元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第十九話:茨を操る能力?

「ひひひひひひ、茨を操る能力ですか」

 

 ツターラは、その場に現れた俺の繰り出すアラネの能力を、推測してきた。俺は、首をぽきぽきと鳴らす。俺が何かをしているわけではない。アラネの力を使っているだけだから。だが、アラネの力を借りてではあるが強敵と戦うというのは、男としてテンションが上がってしまう。

 

(俺って、戦闘狂的な一面を持ってたのか?)

 

 自らの知らない一面を知ることができた、異世界である。

 

「先ほどなぜその力を使わなかったのかは疑問に思いますが、少なくともあなたは、強敵と言うくくりには入るでしょうね」

 

 ツターラは強敵である俺に対して、ひるまない。

 

 ツターラの発現させた蔦が消え、その手に茶色のサイコロが二つ、握られている。

 

「そのサイコロは、頻繁に振れるんだな」

 

 俺の言葉の通り、先ほどからツターラは、何度もそのサイコロを振りなおしているのだ。

 

 対する俺こと虹色のサイコロは、一度振ると数時間程は振り直しができないようだ。つまりサイコロによって、振り直せる時間というのが決まっているようだ。

 

「ひひひひひ」

 

 ツターラは、サイコロを振った。そのサイコロは、1と1の計2の目を出した。つまりそれは、最強の出目である。その最強の出目によりツターラのサイコロが、膨大な量の蔦となって、世界に繁茂する。

 

 まるで龍のように天に伸びるその蔦に対して、アラネの茨が伸びる。だが、量はツターラの蔦の方がはるかに多い。だからこそツターラの蔦が、茨を覆いつくした。それでもなお、自由になっているツターラの蔦が無数にある。

 

 その蔦が、俺の方に向かってきた。

 

「終わりです」

 

 ツターラが、そう宣言した。

 

「やべぇよ、ねぇさん」

 

 俺は脳内でアラネに対して、そう告げる。

 

(あら、何がやばいのかしら?)

 

 そんな言葉が、俺の脳内に届く。

 

「あいつの蔦の方が、はるかに量がある。茨を操る能力じゃ、勝てない」

 

(あら、勘違いしているようね)

 

「何を勘違いしてるんだ?」

 

(うふふふふふふ)

 

 アラネと脳内で話をしている俺に、あと少しで蔦が当たる。

 

 そんな俺に対して、言葉が発せられる。

 

(うふふふふ、私の力は、茨を操るだけのものではないわよ? 私の力は、植物全てを意のままに操る力なの)

 

 アラネの、そんな言葉であった。

 

「むむむ、てことは?」

 

 俺は、自らに当たりそうな蔦に対して、手をかざした。そしてその手に、蔦が触れた。

 

 その蔦は俺の手に当たるが、俺を傷つけなかった。

 

 その蔦は俺の手に当たった瞬間、動きを止めたのだ。

 

「何?」

 

 ツターラが今までの余裕そうな顔ではなく、訝し気な表情を作った。

 

「わははははははは」

 

 俺は、高笑いする。そして、地面に手をついた。地面から植物のツルが生え、ツターラの方に向かう。

 

 そしてその足に、絡みついた。

 

 ツターラの蔦も今、俺の支配下に置かれている。全ての植物を手中にできるという、アラネのおそろいしい力である。

 

「すごい……」

 

 シズクが、感嘆の声を上げる。

 

 そして俺は、ツターラの方に向かう。

 

 ツターラが、狼狽している。サイコロの最高値である合計2の攻撃すらも無効化されたツターラは今、できることがなくなったのだ。

 

「どうやら、完全に負けたようですねぇ」

 

 ツターラのそんな言葉に対して、俺は頷く。

 

「ああ、そうだな。もはやお前に、勝ち目はない」

 

 そんな、俺の断言。

 

 アラネの力により現れたツルが、ツターラの体に巻きついている。それによりツターラは、俺から逃げることもできなくなっている。

 

「さて、シズクの命を狙っていたお前が、自らの命を奪われないとは思ってないよな?」

 

 俺は不敵な笑みで、そう告げる。

 

「ひひひひひ、軍人として生きてきた僕です。この命なんて、いつでも失う覚悟ができてますよ」

 

 ツターラの断言。いい覚悟だ。

 

「よっしゃぁぁぁぁぁぁ、歯を食いしばれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 俺は、そう叫んだ。そして自らの拳を固め、ツターラの顔を思い切り殴った。

 

 ツターラは吹っ飛び、その意識を失った。

 

「ふぅ」

 

 俺は、大きく息を吐いた。

 

「命までは奪わないぞ?」

 

 俺はシズクに対してそう告げ、シズクも頷く。

 

「はい、これで数日は起きてこないでしょう。その隙に私達は、先に進みましょう」

 

 俺達は別に、人殺しがしたいわけではないのだ。降りかかる火の粉は、振り払うがな。

 

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