お前を無責任保護者罪で逮捕する!   作:アルピ交通事務局

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東京と大阪に土地があると思うな

 

「……ついたか」

 

 神秘異能対策オカルト課、長いのでオカルト課としよう。

 オカルト課に転属が決まったら文字通り明日から来なくてもいいと言われた……国防省がある場所にオカルト課が無い。

 兵庫県の神戸市に向かってくれと詳しい詳細や事細かなデータが載せられている端末と神戸行きの飛行機のチケットを渡された。

 

「おぅ、待っとったで」

 

 神戸空港から出れば恵比寿様と見たことがない男性が居た。

 恵比寿様の隣に居るという事はオカルト課に関係がある人だろう。

 

「はじめまして、上原純平です」

 

「オレは黒代白久(くろしろしろく)だ」

 

「……ややこしい名前ですね……」

 

「オレもそう思う…………オカルト課の事務員をやっている」

 

 オカルト課に関係している人だと頭を下げて軽く挨拶をした。

 黒代白久……さん?……………事務員で先輩でオレより歳上っぽく見えるし、さんでいいか。

 

「黒代さん、よろしくお願いします」

 

「よろしく頼む……」

 

「ほな、挨拶が終わったし……事務所に向かうで」

 

 空港の駐車場に車を停めていると駐車場に向かう。

 極々普通の車……俺は車はキャンピングカー以外はマジで興味が無いからどれがどういう車種とか分からん。

 

「30分ぐらいで事務所に着くわ……いや〜職員が増えて嬉しいな!」

 

「課長みたいなタイプじゃなければ嬉しいな」

 

「……なんで東京にオカルト課が無いんですか?」

 

 恵比寿様が嬉しそうに黒代さんに話しかける。先ずは上手くコミュニケーションを取ろう。

 相手のことを根掘り葉掘り聞けば下手したら傷つくだろうから、一番の疑問、東京にオカルト課が無い理由を聞いてみた。

 

「厄介払いだ」

 

「え?」

 

「その言い方はどうかと思うで……まぁ、シンプルに土地が無いのと東京にばっか危ないの集束させるなやな。漫画とかそういうのでもとりあえず東京が舞台とかやん?東京にそういう厄介なのを持ち込むなってなにかあった時に東京でやられたら困る言われたんよ」

 

 黒代さんが厄介払いと言えば恵比寿様が呆れた。

 シンプルに土地が無い、そして東京にばかり危ないのを集束させるなと言う意見のもとで兵庫県の神戸になった。

 

「オカルト課作る時はホンマに大変やったで……東京は勘弁してくれ言われて、ほな大阪かってなったら大阪も勘弁してくれ断られて。京都は日本神秘協会の足元やし島根県は高天原の本部あるし。名古屋、仙台、博多、神戸……都市、都会とか言われてる場所に作るってなったんや。西宮に作ったらアカンのか?って聞いたら西宮の市長が勘弁してくれ言うてきて交通の便とかそういうので神戸になってな……」

 

「車で通勤しなければならないところ前提の場所に危うく追いやられかけたんだ……完全に厄介払いだ……」

 

「……黒代さんってもしかして」

 

「このオカルト課が立ち上がった時から居る事務員だ……だから色々と知っているぞ」

 

 ああ、やっぱりか。

 黒代さんは冷めている感じがしているが、ただ単に毒を吐いているところがある。

 どうもオカルト課が神戸に作られたことに関して色々と根に持っている感じがする……もしやと思えば最初からの人だった。

 

「オカルト課が色々とクソだったりとかな……」

 

「自分の所属している部署をクソって……」

 

「オカルト課の課長は十勇士の一人、金光龍一(かねみつりゅういち)は戦闘能力に置いては右に出る者が居ない。だがパソコンが出来るかどうかと聞かれれば怪しい……事務処理能力とかそういうのがあんま無くて戦闘能力に偏ってる奴が上司はマジでクソだ」

 

「ああ……そういう感じですか……」

 

 戦闘能力はとてもとても高い。しかし事務処理能力等が無い。

 殴り合いで物事を解決させなければならない時におそらくはその人は頼りになる人……でも、事務処理能力なんかはどうにもならない。

 事務員の黒代さんは事務員として働いていて……事務処理能力が無い課長に対して色々と不満を抱いている。

 バトル漫画とかで戦闘能力を遺憾無く発揮しピンチの状況を幾度も抜け出すことが出来たとしても、その人は戦闘能力があるだけでその人が人を見る目があったり人の上に立ち指示する能力があるかはまた話は別だろう。

 

「まぁ、龍一は一種の天下りやからしゃあないわ……戦闘能力を重視するな言うたんやけども須佐之男(スサノオ)は全然話が通じんくてな……ホンマは鯨六(げいむ)辺りが丁度ええねん……」

 

「…………オカルト課がどんな感じなのか掴めないですね……………」

 

「まず、オカルト課課長の金光龍一がトップや……そこに色々な部署がある。覚えておいた方がええのは伝説の十勇士やな」

 

「伝説の十勇士……って、それは噂話じゃ」

 

「いや、マジやで」

 

 十勇士……暴走族が減りかけている時代、ヤクザと呼ばれる存在が淘汰されていく時代、危険な脱法ドラッグが出回っていた時代、そんな時代に活躍した十人の猛者が居る。

 それは政府の役人が用意した暴走族や将来的にヤクザの様な所謂社会の闇の様な存在になる奴を向こうの流儀、力で倒すために用意されたと言われている。十人の猛者達は暴走族やヤクザを撃退した後に人知れず消えた。彼等のおかげで当時の中高生は暴走族やヤクザ等の黒い存在にならないようになった。その気になれば政府は暴走族やヤクザは撲滅出来ると証明し、1つの抑止力と言われており伝説を刻まれている。

 

龍一(りゅういち)二狼(じろう)虎三(どらみ)四馬(しば)五鹿(いつか)鯨六(げいむ)猿七(えんしち)八兎(やと)九鳥(くちょう)十螂(とうろう)……伝説の十勇士はなにかしらの形でオカルト課に力を貸しとる……龍一はオカルト課の課長、虎三はオカルト刑務所所長、鯨六は学校の理事長やな……まぁ、最初に深く関わるんは鯨六やろうな」

 

「……龍一課長では?」

 

「いや、鯨六の奴だ……お前はまだこの業界についてなにも知らない。バトル漫画とかでよくある戦闘IQだけが高い奴は課長だけで充分だ。鯨六のところで色々と勉強をする、そこからがスタートだ」

 

 要するに研修をしろという事か……うん……間違いじゃないな。

 黒代さんは龍一課長が戦闘能力に関しては信頼出来る人とは言っている。それはつまり殴り合い等の暴力で解決しないといけない問題が発生している。体育の授業で柔道などをやらされた。だが、ガチの柔道家じゃない。総合格闘技みたいに人を流血させるまで、気絶させるまで、相手の命を奪うまで、そんなところまで誰かを傷つけないといけない。その能力を俺は持っていない。

 もしかしたらいきなり拳銃を渡されてコレで異世界の住人を殺してくれと言われたら俺は躊躇う……かもしれない。俺は純粋に人の不幸を願う事が出来るが、それでも土壇場になって手が出せない可能性がある。

 

「業界用語とかを覚えるとかそういうのもありますけど、実際にはどういう仕事を?」

 

「異世界の住人を殺す」

 

「え?」

 

「残念ながらマジや……どちらかと言えば子供でも分かりやすい悪の様な存在ならば殺す。善な存在でもこの世界に、この国に多大な迷惑を掛けるなら殺す……倒すんやないで、殺すんや」

 

「…………ハッキリと、言うんですね……」

 

「観光に来たんやったら喜んで受け入れるわ、西宮にあるえびす神社に来てくれって言うたるわ、美味い寿司屋を紹介するわ……けど、持ってくるんわ厄災の種や。争いの火種や。しかもタチ悪い事に中高生がターゲット、物事を正しく判断出来るか出来ないかぐらいのレベルの子供にやらせるんや…………ホンマ最悪やで」

 

 異世界の住人を殺す、恵比寿様はハッキリとそういった。

 観光に来たのならば観光大国である日本は受け入れる。でも、争いの火種や厄介な事を持ち込もうとしている。

 

「若い方が思考が柔軟……なんて考えてるならやめとけよ」

 

「なんでですか?」

 

「柔軟なのはいいことだが、何事にも特例を作っては意味が無い。皆が決めた皆を正しく判断する基準があるのに柔軟になればそれが機能しない。世に言うちゃんと真面目にしているってやつがまず出来ないと……足元が緩いやつは負けやすい」

 

「……成る程……」

 

 黒代さんは若いのは特例等を作ろうとする、それに合わせて対応をしようとする。

 皆が決めた正しいという基準で計測せずに別のもので計測をする。それは正しい評価を下すことが出来ない。

 全員にある程度は平等であるが為に正しいとされている、それを基準にして審査をする。

 

「何事も特例は無しがいいけど、特例はある。ただし特例ばかりが増えればそれはもう特例でなく別例だ……そういう人達の受け口を用意したりはしている。でも、本音を言えば最初に決めた基準で審査をしたい……」

 

「黒代は経理も担当しててボーナス査定もしてくれるけど、めっさ厳しいで……龍一なんか課長やのに大阪の某テーマパークを満足に遊べないぐらいしかボーナス貰えんかったからな」

 

「……行ったことが無いから基準が分かりませんね……」

 

「っと、着いたぞ」

 

 某テーマパークが何処かは分かるが大阪にあるから行ったことが無いから値段が分からない。

 ボーナスが削られたって龍一課長はいったいどれくらいに酷い人なのだろうかと思っていると……小さなハイツに辿り着いた……え?

 

「ここが……オカルト課の事務所?」

 

「都会のビルをイメージしてるなら捨てとけ……あんなところに事務所を構えても金がかかって仕方がない……」

 

「言うとくけどここめっちゃ立地条件ええねんで!コンビニまで徒歩3分!バス停まで徒歩3分!駅まで徒歩3分!学校近い!大手のチェーンの飲食店近い!ラーメン屋近い!駐車場も直ぐ側にある!」

 

 神戸だからビルが並んでいるところにオカルト課の事務所があると思ったがそんな事は無かった。

 何処にでもありそうなハイツに辿り着きこっちだぞと案内をしてもらう……ホントに普通のハイツだが恵比寿様の言う通り、コンビニ近い、バス停近い、駅近い、学校近い、大手の飲食店が近い、駐車場も直ぐ側にある。

 神戸という都市であることと普通の人が職場に望む条件を満たしまくっている……………

 

「おかしいか?」

 

「あ、いえ……」

 

「オレ達は人間だから求めるのも普通のもの、コンビニや駅が近くにあるなんて最高の立地条件だ……なんかスゲえ技術を開発したりテストしたり刑務所とかは一応はあるがそれは別にある……確か刑務所は黄泉の国にあったか」

 

 イメージしている感じと違うなと思っていれば黒代さんに見抜かれる。

 もっと花のある部署と言う先入観というかイメージがあったけど……完全に立地条件だけで選んでいるところがあるな……。

 

「見ての通りハイツで部屋は7つある……1つは課長の龍一が生活拠点として購入した部屋、1つは事務仕事をしている場所、1つは来客が泊まる部屋」

 

「……他は?」

 

「それは追々と紹介する……恵比寿さん、もういい」

 

「ええんか?」

 

「ああ、後はこっちでどうにかする……ありがとう」

 

 7つある部屋の内の3つを紹介してもらう。

 残り4つの部屋がなんなのか気になるが先ずは課長や職場の人に挨拶をしないといけない。

 黒代さんが恵比寿様にもう帰ってもいい事を伝えた。恵比寿様は分かったと言えば帰っていく……

 

「恵比寿様はオカルト課の人じゃないんですか?」

 

「恵比寿さんは高天原(たかまがはら)、日本神話の神々から派遣されてる派遣社員だ」

 

「神様が派遣社員って……」

 

「色々とあるからその辺はこれから学んでいけばいい」

 

 神様が派遣社員って中々に無いことだぞと思いながらも黒代さんが開けた事務仕事をしている部屋に入る。

 中は……思っていたよりも……………いや、違う!

 

「明らかに広すぎる!」

 

「空間を弄くるタイプの呪術で広げている」

 

 外から見える広さと中から見える広さが明らかに違う。

 空間を弄くるタイプの呪術とサラリと言いのける黒代さん……ぉ、ぉお、おぉ……おお!

 

「急にファンタジーなところが出てきたな……」

 

 オカルト課の本部は神戸だからエコノミーの飛行機のチケットを渡された。

 神戸空港に迎えに来たのは俺よりも少し歳上かと思えるぐらいの人と恵比寿様で車で移動する。

 辿り着いたオカルト課の本部は普通のハイツに見える。

 ホントにオカルトに関係する部署とかそういう感じなのか?と疑問を抱いていたのだが……コレだよこういうのを心の何処かで期待していたんだ。

 

「…………人、居ないですね……」

 

「……コレがどういう意味か分かるか?」

 

 オカルト課の人に挨拶をしようと考えていたのだがデスクトップパソコンが並んでいる場所には人が居ない。

 ファイルとか誰かのマグカップとかそういうのが普通にあるので、そこそこ人が居るのが分かるのだが……黒代さんは皮肉めいた笑みを浮かび上げる。

 

「本部の仕事に手がつかないレベルでクソ忙しいんだ……」

 

「そ、そんなに忙しいんですか?」

 

「……基本的には定時には上がれるがブラックな時はマジでブラックで日を跨ぐのは当たり前になる……」

 

「おい、待て。だが待て。黒代、折角の新人になにを言っているんだ?」

 

 事務所に帰って仕事をすることが出来ないぐらいには忙しい。

 黒代さんは辛そうにしているとマッシュルームヘアの男が現れた……

 

「課長、事実でしょうが……ホントに忙しい時は洒落にならないぐらいに忙しい……だからオレみたいなのが居る」

 

「いやさ、そうだけどさそうだけどさ……オカルト課がブラックに見えるじゃん。ブラックじゃないよ」

 

「……事実じゃん」

 

「…………ブラックじゃない!危険手当とかそういうのが入って給料面はしっかりとだ!29歳にして貯金3000万を貯めれるんだぞ!!ブラック企業にありがちな最低賃金でコキ使ってないからな!!」

 

「……オレはそれを貰うより週4日の8時間労働+1時間半残業……金より休みなんだよ…………上原純平を連れてきました」

 

「はじめまして、上原純平と言います」

 

「どうもどうも、俺がオカルト課課長の金光龍一……龍さんでも龍一さんでも課長でも好きに呼べばいい」

 

「……では、龍一課長と呼ばせていただきます…………今は……忙しいのですか?」

 

「まぁ、そうですね………忙しいと言えば忙しいですけど……見ての通り本部で働いてるの20人ぐらいだからね」

 

 20人?……官僚の数だから少ないのか多いのか……オカルト案件を対処するのならば……

 

「もっと数が必要じゃないのか?かな?」

 

「……ええ……」

 

「まぁ、そうね。そう思うよね……でもそれがさ、大変なんだよ。文武両道が出来る人はレジェンド大戦で殆ど死んじゃったんだよ……もう、ここからさ、1から築き上げないといけないんだ。それこそアレだ。この時代で安倍晴明とか藤原秀郷とか紫式部とかそういう偉人レベルに開祖的な感じにならないといけないんだ…………ホントにレジェンド大戦で死にまくった……まぁ、相手が100000000個の異世界の神や悪魔や勇者やらだから仕方ないけども……」

 

 少し変わった方だなと印象を受けたが、どうやら課長も課長で苦労しているらしい

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