元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

21 / 23
第二十話:花言葉

「さて、それじゃあ、帰ろう」

 

 俺はその言葉と共に脳内で、(ありがとう、アラネ)と告げ、アラネも(うふふふふ、どういたしまして)と返答した。そしてアラネの茨を操る能力にて一角猪を街まで持っていき、それを道具屋で売ることで、5,000ゼニーを手にした。

 

「へへへへ、おっさんこいつは大きな一角猪だろ? ちょっと高く買い取ってくれよ」

 

「無理だな~、こっちも慈善事業じゃないんだ」

 

「へっ、しけたこった」

 

 俺のなんの意味もないそんなやり取りを横目に、正規の値段である5,000ゼニーをもらったシズクであった。

 

「ふふふふふふ、これで、何か食べましょう」

 

 シズクは結構な大金により、にやけ面になっている。

 

「ああ、いいな」

 

 俺も同意し、料理屋に向かった俺とシズク。

 

 その道中に、会話する。

 

「そういや、この街の中で正義の国の人間に狙われるってことは、ないのか?」

 

 俺はシズクがお尋ね者だという事実を思い出し、付近をきょろきょろした。

 

「ここでは大丈夫ですよ。ここは一応、どこの国にも属さない、中立の街なんです。その中立の街の中での争いは、原則ご法度なんです」

 

 なるほどねぇ。だからいかつい頭三人衆もツターラも、この街の外で襲ってきたのか。

 

 なら、この街の中では一応、心穏やかに過ごせるということだ。

 

 俺とシズクは、料理屋に行った。”炭酸芋と一角猪の肉じゃが”という料理を注文し、それを食する俺達。その炭酸芋とやらは、名前の通り炭酸感のある芋で、それが口に入った瞬間、しゅわしゅわする。

 

(結構炭酸強いな)

 

 俺は、そう思った。シズクは腹が減っていたのか、その料理をかきこむ。

 

 朝にもシズクは、サンドイッチを多量に食べていた。普段あまり食べていないから、腹が減っていたのだと俺は思っていた。

 

 だが今、朝サンドイッチ二人分食べたくせに、肉じゃがにがっついているシズクである。

 

 つまりシズクは単純に、食い意地がはっているレディなのだと推測される。

 

(華奢な身体なのに、結構入るんだな)

 

 シズクはその大盛りの料理を、リスみたいに頬張りながら、口に入れていた。

 

(それはちょっと、悪手じゃねぇか)

 

 俺は内心そう思いながら、シズクの方を観察する。

 

「ごふっ!!」

 

 シズクは炭酸芋を一気に口に入れたことで、そのしゅわしゅわ感により、むせてしまった。

 

「はい、お茶」

 

「ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 

 シズクが困った顔で、お礼を言ってきた。

 

「ふふ」

 

 華奢で幸薄そうな感じなのに、とても感情豊かなシズクに対して俺は、面白くなった。

 

 そしてそれから俺達は、買い物をする。まずは、シズクの服を買うのだ。シズクは今布切れをまとっているが、その布切れで旅をするのは、難しいだろう。だからこそシズクは、服屋に向かった。そして、服を選ぶ。

 

「動きやすい服をください」

 

 シズクがそう言い、店員がとある服を提案してきた。それは、真っ黒な短パン及び膝上10cmくらいから足先に向かうという、ニーソックス。上の服も動きやすそうな真っ黒Tシャツ及び肘位から手の甲くらいまでの腕当てという、黒ずくめの服装。その靴も、真っ黒な革靴だ。

 

「全身真っ黒だけど、いいの?」

 

 俺は、尋ねる。

 

「私は、命を狙われておりますからね。あまり目立たないほうが良いのです」

 

 そしてシズクは、同じく黒色のマントを買い、それをまとった。

 

「確かにその格好だったら、目立たないかもね」

 

 白い肌、真っ赤な唇、大きな黒目、黒色ショートカットというシズクの綺麗な顔に、その服はとても似合っているように感じる俺だった。

 

(まあ、美人は何着ても絵になるのよね。人相の悪い俺とは違って)

 

 ジャージとスウェットくらいしか似合う服のない俺はシズクのことを、羨ましく感じる。

 

 そしてさらにシズクは、別の店に行く。

 

 "武器屋"と書かれている看板のお店に到達した、俺とシズクである。

 

「ここで、何を買いたいんだ?」

 

 俺は、尋ねる。

 

「長い剣を買いたかったんです。私もちょっとでも、戦いの役に立てるように」

 

「なるほど」

 

 俺は納得し、シズクは長い剣を買った。日本刀というよりは中世ヨーロッパ的な剣だ。鞘付きのそれを買って、腰にかけるというシズク。

 

「よし、次のお店に行きましょう」

 

 シズクはそう告げ、次の場所を目指す俺達。そして到達したのは、お花屋さんだった。

 

「花が好きなのか?」

 

「はい、お花は美しいですから」

 

 シズクは薔薇の花を、一輪買った。

 

「はいどうぞ、サイさん」

 

 その花を俺に渡してきたというシズク。

 

「ん? どういうこと?」

 

 俺は、首を傾げた。

 

「サイさんには今まで、たくさん助けていただきましたから」

 

 どうやら、俺に対するお礼の気持ちであるらしい。俺は、素直にそれを受け取った。

 

「ちなみに、一輪の薔薇の花言葉って知ってるかい?」

 

 異世界に花言葉があるのかは知らないが、俺は意地悪な顔で、シズクに対してそう問うた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。