元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第九話:楽しい時間

 それからしばらくした後、俺は言葉を発する。

 

「な、なぜ勝てねぇ」

 

 俺は、愕然とした表情を見せる。

 

 どういうわけだ? 何故だ? なんで?

 

「……私、強いでしょ、サイ……」

 

 ドヤ顔のブリドラ。

 

「やったことは、もちろんないよねぇ?」

 

 俺は、尋ねる。

 

「……うん、はじめて……」

 

「そ、そうですか」

 

 おかしいねぇ、俺は初めてじゃないんだけどねぇ。

 

 俺は、首を傾げる。

 

 ブリドラと今やっているのは、対戦型のゲームだ。格闘ゲームというくくりに入れられる。元々オンラインでそのゲームをやっていた俺。

 

 だがオンラインは今、つながっていない。テレビも普通のチャンネルは、砂嵐。

 

 だから今は対面での対戦しかできない、そのゲーム。

 

 だが、何の問題もない。俺にはそのゲームを一緒にする、友達がいるのだから。

 

「よし、キャラを変えて、もう一回やろう。キャラの性能差ってあるからね~~」

 

 悔しさまじりに俺は、そう提案した。

 

「……じゃぁ、お互いのキャラを入れ替えてやってみよう……」

 

 さらっと恐ろしいことをおっしゃる、ブリドラさんだ。

 

 キャラを変えるのではなく、入れ替えるのだ。つまり、先ほどブリドラが使っていたキャラを俺が、俺が使っていたキャラをブリドラが使うということだ。

 

 これの何が恐ろしいのか? この戦いで負けた瞬間俺は、言い訳のしようがなくなるのだ。

 

 俺は、歯を食いしばる。

 

「その申し出、受けてたとう」

 

 そして俺は、ぼっこぼこに負けた。さっきよりも大差で。

 

「……ふふふふふ、勝った~~~~……」

 

 ブリドラは表情の少ないクールな顔でだが、俺に対してピースサインを見せた。

 

「くぅぅぅぅぅぅぅ」

 

 俺は、うなだれる。何故だ? 俺はそんなにゲームが下手だったのか? 俺には分からない。だが事実として、負けている俺である。

 

「……それ、何……?」

 

 ブリドラが机の上に乱雑に投げられているチョコに対して、興味を示した。

 

「ああ、これはチョコってもんだ。美味いぞ。食べる?」

 

「……うん♡……」

 

 ブリドラは嬉しそうに、個包装のチョコを口に入れる。個包装の袋のまま。

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ、袋は食べないんだぁぁぁぁぁ」

 

「……ムムム……」

 

 ブリドラはそれを、吐き出した。

 

 そして今度はそれを開け、チョコのみを口に入れる。

 

「……美味しい♡……」

 

 ブリドラは、満足そうな様相。

 

 そしてブリドラは、コントローラーを机の上に置いた。

 

「……やっぱり友達と遊ぶと、楽しいや……」

 

 ブリドラは、微笑む。

 

 そして、俺のベッドの上に、横になった。

 

 俺のベッドに女性が横たわるなんて、前代未聞だ。

 

「……これが、人間の匂いか……」

 

 ブリドラはそう言いながら、その目を閉じた。

 

「ここで眠るんかい」

 

 俺は、自らの頭をポリポリと掻いた。

 

 さすがに俺がブリドラの横で眠るというのは、おっさん的にまずかろう。

 

 俺は床の上のカーペットを敷いている場所に、横になった。

 

「おやすみ」

 

 そう口にした俺は部屋を薄暗くした上で、目を閉じる。俺は、真っ暗では眠れない、怖いから。だから俺は完全には電気を消さず、小さな灯りで眠りにつく。

 

 そして俺達は、しばらく眠った。

 

 

 

 

 朝、俺は目を開く。目を開いた瞬間、とある女性の寝顔が、超至近距離に存在しているのが目についた。白い肌、真っ赤な唇、小さな鼻という美しいその顔と俺の顔の距離、10cmくらい。

 

 その寝息すらも感じる距離だ。

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 俺は、叫んでしまった。

 

「……どうしたの……?」

 

 ブリドラが目をこすりながら、起き上がった。

 

「い、いや、起きたら目の前にブリドラの顔があって、びっくりしただけだ」

 

 俺は、そう告げる。

 

「……床で眠るのは寒そうだったから、ベッドの上に上げてあげたの……」

 

 ブリドラが、ピースサインを作った。

 

「さいですか」

 

 心臓がバクバクする俺は、そう告げた。

 

 そして俺は起き上がってから少し歩き、冷蔵庫を開ける。そこには、卵やらパンやらの食材があった。

 

「朝ご飯、食べるだろ?」

 

 俺の問いに対して、ブリドラが頷く。

 

「……うん……!!」

 

 俺は熱したフライパンの上に卵を落とし、目玉焼きを作った。

 

 そしてその目玉焼きをパンの上に置き、ケチャップとマヨネーズを垂らした。

 

 そしてそれを二人分作り、一つをブリドラに渡す。

 

「……あむ……」

 

 ブリドラはそれを口に入れ、嬉しそうに微笑んだ。

 

「……美味しい……」

 

 そのブリドラの顔を見て、俺は嬉しくなった。

 

「さて、じゃあそろそろ行くか」

 

 俺はブリドラに対して、そう告げる。時計を見ると、朝8時。そろそろシズクが起きてくる頃だろう。

 

 だから俺は、サイコロの外に出ることにしたのだ。

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