいね」
神様に会うには大会に参加しないといけない。しかし冬夏の言うS級クラスのバトラーは居ない。
色々とあったが最終的にホビーアニメの様な展開に巻き込まれているなと感じながらも末広は聞きたいことは聞けたと冬夏にお礼を言って遊学社を後にし帰路を歩む。
「スピリットモンスターズ界を創った神様か……難しいな」
悪魔や神様を呼び出す降霊術云々はこっちの世界には存在している。
その手の術をスピリットモンスターズの力を使い、こっちの世界の住人でなくスピリットモンスターズの魂を呼び出す降霊術を新たに開発をすればその神様を呼び出せる?いや、こっちの世界の降霊術もその辺の信仰が全くされてない土地神とかならば常人でも扱えるがメフィストフェレスとかの有名な存在は大抵は呼び出せても言うことを聞かない。言うことを聞かない高位の存在とは基本的には殴り合いで主従関係を築き上げるもので、聖書の神と言う神の中でもトップな存在と同格の存在となれば使役云々は不可能と考えていた方がいい。そして世界大会までの時間にその降霊術の開発、その降霊術を使える人の育成、普通に間に合わない。なによりもスピリットモンスターズで世界をどうのこうのしないでくださいと言っても断られるオチだ。
「スピリットモンスターズのバトルは神聖な物、魂が宿るカードが一堂に集うのならばそれは神聖な儀式と同じ、だったらそれを台無しにすれば文字通り神様の逆鱗に触れる。スピリットモンスターズ界の最高にして最上の神が干渉する…………当初の予定通りに世界大会は決行するとして、その神様をボコボコにして玩具常識改変罪として逮捕しないといけないから龍一課長に頼らねえとな……」
一応の解決策は見えた。今回のこの玩具常識改変罪と言う罪状で逮捕しなければならない相手も見えてきた。