元王女が操りし二つのサイコロ(俺) 〜俺を振ると、出た目に応じたモンスター娘が現れる〜   作:人間 計

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第二十一話:新妻かのように

「花言葉? 存じあげないですね」

 

 シズクは純粋な感じで、目をキュルンとさせている。

 

「ふっふっふ、"運命の人"だよ」

 

 俺は不敵な笑みで、そう告げた。

 

「え、ええ~~」

 

 シズクがその顔を真っ赤にさせて、戸惑ったかのように、もじもじしている。ちょっと大人げなかったかしら? 俺は、少し反省した。

 

「冗談冗談、そんな気持ちがないのは知ってるよ。だからこれは普通に、助けたお礼として、受け取っておくよ」

 

 シズクは相変わらず顔を真っ赤にして、俺の方をもじもじと見ている。

 

「さて、これからどうしようか?」

 

 俺は、問うた。

 

「私は、したいことがあります」

 

 シズクは、そう告げる。まだその顔は真っ赤で、茹でタコみたい。

 

「なに?」

 

「この街の広場で、剣の修行をしたいのです。昔お父様から伝授された剣技を、新たに手に入れたこの剣でも使えるようになるために」

 

「まじめだねぇ~~」

 

 俺は、感心する。向上心のあまりない俺は、シズクのことを素晴らしいと感じる。子供の頃、授業中にずっとハリウッドスターになる妄想をしていた俺に見せてあげたい、シズクの雄姿だ。

 

「サイさんは、これからどうするのですか?」

 

「俺はいったん、サイコロの中に戻るよ。サイコロの中にいるモンスター娘達に呼ばれてるんだ」

 

 俺はアラネとブリドラのことを、思い出していた。

 

「そうなんですか~。サイさんは、サイコロの中に存在している魔物達の力を借りることで、圧倒的な力を使用してるんですよね?」

 

「ああ、そうなんだ。俺自体には何の力もないけど、魔物達から力を借りることで、圧倒的な力を使えてるんだ」

 

 シズクは俺の言葉に対して、頷いた。

 

「なるほど」

 

「だからこそってわけじゃないけど、俺はサイコロの中に戻って、その魔物達と友好的な関係を築きたいんだ」

 

 シズクは、合点をいかせた。

 

「なら今日私は修行した後に宿屋に泊まり、サイさんはサイコロの中に戻りましょう。そして明日、朝からこの街を発ち、先に進みましょう」

 

 シズクの言葉に対して、俺は頷いた。

 

「もしも敵に襲われたりしたら、虹色のサイコロを振ってくれ。そうすれば、俺が現れるから」

 

 俺の言葉に対してシズクは、頷いた。

 

「分かりました!!!!」

 

 そして俺は、サイコロの中に入り込んだ。

 

 

 

 薄暗い廊下に立つ俺。

 

「うふふふふふふ、お帰りなさい」

 

 アラネがにやにやした顔で、そう告げた。帰ってきた瞬間に出迎えていたアラネに対して俺は、びっくりした。

 

 まるで新妻かのようにそこで待っていたアラネは俺を見て、笑みを見せた。

 

「部屋に戻ろう」

 

 俺は、自らの部屋に戻ろうとする。相変わらずブリドラのいる"9"の表札の貼られたその部屋には、錠がかけられている。

 

 それが、このサイコロのルールなのだろう。おそらくこの廊下をうろちょろできるのは、サイコロの出目により現れた魔物のみなのだ。

 

(大丈夫かな、ブリドラ。俺の部屋で遊びたくて、地団駄踏んでないかな?)

 

 俺はそう思うが、サイコロのルールは曲げることができないらしく、諦めるしかない。

 

(待っててくれ、ブリドラ。またサイコロで、9の目を出すから)

 

 そう思いながら俺は、俺の部屋に戻る。アラネも俺の後に続き、俺の部屋に入ってきた。

 

 俺の部屋の中を見たアラネは、いつも余裕そうに微笑んでいるその顔を、一瞬歪めた。

 

「うふふふふふ、あまり綺麗とは言えないわね」

 

 アラネは、そう告げる。

 

「男一人暮らしの部屋なんて、こんなもんだよ」

 

 俺は自信満々に、そう断言する。

 

 アラネは、ベッドの上に腰かけた。

 

「うふふふ、これが人間の成人男性の部屋ねぇ」

 

 アラネは、きょろきょろとしている。

 

「ご飯食べる?」

 

 この部屋に置かれている時計は18時を示しており、今は夜飯の時間である。

 

「なら、いただこうかしら」

 

 俺は適当に冷蔵庫の中から食材を取り出し、ひょいひょいと料理を作っていく。一人暮らししていた期間の長い俺は、慣れた手つきでハンバーグを作り、それをパンにはさむことで、ハンバーガーへと進化させた。

 

「はいどうぞ」

 

 俺はアラネに、それを渡した。

 

「あむ」

 

 アラネはそれを、口に入れた。そして、笑みを見せる。

 

「うふふふふふ、美味しいわね」

 

 俺もそれを、口に入れる。さらに飲み物も、冷蔵庫の中に入っている。俺はビールを二本取り出し、一本をアラネに渡した。ブリドラは20歳を超えているかどうか不明だったが、アラネはその見てくれから推測するに、20歳は超えているだろう。だからこそ、それを渡したのだ。

 

「お酒だけど、飲めるかな?」

 

「いただこうかしらね」

 

 アラネはその缶ビールを手に取った。そして、顔をしかめる。

 

「これ……、どうやって開けるのかしら?」

 

 俺に対してそう問うてきた、アラネであった。

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