プロローグ
10月、神無月。オカルト課は少しピリピリとした空気が流れている。
「あ〜ヤバい。純ちゃん、ガムとか持ってない?」
「フリスクならあります」
「じゃ、それで」
有給休暇中にエッチな見た目をしているモンスター達と男女の関係に発展させたスーさんがオカルト課に居る。
これから起きる事は1人では確実に対応をすることが出来ないのだと黒代さんや龍一課長が判断し、休暇明けのスーさんをオカルト課の仕事に回している。スーさんはこれから起こることを想像すればと気分が落ち着かずガム的なのを持っていないかを聞いてくるので、フリスクがあると言いフリスクを差し出せば即座に噛み砕いた。
「はい、じゃあ前々から言ってたけどね就労体験として2名の娘が来ます。どっちも美少女です」
「課長、そういうのあんまよくないっすよ!」
ついでだからと俺もフリスクを噛み砕いて気持ちを落ち着かせていると2人の女を引き連れた龍一課長がやって来た。
天之岩戸学園高等部の制服を着ており、1人はポニーテールでスタイル抜群で眠そうな顔をしていてボーっとしている。1人はサイドテールでこれまたスタイル抜群、元気そうな娘だなと第一印象がそんな感じだ。
前に言っていた、天之岩戸学園からの就労体験が始まった。
俺とスーさん、後もう1人がこの就労体験としてやって来た子供の世話係を引き受けることになっている。
「はじめまして、
「中野?」
「はい」
サイドテールの女の子が自己紹介をすればスーさんが反応をした。
中野と言えばで誰か心当たりがあるのだろうか?本来は予定には無い事でこちら側も天之岩戸学園との連携が上手く取れていないからな。
「ほら、
「う、ん……
もう1人の女の子が挨拶をしていないのでするように零羅が言った。
もう1人の女の子、彩理はスゴくゆっくりとだが自己紹介をしてくれる。
「オカルト課課長の金光龍一って、課長は挨拶したか」
「経理とかの事務員の黒代白久だ」
「藤末広、藤末じゃなくて、藤、末広だ」
「上原純平だ……龍一課長、もう1人来るんじゃないのですか?」
「ああ、喫煙室でニコチン摂取してる」
取りあえずはで俺達も自己紹介をする。
ついでだからともう1人来る予定の人について聞いてみれば別室にある喫煙室でタバコを吸っていると言われた。仕事よりもタバコかと呆れながらも龍一課長は話を続ける。
「今日から2週間、オカルト課の人間として働いてもらう。ここで良い仕事をすればオカルト課の内定は貰える可能性があるからしっかりしろよ」
「は、い……安心安定の、国家公務員……就職し、たい」
龍一課長が零羅と彩理の2人にオカルト課で真面目に働けばいいことがあるぞと言った。
それに反応したのは彩理でオカルト課に就職して安定安定の国家公務員になりたいと本音を零す。
「っちょ、彩理!?」
「大丈夫大丈夫、そっちの方がありがたいから」
金目当てとかそういうのは下品!と言う考えを零羅は持っている。
しかし、オカルト課的にはそういう考えよりも金とかそういうのをしっかりとしているから就職したいとか言う人の方がありがたいと龍一課長はぶっちゃける。
「ぶっちゃけ、オカルト課ってオカルト案件の処理とかの厄介払いなところあるからな。専門職な要素も中にはあるから下手にクビとか出来ねえし」
「課長とか代えが効かないからな……んじゃ、上原、末広、後、もう既に挨拶とかやってて出るの気まずいなとスタンバってる黄坂、仕事を教えてやれ」
「黒代さん、気付いていたの!?」
何時の間にかオカルト課の事務室に居たメガネを掛けた三つ編みの女性は驚いた。
黒代さんが自分が居るという事について気付いていたのと驚いているが黒代さんは特に反応はしない。
「ありゃ、黄坂さん珍しいッスね。オカルト課に来るなんて」
「いや、あたしもオカルト課の人間なの忘れないでよ!」
「スーさん、この人は?」
「
メガネをかけた三つ編みの女性の正体はオカルト課の職員だった。
しかも初期のメンバーと言うかなりの大物であり、俺のことについて色々と聞いている。
「黄坂さん……あ!確か玩具常識改変罪の事件の解決を一役買ったという」
「それを言うならあなたもでしょう?スピリットモンスターズ事件はよくやったわ。おかげで子供が正気に戻ったわ」
黄坂と言う名前を何処かで聞いたと思い出そうとすればあっさりと思い出した。
俺が担当した玩具常識改変罪でなく最初に起きた玩具常識改変罪で事件を解決するのに一役買った功績者だ。子供が正気に戻ったとお礼を言ってくれる。
「いえ、俺なんてそんな……っと、オカルト課の仕事について教えるぞ」
俺達同士での自己紹介云々で就労体験に来てくれた2人の時間を潰すわけにはいかない。
自己紹介はしたのでオカルト課に関する仕事をする……オカルト課はその名の通りオカルト案件な事件の解決だ。ただし、それだけでは納まらない。オカルト案件な事件の解決をした後に事件を起こした加害者を裁いたり被害者のアフターケアをしなければならない。
オカルト課の主な仕事内容は大きく分けて2つ。
1つ目はオカルト課の下部組織の仕事に成果報告を確認し、次に何をするようにと指示を出したりすることだ。
2つ目はオカルト課の下部組織が手に入れたネオ六法全書に記されている法律に違反しているオカルト課が対応しなければならない裁かなければならない事件を現場に向かい対峙し、下部組織と協力をして解決する。
経理とかのお金関係は黒代さんが大体引き受けている。
しかし、オカルト課が解決しなければならない事件はかなりの量で解決しても直ぐに色々と事件が巻き起こる。オカルト課に人が居ないのはオカルト課の下部組織が手に入れた情報をもとに事件の主な全貌を調べて解決する仕事をしているからだ。
「業務速度は問題は無いな」
一応は役所仕事なので迅速に対応をしなければならない。
この前の玩具常識改変罪も対応が遅れていたら引き返せないところにまで持っていかれていたので、2人の事務処理能力や実際に物事を考える力がちゃんとあるのか少し心配だったもののその辺に関しては杞憂に終わった。
2人は鯨六さんが理事長をしている天之岩戸学園からやって来た。
天之岩戸学園は学校として素晴らしい学校だと文部科学省から表彰を貰っているらしく、そこの生徒ならば問題は無くて当然かとなる。
「現場での仕事が主になり最近ではリモートが増えている事もあるのでオカルト課に来ずに現場仕事なところもある……とまぁ、大体はこんな感じだ」
そんなこんなで1日の流れを教えた。タイムカードを押して、パソコンと向き合う。
高天原の様な神様の組織、日本神秘異能協会の様な政府管轄外の神秘団体、そしてオカルト課の3つの三大勢力があり、その勢力がお互いに腹の読み合いをしたりしているのを確認し色々と行動をする。
「あのっ……上原さん。上原さんはオカルト課に入ったばかりですよね?……この人を見たことがありませんか?」
1日の仕事の流れについての説明が終わるという事は1日の仕事が終わるということだ。
ここからは完全にフリーな時間になっており、零羅が1枚の写真を見せてくる。写真には一枚の高校生が写っており天之岩戸学園高等部の男子生徒の制服を着ている。
「すまない、見た覚えは無い……天之岩戸学園高等部の男子生徒なのだろうが、理事長に聞いた方が早くはないか?」
「理事長に聞いたりして、ここじゃないと……お兄ちゃんが、何処に行ったのかが分からないんです」
「お兄ちゃん?」
「はい……私の兄の名前は中野零時、オカルト課の推薦枠を使ってオカルト課に入った職員です」
「……やっぱりか」
男子生徒が何者なのかについて知りたいのならば俺よりも理事長とかの方が詳しいことについて言えば、写真の男について教えてくれた。写真の男は零時、度々名前を聞くが詳しいことについては知らず、零時の名前を出したら黄坂さんは予想通りだなと少しため息を吐いた。
「零時に関しては鯨六理事長が教えた事が事実よ」
「ある日、突然居なくなったって言われても納得が出来ません!!」
「納得がいかないのは零時を知ってるあたしや課長もよ……零時が仕事を投げ出すなんてそれこそありえない」
「じゃあなんで居なくなったんですか!!お兄ちゃんが居なくなるなんてありえない!オカルト課はなにか情報を手にしてる!そうじゃないんですか!!」
「零羅、落ち着い、て……オカルト課の人も、分かって、ないと思う」
「…………零時を探す為だけにオカルト課に来たってなら明日から来なくていいぞ」
「っ!!」
「零時に関しては1つの可能性は見つけている。でも、だからってどうにか出来る問題じゃない」
興奮している零羅を彩理が落ち着かせていると龍一課長がその為だけならばとキッパリと断りを入れる。
零時と言う人に関してはなにか心当たりがあるみたいだが、どうやらどうすることも出来ない問題であち龍一課長は零時探しならば来るなと線引きをする。
「零羅、聞きたい、かもしれない、けど……オカルト課の人達も、色々と、ある……」
「っ……すみません。兄の行方がわからなくて、オカルト課に聞けばなにか分かるのかと思いまして……兄を探す為でなくオカルト課で真面目に働きます」
「…………そうか。んじゃ、寄り道せずに帰れよ」
「はい」
彩理に落ち着くように言われて頭を少し冷やしたのか直ぐに零羅は俺達に謝罪をする。
それを見た龍一課長は寮に帰る様に言えば2人はオカルト課を後にし、オカルト課職員の俺達は残された。
「何がどうなってるんですか?」
彩理は普通にオカルト課の就職を目指して頑張っているという印象がある。だが、中野零羅は兄である零時を探すのに必死だった。
「って、話してないの?」
「零時と言う職員が居て、ある日居なくなったと言う話なら聞いてます」
「また妙なところを……そうね……零時は最初の子だったのよ」
「……?」
黄坂さんが詳しい詳細について話をしていないことについて驚いていた。俺はざっくりとしか聞いていない。
聞いている部分を教えれば黄坂さんが教えるべきだと零時が最初の子だった事を教えてくれるが最初の子ってなんだ?
「レジェンド大戦が終わったあとにこのオカルト課が生まれた。今まで好き勝手にやってた神秘異能の団体は自分達こそ政府管下の組織だろうとか主張したけど、私利私欲交えてロクな事をしないからと拒んだ。元々この業界はロクでもない業界で人手不足に悩まされていて、当初の予定では十勇士全員がオカルト課の人間になる予定だったの」
「……オカルト課にしっかりと籍を置いているのは龍一課長だけですが?」
「オカルト案件の司法があんまりにもだらしなかったり異世界の干渉を受けていたりでオカルト課以外の組織が出来て課長だけが余ったの……神出さんとかは学校の先生になりたいと前から思っていてレジェンド大戦に出た報酬で天之岩戸学園を創ったりしたし」
「そうなんですか」
「当時の十勇士の何人かはやりたい仕事がある!って将来の夢を持ってて、課長は何かあったら暴力で解決出来るだろうで課長になった感じ」
龍一課長にホントかどうかを聞けばその通りだと頷いた。
「それでまぁ、天之岩戸学園からオカルト課に就職する推薦枠があった。ライトノベルの主人公みたいなのは不要でしっかりと物事を考えてくれてその上で動ける人材を育成!ってなって、沢山の人が修行の過程で挫折したのよ。で、中野零時だけは修行に成功して天之岩戸学園を卒業後にオカルト課に所属する推薦枠を手にしたのよ」
「零時は真面目に働いてて、仕事に不備とかも無かった……けど、ホントにある日突然に居なくなったんだ」
オカルト課に所属することに成功した零時について思い出す黄坂さんと龍一課長。
何回か零時さんが解決した仕事の書類に目を通したりはしたのだがどれもしっかりとした大人な対応をしているなと言うものばかりで、優秀な人であるなと分かる。だが、何故かその人が突然に居なくなった。
「なんで居なくなった?って話だけども、あたし達も色々と調べた。当時の仕事や交流関係なんかも。でも、分からなかった。だからこそある疑惑が浮上していた。けど、その疑惑を解き明かす方法が困難極まりないのよ」
「鯨六も自分の考えた教育方針で子どもを育てて立派な国家公務員に就職させたと当時は喜んでたが危険だと承知の上で天之岩戸学園推薦枠を用いてオカルト課に就職させた自分が悪いって物凄く落ち込んでさ……それ以降は天之岩戸学園推薦枠は無しになったんだがな」
なにかの疑惑が浮上しているならばそれを教えればいい。そう思うが、あまりにも淡い希望なのだろう。
龍一課長も黄坂さんも零時に対してなにも出来なかったことについて悲しそうにしている。
「零時に関して妹が調べたいなら、この就労体験を終えた後に淡い希望でも教えればいいだろう……それよりもだ、現場仕事についてどれを教える?」
教えられない以上はこれ以上は無駄な会話だと黒代さんは判断を下した。
2人がオカルト課に所属するかどうかは不明なものの、オカルト課に就労体験に来ている。オカルト課の主な仕事である現場仕事、どの罪状に値する現場仕事を教えるのかについて話題を変えた。
それでいいのか?と思ったが、俺達はなにも出来ないのが現状だ。
そんな事を考える暇があるならばと……流石というべきか黒代さんはあまり感情的には動かないようにしているな。
「ただ成果の報告を聞いて次はこういう風に動いての指示よりも現場に出て事件を解決する……現場に出て事件を解決する方がオカルト課の主な仕事だ。そしてその仕事内容は基本的にはロクでもないことばかりだ」
「そうっスね……あんまり重かったりややこしい事件とかは任せるのは難しいし。純ちゃんなんかある?」
「そうですね……」
色々とオカルト課が処理しないといけない案件を見たりしているが今のところはこれだ!と言うのが無い。
呪いの解除とか心霊系の事はオカルト課の下部組織とかオカルト課派閥の神社や寺がやってくれている。簡単過ぎる仕事を与えたら意味が無い、かといって難しい仕事は与えられない。どうしたものかと思っているとインターホンのチャイムが鳴り響いた。
「零羅達がなんか忘れ物でもしたのか?」
オカルト課の住居は一般人から見れば普通のハイツで、住んでいる人達は主に在宅ワークをしているで通っている。
宗教勧誘や町内会の付き合いとかそういうのは、特に無い。オカルト課のハイツの一室に住んでいる龍一課長も町内会の会合とかしないし、会長とかにされても働かないと堂々と公言している。
だからインターホンが鳴るなんて事はありえず、さっきの状況からして零羅達がなにか忘れ物でもしたのかと龍一課長は推測する。
「インターホンなんか押さなくてもいいって……誰だ?」
いきなりドアを開くのでなくインターホンのモニター越しで対応をしようとする龍一課長。
インターホンのカメラに映っていたのは中野零羅でもなければ彩理でもない。龍一課長が誰だ?と困惑しているので、オカルト課に在籍している人でもない。中学生ぐらいの男の子だ。
『あ、あのっ、ここってオカルト課で間違いないですか!?』
宅配の牛乳の勧誘的なのでなく、ここがオカルト課だと聞いてきた。
ここがオカルト課であるのは日本の神秘異能業界を知っているのならば割と有名だったりするわけだが……まぁ、外から見たらただのハイツだからな。
「え〜っと……アポってあったっけ?」
「今、神無月だから高天原からの使者は0……アポを取らずにいきなり来訪は普通に迷惑だが……訳アリみたいだな」
もう仕事を終えて今から帰ろうかムードな中でいきなりの来訪者で、アポとかあったかと龍一課長は黒代さんに聞いた。
神無月なので高天原系列の使者は島根に居るので0,オカルト課は役人仕事だが役所みたいに用事があれば来てください的なところではないのだが、なにやら事情があるみたいだなと黒代さんはオカルト課の中に入れる事を勧めた。
「オカルト課って知ってるって事なら、明日じゃダメなの?もう今日の仕事は終わって職員達帰ろうかって感じなんだけども」
『お願いします!話を!話を聞いてください!オカルト課ならどうにか出来ると思って福島県から走ってきて、一刻も争うんです!!」
「はぁ!?……いや、神社の転移魔法使えよ!」
『使うに使えないんです!とにかくお願いします!話を!オカルト課なら処理出来ると』
「……取りあえず今からの残業は出来ない。なにか事情があって神社が使えないみたいだし課長の部屋に泊まれよ」
福島県から走ってきた少年に対して神社の転移魔法を使えとツッコミを入れるスーさん。
使うに使えないなにやら込み入った事情があるみたいだが、今からの仕事は無理だと龍一課長は判断したので男の子を一日龍一課長の部屋に泊める事になった。