WSRGの予選が各地、いや、各国で開幕した。
「……どう?」
「まぁ……世界大会ってこんなもんじゃね?な感じじゃねえの?」
末原さんはWSRGの裏方として色々と根回し等をしている一方で俺はと言えばオカルト課で龍一課長と黒代さんと共にパソコンを見ていた。龍一課長がどうなのか?と聞いてくるので黒代さんが結構適当な感じで答えた。龍一課長は目に見えて落ち込む。
「スピリットモンスターズのモンスターが富を与える系の力を持ってるのもあるから仕方ねえだろうな」
「黒代さん、そんなの言い出したら元も子もないですよ」
今の今ままで龍一課長は恵比寿様を含めた商売関係の神様と協力してスピリットモンスターズ産業の経営を不振にするべく動いていた。売り上げを落とす為に四苦八苦していたが、結果は……世界陸上とかで起きるレベルの経済効果がこのWSRGにあったぐらいだ。
大赤字を狙っていたのだが普通に世界陸上とかと同じぐらいの経済効果があった。
「おかしいでしょ!?アニメとかゲームとかそういうサブカルチャー全てを含めて数百億円の経済効果はわかるよ!でも、スピリットモンスターズと言うカードゲーム、世界大会をするだけで数百億円の経済効果が巻き起こるって……」
「龍一課長、それ零時が終わらせた玩具常識改変罪の時も言ってたぞ?」
1つのカードゲームで数百億円の経済効果を生み出していることに対しておかしい!と、他のカードゲームの世界大会の経済効果云々のデータと照らし合わせて明らかに異常であるのだと龍一課長は興奮しながらも呆れている。そして過去に1回起きた玩具常識改変罪の時も同じリアクションをしていたと黒代さんは指摘する。
「大体……いや、いいんだよ。仕事だし玩具常識改変罪で世の中をおかしくしたらいけないから働くよ。でもさ、課長の仕事ってこういうタイプじゃないんだよ?もっとこう、呪いの祠を破壊して封印されていた呪いの根源を討伐とか日本の神秘異能超常現象法務部が作り上げたネオ六法全書に書かれた法律に触れる奴をボコって黄泉の国のオカルト刑務所に叩き込んだりするのが一番性に合うんだよ……」
「なんでもかんでも暴力で解決出来ると思うな!そういう脳筋思考だからオレや恵比寿さまが苦労してんだぞ!」
「落ち着いてください……スピリットモンスターズをオワコン化させる計画は着実に動いている。過去に1度起きた玩具常識改変罪を解決した際の記録から見て、表も裏も含めた一番を決める世界大会の場でクソを撒き散らす。そしてその後にクソを増やす」
玩具常識改変罪の解決方法は見えているがそれを上手く出来るかどうか、スーさんさんが裏で色々と手引きしている。
世界大会本戦の場で色々とクソな事をする。そしてクソを増やすので、理論上はスピリットモンスターズをオワコン化させる事は可能だ。
「大丈夫なの?」
「……失敗した時のプランBとしてはスピリットモンスターズをあえて全面的に表に出す。スピリットモンスターズのモンスターカードには魂が宿っており、その魂が宿るカードは不思議な力を持っている。力の種類は色々とあるがその気になればスピリットモンスターズを軍事兵器として活用することが出来る等を世間に公表するのが今のところあります」
「……それってさ、結局のところ玩具常識改変力に負けたからそれを利用しようぜ!なプラン?」
「文字通りスピリットモンスターズをこちらにとって最も理想的な方法でオワコンにさせる方法は今のところはプランAのみ。プランB以降のプランは全て玩具常識改変力により世界の常識が変わった為にオワコンに出来なくなった場合の対応です」
プランBはスピリットモンスターズに関する力を世界に公表する。
そうすればそれを良いことと悪いことに利用する人間等がバカみたいに増えるので、スピリットモンスターズを法律等で規制する治安維持局が生まれる。場合によってはスピリットモンスターズ省と言う省庁を作らなければならない。
「プランB以降のプランってそんな感じかぁ……」
「はい……確実にプランAを実行する為に俺はこうして表に出ない様に裏で必死にスピリットモンスターズと全く関係無い内容の事務仕事をしています」
「……1%でも可能性を上げる以上はそれがベストだな……はぁ、ホントに暴力で解決出来ない案件は厄介だな」
「スピリットモンスターズ界を創った神の干渉がある可能性が仄めかされてます。龍一課長はその神の捕獲を………」
スピリットモンスターズ界を創り冬夏春秋に干渉した可能性が非常に高いスピリットモンスターズの原初の神。
色々と考えた結果、今回の玩具常識改変罪と言う罪に問われる者はその原初の神だ。ただ、その原初の神はおそらく聖書の神と同格、それこそギリシャ神話のヘラクレスの様に半分が最高位の神様の血が流れている半神半人な英雄だとしても使役するのは不可能だが……まぁ、なんとかすると五鹿さんが言っていて説明を受けたのでなんとか出来るだろう。
世界そのものが滅びている以上は魔法少女勧誘罪の時と異なりなにかしらの財産の差し押さえ等は出来ないのが厄介だが。
「五鹿と十螂が頑張ってくれるから多分、なんとかすることが出来るとしか……祈るしかないか」
「五鹿さんは分かりますが、
「ああ、課長と同じ十勇士の1人で営業担当だ」
「……オカルト課に営業ってあるんですか?」
オカルト課の下部組織であるオカルト関係のあれこれを研究する研究所の所長の五鹿さんがスピリットモンスターズ界の原初の神を捕獲及び封印をする技術を開発しないといけないので五鹿さんが頑張るというのは理解出来る。ただ、その十螂と言う人が誰なのかとかが分からず、課長がスゴくざっくりと営業担当と言うがこういう国家公務員仕事に営業はあるのか?広報担当、というわけではないか。
「あるよ……
「そもそもで十勇士の全員を知らないのですが……鯨六さんと猿七さんと五鹿さん以外はなにをしているのですか?」
私立天ノ岩戸学園の理事長を勤めている鯨六さん。神秘異能超常現象専門犯罪を専門に扱う弁護士と検事の資格を持つ猿七さん。オカルト課の下部組織である研究所所長の五鹿さん。
この3人と龍一課長は具体的になんの仕事をしているのかがハッキリと分かっている。残りの7人は具体的になにをしているのか?
「1人1人能力と噛み合った仕事をしている……幻想鑑定士の時沢二狼は鑑定士の仕事をしている。例えば一族秘伝の魔法とかの知的財産、エクスカリバーとかの聖剣が有名過ぎてアーサー王の様な有名な英雄が使ったけどゴミみたいな性能な宝具とかを現代の紙幣価値に照らし合わせる仕事と安倍晴明とか果心居士とかの神秘や異能で歴史に名を残した人が居ない時代、居ても場所的にその人が来ないだろうと思える地方に足を運んでそこに当時の人間では倒せなかった人に危害を加える妖魔の類が封印されてないとかの確認。課長はトッキーが見つけた封印されてる妖魔の封印を解除して問答無用で魂レベルで殺すのが仕事だ」
「なるほど、前回のソフト王国にある物の紙幣価値を決める云々の仕事はその仕事の一環だったのですね」
「そうだよ。ただし100億とかのちょっとありえない金額になったら裏金問題とか国が管理しているお金がどうのこうので基本的には異世界関係は二束三文で買い叩き、慰謝料的なのは十数億で納める。流石に何処からともなく100億以上の金がポンッと現れたら世の中おかしくなる」
確かに……ソフト王国に対する損害賠償を合計すれば15億円程と安すぎるのでは?と思ったが何もないところ、と言うか日本と全く貿易していない国がいきなり日本円で100億以上の大金をポンッと渡せば経済が混乱する可能性がある。
「トッキーの仕事は大変だよ、日本各地を歩いたりして探さないといけないし物の正しい価値を理解しないといけない。宝具とか神秘の道具の鑑定で二束三文を出した時はキレられて殺されかけた時もある」
「いや、アレはどう考えてもただのゴミだろ。その辺の家電量販店で売っているので代用出来るんだから二束三文で叩かれてもなんらおかしくねえ」
二狼さんも苦労しているところでは苦労している云々があるのだと伝わる。
しかしいったいなにを二束三文だと鑑定したんだ?その辺の家電量販店で売っている物で代用出来る物って……。
「十勇士の1人、
「捕まえるまでの過程で暴力は必要で捕まえてからは不要じゃないですか」
「そう思うだろうが、そんなに甘くないんだ。最近は減ったけどさ、少年漫画とかで女性のおっぱいに触れたりしたらスケベ心でパワーアップするとか大切なものを傷つけられた怒りにより秘められた潜在能力を解放したとか仲間達と思いを1つにして絆の力で新たなる力を手に入れたとかあるでしょ?」
「まぁ、ベタと言えばベタですがありますね」
「オカルト刑務所に叩き込まれた奴等は神秘や異能の力を問答無用で封じ込める仙術が使われる。そしてなんで自分が刑務所に叩き込まれたんだよ!と自分が悪行をしている事を全く理解しておらず不当だなんだと言ってストレスを高める日々を送る。後は言わなくても分かるでしょ?ストレスを溜め込み、負の感情を引き金に新たなる力に覚醒とかが起こり脱獄を試みようとする。虎三はそいつらを叩きのめすのが仕事だ」
「そして龍一課長よりも事務仕事は出来る」
「現場仕事出来ない奴がなに言ってんの」
あ、今回は返したか。
黒代さんの小言に対して逆にお前は現場仕事が出来ないだろうと言い返されるが黒代さんは怒らない。
「オレは現場仕事じゃなくて事務員として雇用契約をしているから畑違いだ」
「っく…………十勇士の1人、
カウンターのカウンターが決まったが龍一課長は続きを説明してくれる。
十勇士の1人、四馬さんは異世界探検の部隊の隊長……なにやらハードな仕事だな。
「
「どちらも難しそうな仕事ですね」
「実際、龍一課長じゃ出来ないタイプの仕事だ……その逆、猿七と八兎にも龍一課長の仕事は出来ねえが。戦闘能力と事務能力を掛け合わせた人間って中々に居ねえんだ」
戦闘能力を求められる仕事自体が早々に無いので普通は事務能力が重視なのに。
「十勇士の1人、
「九鳥さんの仕事はイメージ出来ますが……
そもそも異世界営業担当ってなんだ?
「異世界にも色々とあってな。神様の様な超常的な存在にのみこっちの世界に干渉する事が出来るのでなく、その世界の人類の中で最も繁栄している国家とかがこっちの世界に干渉する技術を持っている。そして厄介な事が起きたから東京以外の何処かの学校の高校2年生の1つのクラスを召喚するとかがある……そんな事をする前に、こっちの世界の技術を買い取ったりしないか?とかの話を持ちかける。稀に龍一課長も出張でその世界に乗り込んでその世界の魔王的なのを討伐してんだ」
……………東京以外?普通は東京では?……………いや、それよりもだ。
「話し合いが通じる、交渉する事が出来る異世界があるのであれば……異世界の存在の公表等をしないのですか?」
この業界に入ってまだまだ日が浅いが色々と考えた結果、何処かの段階でその手の存在を公表しないといけないと感じる。
異世界転生モノとかが当たり前の様に一般人に認知されて地球が舞台のファンタジーな作品も増えているので日本人ならばすんなりと受け入れる気がしなくもない。
「……上原……例えばさ、織田信長を先祖に持つ人が居て、その人は現在脱サラして富山県の小矢部市でカレー屋を営んでるって言われたら?」
「……その人、織田信長の子孫なんですねで終わります」
「例えば、先祖に新選組の鬼の副長と恐れられた土方歳三が居る人がライトノベルの作家だったら?」
「……その人、土方歳三の子孫なんですねで終わります」
「例えば、お笑い芸人として高い知名度を誇る人が地元の市長や知事になる為に選挙に出馬し当選したと聞けば?」
「……過去にそのケースで政治家になった人は何人かは居ますので別にそこまで驚くことではありません」
その人がお笑い芸人として高い知名度を持っているから政治に興味が無いがそのお笑い芸人は大好きだから普段は行かないけども今回だけはその人に投票しよう!と言う考えを偶然にも持つ可能性があるが、それに関してはなんとも言えないので指摘はしない。魅力もまた1つの力なのだから。
「異世界の神様や異世界の人間から見ればハッキリと言えば今言った質問内容はイカれている。過去に交渉とかそういうのが出来た世界や関わり合いを絶対に持てない様に断絶させた異世界から見てこっちの世界はイカれている。日本はその中でも一番イカれている国だと判明した。異世界と文化等があまりにも違いすぎるから共存の道が辿れねえんだ」
「…………………なるほど」
色々とあるが異世界との文化等が違いすぎるから共存の道を辿ることが出来ない。
だから表に出てきてこの世界との和平交渉等をすることが出来ないのだと結論を出している。黒代さんもその事に関して色々と思うことがあるが、先ほど投げた質問に対して特になんの違和感も抱かなかった。おそらく、異世界から見れば3つの質問はありえない!と言う答えなのだろう。
「こっちの世界に干渉する技術が確立されている世界は確かにある。オレと五鹿が1か月間休み無しで作り上げたあの結界のおかげで今はなんとかなってるが何時一般社会に堂々と干渉するかどうか分からない。それまでの間に出来ることは色々とやるが……結局のところ、才能を持った高い戦闘能力を持った人格がまともな奴を増やすしかねえんだよな」
ホントにロクでもないな、この業界は。
「十螂は異世界に対して営業を申し込んで、異世界の技術を買ってくる。その中には概念が異なる物が幾つかあり……スピリットモンスターズ界を創った神を封じ込めるか討伐するには概念が異なる技術が必要だ」
概念が異なる物、それは文字通り概念が異なる物だ。
例えば異世界では魔法や魔術が存在している。そして魔法や魔術は誰にでも使える物でその世界の住人は全員が強弱の差はあれども魔力を宿している。
こちらの世界にも魔力の概念はあるし魔法や魔術はある。炎を出したりする物から人を探す物まで色々とある。しかし、こちらの世界の魔力とは人間が持っている霊力と言うエネルギーを自然が発する
異世界には根本的な部分から概念が違う人が居る。
例えばペガ◯ス流◯拳、技の内容としては音速で相手を殴りまくっていると言うシンプルなものだ。その技を成立させるには鍛え上げた強靭な肉体だけでなく特別なエネルギーが必要だ。そのエネルギーはその世界の住人が死ぬほどキツい修行をすれば制御可能なエネルギーだが、その世界の住人じゃない世界の住人、例えば俺達ならばどれだけ修行してもそのエネルギーを会得する事が出来ない時もある。
龍一課長の固有能力と神秘異能超常現象研究所の研究でそのエネルギーを使わないと出来ない技術を会得し、その世界とは異なる世界、異世界Bの住人を異世界Aでしか生まれないエネルギーや技術で封印をする。異世界Bには異世界Aのエネルギーや技術の概念が無いのでその封印を解除するのが不可能だったりする。
今回、スピリットモンスターズの世界を創り冬夏春秋に干渉してこの世界にスピリットモンスターズと言うカードゲームを作り上げた原初の神はこの世界でもスピリットモンスターズの世界でもない異世界Bの技術で戦わなければならない。
「……お、五鹿からだ……あ、技術見つかったって」
その技術を見つけなければならないので研究所が成果を上げるのを待っていれば研究所からメールが送られた。
スピリットモンスターズの住人達をどうにか出来てスピリットモンスターズの住人達だからこそどうすることも出来ない技術が見つかった。