元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第十一話:出る目の確率

「私が不甲斐ないばっかりに、私の国は滅んでしまった。だから私は、自らの国の復活を、目指しているのです」

 

 シズクがその目から、涙をこぼす。その拳に、涙が当たる。

 

「よし、なら俺も、協力しよう」

 

 俺はシズクに対して、グッドポーズを作った。泣いている女性を無視できるほど、俺はドライではないのだ。

 

「いいのですか?」

 

 シズクは、嬉しそうな顔をした。

 

「ああ、いいぜ」

 

「ありがとうございます。私一人でできるかなって、不安だったんです」

 

 シズクは、頭を下げる。

 

「だが、こちらからもお願いがある」

 

「なんでしょう?」

 

 シズクが、首を傾げた。本当に無邪気な、「なになに?」って言葉が聞こえてきそうなほどの、キュルンとした顔だった。

 

「その虹色のサイコロを、持って行ってくれ。俺の本体はそのサイコロで、そのサイコロを誰かが移動させてくれないと、俺は移動できないみたいなんだ」

 

 俺の言葉に対して、シズクは頷く。

 

「もちろんです」

 

 シズクは、二つのサイコロを手に持った。

 

 そしてそれを、転がしてみる。

 

「昨日はこうすることで、サイさんが実体を持てたんですよね」

 

 シズクは、そう告げる。

 

「ああ、そうだな」

 

 俺はシズクのその動作により、再び実体を持てることを期待していた。

 

 しかしそのサイコロは、コロコロと転がっただけだった。

 

「むむむ?」

 

 何も起こらなかったということに対して俺は、疑問を感じる。

 

「どういうことだろう?」

 

 分かんない。あたい、分かんない。

 

 俺は、首を傾げた。

 

「きっと、条件があるのでしょう。たまにあるのですよね、条件を満たさないと効果を発動してくれないサイコロが」

 

 そのシズクの言葉に対して俺は、疑問を呈してみる。

 

「この世界にはその虹色のサイコロみたいに、能力を発現できるサイコロがあるの?」

 

 俺の問いに対して、シズクが頷く。

 

「はい、この世界では、様々な種類の色付きのサイコロが存在しているのです。かなりレアなその色付きのサイコロを扱う人間は、"サイコロ使い"と呼ばれております。そしてサイコロ使いは力の象徴として、この世界の要人になっていたりします」

 

「ふむふむ」

 

 俺は頷く。

 

「なら、君は今日から、サイコロ使いになったってことだね」

 

 俺の言葉に対して、シズクは微笑んだ。

 

「はい、そういうことになります」

 

 シズクは嬉しそうだが、不安そうでもあった。

 

「ですが、この虹色のサイコロには、曰くもあるのです。過去それを振ったサイコロ使いが、現れた魔物に殺されたという曰くが」

 

 俺は、顔をしかめる。

 

 少なくとも、ブリドラではないだろう。心優しいブリドラが、人間を殺すはずがない。ならばこのサイコロの中に存在している、別の魔物の仕業ということになる。

 

 てかよくこの子、さっき平然とサイコロ振ったなぁ。危険な魔物が出たらどうするつもりだったんだよ。

 

 俺はその感想を、口に出さなかった。

 

「これらのサイコロは出た目によって、発現する能力が違うのか?」

 

「はい、そうです。二つのサイコロの出た目の合計により、発現する能力が決まります。だから、二つのサイコロが3と3を出しても1と5を出しても合計は6であり、同じ能力が発動します。そして原則その能力は、その出目の合計値が確率的に出にくいほど、強い能力となります」

 

 俺は、後悔する。学生時代、数学の勉強が嫌いだからといって、授業中に眠っていたことを。

 

「確率的に、出にくい……?」

 

 俺は、目をパチクリさせる。

 

 シズクが、部屋に備え付けられてある紙に、文言を書いてくれた。

 

合計値  :それを出すための二つのサイコロの出目パターン

合計値2 :1/1                

合計値3 :1/2、2/1

合計値4 :1/3、3/1、2/2

合計値5 :1/4、4/1、2/3、3/2

合計値6 :1/5、5/1、2/4、4/2、3/3

合計値7 :1/6、6/1、2/5、5/2、4/3、3/4

合計値8 :2/6、6/2、5/3、3/5、4/4

合計値9 :3/6、6/3、5/4、4/5

合計値10:4/6、6/4、5/5

合計値11:5/6、6/5

合計値12:6/6

 

「これが、各々の数字が出る確率です。つまり7が最も出やすくて、そこから2と12に近付くにつれて、出る確率は低くなっていくってことです」

 

 俺はとても凛々しい顔で、頷いた。

 

「OK、簡単に理解できたぜ」

 

 俺はシズクに対して、グッドポーズを見せた。

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