元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第十五話:4の部屋

「ひひひひひひひ」

 

 真っ白な軍服の男性が笑いながら、シズクに近付く。

 

 シズクの手から、虹色のサイコロが二つ転がり、地面に落ちた。

 

 先ほど転がした際は、効果がなかった。だが今、コロコロと転がり、2と2の計4の目を出した。そして俺が、実体を持った。

 

「あらららら、虹色のサイコロを振るなんて、勇気がありますねぇ」

 

 軍服の男は、そう告げる。そして現れた俺を見て、くすりと笑った。

 

「ですが、虹色のサイコロから現れるのが、こんな馬鹿そうな男だとは思いませんでした」

 

 軍服の男は、煽ってくる。

 

「ば、馬鹿そうな男だとぉ?」

 

 俺は怒るが、深呼吸する。アンガーマネジメント。人間の怒りって、6秒位しか続かないらしいよという、どうでもいい情報。

 

「まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。俺が馬鹿そうに見えるかどうかなんて、取るに足らないことだ」

 

 俺は、頷く。そして、強キャラ感を出すために顔を歪めて、笑みを作る。

 

「俺は、虹色のサイコロの主だ。貴様も知っているだろう? 過去この虹色のサイコロが振られた際に、現れた魔物にサイコロ使いすら殺されたという話を」

 

「ひひひひひひひ」

 

 軍服の男は笑う。怖いよ? その笑い方。まあそんなことは置いといて、前回、いかつい頭三人衆の時には効かなかった俺の脅し。だがその軍服の男は、シズクへの歩みを止めた。

 

「まぁ、知っておりますよ、その話はねぇ。ならばこのわたくしは、まずあなたを倒さなければならないということですよね」

 

 軍服の男がそう告げると同時に、シズクの身体にまとわれる蔦が消えた。代わりに軍服の男の手に、茶色のサイコロが二つ、握られている。

 

「私は、正義の国5番隊隊長のツターラと申します。以後、あなたが死ぬまでよろしく」

 

 俺は、合点がいった。

 

「てめぇは、正義の国からシズクの命を奪いに来た刺客というわけだな」

 

「ひひひひひひひ」

 

 そいつはうんともすんとも言わずに、ただただ笑った。

 

「さて、やりましょう」

 

 ツターラという名であるらしいそいつは悠々と、俺の方に来る。

 

「逃げろ!!!!」

 

 蔦が解かれたことでフリーになったシズクに対して俺は、そう叫んだ。

 

 シズクは駆け出す。

 

「かっこいいですねぇぇぇぇぇ」

 

 ツターラは嬉しそう。

 

「それでこそ、倒し甲斐があるってものです」

 

 ツターラは、二つのサイコロで手悪さしている。

 

 俺は察する。奴の能力は、蔦を操るというものだろう。そんな能力を持っているから名前がツターラなのかしら? 偶然?

 

 そこは俺には分からないが、とかく、ツターラの方を凝視する。

 

(めんどくせぇな)

 

 俺は、そう思った。前回戦ったいかつい頭三人衆は、虹色のサイコロから現れた俺のやばさに気づかない程度の者達だった。だがこのツターラは、虹色のサイコロから現れた俺を警戒しながらも、覚悟を持って、戦いを挑んでくる。

 

 困る。俺は弱い。普通の人間である俺は、サイコロ使いと戦うと、秒で負ける。だが俺は、そいつに向かって歩く。

 

 強キャラ感を出さねばならない。少しでもシズクが逃げる時間を稼ぐのだ。

 

 ツターラがサイコロを転がした。

 

 そのサイコロは、2と6の計8の目を出し、先ほどよりもたくさんの蔦が、俺の方に向かった。

 

「わははははははははぁ」

 

 俺は、高笑いする。

 

「なんだ?」

 

 俺の笑い声を聞いたツターラは、訝し気な顔をする。

 

「悪いな、お前との戦いは、お預けだ」

 

 俺はそう告げ、その場から消えた。虹色のサイコロの中に入ったのだ。俺は4の出目の魔物に会いに行かねばならない。

 

 いつもの俺の部屋だが、そこにブリドラの姿はなかった。

 

「確か朝に、俺の部屋に入っていっていたはずだが?」

 

 俺は、首を傾げる。だが現にブリドラはおらず、俺は廊下に出た。その廊下の中、4の数字の書かれている表札が掲げられている部屋が光っており、南京錠も解除されている。

 

 代わりに、元々開いていたはずのブリドラの”9”の部屋には、南京錠がかかっていた。サイコロが4の目を出した際には、4の数字の部屋にしか入れないのだろう。

 

「邪魔するよ」

 

 俺は、4の部屋の扉を開け、その中に入った。

 

(平穏な性格の魔物で頼むぞ?)

 

 俺はそう思いながら、その中を見る。

 

「靴履いてて良かったぜ」

 

 俺は、そう口にした。その部屋は壁一面、さらに床一面、茨で覆いつくされている。

 

 靴なしだったら、足裏がチクチクしてしょうがないだろう。

 

「うふふふふふふふふ、お客さんね」

 

 そんな、高くてよくとおる声が、聞こえてきた。

 

 俺は、その声の主の方を見る。

 

 そこにはとても麗しい、上品そうな女性が立っていた。

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