元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第十三話:金稼ぎ

「うおおおおおおおおおお」

 

 宿屋から街に出た俺は、否応なくテンションが上がる。

 

「これは、すげぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 昨日はシズクが倒れており、あまり見る余裕もなかったその街。だが今日は、存分に観察できる。

 

「本当に、ロールプレイングゲームの世界に入ったみたいだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 俺は騒ぐ。こりゃあ、男ならテンションがあがってしまうというものだろう。

 

 洋風の家が立ち並ぶその街。カジノ、武器屋、防具屋、宿屋等、過去やったゲームの中の世界に入り込んだような気持になって、嬉しい俺だった。

 

「さて、まずは何をしようか?」

 

 俺は、シズクに問う。

 

「服を買いたいのです」

 

 シズクは、そう告げる。確かにシズクは布切れを服としているが、それは正直、みすぼらしくある。

 

「なら、服を買おうぜ」

 

 俺は、悪意なくそう告げる。シズクは、もじもじとしている。

 

「どうしたの?」

 

 問う俺。上目使いで俺を見るシズク。その顔は、いじらしいものであった。

 

「お金、ないんです」

 

「ほう」

 

 俺は頷く。

 

「俺も、金はねぇ」

 

 俺の、そんな言葉。

 

「稼ぎましょう」

 

 シズクが、そう提案した。確かにシズクの服は、本来服ではなく、布切れだ。その布切れでこれから冒険をするのは、難儀だろう。さらにシズクは今、ご飯を食べる金すらないようだ。

 

(だから朝に、ああもサンドイッチをがっついてたのね)

 

 俺は、合点がいった。シズクは普通に、お腹が減っていたのだ。

 

 リスのようにもぐもぐと食べていたシズクの顔を思い出した、俺だった。

 

「ずっとご飯食べてなかったの?」

 

 俺の問いに対してシズクは、困ったような顔で頷く。

 

「はい……」

 

 端麗なその顔のまま、目を糸のように細め、なんとも言えない表情を作ったシズク。

 

「まぁ、お金を稼ごう」

 

「どうやって稼ぎましょうか?」

 

 シズクは、考える。15歳くらいに見えるシズクである。バイトのようなことをしようにも、そのシズクを雇ってくれる店があるだろうか?

 

 俺が働けたらいいのだがあいにく霊体であり、他人とコミュニケーションをとることができない。

 

「なら、狩りに行きましょう」

 

 シズクはそう口にして、とある道具屋を見る。

 

"一角猪の肉、5000ゼニーで買い取ります"

 

 そんな内容が書かれている張り紙が存在している道具屋を見る、俺達。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ、ロールプレイングゲームっぽいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 

 テンションの上がる俺。シズクが、顔をしかめる。

 

「先ほどからおっしゃっているロールプレイングゲームって、なんですか?」

 

「ロールプレイングゲームはなぁ…………」

 

 俺は考える。だが、ゲームという概念を異世界の人間に説明するのは難しいだろう。

 

 だからこそ俺は、考える。めちゃくちゃ考える。そして、言葉を絞り出した。

 

「すごく、楽しいものだよ」

 

 そんな、俺のセリフ。大人になると、諦めるということを覚えてしまっていけねぇ。

 

「すごく楽しいものですか。きっと、凧揚げのようなものなのですね」

 

 シズクが目をキラキラさせる。俺には色々と、思うことがある。まずこの世界には、凧揚げという概念があるということが分かる。まぁ、風と紙と糸さえありゃあできるその遊びだ。あってもおかしくない。

 

 そしてシズクの発言のなかで、特段気になった文言がある。

 

「凧揚げって、すごく楽しいものなの?」

 

 俺のそんな問いに、シズクが頷く。

 

「はい!!!!!!」

 

 幸薄そうな、色白ショートカットな見た目のシズク。あんまり感情の起伏がないのかと思っていたが実は、そうでもないのだ。

 

 この子実は、めちゃくちゃ感情の起伏があるのだ。

 

「うふふふふふふふふふふふ」

 

 そんなシズクが凧揚げのことを思い出し、恍惚とした表情を見せている。

 

(凧揚げか。子供の頃以来、やってないな)

 

 俺は、そう思った。そして改めて、思う。

 

(べつにもう、やらなくてもいいな)

 

 そんな、俺の感想。そんなこんなで俺達は、一角猪を倒しに行く。

 

 そのために街を出て、外の森に向かった。歩きながら俺は、思う。

 

「でもさ、一角猪が凶暴だったら、どうしよう?」

 

 虹色のサイコロを先程振っても、なんの効果も発動しなかった。つまりシズクは一角猪と、一対一で戦わないとならない可能性があるということだ。

 

「まずいな」

 

 俺は、そう思う。

 

 そして、一角猪が現れた。俺の不安の通りそやつは目を血走らせ、とても狂暴そうである。その大きさはシズクの数倍あり、俺は顔をしかめる。

 

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