戦姫絶唱シンフォギア feat.ワイルドアームズ 作:ルシエド
その少年は、紛争地帯の戦場に居た。
十代の少年の手に銃が似合っていることが、物哀しい。
少年は今、戦闘が始まる直前の戦場に立っていた。
「覚えてるか、あの日のこと」
そんな少年に、二十代の男性が話しかける。
この言葉だけでは意味のあるものとして成立しないかもしれないが、この世界に生きている人間であれば、ニュアンスや込められた気持ちから、男性が何を言っているのか理解できるだろう。
"あの日"とは、地球の全ての命と剣の英雄が共に戦った日のことなのだと。
「うん。覚えてる」
少年も、男性も、あの日のことを一生忘れはしない。
彼らは『生きたい』と願い、心からの想いを送り、光となった想いは英雄と一体となった。
想いは人の一部にして、人の内より零れ落ちるもの。
自分の想いが英雄と一体化したことで、あの日世界中の人間が、心のどこかが英雄と一つになっているという、そういった感覚を感じていた。
英雄と一つになり、英雄と共に戦った記憶は皆の中に残っている。
それに何より、『ゼファー・ウィンチェスター』と一つになった記憶が、世界中の人間に少なくない影響を与えていた。
ゼファーの希望。
ゼファーの勇気。
ゼファーの欲望。
ゼファーの愛。
彼がどういう人間であるのか、彼がどういう想いを抱えていたのか、彼が何故世界の全ての人間を守り救おうとしたのか、それら全てが全人類に伝わっていた。
それを知り、それをきっかけに、変わり始めた者も居る。
一つになった結果人々は英雄の存在を感じ、自分と同じように英雄と一つになった者達の存在も感じていたため、"皆で一つになった"というおぼろげな感覚の記憶も持っていた。
人々はゼファーの言葉を、その身で実践できたのだ。
あの日、あの時、あの場所で。
隣に人が生きていることを感じ、その生きたいという気持ちを否定せず、そこに命が生きることを認め、共に在る。
あの瞬間、世界中の人間がゼファーの言葉を実践できていた。
なのにまだ、この世界から戦争はなくなっていない。
「世の中の全員が、皆あんな風になれたら……戦争なんて無くなるだろうになぁ」
二十代の男が呟く。
彼が生まれる前から続いていた二つ国の確執のせいで、この国はまだ紛争に蝕まれていた。
皆、本当はこの戦争を終わらせたかった。
皆、殺すのも殺されるのももう嫌だった。
皆、あの英雄の優しさと献身を忘れていなかったために、今でもこんな争いを続けていることに多少の後ろめたさを感じていた。
なのに、争いはなくならない。
積み重なった憎悪が、嫉妬が、不満が、恨みが、敵意が、恐怖が、争いを続けさせる。
発言者が誰かも定かでない『民意』が、皆の行動を強制する。
惰性の意識、"ここまで来たら後には引けない"という意識が、争いを続けさせていた。
だからこそ、二十代の男は『皆あんな風になれたら』と思わずにはいられない。
「すぐには変われないでしょ。僕も、先輩も」
十代の少年はかつて、幼少期のゼファーのような性格をしていた。
けれども今は、幼少期のゼファーとは似ても似つかない性格になっている。
今の彼には、"夢"があった。憧れがあった。
「でも、僕はなる。ああなる。あんな風になりたいんだ」
「……そうかい」
夢を追いかけて全ては変わる。
誰かに憧れ、背中を追って、男という生き物の背は伸びていく。
ゼファーがそうであったように。過去にウェルや弦十郎などの男達もそうであったように。
少し変わった少年を見て少し笑いながら、男性は銃を肩にかける。
「戦闘開始だ……ん? なんだあれ」
ここまで大きな戦闘は数年ぶりになるかな、と男性は死を覚悟する。
その上で"この子は生かさないとな"と決意を固める。
だが、男性が大人らしさを見せる前に、二国の戦力が向かい合う戦場の中心点に、突如一人の青年が現れた。
「ゼファー・ウィンチェスター!?」
青年は魔神と戦っていた時の装束を纏い、聖剣を右手に、パンが沢山入った袋を左手に、本気をまだ出していない証明として青い短髪を風になびかせていた。
「突然ですまない! が、戦いはここまでだ!
即時の戦闘中止と、停戦と、国家間での話し合いの場を用意することを要求するッ!」
十代の少年は口をぽかんと開けて、停止した思考の中で、風向きが変わったことを感じ取る。
前から吹いていた風が、右耳に当たっている。
南風がいつの間にか、西風へと変わっていた。
「止めなかった場合、諸君らの武器は全て粉砕され、俺のデコピンを喰らうことになるだろう!」
アガートラームの剣士の強さは全人類が知っている。
勝てるわけがないことも全人類が知っている。
ちょっとでも抗おうものなら、死傷者ゼロで全ての武器兵器が粉砕されるであろうことも、全人類が知っている。
紛争継続という選択肢は、この瞬間に消えてなくなった。
ゼファーの武力は軍事予算にはとても厳しく、人の命にはめっぽう優しい。
「そうか、風の噂に聞いたことがある!
大規模な紛争が起こりそうになると、剣の英雄がやって来て戦いを止めるッ!
瞬間移動! 天変地異! ビーム! 国のトップへの説得ッ!
話し合いを求め、落とし所をとりあえず見つけて、国の問題も解決していくッ!
更に手製のパンを大勢に配り、皆の腹を最高に満足させていくッ!
パン屋経営者になったとかいう噂の英雄! ゼファー・ウィンチェスターッ!」
「突然の解説!?」
突然の男性の解説に少年は驚くも、納得する。
ゼファーは今や瞬間移動で世界中を飛び回り、多くの人を助けて回っている。
ある時ある場所では、地面に聖剣を突き刺して、荒れた土地を豊かにした。
ある時ある場所では、パンを聖剣で増殖させて国一つの腹を満たした。
ある時ある場所では、知識のある守護獣の力を借りて農業の指導をしに行った。
ある時ある場所では、実在の神の助言を受けて宗教戦争を食い止めた。
そんなゼファーが一息吐くと、この戦場に来ていた皆の手の中にパンが現れる。
「え?」
十代の少年はパンの熱さを手の平で感じつつ、少々逡巡してからパンにかじりつく。
とても熱くて、とても美味しかった。
ここ数年熱い食べ物も、美味しいものも食べていなかった少年兵のこの子にとって、そのパンは涙が出て来るくらいに美味しいものだった。
「……あったかい……うまい……」
周りを見渡せば、皆銃や爆弾を脇に置いてパンを食べていた。
暖かな気持ちを込めて作られた食べ物は、食べる者の心も暖かくする。
"武器を捨てろ"と言うのではなく、パンを配るという形で武器を捨てさせるのが、とてもゼファーらしい。
もはや戦いの空気など、この戦場のどこを探しても見つかりそうになかった。
「さ、とりあえずお腹一杯にしてから、話し合わないか?」
この紛争を片付ければ、とりあえず地上から紛争はなくなるな、とゼファーは思考する。
戦いを止めて、パンを食べさせて、話し合って、問題を解決して。
そうやって世界から争いの種を丁寧に取り除いた果てに、ゼファーは『とりあえず今のところは大きな争いが生まれる気配のない』世界を掴み取っていた。
その身長は、もう風鳴弦十郎と同じくらいに高い。
かの魔神との戦いから、三年の月日が経っていた。
最終話:ラスト・エピローグ
ゼファーは最後の戦争になるかもしれなかった争いを止め、是非お土産にと渡された地元特産品のジャムを抱えて、日本に帰還していた。
「あ、お兄さん!」
「麻里奈ちゃん? 学校帰りかな」
「うん!」
そこで、大きくなった麻里奈と出会った。
麻里奈がゼファーを初めて見た日からもう九年か十年が経とうとしている。
ゼファーも麻里奈も、随分と大きくなったものだ。
「そか。うちに寄ってくか? おやつにパンでもあげるよ」
「え、でも、お母さんからあまり買い食いはするなって言われてて……」
「要らないのか?」
「……欲しい、です」
少しいじわる気味に笑うゼファーの後に続いて、麻里奈が歩き始める。
「お母さんには秘密な?」
「うん!」
ゼファーがちょっと悪そうに笑って、麻里奈もちょっと悪そうな笑みで返す。
買い食いでちょっと悪ぶって喜んでいる小学生のような連中だ。
「そう言えば、聞こうと思ってたんだ。お兄さんはなんでパン屋をやろうって思ったの?」
「昔、顔がパンで出来たヒーローを生み出した創作者が言ってたらしい言葉を聞いたんだ」
「パンで出来たヒーロー……」
麻里奈とゼファーが歩いて行く先は、ゼファーが開いた小さなパン屋。
「正義ってのはある日突然逆転する。確かな正義はあまり多くない。
その創作者はそう思って、逆転しない正義を探した。
そして『献身と愛』を逆転しない正義だと言ったんだってさ。
それも大げさなことじゃない。
目の前でお腹を空かせてる人が居たら、その人にパンをあげようとするってだけのことなんだ」
麻里奈がゼファーに聞いたのは、ゼファーがパン屋を始めた理由。
「その創作者さんはこうも言ってる。
傷付かずに正義を行うことは難しい、って。
自分の顔をちぎって他人を助ける点が重要なんだ、って」
ゼファーが麻里奈に語るのは、彼が『パン屋』を選んだ理由。
すなわち、腹を空かせている人に、あるいは満たされていないがために争ってしまう人に、パンを渡せる大人になりたいと、彼がそう願ったからだ。
憧れた大人達の背中に追いついたと、ゼファー自身は思っていない。
けれども"子供"の麻里奈の目には、彼はちゃんとした"大人"に映っていた。
「そのヒーロー、私も知ってる」
「そうか。俺もまだまだ、精進中の身だからな。要勉強だ」
「世界を救ったくせに。まだ何か必要なのー?」
麻里奈の目に映る"子供の頃からの知り合いな近所のお兄さん"は、まだ社会に出てもいない少女の目には、"世界で一番能力のある"人間に見える。
なのに、まだ色んなことを人や物から学ぼうとするゼファーを見て、麻里奈は不思議そうに声を上げた。そんな麻里奈に、ゼファーは諭すように言う。
「何言ってんだ。人間ってのは、一生勉強と成長を続けるべきもんだろう?」
体も心も大きくなり、少しづつ大人になるにつれ、麻里奈はゼファーを理解していく。
そして幼い頃には分からなかったことが、今ならば分かる。
私はこの人よりずっと凡庸な人間になるんだろうなあ、と、麻里奈は思っていた。
「私がこの人のようになることは、きっとこの人が一番望まない」とも、確信していた。
ゼファーが開いたパン屋は、世界的にその名を知られていた。
何せ世界を救った、世界中の人と一つになった英雄のパン屋だ。
名が知られるのは、当然と言えるだろう。
しかし通販で注文する人は多くても、直接店を訪れる人は意外と多くなかった。
開店当日に贈られた世界中からの応援の手紙が郵便局をパンクさせたくらいで、このパン屋にはほどよい行列が出来るくらいの人が集まるに留まり、小規模な店らしい経営が続けられていた。
あまりテレビ局の取材といったものもあまり来なかった。
何故か? 異常事態ではあるが、少し考えれば分かる。
テレビが特定の個人の情報を求めるのは、芸能誌のゴシップと同じだ。消費者が気になる人のプライバシーを知りたいと求め、メディアがその需要に応える構図があるだけのこと。
世界中の人間と一体化したゼファーに対し、世間の意見は、こんな感じになっている。
「まあ、あの人とはあの戦いの時一つになってたし」
「あの時、まあなんか、色々伝わってきたしな……」
「ぶっちゃけ秘密って、隠されてるから価値あるもんじゃね?」
「知りたいとは、思わないです」
「彼は僕らのことを分かってくれてるし、僕らも彼のことを分かってる……と、思いたいんだ」
「しばらくは休ませてやれと思うんじゃが」
「局にも新聞社にも記者にも読者にも需要がないと思うのですが」
酷い言い方をして表現すると、「まあ俺ら
ゼファーを理解している、という点はそこまで間違っていないというのが尚更に奇妙である。
例えるならば、プロサッカー選手になった他人のプライベートは気になるが、プロサッカー選手になった親戚の子供のプライベートは気にならない。そういうことだ。
知られざるものは、隠されているからこそ皆見たいと思うのである。
「あ、お帰り店主さん!」
「お帰りなさい、ウェインチェスターさん。今日もお疲れ様です」
「アニメの話をしよう! ゼファー!」
「いらっしゃい、創世、詩織。ゆっくりしていってくれ」
「私は!?」
「『アニメ』って単語を今この瞬間から封印するなら歓迎するぞ。はい、スタート」
「……! ……っ! ……ッ! ――! ――っ! ――ッ!」
「喋れなくなるほどなのか……」
別々の大学に進学しても、こうして時間を見つけて集まっている板場弓美・安藤創世・寺島詩織の三人の横を通り過ぎ、ゼファーは店の奥に進んで行く。
麻里奈を連れてカウンターのある場所にまで行けば、そこにはゼファーに店を任されていた小日向未来の姿があった。
「あ、おかえりゼっくん」
続けて、奥から陳列するためのパンを運び出してくる立花響の姿も見える。
その首元には、肉体に融合していた聖遺物を全て抽出して集めたペンダントが揺れていた。
「今日はちょっとお客さん多めだったよー」
このパン屋は店主のゼファー、常勤のパン職人一人、バイトでよく来る響と未来の二人、その他適当な頻度でバイトに来てくれる様々な人間によって成り立っている。
店に訪れた客が見るのは大体、ゼファーと響と未来の三人の顔である。
響も未来も大学生であり、この二人と創世に至っては同じ大学に進学していた。
ゼファーは就職落ちたらうちで正式に雇ってやるぞ、と二人に言ってたりもして、響と未来は自分なりに"将来どうなろうか"ということを真剣に考えている。
社会に出るまでの猶予は、もうそんなに残ってはいないのだ。
響と未来が選択を迫られるこれもまた、ある意味では戦いと言えるのかもしれない。
「あ、麻里奈ちゃん!」
「こんにちは、響さん」
「いまパン並べるからちょーっと待っててね」
響と話し始めた麻里奈をよそに、
「今日ので最後の戦いだったよね、ゼっくん。どう? 終わった?」
「終わった……と、思うな。もうバラルの呪詛もない。後は相互理解だけだと思う」
バラルの呪詛がない世界。
かつて失われた相互理解が復活しつつある世界。
ゼファーの手により、世界にあった大きな争いの種が一つづつ摘まれた世界。
世界にて一つの目標が達成されて、ゼファーと未来の脳裏にかつての約束が蘇る。
――――
「全部、終わらせてくるよ」
「全部って、何?」
「俺にしかできないこと、全部。
とりあえずは……倒すべき、敵がまだ居るから」
「それが終わったら?」
「終わってから考えるさ。戦い続けるか、やめるか。……その時は、相談に乗ってくれ」
「うんっ」
――――
全部終わったんだね、と思い、未来は口を開く。
「私に相談する?」
魔神との戦いも、人と人の大きな戦いも、もう終わった。
再度始まらないという保証はないが、人類がどこかで間違えなければ、きっともう起こることはないだろう。
「いや、相談はしない。だけど、宣誓はする」
だからこそ、ゼファーは未来に相談するのではなく、未来に誓う。
「俺の答えは、『戦い以外の手段で戦いのない世界を作る』だ」
誰もがゼファーの強さを知っている以上、ゼファーは飛んで行くだけで抑止力になる。
剣を振るう必要も、戦う必要もない。
あとはひたすらにパンを作り、人々の間に立って、話し合いを求めるだけだ。
「何かヤバいことが起きない限り、俺はもう血を流す戦いはしない」
ゼファーの人生から、"誰かを傷付けながら生きることの必要性"が消える。
彼はもう、誰かを武器で傷付けながら生きていかなくてもいいのだ。
未来はゼファーの宣誓を聞き、とても嬉しそうに微笑んだ。
「うん」
もう、戦いで人の命が理不尽に奪われることはないだろう。
「それでいいと思う。……ううん、きっと、それがいいんだと思う」
彼らの戦場は血の流れる凄惨な場所から、日常の中の面倒臭い戦いへと移り変わっていた。
人間を自分に似せて創り上げた始祖の守護獣・カストディアンは、ロードブレイザーに対する恐怖を共有させないため、バラルの呪詛で人から相互理解を奪った。
そこには"人が神の手に負えないものになる可能性"、つまり"人間が何かをやらかした時カストディアンがカバーできない可能性"を考慮した、心配性過ぎる気遣いもあった。
カストディアンは、人を"守るべき子"と思い込んでいたのかもしれない。
子供の成長と反抗期に、ちょっと寛容でない存在だったのかもしれない。
その思い込みは、ロードブレイザーを打倒したゼファーの力の強さと、転生を繰り返し努力を続けたフィーネの心の強さに打ち砕かれていた。
カストディアンは、人を認めたのだ。
自分と並ぶ存在となっても大丈夫だろうと、思えるくらいには。
さて、そんなカストディアンだが、今何をしているのかと言えば―――
『む、人の方のゼファーか。少し待っていろ、今次が焼ける』
「カっさん、そろそろ休憩したら?」
『守護獣に疲労はない』
―――ゼファーの店で、常勤のパン職人をやっていた。
戦いが終わり、守護獣達は上位次元に行ったり、別の宇宙でバカンスしていたり、地球の環境を整えて漁業や農業を助けたり、地球を静かに見守っていたり、土中のグラブ・ル・ガブルと一体化したりと、それぞれが思い思いの行動を取っていた。
天才を見つけて加護を与え、育てている守護獣も居たりする。
が、パン職人をしている守護獣など、カストディアンくらいのものだろう。
カストディアンは自分の姿に似せて人間を創った。
そのため、守護獣の中で最も人間に近い姿をしており、人間社会にも紛れ込める。
だからといってパン職人を始めるのはどうかと思われるが、人間というものを見定めるため、ゼファーを見守るために彼なりに考えた選択なのだろう。
守護獣がパン職人というのもどうかと思われるが。
「カっさん、麻里奈ちゃんにパンをあげたいんだけど」
『よかろう。今焼き上がる』
「麻里奈ちゃーん! こっちで焼きたて一つあげるよー!」
てくてく歩いて来た少女に、カストディアンは火傷しないよう分厚い包装を選んで、それでくるんだパンを手渡した。
「ありがとう、おじさん!」
『うむ。少女よ、その人生、よきにはからうといい』
始祖守護獣と、始祖守護獣が生み出した人間の子孫の少女が笑い合う。
(これからは人と守護獣が一緒に歩んで行く時代が来る……来るはずだけど……)
ゼファーはそれを喜びつつ、焼かれたパンに子供が好む顔を書きつつ、複雑な心境だった。
(俺が言うのもなんだけど、この光景からそんな未来を想像するのは、どうなんだろう……)
考え事をしながらふと窓の外を見た時、青空の彼方に、フィーネの笑顔が見えた気がした。
さて、装者達はどうなったのか。
ロードブレイザーの最終決戦によって、装者達はその顔と歌を世界中に知られていた。
と、なると、今まで通り生きていくわけにはいかないわけで。
二課や政府の助力があれば、多少の問題はあっても今まで通りに生きていくこともできただろうが、当の装者達がそれを望まなかった。
彼女らはこれを機と見たようで、全員揃って歌女のチームとしてのデビューを果たしていた。
全米トップクラスのアーティストであるマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
日本のトップアーティストである風鳴翼。
その翼と共に一斉を風靡したツヴァイウィングの片割れたる、天羽奏。
マリアの妹として注目を集めたセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。
上記の者達と比べてもそう見劣りしない歌唱力を持つ、暁切歌に月読調。
そして、世界的に名を知られていた音楽家の両親を持ち、期待されている雪音クリス。
この七人が、世界平和を訴えながら、チャリティーライブで世界中を回っていた。
その功績と世界への影響は、世界を実際に飛び回って戦いを止めていたゼファーに次ぐだろう。
装者の歌は皆の心に響き、バラルの呪詛に蝕まれることが無くなった人々に一体感を生み、同じ歌を楽しんでいるという共感、すなわち相互理解を生んでいた。
彼女らは全身全霊で主張し、証明していた。
『歌には世界を変える力がある』と。
これもまた、彼女らなりの"世界を平和にするための戦い"だったのだろう。
バラルの呪詛が満ちていた世界には戻さないと、あるいは焔の災厄が自然に発生するような世界にはしないと、そう心に決めながら、彼女らは人の心に響く歌を歌い続ける。
「まるで、血が通っているみたいな歌だ」
人々は彼女らの歌を口々にそう評する。
暖かい気持ちが込められている、と誰かは言った。
生命力に溢れている、と誰かは言った。
命を注ぎ込んでいるんだ、と誰かは言った。
人が己の一部として発する歌だからこそ美しいのだ、と誰かは言った。
彼女らの歌が世界に与えた影響は、直前に彼女らが世界を救っていたという名声を差し引いたとしても、とても大きなものであったと言えよう。
人類史の中でも、歌がこれほどまでに世界に影響を与えた事例は無いはずだ。
「ちーっす、パンの差し入れに来ました」
「らっしゃーせー、ゼファー!」
控室に入っていくゼファー、軽快な返事を返す切歌。
ゼファーはここに、パンの差し入れに来ていた。
自分でこねて、自分で焼いて、装者達の顔をコミカルに書いたパン入りの袋を吊り下げている。
ライブ後で腹が減った装者の心情を読んで来たのだろうか?
タイミングの良さや、小さめのパンの大きさも、最適と言っていいものだった。
「どうも、お邪魔します、マリアさん」
「ええ、いらっしゃい。あら、このパン美味しいわね」
この中では最年長で、リーダー格のマリアにまず挨拶をするゼファー。
マリアも面倒な案件がなければ頼れるお姉さんなポジションを揺らがせることなく、他の歌姫を年長らしく引っ張るポテンシャルを見せている。
ゼファーが素直に尊敬し、頼る一人だ。
「おう、よく来たな! 食い物持って来るとかやっぱお前はよく分かってるわ!」
「おぅふ」
「ちょっと奏!」
奏がゼファーの頭を抱えようとし、ゼファーが避け、奏が縮地を実行しその頭を脇に抱え込む。
奏の横暴に思わず翼が声を上げ、ゼファーが逃げようとするも、まるで逃げられていない。
その行動はまさしくガキ大将のそれ。
恋愛が全く絡んでいない時の奏は、気安さと親しみやすさの塊でもある。
こういう一面を見せる奏だからこそ、かつてのゼファーは惚れたのだ。
今はどうなんだろうか、と翼は思う。
ゼファーは昔奏に惚れていた。しかし、今は惚れているように見えない。
奏の過剰なボディタッチにも片思い特有の反応を見せてはいない。
それで、翼はふと気付く。
昔のゼファーと今のゼファーは違う。ならば昔のゼファーが好きだった人を、今のゼファーがなんとも思ってないのは当然なのではないか、と。
初恋を乗り越えたということが、ゼファーの変化の証明になっているのではないか、と。
今更に真実に至った翼が、じゃれあう奏とゼファーを見る。
(まったく。昔みたいなのか、昔みたいじゃないのか……)
今のゼファーが奏に恋愛感情を持たないということが、ゼファーの変化の証明になる。
ならば初恋を乗り越え、初恋の人に後々もう一度惚れなかった人は、ただそれだけで変化し成長したと証明しているのではないか……なんて、翼は思う。
やたらとロマンチックな考え方をしつつ、翼は奏の魔の手からゼファーを救い出した。
ゼファーが翼に軽く礼を言い、奏がにひひと笑って手をひらひらと振る。
「そういやお前、聖剣使わず弦十郎の旦那と素手でやりあったんだって?」
そして奏は何気なく、噂に聞いた事柄の真偽をゼファーに問うた。
「胸を借りただけさ。まあ、引き分けだったんだけど」
「引き分け!?」
「あの叔父様と……!?」
「いやいやいや、よく考えてみてくれ。
皆忘れてるけどゲンさんもう39歳だからな?
年齢的な衰えもキツいだろうし、片腕ももう無いからな?
凄いのはゲンさんなんだよ。俺は死力を尽くしたが、結局勝てなかったんだ」
「そう言われてみると、確かに叔父様の方が凄いような……」
「惑わされるな翼。片方が凄いことはもう片方が凄くないことの証明にはならねって」
装者の中で弦十郎との付き合いが一番長い翼、その次に付き合いの長い奏が、他の装者よりも数段激しく驚いていた。
この二人ほどではないが、他の装者も驚いている。
"最近落ち着きが出てきたと思ったら"と言わんばかりに、装者達が危なっかしい奴を見る目でゼファーを見始める。
「俺はセレナの方が危なっかしいことしてると思うぞ。
なんだかんだ、セレナが一番こういう大舞台で歌うのに向いてないって思ってたし」
「あー、うん、そうなんだけどね」
ゼファーはその目に反論するように別の話題を振り、セレナは持ち前の優しさからそれに乗る。
とはいえ、一からでっち上げたわけではない。
セレナがこうした大人数を前にした大舞台、それも戦闘関連ではない場所に立ち歌うということは、セレナにとって慣れるまでの間は厳しい舞台になる、というのは事実であった。
ゼファーはそれをよく分かっていたし、セレナはそれを自覚していた。
「皆が居たから。
奏も、翼ちゃんも、クリスちゃんも、切歌ちゃんも、調ちゃんも。
そして、マリア姉さんが居てくれたから。だからきっと、やり遂げられたんだ」
それを乗り越えさせたのもまた、仲間がくれた力。そして肉親との絆の力だ。
感極まったただのシスコンなマリアが、セレナに抱きつく。
「セレナぁッ!」
「わわっ」
「私! あなたみたいな妹を持てて幸せよ!」
ゼファーに向けられた"こいつまた危なっかしいことを"という目線が、マリアに向けられる"こいつまたシスコン発動させて"という目線に変わる。
話が変わった所で、ゼファーは周りに居た少女達から離れ、切歌に話しかけた。
「切歌、前に頼まれてた件はどうする?」
「あ、頼んでいいデスか? もうこのメンバーでの活動も、あと一ヶ月くらいデスし」
「分かった、手配しておく。
……しかし、意外だったぞ。切歌から雇ってくれ、なんて言われるなんて」
「ゼファーはあたしの歌をガン褒めするので、そう思うかもしれないデスが……
あたしは何か違うと思うんデスよね。歌でお金稼いで、歌で食っていく自分っていうのが」
切歌はゼファー視点、心震わす歌を歌える数少ない才ある少女だ。
歌も好きだったはずだ、とゼファーは怪訝そうに切歌を見る。
彼女が抱いている悩みはありふれた、それでいて贅沢なものだった。
歌が好きで、歌の才能があって、けれどそれだけを理由にして自分の将来を全て決めていいのかと、他にも道はあるんじゃないかと、そう思ってしまう迷い。
才能のある若者特有の悩みだ。
彼女は皆と一緒に世界を回る旅から一人離れ、自分を見つめ直そうとしている。
もしもここにウェルが居たならば、"突如自分探しとか頭の足りないOLかよ"と偏見と悪意に満ちたセリフを吐いたかもしれないが、あいにく彼はもうとっくに死んでいる。
今頃は地獄にてよく回る舌を使い鬼を煽っていることだろう。
「それに、ほら」
切歌はよく失敗する子だが、失敗から学ばない子ではない。
周りを見て、自分を省みて、時に失敗から学び、自分の中の変えるべき部分を見つめられる。
「あたし、結局日本語の勉強しっかりしてなかったわけじゃないデスか」
「喋り方とかまさにそうだな」
「子供の頃は、日本人名の発音とか変なゼファー見て、安心してたデス。
でもゼファーは一年くらい前に"直そう"と一念発起して、直しちゃったじゃないデスか。
日本人の名前もちゃんとした発音で呼ぶようになったじゃないデスか。
それで改めて思ったんデス。
ゼファーは変われる人なんだ、って。あたしはこのまま変わらなくていいのか、って」
自分のことを『切歌』とちゃんと呼ぶゼファーを見て、切歌は決心したようだ。
切歌は自分がどう変わるか、どう変わるべきなのかも分からない。
けれども、自分で自分のこともちゃんと分かってないくせに、自分の未来を決めてしまうことだけは、したくなかった。
「だからゼファーのとこで働いて色々学ぼう、と思ったわけなんデス」
「学んで、どうするんだ?」
「一回自分と、自分の将来見つめ直すデス。
そんでその後、大学行くか、就職するか、歌で食っていくか決めてこうかなと考えてたり」
「なるほど。そんじゃ、こき使ってやるからな」
「デスデス」
切歌がこうなら、調はどうなんだろう、とゼファーは調の方を見て。
椅子を踏み台にする調の両手に両の頬を挟まれ、調と見つめ合う形になった。
「じー」
調はゼファーの顔と目を真っ直ぐに見て、目の奥、ゼファーの奥底まで見透かすように見る。
「ちょっと寝不足?」
「……よく分かるな」
他の誰もが気付いていなかった、ゼファーが隠していたほんの僅かな不調を、調は見抜く。
調はちょっとドヤッと笑い、拳を当てた胸を張る。
頭の回転も悪くない、ギアの特性に表れているように多芸で、一度決めたらとことん突き進める調は、自分の将来をどう考えているのだろうか。
ゼファーは推測してみるも、そういうことをあまり教えてくれない調の将来を予想するのは、とても難しかった。
調の方はと言えば、ゼファーの隠していた不調を見抜いたこと、そしてそれができるくらいに自分が成長したことに満足気だ。
まだまだ体も心も成長するはず、と調は確信を持つ。
確信を持とうとしていた。
目指すはゼファーにも全幅の信頼を置かれていた櫻井了子、フィーネである。
「もうちょっとしたら、私も成長するはずだから」
ゼファーに頼られていたフィーネが、調の理想の大人像だった。
色々な面で、そうなれるか怪しいという点には目を瞑る。
「その時また改めて、私を評価して欲しいな」
「評価?」
「そ、評価」
人にはそれぞれ、多種多様、十人十色の"目指す大人の形"がある。
調の現状とりあえずの目標は、ゼファーに頼られ求められるようなパーフェクトウーマン(ただし胸があるかは未定)であった。
「頼れる私を評価してね……なーんちゃって」
流石に気恥ずかしくなったのか、調は言おうとしたことを最後まで言い切れず、誤魔化しの言葉で覆い隠して切歌の方へ行ってしまう。
そして切歌の手を引き、マリアとセレナの方へ行ってしまった。
あらかた装者達と話し終え、手元に一つだけパンを残したゼファーの前に、歩いて来る人影が一つ。
「クリス」
「ゼファー」
ゼファーはクリスにパンを手渡し、クリスは豪快に一口で食う。
彼は知っている。
クリスの両親が、歌で平和を掴もうとしていたことを知っている。
彼は知っている。
その夢が半ばで終わり、クリスの両親が夢を叶えられずに死んで行ったことを知っている。
彼は知っている。
クリスがその夢を継ぎ、自分が叶えたいと思う夢として、その夢を志していた事を知っている。
彼は知っている。
その夢がもうすぐ叶うことを、知っている。
「どうだ。夢、叶いそうか」
「あたしが歌で平和を掴んだかどうかは、お前がその目で確かめてみろよ」
クリスの両親が活動していた頃、"歌で平和を掴む"だなんて真面目くさった顔で言えば、ほとんどの人がその夢を笑い飛ばしてただろう。
けれども、今。
雪音クリスが"歌で平和を掴む"と言ったなら、歌で救われ、歌で変えられつつあるこの世界の人間の大半は、"君ならできるかもしれない"と言うだろう。
クリスは仲間の力も借りて、両親の夢は、両親の優しい願いは、間違ってなんかいなかったのだと……世界に対し、証明しようとしていた。
「お前は絶対に夢を叶える。俺は疑ったこともない」
「だろうな。だからあたしも疑わなかった」
拳を打ち合わせる二人。
ゼファーはクリスのことをよく知っていた。
だからクリスの夢が叶うと、信じていた。
クリスはそんなゼファーの信頼をよく知っていた。
だから自分を信じられなくなった時も、自分の力を信じられなくなった時も、ゼファーが信じる自分を信じ、夢を追い続けることができた。
もしも、死人に口があり、その言葉がクリスに届いていたならば。
クリスの父と母によるクリスをひたすら褒めちぎる叫びが、聞こえていたかもしれない。
もしも、かもしれない、の話だが。
その後は一課や二課などにも行って、ゼファーはパンを売り続けた。
空間移動式訪問販売など、世の中広しといえどやっているのはゼファーくらいのものだろう。
たまに守護獣から注文が来て、別の宇宙まで配達することもあるというのだから驚きだ。
『少し休め、ゼファー』
それが一通り終わった夜に、希望の守護獣ゼファーが人のゼファーを引き止める。
欲望の守護獣ルシエドも、ゼファーの服の裾を引っ張って止めていた。
とあるビルの屋上で、人のゼファー、姿を消しつつ人のゼファーに常に寄り添っている希望の守護獣と欲望の守護獣は休憩を取る。
「ん、それじゃ、少し休もうかな」
ゼファーはビルの屋上に寝っ転がり、目を瞑って、休みながら他人を想う。
(天戸さんは陸自。
土場さんは海自。
甲斐名さんは政府直属聖遺物発掘調査隊。
皆、それぞれの道に行った)
男達はそれぞれの組織から引き抜きを打診され、二課を出て行った。
彼らもまた、自分は今のままでいいのかと思い、決断した者達。
自分の世界を広げるため、そしていつかゼファーに何かがあった時に広いコネで助けてやるために、彼らは別の部署に行った。
去り際の「いつでも頼れ、組織ごと助けに来るから」という言葉で、ゼファーが涙ぐんでしまったことは内緒だ。
(二課の皆は国連直属の組織に。
けれど本部は日本据え置き。
あんまり変わらない組織の中で、ゲンさんは相変わらず強かった……)
ゼファーは今でも二課に入り浸っている。
二課にパンを届け、歓迎され、時折かつての仲間達と一緒にパンを食べていたりもする。
(そういや朔也さんが言ってたっけ。
ジュードさんと悠里とキャロルさんとエルフナインちゃんで修羅場になりそうだったって。
文庫本十巻分くらいの恋愛ゴタゴタがあったって。
でもジュードさんが一途すぎてラブコメにすらならなかったって。
いや、噂話だし九割誇張なんだろうけど……
あの人と話してるとなんか本当に楽しいなあ、話題のチョイスが合うのかな……)
『他人がジュードを好きになってもジュードは他人を好きにならない。何故ならキャロルが好きだから』という決め台詞で〆た朔也の顔を思い出すだけで、笑いがこみ上げてくる。
あのメンツじゃほんわかした修羅場にしかならないでしょう、と少し笑った。
(ナスターシャ先生のおかげで、ノイズももう出ないだろう。
まさかバビロニアの宝物庫からノイズの生産プラントを排出するとは……
ノイズをソロモンの杖で出して炭化前に分解とかしてるし。
そうしてできたノイズの部品を科学の発展に有効活用してるし。
トカ博士が時々ちょろまかしてるけど、それは脇に置いておこう。
あの人達はブランクイーゼルの罪を償うため、奉仕活動を頑張ってるんだ)
元F.I.S.の大人達は、それぞれの形で罪を償っている。
服役する者も、科学で貢献する者も、それ以外のありきたりな方法で償う者も居た。
元F.I.S.の子供達の社会復帰のため、金を稼いでは送金している者も居る。
「他にも、たくさん」
ゼファーは他にもたくさんの人を想い、その現状を想い、跳ねるように起き上がる。
そうしてビルの端、鉄で出来た柵の上に立つ。
見下ろす先には、もうネフィリムが壊した部分も覆いきっている人の光。
命の光であった。
「天の光は全て星。地の輝きは全てが命」
希望の守護獣ゼファー、欲望の守護獣ルシエドが、語るゼファーの横に寄り添う。
「皆が皆、自分の志した道を歩き出している。
皆が皆、未来にどう在りたいかを考え、歩き出している。
ああ、なんて言うべきなんだろうな。これ……『生きている』の一言で、いいのかな」
『いいのだ。それでいい。
言葉で飾れば上等になるなどということはない。
単純で陳腐な言葉にも、物事の本質は宿るものだ』
「そっか」
守護獣ゼファーと人のゼファーの語り合いが一区切り付いたところを狙って、ルシエドは人のゼファーに話しかける。
『世界を救った英雄よ。お前は何も求めないのか』
「何言ってんだよ、欲望の守護獣。俺ほど欲深で、大きなものを手にした奴は居ないだろ」
ゼファーは両手を広げ、地に満ちる人の営みの光を抱くように、腕を動かす。
それがまるで、数えきれない程の数の人の命を、ゼファーが抱きしめているようで。
「この輝ける宝石箱こそを、俺は欲しがったんだ」
ルシエドと守護獣のゼファーは微笑み、人のゼファーに一礼して、その姿を消す。
その回答は、二体の守護獣が求めた以上の回答だった。
「さあ、帰るぞ。そしてたらふく食って、たっぷり寝て。また明日頑張ろう」
物語は終わり、これより先の物語は語られない。
けれども、人生は続いていく。
ゼファーの人生は続いていく。
物語が終わっても、彼の命が終わるまでは、ずっと、ずっと。
「今日はいい日だった。明日はきっと、今日よりずっといい日になるぞ」
希望の西風と呼ばれた一人の男の物語、これにて終幕。
めでたしめでたし、どっとはらい。
これにて戦姫絶唱シンフォギア feat.ワイルドアームズは終わり。
今日までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
作者はお気に入り一つで喜ぶ人間なので、評価や推薦や感想を貰うたびにウキウキしておりました。それが最高のモチベーションとなってくれていました。
もしもこの作品の続編を書く時が来るとすれば、それはシンフォギア四期が放映した時です。皆さん円盤を買いましょう!(チャリンチャリン
でも基本的に続編はないものとお考え下さい。
明日一回雑記を書いて投稿し、そこからしばらくは思うがままに短編中編を書きなぐりたいと思います。シンフォギアかどうかは、書き始めてから決めます。
それでは、改めまして。
この作品にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!